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※流血表現有り
「ゆ、許してくれ…ほんの出来心だったんだ…!!」
「へぇー…出来心で上様に言い寄ったんだ」
誰もいない江戸城から遠く離れた山奥。
月明かりに照らされながら、火影は目の前に居る男のに刀を向けていた。
何時も羽織っている白い上着は何処にもなく、露にしている肌にひんやりと冷たい風が触れる。
「言い寄った挙句に俺の上様に手まで出そうとして…ほんの出来心ですまされると思ってるんだ」
今火影が刃を向けている男は数刻前勝手に上様…名無しの部屋に入り火影が先ほど言った言葉通り名無しに手を出そうとしていた。
無論火影の手によってそれは未遂で済んだのだが…怖いめに合ったせいか火影にすら怯えていた。
そんな名無しに火影は羽織っていた上着を被せ、男を引き連れて江戸城から遠くへ離れた山奥へと来た。
名無しを一人残すのもどうかと思ったが、この男と一緒に居させるのはまずいと思い火影は江戸城から遠く離れたこの山奥へ連れてきた。
春日局も稲葉も知らない…火影だけが知っているこの山奥に…。
「お、俺はただ上様のお世継ぎ問題に終始を打とうとしただけなんだ!」
「それで嫌がってる上様を無理やり襲おうとしたんだ…俺の上様に」
言い訳をする男に、火影は容赦なく向けていた刀を振り下ろす。
ぐちゃりとした音と共に男の悲鳴が聞こえた。
辺り一面に血が流れ、男の血が火影の服に、頬に飛び散る。
赤く、どろりと生暖かな血、火影は先程まで生きていた男を見下ろした。
「あーあ…汚れちゃったよ…これじゃあ名無し様に会う前に綺麗に落としておかないとね」
狂ったかのような笑みを浮かべ、火影は刀の血を拭った。
「名無し様」
「…ほ…かげ?」
「うん、入っても大丈夫…?」
「…うんっ…」
葵の間の襖を開けると、部屋の隅で名無しが火影の上着を被りぎゅっと握りしめていた。
普段火影に向けるものとは違い、怯えた瞳で震えながら名無しは火影へと視線を向ける。
未遂といえど襲われかけ怖いめにあったせいか…名無しの目は白兎のように赤くなっていた。
そんな名無しを宥めるかのように火影ははにかんだ笑みを向け、ゆっくりと名無しの傍に歩み寄り、名無しの前でしゃがんだ。
「もう、大丈夫だから…名無し様」
「…さっきの…人は?」
「…春日局様の命によって江戸永久城追放になったよ」
(本当はさっき殺ってきたところだけどね)
心の中でそう呟くもののその声は火影以外には分からない。
すまなさそうに言う火影の言葉に、何の疑いもなしに名無しはただ「そっか…」っと呟き俯いた。
襲われかけたと言うのに名無しは襲ってきたあの男の事を心配していた。
男が大奥追放になったのは名無しのせいではないのに…自分のせいだと思っているのだろう。
(本当に優しいな…名無し様は)
苦笑を浮かべ、火影はそっと千影を抱き寄せ名無しの背中を撫でる。
泣いている赤子をあやすかのように、「大丈夫だから…」と名無しに言い聞かせる。
温かい火影の温もりが、少しずつではあるが名無しの恐怖心を溶かしていく。
「ごめんね名無し様…もっと早く俺が助けに来ればよかったね」
「違うよ、火影のせいじゃないよっ…」
未だ震える身体で名無しは火影の背に腕をまわした。
背中を撫でていた手を頭の方へと移動させ、名無しの柔らかい髪を梳く。
その行為が気持ちいいのか名無しは火影の肩に顔を乗せ「くすぐったいよ」っと笑う。
「くすぐったいなら止めたほうがいい名無し様?」
「ううん、くすぐったいけど気持ちいいから…もっとして欲しいな、火影」
ぎゅっと抱きつく腕に力を入れて、子猫のように擦り寄った。
火影は苦笑しながらも「名無し様が望むなら」っと言いながらまた再び細い指で髪を梳き始めた。
(名無し様は俺が守るから…何も心配せずに笑っていてね…俺だけの名無し様)
火影はそんな事を思いながら気づかれぬよう…そっと名無しの髪に口付けを落とした。
名無しも、他の大奥の者も知らない…火影だけが知っている想いを込めて――…
「ゆ、許してくれ…ほんの出来心だったんだ…!!」
「へぇー…出来心で上様に言い寄ったんだ」
誰もいない江戸城から遠く離れた山奥。
月明かりに照らされながら、火影は目の前に居る男のに刀を向けていた。
何時も羽織っている白い上着は何処にもなく、露にしている肌にひんやりと冷たい風が触れる。
「言い寄った挙句に俺の上様に手まで出そうとして…ほんの出来心ですまされると思ってるんだ」
今火影が刃を向けている男は数刻前勝手に上様…名無しの部屋に入り火影が先ほど言った言葉通り名無しに手を出そうとしていた。
無論火影の手によってそれは未遂で済んだのだが…怖いめに合ったせいか火影にすら怯えていた。
そんな名無しに火影は羽織っていた上着を被せ、男を引き連れて江戸城から遠くへ離れた山奥へと来た。
名無しを一人残すのもどうかと思ったが、この男と一緒に居させるのはまずいと思い火影は江戸城から遠く離れたこの山奥へ連れてきた。
春日局も稲葉も知らない…火影だけが知っているこの山奥に…。
「お、俺はただ上様のお世継ぎ問題に終始を打とうとしただけなんだ!」
「それで嫌がってる上様を無理やり襲おうとしたんだ…俺の上様に」
言い訳をする男に、火影は容赦なく向けていた刀を振り下ろす。
ぐちゃりとした音と共に男の悲鳴が聞こえた。
辺り一面に血が流れ、男の血が火影の服に、頬に飛び散る。
赤く、どろりと生暖かな血、火影は先程まで生きていた男を見下ろした。
「あーあ…汚れちゃったよ…これじゃあ名無し様に会う前に綺麗に落としておかないとね」
狂ったかのような笑みを浮かべ、火影は刀の血を拭った。
「名無し様」
「…ほ…かげ?」
「うん、入っても大丈夫…?」
「…うんっ…」
葵の間の襖を開けると、部屋の隅で名無しが火影の上着を被りぎゅっと握りしめていた。
普段火影に向けるものとは違い、怯えた瞳で震えながら名無しは火影へと視線を向ける。
未遂といえど襲われかけ怖いめにあったせいか…名無しの目は白兎のように赤くなっていた。
そんな名無しを宥めるかのように火影ははにかんだ笑みを向け、ゆっくりと名無しの傍に歩み寄り、名無しの前でしゃがんだ。
「もう、大丈夫だから…名無し様」
「…さっきの…人は?」
「…春日局様の命によって江戸永久城追放になったよ」
(本当はさっき殺ってきたところだけどね)
心の中でそう呟くもののその声は火影以外には分からない。
すまなさそうに言う火影の言葉に、何の疑いもなしに名無しはただ「そっか…」っと呟き俯いた。
襲われかけたと言うのに名無しは襲ってきたあの男の事を心配していた。
男が大奥追放になったのは名無しのせいではないのに…自分のせいだと思っているのだろう。
(本当に優しいな…名無し様は)
苦笑を浮かべ、火影はそっと千影を抱き寄せ名無しの背中を撫でる。
泣いている赤子をあやすかのように、「大丈夫だから…」と名無しに言い聞かせる。
温かい火影の温もりが、少しずつではあるが名無しの恐怖心を溶かしていく。
「ごめんね名無し様…もっと早く俺が助けに来ればよかったね」
「違うよ、火影のせいじゃないよっ…」
未だ震える身体で名無しは火影の背に腕をまわした。
背中を撫でていた手を頭の方へと移動させ、名無しの柔らかい髪を梳く。
その行為が気持ちいいのか名無しは火影の肩に顔を乗せ「くすぐったいよ」っと笑う。
「くすぐったいなら止めたほうがいい名無し様?」
「ううん、くすぐったいけど気持ちいいから…もっとして欲しいな、火影」
ぎゅっと抱きつく腕に力を入れて、子猫のように擦り寄った。
火影は苦笑しながらも「名無し様が望むなら」っと言いながらまた再び細い指で髪を梳き始めた。
(名無し様は俺が守るから…何も心配せずに笑っていてね…俺だけの名無し様)
火影はそんな事を思いながら気づかれぬよう…そっと名無しの髪に口付けを落とした。
名無しも、他の大奥の者も知らない…火影だけが知っている想いを込めて――…
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