Other story
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※10月拍手お礼文
「名無し…お前頭悪いんだな」
『ねぇ、彼女に向かって頭悪いは流石に酷くない?』
放課後、氷帝学園中等部にある生徒会室にて名無しと跡部は中間考査に向けて勉強をしていた。
本来であれば名無しは一人図書室でテスト勉強をしようと思っていたのだが、恋人である跡部が珍しく一緒に勉強すると名無しを誘ってきたのだ。
てっきり名無しは跡部はテニス部メンバーと勉強すると思っていたが…どうやらその読みは外れたらしい。
言わずもがな跡部は頭が良い。
上から目線な口調だが、何だかんだで世話を焼き分からないところがあれば理解するまで教えてくれる。
得意科目は全科目なのだ、教えるのも上手い事くらい生徒会庶務である名無しはその身を持って実感している。
だが跡部と一緒に勉強となれば、それこそ場所が限られてしまう。
なんせ一緒に勉強するのが跡部なのだ。
当初の予定通り図書室で勉強となればそれこそ目立ってしまう上に勉強所ではなくなってしまうのは目に見えて分かる。
かと言って、テニス部の部室や空き教室へと場所を変えたところでそれも同じなのだ。
他に静かにテスト勉強出来る場所もなく、こうして跡部が生徒会長をしているが故に生徒会室で勉強をしている。
名無しと跡部が付き合っている事は誰にも言っていない。
跡部は学園内でもファンが多く、それこそ名無しが跡部と付き合っていると知られてしまえば名無しは平穏な学園生活は送れなくなるだろう。
実際跡部には非公式ではあるがファンクラブがあり、全校生徒の女子生徒の殆どがそのファンクラブに属している。
知られたらいろんな意味で抹殺される…それを恐れて名無しは跡部と付き合っている事を周りには黙っていた。
勿論跡部と付き合う際にもその事を伝えてある。
跡部からすれば自分の彼女だと周囲に認知させたかったみたいだか、それをするなら付き合わないと言い切って今に至るのだ。
だからこそ極力跡部とは表立って学園では関わらないようにしている。
二人きりになったとしても、それは生徒会長と庶務の関係でしかないように…周りに付き合っているとバレないように名無しは周りを欺いてきた。
『しょうがないじゃん…英語苦手なんだもん…』
「英語がこの調子じゃ他の教科は大丈夫なのか…?」
ぽつりと呟く名無しの言葉に、跡部は訝しげな目で名無しを見る。
それもそのはずだ、何せ跡部が今手に持っているのは前回の名無しの英語のテスト用紙だ。
他の学校と比べればそれこそまだ良い方ではあるのだが、氷帝学園の英語の平均点に対してはかなり低い点数が記されている。
赤点は一応回避しているが、それでもギリギリ回避してるにすぎない。
名無しはリスニングやスピーキングに関しては点数が取れるが、リーディングやライティングに関しては絶望的に悪かった。
スペルミスが多いのも点数が低い理由の一つではあるが、長文の文章問題を出されてしまえば国語のようにかいつまんで解答するのも難しい。
似たようなスペルの単語もあるせいかそれこそどっちがどっちだったのかと頭の中で分からなくなる。
苦手意識のせいもあり、ついつい英語を書く練習が足りてないのも原因である。
『英語以外はちゃんと点数取れてるよ』
そう言って名無しは鞄から英語帳を取り出し、ルーズリーフに単語の意味を書いていく。
名無しの言葉通り、英語以外はなんら問題ないのだ。
一応生徒会メンバーである為か成績は良い方だ。
ただただ、英語だけが絶望的に悪い点を除けば…それ以外は真面目な生徒である。
中間考査に向けての勉強をし始めた名無しを見て、跡部は溜息を付きながらも自分の鞄から教科書とルーズリーフを取り出し、名無しと同じように自分のテスト勉強を始めた。
「そういや名無し、テスト最終日は空いてるか?」
互いに無言でテスト勉強を始めて二時間程経つ。
ふと、中間考査が終わった後の予定を跡部は名無しに訊ねた。
『あ、無理。テスト終わった日は私クラスの子と中間考査終わった打ち上げ行くから』
「…俺様とそのクラスの女子との打ち上げどっちが大事なんだよ」
『え、先に約束してた方が優先されるでしょ?』
恋人よりも友達を優先させる名無しに跡部は内心苛立つ。
何の迷いもなく即答で友達を優先させるのだ、少しくらい悩むなり迷う素振りさえしろとすら跡部は思ってしまう。
だがこう言い張る名無しが折れないのを知っているからこそ、珍しく跡部の方が渋々折れる。
普段跡部は周りを振り回す方なのだが、名無し相手だとどうしてもそれが出来なく振り回される立場へと逆転してしまう。
「アーン?せめて悩む素振りぐらいしろ名無し。後そこ間違えてるぜ」
『って言われても…え、どこ?』
「“became”は~になっただ、なぜならば~だからは“because”の方だ」
『…ありがと』
跡部にお礼を言って赤ペンで指摘された部分を修正していく。
どう間違えたかが分かるように、間違った解答も念のため残して置く。
ペラリと単語帳のページを捲りながら、次のページの単語へと視線を向け『それに…』と話の途中の会話を元に戻す。
『…それに…跡部だってテニス部のメンバーと打上げとかテニスの練習あるんじゃないの?』
むすっとした表情で名無しの呟いた言葉は、恐らく前回の事を言っているのだろう。
前回の跡部は名無しと付き合う前から中間考査最終日はテニス部メンバーとの打上げと、久々の部活動に参加していたのだ。
部活動に参加していない名無しからしたら、前回の事を思い出せば今回も前回と同じだろうと思いクラスの仲のいい子達と共に打上げをしようと思っても仕方ない事である。
もっと早く言ってくれればと名無しだって思った。
一応跡部とは付き合っているのだ、校内で生徒会長と庶務以外の関係で関わろうとは思わないが跡部自身については名無しだってちゃんと好きで付き合っている。
全校生徒、主に女子生徒を敵に回すほどの度胸は流石にない。
いくら跡部が守ってくれると分かっていても、そんな守られ方は名無し自身が嫌なのだ。
カリカリとシャーペンを動かし次のページへと移ろうとすれば「そこもちげぇーぞ」と、名無しが書いているルーズリーフを見て指摘する。
「“advice”は名詞だ、アドバイスをする、忠告をするって意味合いだと“advise”の方だ」
『うぅ…これだから似たような単語は嫌いなんだよ…』
跡部に教えてもらった英単語の意味を赤ペンで書き直し、苦虫を嚙み潰したような表情で単語帳を睨みつける。
勉強をしつつも別に会話を混ぜるが会話はお互い続いていく。
「…分かった、なら水曜日は空けておけ…デートするぞ」
『そこは一応用事あるか確認しないの?』
「アーン?名無しに選択肢なんてあるのか?」
『いやいやいや、流石に私にだって人権位あるし選択肢の1つや2つあるでしょ?!』
「はぁ…じゃあイエスかはいかで答えろよ」
『待って?!選択肢があるようでないんだけど??!!』
跡部の横暴っぷりに思わずガタッと座っていたソファーから立ち上がる。
俺様何様跡部様、様が付く人物に相応の表情で名無しを見上げた。
アイスブルーの瞳が名無しを映し、その瞳を見れば名無しは悔しそうに唇を噛み締める。
好きが故に、その瞳に名無しは弱いのだ。
「返事はイエスかはい以外認めねぇ」
『…横暴だ』
「フン、何とでも言え」
『用事ない暇人の私が景吾とデートに行きます~』
「お前な…」
クククと喉を鳴らし笑いながらも、跡部は嬉しそうな表情でまた名無しに指摘していくのであった―――…
イエスかはいかで答えろ
(因みに景吾、デートって言ってたけどどこ行くの?)
(名無しの好きなネズミーランド貸し切ってナイトハロウィーンに連れて行こうと思ってるが…別の場所の方が良かったか?)
(え~、それならそうと早く言ってよ!もう景吾大好き、愛してる!)
(…現金な奴め)
2024/10/13
お題提供:溺れる覚悟様
「名無し…お前頭悪いんだな」
『ねぇ、彼女に向かって頭悪いは流石に酷くない?』
放課後、氷帝学園中等部にある生徒会室にて名無しと跡部は中間考査に向けて勉強をしていた。
本来であれば名無しは一人図書室でテスト勉強をしようと思っていたのだが、恋人である跡部が珍しく一緒に勉強すると名無しを誘ってきたのだ。
てっきり名無しは跡部はテニス部メンバーと勉強すると思っていたが…どうやらその読みは外れたらしい。
言わずもがな跡部は頭が良い。
上から目線な口調だが、何だかんだで世話を焼き分からないところがあれば理解するまで教えてくれる。
得意科目は全科目なのだ、教えるのも上手い事くらい生徒会庶務である名無しはその身を持って実感している。
だが跡部と一緒に勉強となれば、それこそ場所が限られてしまう。
なんせ一緒に勉強するのが跡部なのだ。
当初の予定通り図書室で勉強となればそれこそ目立ってしまう上に勉強所ではなくなってしまうのは目に見えて分かる。
かと言って、テニス部の部室や空き教室へと場所を変えたところでそれも同じなのだ。
他に静かにテスト勉強出来る場所もなく、こうして跡部が生徒会長をしているが故に生徒会室で勉強をしている。
名無しと跡部が付き合っている事は誰にも言っていない。
跡部は学園内でもファンが多く、それこそ名無しが跡部と付き合っていると知られてしまえば名無しは平穏な学園生活は送れなくなるだろう。
実際跡部には非公式ではあるがファンクラブがあり、全校生徒の女子生徒の殆どがそのファンクラブに属している。
知られたらいろんな意味で抹殺される…それを恐れて名無しは跡部と付き合っている事を周りには黙っていた。
勿論跡部と付き合う際にもその事を伝えてある。
跡部からすれば自分の彼女だと周囲に認知させたかったみたいだか、それをするなら付き合わないと言い切って今に至るのだ。
だからこそ極力跡部とは表立って学園では関わらないようにしている。
二人きりになったとしても、それは生徒会長と庶務の関係でしかないように…周りに付き合っているとバレないように名無しは周りを欺いてきた。
『しょうがないじゃん…英語苦手なんだもん…』
「英語がこの調子じゃ他の教科は大丈夫なのか…?」
ぽつりと呟く名無しの言葉に、跡部は訝しげな目で名無しを見る。
それもそのはずだ、何せ跡部が今手に持っているのは前回の名無しの英語のテスト用紙だ。
他の学校と比べればそれこそまだ良い方ではあるのだが、氷帝学園の英語の平均点に対してはかなり低い点数が記されている。
赤点は一応回避しているが、それでもギリギリ回避してるにすぎない。
名無しはリスニングやスピーキングに関しては点数が取れるが、リーディングやライティングに関しては絶望的に悪かった。
スペルミスが多いのも点数が低い理由の一つではあるが、長文の文章問題を出されてしまえば国語のようにかいつまんで解答するのも難しい。
似たようなスペルの単語もあるせいかそれこそどっちがどっちだったのかと頭の中で分からなくなる。
苦手意識のせいもあり、ついつい英語を書く練習が足りてないのも原因である。
『英語以外はちゃんと点数取れてるよ』
そう言って名無しは鞄から英語帳を取り出し、ルーズリーフに単語の意味を書いていく。
名無しの言葉通り、英語以外はなんら問題ないのだ。
一応生徒会メンバーである為か成績は良い方だ。
ただただ、英語だけが絶望的に悪い点を除けば…それ以外は真面目な生徒である。
中間考査に向けての勉強をし始めた名無しを見て、跡部は溜息を付きながらも自分の鞄から教科書とルーズリーフを取り出し、名無しと同じように自分のテスト勉強を始めた。
「そういや名無し、テスト最終日は空いてるか?」
互いに無言でテスト勉強を始めて二時間程経つ。
ふと、中間考査が終わった後の予定を跡部は名無しに訊ねた。
『あ、無理。テスト終わった日は私クラスの子と中間考査終わった打ち上げ行くから』
「…俺様とそのクラスの女子との打ち上げどっちが大事なんだよ」
『え、先に約束してた方が優先されるでしょ?』
恋人よりも友達を優先させる名無しに跡部は内心苛立つ。
何の迷いもなく即答で友達を優先させるのだ、少しくらい悩むなり迷う素振りさえしろとすら跡部は思ってしまう。
だがこう言い張る名無しが折れないのを知っているからこそ、珍しく跡部の方が渋々折れる。
普段跡部は周りを振り回す方なのだが、名無し相手だとどうしてもそれが出来なく振り回される立場へと逆転してしまう。
「アーン?せめて悩む素振りぐらいしろ名無し。後そこ間違えてるぜ」
『って言われても…え、どこ?』
「“became”は~になっただ、なぜならば~だからは“because”の方だ」
『…ありがと』
跡部にお礼を言って赤ペンで指摘された部分を修正していく。
どう間違えたかが分かるように、間違った解答も念のため残して置く。
ペラリと単語帳のページを捲りながら、次のページの単語へと視線を向け『それに…』と話の途中の会話を元に戻す。
『…それに…跡部だってテニス部のメンバーと打上げとかテニスの練習あるんじゃないの?』
むすっとした表情で名無しの呟いた言葉は、恐らく前回の事を言っているのだろう。
前回の跡部は名無しと付き合う前から中間考査最終日はテニス部メンバーとの打上げと、久々の部活動に参加していたのだ。
部活動に参加していない名無しからしたら、前回の事を思い出せば今回も前回と同じだろうと思いクラスの仲のいい子達と共に打上げをしようと思っても仕方ない事である。
もっと早く言ってくれればと名無しだって思った。
一応跡部とは付き合っているのだ、校内で生徒会長と庶務以外の関係で関わろうとは思わないが跡部自身については名無しだってちゃんと好きで付き合っている。
全校生徒、主に女子生徒を敵に回すほどの度胸は流石にない。
いくら跡部が守ってくれると分かっていても、そんな守られ方は名無し自身が嫌なのだ。
カリカリとシャーペンを動かし次のページへと移ろうとすれば「そこもちげぇーぞ」と、名無しが書いているルーズリーフを見て指摘する。
「“advice”は名詞だ、アドバイスをする、忠告をするって意味合いだと“advise”の方だ」
『うぅ…これだから似たような単語は嫌いなんだよ…』
跡部に教えてもらった英単語の意味を赤ペンで書き直し、苦虫を嚙み潰したような表情で単語帳を睨みつける。
勉強をしつつも別に会話を混ぜるが会話はお互い続いていく。
「…分かった、なら水曜日は空けておけ…デートするぞ」
『そこは一応用事あるか確認しないの?』
「アーン?名無しに選択肢なんてあるのか?」
『いやいやいや、流石に私にだって人権位あるし選択肢の1つや2つあるでしょ?!』
「はぁ…じゃあイエスかはいかで答えろよ」
『待って?!選択肢があるようでないんだけど??!!』
跡部の横暴っぷりに思わずガタッと座っていたソファーから立ち上がる。
俺様何様跡部様、様が付く人物に相応の表情で名無しを見上げた。
アイスブルーの瞳が名無しを映し、その瞳を見れば名無しは悔しそうに唇を噛み締める。
好きが故に、その瞳に名無しは弱いのだ。
「返事はイエスかはい以外認めねぇ」
『…横暴だ』
「フン、何とでも言え」
『用事ない暇人の私が景吾とデートに行きます~』
「お前な…」
クククと喉を鳴らし笑いながらも、跡部は嬉しそうな表情でまた名無しに指摘していくのであった―――…
イエスかはいかで答えろ
(因みに景吾、デートって言ってたけどどこ行くの?)
(名無しの好きなネズミーランド貸し切ってナイトハロウィーンに連れて行こうと思ってるが…別の場所の方が良かったか?)
(え~、それならそうと早く言ってよ!もう景吾大好き、愛してる!)
(…現金な奴め)
2024/10/13
お題提供:溺れる覚悟様
4/6ページ