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※本編配信前による完全なる妄想話
「まさか、私の出した命令をそのまま守りこの江戸城を出る事になるとはな…」
葵の間にて、春日局は目の前に居る町娘の着物を着た名無しを見ながらぽつりと呟いた。
今日で名無しは影武者になってひと月、春日局との約束のひと月が来たのであった。
「つまらぬな…私的には大奥の誰かとの甘いひと時を期待していたのだがな…」
春日局の隣に居る名無しと瓜二つの顔を持つ家光はつまらなさそうにため息をついた。
名無しの着ている物とは違い、上等な女将軍が着るに相応しいものを身にまとっている。
「家光様…」
「仕方ないだろう?見目だけで言えば大奥の男共は皆魅力的な者ばかりだろう?」
にやりと笑いながら家光は名無しを見る。
この江戸城には家光のために選ばれた見目麗しい男が何千と居る。
学芸に長けた者、武芸に長けた者、その両方を兼ね合わせ文武両道の者。
正室候補である鷹司、第二正室候補である九条。
家光の教育係である春日局に湯殿係であり大奥入りした夏津、大奥取締役である永光、家光の兄である日向。
幕府とは敵対関係にある水尾に御門。
その他にも世話係である稲葉や護衛である火影、気まぐれに現れては姿を消す麻兎、壺好きな紫京。
このひと月に関わってきた人達を思い浮かべながら、名無しは言われるままに「そうですね」と頷いた。
「誰か気になるやつは居らぬのか?この家光に言ってみろ名無し」
愉しそうに家光は名無しへと近づき距離を縮める。
にやにやとした表情が名無しの瞳に映る。
そんな家光を見ながら、名無しはただただ苦笑を浮かべ口を開いた。
「あ、あの家光様…私家光様に言ってなかった事が…」
「失礼します、上様」
名無しが言葉を続けようとしたが、葵の間の襖を開け、突然緒形が中へと入ってきた。
微笑みながら緒形は名無しの隣に腰を下ろす。
そんな緒形に家光は目を向け不思議そうに緒形を見た。
「緒形か…私は呼んだ覚えはないが何か用か?」
「いえ、上様にではなく…名無しさんの方に用があるんですよ」
「名無しにか?」
「はい、そろそろ城を出る時刻になると思いましたのでお迎えにと思いまして…おや、言ってなかったんですか名無しさん?」
「…はい、なかなか言う機会がなくて…」
「何をだ?」
緒形と名無しの言葉に話が見えないのか家光は首を傾げる。
何時もは頭が切れる春日局も、こればかりは理解出来なくただただ緒形と名無しの方をじっと見つめた。
緒形は目の前にいる二人に微笑んだまま「私と名無しさん…明日祝言を挙げるんですよ」っと何時もの調子で告げた。
「は?」
「どういう事だ緒形…」
「そのままの意味ですよ。家光様、春日局様」
緒形の言葉にがうまく理解できず家光と春日局は目を丸くする。
このひと月御典医として何度か緒形とも接する機会は確かにあったが、二人がそう言う仲だと思わせる雰囲気は全くなかった。
怪我や体調不良、たまに茶を飲むくらいに訪れていた事を火影から聞いてはいたが…。
「名無しは緒形とできていたというのか…!?」
これでもかという程に瞳を開き家光は名無しと緒形の方を交互に見た。
その言葉に照れて顔を真っ赤に染める名無し、何時ものように微笑を浮かべたまま愛おしそうに緒形は名無しを見ていた。
「ええ…家光様や春日局様が名無しさんを影武者にした時は…さすがの私も怒りそうになってしまいましたけどね」
変わらないまま笑みを浮かべてはいるものの、緒形の目は笑っていなかった。
緒形が鈴成茶屋の常連だったことは家光も知っている。
このひと月時間さえあれば緒形は鈴成茶屋まで来てよくお茶を飲んでいた。
今までは本当にあそこの茶が好きだから来ていたのかと思っていた。
何時も店の者に「名無しちゃん、緒形さんに持って行ってあげてね」と言われたが、それは単に仲がいいからだと思っていたのだが…。
「なるほど…だから毎回緒形が来るたびに茶をもって行かされていたのか…」
「はい。それに名無しさんではないとは言えひと月も訪れなければ流石にまずいですしね」
「まぁ…そうだな。忙しくとも恋仲であれば会いに来るものだしな」
「ええ…ですから渋々通っていたのですよ」
「緒形お前な…せめてそう言う言葉は隠せ…私が傷つくだろう…」
「おや、これは失礼しました家光様」
謝る気など全くない緒形の言葉に、家光は溜息を付いた。
城の御典医である緒形にこんな扱いをされるとは思ってもみなかったのだろう。
「さて…そろそろ時間ですね」
そうつぶやくと同時に、隣で頬を染め俯いたままの名無しを緒形が横抱きにして立ち上がる。
「きゃっ、お、緒形さんっつ?!」
急に抱き上げられた名無しは驚くものの、落ちないようにぎゅっと緒形の着物にしがみつく。
その行動が嬉しく、先ほどの笑みとは違った優しい笑みを名無しに見せる。
「話も終わりましたし、名無しさんは返していただきますよ?家光様、春日局様」
そう緒形は言い残し、家光や春日局の返事を待たずに葵の間から出て行った。
「良かったんですか…緒形さん…?」
緒形に横抱きをされ、江戸城内にある緒形の部屋へと連れて込まれた名無しは、先ほどのことを思い出しながら緒形に問う。
後ろから抱きしめて名無しの首に顎を乗せていた緒形は「いいんですよ」っと囁いた。
「私からひと月も名無しさんとの時間を取り上げたのですから…あれくらい言ってもばちは当たりません」
抱きしめる腕に力を入れ、緒形はこのひと月の事を振り返った。
ひと月前、何時ものように鈴成茶屋へと足を運んだ緒形を迎えたのは鈴成茶屋に居るはずもない女将軍の家光だった。
前々から家光と名無しが似ているとは思っていたが…見間違えるはずもない。
仕草の一つ一つが、香りが、笑顔が…他の人から見れば分からないかもしれないが緒形にはその違いがしっかりと分かった。
また何かよからぬ事を家光が考え名無しはそれに巻き込まれたのだろうと思い、何時もはのんびりと過ごす茶屋を早々に退散した。
江戸城へ帰ってみれば案の定家光のよからぬ事に巻き込まれた名無しの姿があった。
聞けば家光と(ほぼ無理やり)入れ替わってみないか?と言う事だった。
予想は出来ていたとは言えあまりにも家光の自由奔放っぷりに、緒形の頭が痛む。
そんな緒形に「で、でも緒形さんと一緒に居る時間が増えるのは嬉しいです…っつ」と顔を赤らめながら呟いた名無しの言葉が嬉しく、仕方なくひと月の間我慢していたのだ。
「…本当でしたら、このひと月名無しさんにたくさん触れていられたはずなんですがね…」
振り返れば振り返るほど緒形の口からは知らずうちにため息が溢れる。
大奥の者のほとんどが緒形の元を訪れやれ「惚れ薬が欲しい」だの「胸が苦しい」だの言う者が多かった。
惚れ薬は勿論上様を自分に惚れさせるために…という者は前々から居たが、このひと月その人数は倍に跳ね上がってしまった。
胸が苦しいと訪ねてきた者に問えば、皆口を揃えて家光もとい名無しを見てと言う。
御典医である手前大奥の者の前では悟られず何時もの笑みを浮かべていたのだが、胸の内はとてもどす黒い物が渦をまっていた。
(こんなにも独占欲が強いとは…思ってもみませんでしたね)
そんな事を思い出しながら、緒形は苦笑を漏らす。
鈴成茶屋の常連の者は二人の仲を知っていたため邪魔をする者は居なかった。
そのせいでどれだけ名無しが魅力的で、人を惹きつける事が出来るのかを緒形はこのひと月を振り返り改て思い知ったのだ。
「あ、あの緒形さん…」
「どうかしましたか、名無しさん?」
このひと月のことを振り返っていると、名無しが緒形の名を呼ぶ。
何処か恥ずかしそうに「あの…その…」っと、言葉に詰まりながら名無しは一生懸命言葉を紡ぎ出す。
「…わ、私も…私も緒形さんにたくさん触れられたかったです…」
「…っつ」
「何時も、少しでも長く緒形さんと一緒に居たいなって思って影武者も悪くないかなって思ってましたけど…緒形さんと一緒に居られる時間が少なかったし触れられることもなくて…その…寂しかっ」
“寂しかった”―――…
そう言おうとした名無しの唇を噛み付くように奪い押し倒す。
名無しの唇を舌でわり、執拗に口内を犯していく。
緒形の突然の行動に、名無しの思考はうまくいかず。ただ甘い声を漏らす。
「ん……んんっ…あっ…」
「名無しさん、貴女と言う方は、本当に可愛らしい人ですね」
先ほど口付けた名無しの唇を指でひと撫でする。
擽ったいのか、はたまた先ほどの行為を思い出したのか、名無しの顔は赤くなる。
とろんっと、潤んだ瞳に緒方を映し、「お、緒形…さんっつ?!」と
「嫌…でしたか名無し?」
「っつ…そ、そんなわけありませんっ!!!」
「でしたら勿論…続きをしてもよろしいですよね?」
妖笑を浮かべる緒形の言葉に、名無しはただ頷くことしか出来なかった。
名無しの頷きを合図に、緒形はまた口付けを一つ落とす。
先ほどのように唇をわり口内を荒々しく犯すようなものではなく、ただ触れるだけの甘い口づけ。
“寂しかった”そう言いかけた名無しをかき消すかのように…
自分たちの時間を埋めるかのように、二人は互いの時間を忘れただただ、想いのままに抱き合った―――…
「まさか、私の出した命令をそのまま守りこの江戸城を出る事になるとはな…」
葵の間にて、春日局は目の前に居る町娘の着物を着た名無しを見ながらぽつりと呟いた。
今日で名無しは影武者になってひと月、春日局との約束のひと月が来たのであった。
「つまらぬな…私的には大奥の誰かとの甘いひと時を期待していたのだがな…」
春日局の隣に居る名無しと瓜二つの顔を持つ家光はつまらなさそうにため息をついた。
名無しの着ている物とは違い、上等な女将軍が着るに相応しいものを身にまとっている。
「家光様…」
「仕方ないだろう?見目だけで言えば大奥の男共は皆魅力的な者ばかりだろう?」
にやりと笑いながら家光は名無しを見る。
この江戸城には家光のために選ばれた見目麗しい男が何千と居る。
学芸に長けた者、武芸に長けた者、その両方を兼ね合わせ文武両道の者。
正室候補である鷹司、第二正室候補である九条。
家光の教育係である春日局に湯殿係であり大奥入りした夏津、大奥取締役である永光、家光の兄である日向。
幕府とは敵対関係にある水尾に御門。
その他にも世話係である稲葉や護衛である火影、気まぐれに現れては姿を消す麻兎、壺好きな紫京。
このひと月に関わってきた人達を思い浮かべながら、名無しは言われるままに「そうですね」と頷いた。
「誰か気になるやつは居らぬのか?この家光に言ってみろ名無し」
愉しそうに家光は名無しへと近づき距離を縮める。
にやにやとした表情が名無しの瞳に映る。
そんな家光を見ながら、名無しはただただ苦笑を浮かべ口を開いた。
「あ、あの家光様…私家光様に言ってなかった事が…」
「失礼します、上様」
名無しが言葉を続けようとしたが、葵の間の襖を開け、突然緒形が中へと入ってきた。
微笑みながら緒形は名無しの隣に腰を下ろす。
そんな緒形に家光は目を向け不思議そうに緒形を見た。
「緒形か…私は呼んだ覚えはないが何か用か?」
「いえ、上様にではなく…名無しさんの方に用があるんですよ」
「名無しにか?」
「はい、そろそろ城を出る時刻になると思いましたのでお迎えにと思いまして…おや、言ってなかったんですか名無しさん?」
「…はい、なかなか言う機会がなくて…」
「何をだ?」
緒形と名無しの言葉に話が見えないのか家光は首を傾げる。
何時もは頭が切れる春日局も、こればかりは理解出来なくただただ緒形と名無しの方をじっと見つめた。
緒形は目の前にいる二人に微笑んだまま「私と名無しさん…明日祝言を挙げるんですよ」っと何時もの調子で告げた。
「は?」
「どういう事だ緒形…」
「そのままの意味ですよ。家光様、春日局様」
緒形の言葉にがうまく理解できず家光と春日局は目を丸くする。
このひと月御典医として何度か緒形とも接する機会は確かにあったが、二人がそう言う仲だと思わせる雰囲気は全くなかった。
怪我や体調不良、たまに茶を飲むくらいに訪れていた事を火影から聞いてはいたが…。
「名無しは緒形とできていたというのか…!?」
これでもかという程に瞳を開き家光は名無しと緒形の方を交互に見た。
その言葉に照れて顔を真っ赤に染める名無し、何時ものように微笑を浮かべたまま愛おしそうに緒形は名無しを見ていた。
「ええ…家光様や春日局様が名無しさんを影武者にした時は…さすがの私も怒りそうになってしまいましたけどね」
変わらないまま笑みを浮かべてはいるものの、緒形の目は笑っていなかった。
緒形が鈴成茶屋の常連だったことは家光も知っている。
このひと月時間さえあれば緒形は鈴成茶屋まで来てよくお茶を飲んでいた。
今までは本当にあそこの茶が好きだから来ていたのかと思っていた。
何時も店の者に「名無しちゃん、緒形さんに持って行ってあげてね」と言われたが、それは単に仲がいいからだと思っていたのだが…。
「なるほど…だから毎回緒形が来るたびに茶をもって行かされていたのか…」
「はい。それに名無しさんではないとは言えひと月も訪れなければ流石にまずいですしね」
「まぁ…そうだな。忙しくとも恋仲であれば会いに来るものだしな」
「ええ…ですから渋々通っていたのですよ」
「緒形お前な…せめてそう言う言葉は隠せ…私が傷つくだろう…」
「おや、これは失礼しました家光様」
謝る気など全くない緒形の言葉に、家光は溜息を付いた。
城の御典医である緒形にこんな扱いをされるとは思ってもみなかったのだろう。
「さて…そろそろ時間ですね」
そうつぶやくと同時に、隣で頬を染め俯いたままの名無しを緒形が横抱きにして立ち上がる。
「きゃっ、お、緒形さんっつ?!」
急に抱き上げられた名無しは驚くものの、落ちないようにぎゅっと緒形の着物にしがみつく。
その行動が嬉しく、先ほどの笑みとは違った優しい笑みを名無しに見せる。
「話も終わりましたし、名無しさんは返していただきますよ?家光様、春日局様」
そう緒形は言い残し、家光や春日局の返事を待たずに葵の間から出て行った。
「良かったんですか…緒形さん…?」
緒形に横抱きをされ、江戸城内にある緒形の部屋へと連れて込まれた名無しは、先ほどのことを思い出しながら緒形に問う。
後ろから抱きしめて名無しの首に顎を乗せていた緒形は「いいんですよ」っと囁いた。
「私からひと月も名無しさんとの時間を取り上げたのですから…あれくらい言ってもばちは当たりません」
抱きしめる腕に力を入れ、緒形はこのひと月の事を振り返った。
ひと月前、何時ものように鈴成茶屋へと足を運んだ緒形を迎えたのは鈴成茶屋に居るはずもない女将軍の家光だった。
前々から家光と名無しが似ているとは思っていたが…見間違えるはずもない。
仕草の一つ一つが、香りが、笑顔が…他の人から見れば分からないかもしれないが緒形にはその違いがしっかりと分かった。
また何かよからぬ事を家光が考え名無しはそれに巻き込まれたのだろうと思い、何時もはのんびりと過ごす茶屋を早々に退散した。
江戸城へ帰ってみれば案の定家光のよからぬ事に巻き込まれた名無しの姿があった。
聞けば家光と(ほぼ無理やり)入れ替わってみないか?と言う事だった。
予想は出来ていたとは言えあまりにも家光の自由奔放っぷりに、緒形の頭が痛む。
そんな緒形に「で、でも緒形さんと一緒に居る時間が増えるのは嬉しいです…っつ」と顔を赤らめながら呟いた名無しの言葉が嬉しく、仕方なくひと月の間我慢していたのだ。
「…本当でしたら、このひと月名無しさんにたくさん触れていられたはずなんですがね…」
振り返れば振り返るほど緒形の口からは知らずうちにため息が溢れる。
大奥の者のほとんどが緒形の元を訪れやれ「惚れ薬が欲しい」だの「胸が苦しい」だの言う者が多かった。
惚れ薬は勿論上様を自分に惚れさせるために…という者は前々から居たが、このひと月その人数は倍に跳ね上がってしまった。
胸が苦しいと訪ねてきた者に問えば、皆口を揃えて家光もとい名無しを見てと言う。
御典医である手前大奥の者の前では悟られず何時もの笑みを浮かべていたのだが、胸の内はとてもどす黒い物が渦をまっていた。
(こんなにも独占欲が強いとは…思ってもみませんでしたね)
そんな事を思い出しながら、緒形は苦笑を漏らす。
鈴成茶屋の常連の者は二人の仲を知っていたため邪魔をする者は居なかった。
そのせいでどれだけ名無しが魅力的で、人を惹きつける事が出来るのかを緒形はこのひと月を振り返り改て思い知ったのだ。
「あ、あの緒形さん…」
「どうかしましたか、名無しさん?」
このひと月のことを振り返っていると、名無しが緒形の名を呼ぶ。
何処か恥ずかしそうに「あの…その…」っと、言葉に詰まりながら名無しは一生懸命言葉を紡ぎ出す。
「…わ、私も…私も緒形さんにたくさん触れられたかったです…」
「…っつ」
「何時も、少しでも長く緒形さんと一緒に居たいなって思って影武者も悪くないかなって思ってましたけど…緒形さんと一緒に居られる時間が少なかったし触れられることもなくて…その…寂しかっ」
“寂しかった”―――…
そう言おうとした名無しの唇を噛み付くように奪い押し倒す。
名無しの唇を舌でわり、執拗に口内を犯していく。
緒形の突然の行動に、名無しの思考はうまくいかず。ただ甘い声を漏らす。
「ん……んんっ…あっ…」
「名無しさん、貴女と言う方は、本当に可愛らしい人ですね」
先ほど口付けた名無しの唇を指でひと撫でする。
擽ったいのか、はたまた先ほどの行為を思い出したのか、名無しの顔は赤くなる。
とろんっと、潤んだ瞳に緒方を映し、「お、緒形…さんっつ?!」と
「嫌…でしたか名無し?」
「っつ…そ、そんなわけありませんっ!!!」
「でしたら勿論…続きをしてもよろしいですよね?」
妖笑を浮かべる緒形の言葉に、名無しはただ頷くことしか出来なかった。
名無しの頷きを合図に、緒形はまた口付けを一つ落とす。
先ほどのように唇をわり口内を荒々しく犯すようなものではなく、ただ触れるだけの甘い口づけ。
“寂しかった”そう言いかけた名無しをかき消すかのように…
自分たちの時間を埋めるかのように、二人は互いの時間を忘れただただ、想いのままに抱き合った―――…
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