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「ま、待ってください、春日局様っつ…」
春日局様に右手首をしっかりと掴まれたまま、私と春日局様は村からほんの少し離れた林の方へと歩いていた。
陽はもう沈みきっており、辺りは薄暗く、空には星が瞬き始めている。
がさがさと音を立てながら茂みをわけ、ぐっと引き寄せられ木の幹に背を預けるような形になる。
向かい合う形になり、恐る恐る春日局様の方へ視線を向ければ怒った表情で私を見下ろす。
どうして怒っているのか理由がわからなく、「春日局様」と、春日局様の名を呼ぼうとしたその刹那…私と春日局様の唇が重なた。
触れるだけの優しい口付けではなく、
「…っ…ん…」
ただただ激しく、獣のように貪るような口付け。
何度も角度を変えて舌と舌が絡み合い…次第に私の頭はぼーっとしてくる。
甘く激しい口付けに、何も考えられなくて真っ白で…
「はっ……あっ…ん…んんっ…」
私はただされるがままに、春日局様の着物をぎゅっと握り締める。
足から力が抜け、座り込みそうになった所を、春日局様が支えた。
ぴちゃっと音をたて春日局様の唇がそっと私から離れていく。
私はただぼんやりと離れていく春日局様の顔を見ながら、はぁはぁ、っと息をするので精一杯だった。
「ぁ……春日局様っつ…」
「名無し、貴方に触れていいのは私だけのはずだが…?」
何時もよりも低い声で、じっと私を見ながら呟いた。
ほんの少し不機嫌そうな表情でつーっと、春日局様は私の輪郭をなぞる。
「…っつ、それで…怒ってらっしゃったんですか…?」
「怒っている理由はそれだけではない」
「え?」
春日局様の言葉に私は思わず目を見開く。
「分からないのか?」
「……はい…」
素直にそう答えれば、春日局様は呆れたような表情でため息を一つ付いた。
「…村長やご両親にもそうだが…貴方は私の事を何と紹介した?」
「えっと…奉公先のお世話になっている方だと…」
「それだけか?」
「え?」
「私とは恋仲であると…そう言えばよかったのではないのか?」
「…あ……っつ」
春日局様の言葉に私は思わず息を飲んだ。
「か、春日局様知っていらしたんですか?!」
「あの様に慌てて訂正紛いに言われれば気づくと思うが?」
そっと私の顔を春日局様は右手で上げ、唇の片端だけをあげる。
「素直ではない貴方には…どうやらお仕置きが必要なようだな」
「…っつ」
低く凛とした心地の良い声が、耳元で囁かれる。
囁かれた言葉に、はたまた耳元で囁かれたことに対してなのかは分からないけど、しだいに身体が熱くなり、私は顔を真っ赤にしながら春日局様の顔を瞳に映した。
「か、春日局様っつ…こ、此処外ですよ…?」
「それで?仕置に場所など必要ないだろう」
意地悪そうな笑みを浮かべたまま、ゆっくりと首筋に顔をうずめる。
ちゅっと音をたてながら、赤い華を散らしていく。
「…ぁ…っつ」
赤い華を散らされた場所はさっきと比べて熱く熱を帯びる。
「貴方が私のものであるという事を…その身を持って知るといい」
首筋から顔を離し、再び唇を重ね合いながら、知らずうちに甘い吐息を溢す。
きらきらと瞬く星空だけが、そんな私と春日局様を見守っていた――――
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