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※日向独白、本編ネタバレ有り
「あー……よりによってこんな時に熱が出るとはな…」
お万の君、もとい永光との策に乗って実行しようと思った矢先、日向は体調を崩してしまい、褥の上に横になっていた。
先ほど緒形の診療を受けた結果、どうやら熱があったようだ。
名無しの為、永光との策に乗ったのはいいがそのせいで慌ただしい日々を過ごしていたせいか疲れからきた熱だと緒形は言っていた。
これくらい平気だと日向は緒形に言ったのだが、しぶしぶ褥に横になり今に至る。
しん、っと静まり返った部屋の中を見渡しながら、日向は苦笑をもらした。
数日もすればこの慣れ親しんだ部屋にはもう帰って来れないはずなのに、不思議と寂しさはなかった。
部屋の片隅で飼っていた兎の長丸も、今は名無しの所にいる。
名無しが江戸城を出る際に「お願いします…!この子は連れて行かせて下さい」と言って長丸を連れて行った事は御祐筆の榊から日向は聞かされていた。
無論長丸を名無しが連れて行ったことに日向は怒っていない、寧ろ連れて行って少しでも名無しの寂しさが和らげばと…名無しが城を去ったその日から常々思っていた。
人前では泣かないが、一人できっと今も泣いているのでは…と。
そう思えば何故今熱など出して褥に横になっている自分自身に日向は腹が立った。
熱など出している暇があるのなら早々に策を実行して名無しに会いに行き、思いっきり抱きしめてやりたい。
「泣くな」と、涙を拭い何度も名無しの名を呼びたい。
名無しを思えば思うほど、日向はただ無性に名無しに会いたくなってきた。
「…名無し」
声に出して呼ぶつもりはなかったが、自然と日向の口からは名無しの名前がつぶやかれる。
たかが数週間、されど数週間。
毎日会っていたはずなのに、それはもう何年も昔のことのように感じてしまう…。
早く、早くと日向自身分かるほどに名無しを求めていた。
(いつから俺は、こんなに我儘になってしまったんだろうな…)
呆れながらも、日向は記憶の中にある笑顔を浮かべた名無しを思いながら…日向はそっと瞼を閉じた。
名無しに会いたい
名無しを抱きしめたい
名無しの笑顔が見たい
名無しに触れたい
名無しに…口付けがしたい―――…
「あー……よりによってこんな時に熱が出るとはな…」
お万の君、もとい永光との策に乗って実行しようと思った矢先、日向は体調を崩してしまい、褥の上に横になっていた。
先ほど緒形の診療を受けた結果、どうやら熱があったようだ。
名無しの為、永光との策に乗ったのはいいがそのせいで慌ただしい日々を過ごしていたせいか疲れからきた熱だと緒形は言っていた。
これくらい平気だと日向は緒形に言ったのだが、しぶしぶ褥に横になり今に至る。
しん、っと静まり返った部屋の中を見渡しながら、日向は苦笑をもらした。
数日もすればこの慣れ親しんだ部屋にはもう帰って来れないはずなのに、不思議と寂しさはなかった。
部屋の片隅で飼っていた兎の長丸も、今は名無しの所にいる。
名無しが江戸城を出る際に「お願いします…!この子は連れて行かせて下さい」と言って長丸を連れて行った事は御祐筆の榊から日向は聞かされていた。
無論長丸を名無しが連れて行ったことに日向は怒っていない、寧ろ連れて行って少しでも名無しの寂しさが和らげばと…名無しが城を去ったその日から常々思っていた。
人前では泣かないが、一人できっと今も泣いているのでは…と。
そう思えば何故今熱など出して褥に横になっている自分自身に日向は腹が立った。
熱など出している暇があるのなら早々に策を実行して名無しに会いに行き、思いっきり抱きしめてやりたい。
「泣くな」と、涙を拭い何度も名無しの名を呼びたい。
名無しを思えば思うほど、日向はただ無性に名無しに会いたくなってきた。
「…名無し」
声に出して呼ぶつもりはなかったが、自然と日向の口からは名無しの名前がつぶやかれる。
たかが数週間、されど数週間。
毎日会っていたはずなのに、それはもう何年も昔のことのように感じてしまう…。
早く、早くと日向自身分かるほどに名無しを求めていた。
(いつから俺は、こんなに我儘になってしまったんだろうな…)
呆れながらも、日向は記憶の中にある笑顔を浮かべた名無しを思いながら…日向はそっと瞼を閉じた。
名無しに会いたい
名無しを抱きしめたい
名無しの笑顔が見たい
名無しに触れたい
名無しに…口付けがしたい―――…
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