不器用な恋
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※【ツナside】
『そこはその方程式を使って…』
「…こうですか?」
そう言われた方程式を使い、ツナはマリアに用意された問題を解いていく。
知り合ってまだ時間が浅いと言うのに…ツナの家庭教師を引き受けたのはディーノの幼馴染でマリアと言う名前の女性の人だった。
第一印象は綺麗な人だとツナは思った。
日本人で見る事は滅多にない赤色の髪に翡翠色の瞳。
リボーンの知り合いだろうと思っていたが、まさか兄弟子であるディーノの幼馴染と知った時は心底驚いた。
自分とほとんど変わらない身長に彼女を同い年かな?と思ったのは絶対に口が裂けても言えない。
流石に銃を向けられるのは勘弁願いたいとツナは思う。
マフィア関係の人ではないにしろ、ディーノと同じようにリボーンの元生徒だ。
不安と心配と緊張でいっぱいだった昨日の自分をツナは恨んだ。
今もこうして分からない所を聞けばマリアは優しくツナに教える。
ただ優しいだけではない、分かりやすいのだ。
何処が分からないかと言う所を的確に読み取り、ツナが分かりやすいように、理解しやすいように教えてくれる。
学校の先生が授業で話す内容は呪文か何か別の言葉にしか聞こえないのに、マリアの言葉だけはすんなりとツナの中に入ってくる。
マリアを送って来たディーノが「マリア教えるのはすっげぇーうめえから安心しとけ」と、ツナに言った言葉を身をもってツナは理解した。
(教えるの凄く上手いな…マリアさん)
テレビか何かで“人に教えるには三倍理解していないといけない”と言う言葉をツナは聞いた事が有る。
マリアの場合三倍…否、きっとそれ以上に理解しているのだろうとツナは感じた。
そうでなければこんなにも分かりやすく教える事なんて出来ないだろう。
褒める所はきちんと褒め、間違って居れば指摘され一緒に問題を解き直す。
学校の授業とは違い、ツナのペースに合わせマリアは勉強を教えている。
指摘もキツイものではなく、途中式が違えばそこを教え、解き方自体間違っていれば『惜しい、ここはこっちのやり方で解くんだよね』と教えるのだ。
褒められる時は決まってマリアはツナの頭を撫でる。
中学生にもなって年上とはいえ異性に、頭を撫でられるとは思わなかった。
そして不思議とマリアに頭を撫でられるのは嫌ではなかったため、ツナはそのまま撫でられる。
一問、また一問と解き進め分からなければマリアに問い、間違っていれば指摘して一緒に解いていくと言う流れ。
最後の問題を解き終えマリアから『よくできました』と言われれば、ツナは「マリアさんって凄いんですね」と無意識に呟いた。
『ん?何が?』
ツナの呟いた言葉に、マリアは不思議そうに首を傾げる。
だがツナはそんなマリアを見るわけでなく、言葉にしてしまった以上どう言えば良いだろうと思いながらぐるぐると頭を回す。
「滅茶苦茶分かりやすいって言うか…俺、授業中の先生の言葉ってほんと何言ってるのか分かんなくて…。でもマリアさんが教えてくれるのは凄く分かりやすいんです。同じ範囲で同じ事言ってるはずなのに、不思議とマリアさんが教えてくれると分かってくるっていうか…頭に入ってくるっていうか」
言いたい事が纏まらず、ツナは思い浮かんだ言葉を素直に述べた。
きっとマリアからしたら何を言っているのだろう?と思われるかもしれないが、ツナはそんな事気にせずに言葉にする。
そんなツナの言葉にマリアは何も言わずただ聞いていた。
自然と頬が緩み優しそうな表情をしているのを見てしまえば、ツナ自身恥ずかしくなり俯く。
『おだてたって問題用紙しか出ないからね?』
「それはちょっと…」
突然発せられたマリアの言葉に、ツナはぶんぶんと首を横に振った。
今教えてもらっている内容で手いっぱいなのだ、追加で問題用紙を出されても解ける気がしないし何よりキャパオーバーになってしまう。
その後もマリアに教えてもらいながら数学と英語の二科目を今日一日教えてもらった。
まだテスト当日までは日があるからと、英語はどの辺りが分からないのか、苦手なのかという他愛ない話をしながら…リボーン以外の家庭教師…マリアとのテスト勉強一日目がそうやって幕を閉じた。
「どうしたツナ?」
「え、何がリボーン?」
「お前が自分から進んで勉強机に座ってるだなんて珍しいじゃねぇーか」
夕食後、ツナは誰に言われたわけでもなく自分の勉強机に座っていた。
机の上にはマリアが作った資料と、夕方一緒に解いた問題用紙、ノートが広げられている。
そんなツナをリボーンは珍しいと思った。
ツナの事だ、どうせ夕方勉強したから夜はいいだろうと思っていたからだ。
だが、蓋を開けてみればツナは勉強机に座りシャーペンを握っている。
「マリアとの勉強、そんなに良かったのか?」
「…うん、まぁ…」
ツナはリボーンの言葉に曖昧に答えた。
どうして曖昧に答えたのだろう?と思うが、きっとマリアに言われた言葉を、他の人に聞かせたくないと思ってしまったからだ。
―――『だからツナはダメダメなんかじゃないよ、少なくとも勉強面ではね』
そう言ったマリアの言葉がツナの頭から離れずに、ずっと木霊していた。
何気ない言葉だった。
きっとマリアからしたら些細な言葉かもしれない。
だがツナにとっては嬉しかったのだ。
自分をダメダメなんかじゃないよと言ってくれた、その言葉が。
(…よし)
頬を軽く叩き自分にやる気を起こさせながら、ツナは自分から進んで問題を解き始めた。
2024/09/03
『そこはその方程式を使って…』
「…こうですか?」
そう言われた方程式を使い、ツナはマリアに用意された問題を解いていく。
知り合ってまだ時間が浅いと言うのに…ツナの家庭教師を引き受けたのはディーノの幼馴染でマリアと言う名前の女性の人だった。
第一印象は綺麗な人だとツナは思った。
日本人で見る事は滅多にない赤色の髪に翡翠色の瞳。
リボーンの知り合いだろうと思っていたが、まさか兄弟子であるディーノの幼馴染と知った時は心底驚いた。
自分とほとんど変わらない身長に彼女を同い年かな?と思ったのは絶対に口が裂けても言えない。
流石に銃を向けられるのは勘弁願いたいとツナは思う。
マフィア関係の人ではないにしろ、ディーノと同じようにリボーンの元生徒だ。
不安と心配と緊張でいっぱいだった昨日の自分をツナは恨んだ。
今もこうして分からない所を聞けばマリアは優しくツナに教える。
ただ優しいだけではない、分かりやすいのだ。
何処が分からないかと言う所を的確に読み取り、ツナが分かりやすいように、理解しやすいように教えてくれる。
学校の先生が授業で話す内容は呪文か何か別の言葉にしか聞こえないのに、マリアの言葉だけはすんなりとツナの中に入ってくる。
マリアを送って来たディーノが「マリア教えるのはすっげぇーうめえから安心しとけ」と、ツナに言った言葉を身をもってツナは理解した。
(教えるの凄く上手いな…マリアさん)
テレビか何かで“人に教えるには三倍理解していないといけない”と言う言葉をツナは聞いた事が有る。
マリアの場合三倍…否、きっとそれ以上に理解しているのだろうとツナは感じた。
そうでなければこんなにも分かりやすく教える事なんて出来ないだろう。
褒める所はきちんと褒め、間違って居れば指摘され一緒に問題を解き直す。
学校の授業とは違い、ツナのペースに合わせマリアは勉強を教えている。
指摘もキツイものではなく、途中式が違えばそこを教え、解き方自体間違っていれば『惜しい、ここはこっちのやり方で解くんだよね』と教えるのだ。
褒められる時は決まってマリアはツナの頭を撫でる。
中学生にもなって年上とはいえ異性に、頭を撫でられるとは思わなかった。
そして不思議とマリアに頭を撫でられるのは嫌ではなかったため、ツナはそのまま撫でられる。
一問、また一問と解き進め分からなければマリアに問い、間違っていれば指摘して一緒に解いていくと言う流れ。
最後の問題を解き終えマリアから『よくできました』と言われれば、ツナは「マリアさんって凄いんですね」と無意識に呟いた。
『ん?何が?』
ツナの呟いた言葉に、マリアは不思議そうに首を傾げる。
だがツナはそんなマリアを見るわけでなく、言葉にしてしまった以上どう言えば良いだろうと思いながらぐるぐると頭を回す。
「滅茶苦茶分かりやすいって言うか…俺、授業中の先生の言葉ってほんと何言ってるのか分かんなくて…。でもマリアさんが教えてくれるのは凄く分かりやすいんです。同じ範囲で同じ事言ってるはずなのに、不思議とマリアさんが教えてくれると分かってくるっていうか…頭に入ってくるっていうか」
言いたい事が纏まらず、ツナは思い浮かんだ言葉を素直に述べた。
きっとマリアからしたら何を言っているのだろう?と思われるかもしれないが、ツナはそんな事気にせずに言葉にする。
そんなツナの言葉にマリアは何も言わずただ聞いていた。
自然と頬が緩み優しそうな表情をしているのを見てしまえば、ツナ自身恥ずかしくなり俯く。
『おだてたって問題用紙しか出ないからね?』
「それはちょっと…」
突然発せられたマリアの言葉に、ツナはぶんぶんと首を横に振った。
今教えてもらっている内容で手いっぱいなのだ、追加で問題用紙を出されても解ける気がしないし何よりキャパオーバーになってしまう。
その後もマリアに教えてもらいながら数学と英語の二科目を今日一日教えてもらった。
まだテスト当日までは日があるからと、英語はどの辺りが分からないのか、苦手なのかという他愛ない話をしながら…リボーン以外の家庭教師…マリアとのテスト勉強一日目がそうやって幕を閉じた。
「どうしたツナ?」
「え、何がリボーン?」
「お前が自分から進んで勉強机に座ってるだなんて珍しいじゃねぇーか」
夕食後、ツナは誰に言われたわけでもなく自分の勉強机に座っていた。
机の上にはマリアが作った資料と、夕方一緒に解いた問題用紙、ノートが広げられている。
そんなツナをリボーンは珍しいと思った。
ツナの事だ、どうせ夕方勉強したから夜はいいだろうと思っていたからだ。
だが、蓋を開けてみればツナは勉強机に座りシャーペンを握っている。
「マリアとの勉強、そんなに良かったのか?」
「…うん、まぁ…」
ツナはリボーンの言葉に曖昧に答えた。
どうして曖昧に答えたのだろう?と思うが、きっとマリアに言われた言葉を、他の人に聞かせたくないと思ってしまったからだ。
―――『だからツナはダメダメなんかじゃないよ、少なくとも勉強面ではね』
そう言ったマリアの言葉がツナの頭から離れずに、ずっと木霊していた。
何気ない言葉だった。
きっとマリアからしたら些細な言葉かもしれない。
だがツナにとっては嬉しかったのだ。
自分をダメダメなんかじゃないよと言ってくれた、その言葉が。
(…よし)
頬を軽く叩き自分にやる気を起こさせながら、ツナは自分から進んで問題を解き始めた。
2024/09/03
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