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「にゃー」
「……これは…?」
名無しが待つ家へと帰路に着いた稲葉の目の前に、座布団の上にちょこんと座り稲葉を見上げている小さな子猫が1匹いた。
白や黒、茶の三色のとても毛並みはいいものの、何故か子猫の右前足首には手拭が巻かれていた。
そっと子猫の傍に近寄るが、子猫は逃げることもなく首を傾げながらじっと稲葉を見ているだけだった。
時折尻尾が右へ左へと揺れる。
座布団の上から怖がらせないようにそっと子猫を持ち上げて稲葉は自分の膝の上に子猫を下ろし、喉を優しく喉を撫でる。
その行為が気持ちいいのか子猫は目を細め、気持ち良さそうにごろごろと喉を鳴らした。
撫でていると襖の開く音がし、息を切らしている名無しの姿が稲葉の目に映った。
「あ、…稲葉、お帰りな…さい…っ…」
「名無し様大丈夫ですか…?」
「う、うん…なん…とか…」
息を整えようとするものの、なかなか整わず、途切れ途切れの返事になってしまった。
そんな名無しの傍に子猫を抱き上げたまま稲葉は近寄り、そっと背中を撫でる。
稲葉に抱き上げられた子猫は状況がよくわからないので「にゃー」っと声を上げて鳴いた。
ほんの数刻、稲葉に背中を撫でてもらったおかげかようやく名無しは息を整え「…ありがとう、稲葉…落ち着いたからもう大丈夫だよ」と、稲葉に微笑みかけた。
名無しの微笑みを見て、稲葉もつられて微笑みをこぼす。
「それで名無し様…この子猫は一体どうなさったんですか?」
「うん、実は庭を掃除してたら怪我してるその子見つけて手当はしたんだけど…なかなかうちから出ていこうとしなくて…」
そう言いながら名無しは稲葉に抱き上げられている子猫の頭を撫でた。
要するにこの子猫は手当をしてもらい、その上居心地が良かったのか外には出ずにずっとこの家の中に居たようだ。
「どうしたらいいんだろうね、稲葉?」と言いながらも、名無しの表情はとても嬉しそうに猫を見つめていた。
稲葉が務めに城へ行っている間、名無しはこの家で一人で長い時間を過ごしている。
掃除や洗濯、家事全般等をこなしてはいるがやはり稲葉が帰ってくるまでの間寂しい思いをさせているのではないだろうか…と時折稲葉自身思っていた。
今こうして子猫を撫でている名無しを見ていると、なおさらそう感じてしまう。
「…名無し様」
「うん?」
「名無し様さえよろしければ…うちで飼いませんか?」
「え…この子を?」
稲葉の言葉に吃驚したのか、思わず名無しは稲葉の方へと視線を上げた。
それにつられて、不思議そうに子猫は稲葉を見上げる。
「はい…名無し様も私が務めで城に行っている間寂しくなくなると思いますし、それと…」
「それと?」
「こうして名無し様と子猫と過ごすのも良いものだと思ったからです」
にこっと微笑んだまま、稲葉は抱き上げていた子猫を名無しに渡し、そっと名無しを抱きしめた。
「名無し様は…駄目でしょうか?」
「…ううん、私も飼いたいなって思ってたから駄目じゃないよ」
「よかった…それでは、早速名前を決めてしまいましょうか?」
「そうだね、呼ぶ時に決めておかないと不便になっちゃうしね」
名無しを抱きしめたまま子猫へと稲葉は視線を向ける。
子猫は名無しの腕の中で首を傾げている。
「この子…三毛猫だよね…?」
「はい、そうですよ」
「なら“みけ”でいいかな…?“たま”だとありきたりになっちゃうし」
「私はそれでも構いませんよ、とても呼びやすいですしね」
「じゃあ…今日から貴方の名前は“みけ”だよ」
名無しと稲葉はお互いに微笑みながら、子猫の頭をひと撫でした。
それに応えるかのように、名無しの腕の中にいる子猫…みけは「にゃー」っとひと鳴き返事をするかのようにないた。
「……これは…?」
名無しが待つ家へと帰路に着いた稲葉の目の前に、座布団の上にちょこんと座り稲葉を見上げている小さな子猫が1匹いた。
白や黒、茶の三色のとても毛並みはいいものの、何故か子猫の右前足首には手拭が巻かれていた。
そっと子猫の傍に近寄るが、子猫は逃げることもなく首を傾げながらじっと稲葉を見ているだけだった。
時折尻尾が右へ左へと揺れる。
座布団の上から怖がらせないようにそっと子猫を持ち上げて稲葉は自分の膝の上に子猫を下ろし、喉を優しく喉を撫でる。
その行為が気持ちいいのか子猫は目を細め、気持ち良さそうにごろごろと喉を鳴らした。
撫でていると襖の開く音がし、息を切らしている名無しの姿が稲葉の目に映った。
「あ、…稲葉、お帰りな…さい…っ…」
「名無し様大丈夫ですか…?」
「う、うん…なん…とか…」
息を整えようとするものの、なかなか整わず、途切れ途切れの返事になってしまった。
そんな名無しの傍に子猫を抱き上げたまま稲葉は近寄り、そっと背中を撫でる。
稲葉に抱き上げられた子猫は状況がよくわからないので「にゃー」っと声を上げて鳴いた。
ほんの数刻、稲葉に背中を撫でてもらったおかげかようやく名無しは息を整え「…ありがとう、稲葉…落ち着いたからもう大丈夫だよ」と、稲葉に微笑みかけた。
名無しの微笑みを見て、稲葉もつられて微笑みをこぼす。
「それで名無し様…この子猫は一体どうなさったんですか?」
「うん、実は庭を掃除してたら怪我してるその子見つけて手当はしたんだけど…なかなかうちから出ていこうとしなくて…」
そう言いながら名無しは稲葉に抱き上げられている子猫の頭を撫でた。
要するにこの子猫は手当をしてもらい、その上居心地が良かったのか外には出ずにずっとこの家の中に居たようだ。
「どうしたらいいんだろうね、稲葉?」と言いながらも、名無しの表情はとても嬉しそうに猫を見つめていた。
稲葉が務めに城へ行っている間、名無しはこの家で一人で長い時間を過ごしている。
掃除や洗濯、家事全般等をこなしてはいるがやはり稲葉が帰ってくるまでの間寂しい思いをさせているのではないだろうか…と時折稲葉自身思っていた。
今こうして子猫を撫でている名無しを見ていると、なおさらそう感じてしまう。
「…名無し様」
「うん?」
「名無し様さえよろしければ…うちで飼いませんか?」
「え…この子を?」
稲葉の言葉に吃驚したのか、思わず名無しは稲葉の方へと視線を上げた。
それにつられて、不思議そうに子猫は稲葉を見上げる。
「はい…名無し様も私が務めで城に行っている間寂しくなくなると思いますし、それと…」
「それと?」
「こうして名無し様と子猫と過ごすのも良いものだと思ったからです」
にこっと微笑んだまま、稲葉は抱き上げていた子猫を名無しに渡し、そっと名無しを抱きしめた。
「名無し様は…駄目でしょうか?」
「…ううん、私も飼いたいなって思ってたから駄目じゃないよ」
「よかった…それでは、早速名前を決めてしまいましょうか?」
「そうだね、呼ぶ時に決めておかないと不便になっちゃうしね」
名無しを抱きしめたまま子猫へと稲葉は視線を向ける。
子猫は名無しの腕の中で首を傾げている。
「この子…三毛猫だよね…?」
「はい、そうですよ」
「なら“みけ”でいいかな…?“たま”だとありきたりになっちゃうし」
「私はそれでも構いませんよ、とても呼びやすいですしね」
「じゃあ…今日から貴方の名前は“みけ”だよ」
名無しと稲葉はお互いに微笑みながら、子猫の頭をひと撫でした。
それに応えるかのように、名無しの腕の中にいる子猫…みけは「にゃー」っとひと鳴き返事をするかのようにないた。
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