不器用な恋
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『で、あたしにもう一個やって欲しい事って何よ?』
ボンゴレ十代目であるツナとその右腕である獄寺との顔合わせを終え、ふとマリアはリボーンの言っていた事を思い出した。
リボーンに頼まれていた薬…惚れ薬を渡し終え、その生徒であるツナとの顔合わせも既に終わっている。
だがリボーンの言うもう一つやって欲しい事が分からずにマリアは首を傾げた。
「それはだな…獄寺、頼んでいた奴は持ってるか?」
「勿論です、リボーンさん!」
そう言って獄寺はスクールカバンから一枚の紙を取り出し、リボーンへと渡す。
ツナはと言えばリボーンが獄寺に頼んでいた物が分からず“どういう事?”と言いたげな表情でリボーンを見た。
獄寺から渡されたプリントにリボーンは一通り目を通して、にっと笑い今度はマリアへ差し出しす。
訳も分からずマリアはプリントを受け取り、渡されたプリントに視線を向ける。
プリントの最上部には中間考査と書かれており、下に行くにつれてそれぞれの科目のテスト範囲が記されている。
『これは…』
「中間テストの範囲か?」
マリアの後ろからひょっこりとディーノが覗き込み、不思議そうに首を傾げる。
自分たちが学生の時も確かにテストと言うものは存在した。
それは国が違えど、共通して存在する物。
唯一の救いは学期末と違い、五科目だけではあるが範囲のページ数を見るとそれなりに広い。
「そうだぞ、それが今回のツナ達の学年のテスト範囲だ」
『それで、これとあたしが一体何の関係があるの?』
「マリアにはツナの中間テスト期間の家庭教師をやってもらおうと思ってな」
「なっ?!何言い出すんだよリボーン?!」
『何であたし…?』
リボーンの言葉にマリアをきょとんと首を傾げる。
それもそのはずだ。
先程出会ったばかりの二人である、それで急にリボーンからツナの期間が定められていると言えど家庭教師を頼まれるのには理解が出来ない。
いくら学生時代お世話になったとしても、だ。
「見ての通りツナは勉強も運動もダメダメなんだ。俺が教えようにも理解能力がまず伴ってねぇー…流石の俺もそこまで鬼畜じゃないから今回マリアの力を借りようと思ってな」
「確かに俺もスクアーロも苦手教科はマリアに見て貰ってたから教える分にしては上手いと思うが」
リボーンの言葉にディーノも賛同しながら過去を思い出す。
ディーノ自身もマリアの教える上手さはその身をもって十分に理解している。
ディーノだけではない、同級生であるスクアーロも同じように苦手な科目の勉強をマリアに聞いていた。
無論スパルタではあったものの理解するまできちんと付き添ってくれたのでディーノもスクアーロも毎回苦手科目を難なく乗り越えられていた。
マリア自身も勉学においては常に学年トップの成績を納めていたのでその点に関してはうってつけな人材である。
「リボーンさん、十代目の勉強なら俺が見ますよ!!!」
が、無論ボンゴレ十代目右腕である獄寺がそれを阻止する。
マリア自身も知り合って一時間にも満たない人間が教えるより同級生が教えた方が勉強しやすいだろうと思うが、リボーンは首を横に振る。
「否、今回獄寺には山本の勉強を見てもらいてぇーんだ」
『山本?』
「今日は来てねぇーが山本もツナのファミリーだ」
また知らない名前にマリアは首を傾げるが、どうやらリボーンはリボーンなりに考えているようだ。
「引き受けてれくねぇーか?マリア」
『引き受けてって言われてもね…』
教える事に対してマリアは渋っているのではない。
寧ろ教えるくらいなら渋る必要もないのだ。
学校を卒業してからも地元の食堂を利用する際に「マリアねえ―ちゃんここ教えて!」と子供が聞きに来たりすることが多々合った。
教えて欲しいと言われればマリアも断る理由が無いので教えている。
(うーん…あんまり長い日数こっちに滞在する予定なかったからなぁ…)
リボーンの言葉になかなか頷けづにマリアは悩む。
着替えの問題もだが滞在場所をどうするか…その間趣味の実験や研究が出来ないのがマリアにとっては少しばかり痛い。
ただ唯一救いなのは今現在急ぎの依頼を請け負っていない事だ。
日本に行く事になった時点でそれまで依頼されていた物は全て終わらせ済みである。
マリアの科学者としての知名度が低いので基本的に沢山依頼が来るわけではないので仕事面に関しても問題はない。
どうするか悩むマリアを見ながら、リボーンは「勿論タダとは言わねぇーぞ」と言葉を切り出す。
「ツナの家庭教師を引き受けてくれるなら、マリアの滞在費用も滞在場所も勿論こっちで用意するぞ」
『それはありがたいけど…』
「後並盛町が誇る科学博物館に連れてってやるぞ…ディーノが」
「俺かよ?!」
『乗った!!!』
リボーンの言葉に、マリアは即答した。
科学と言う言葉にまんまとつられ、嬉しそうに眼を輝かせながらマリアはリボーンを見る。
にっと、その言葉を待っていたかのようにリボーンは「頼んだぞマリア」とマリアを見て笑う。
「おいリボーン?!俺その話聞いてねぇーんだけど?!話し聞けってリボーン!!!」
巻き込まれたディーノの言葉はリボーンにスルーされ、ただただ虚しくツナの部屋に響いた―――…
2024/09/01
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