家庭教師ヒットマンREBORN!
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『うぅ~~~、さっむ』
冬の夜気が肌を刺す帰り道。
名無しとディーノはお互い手を繋いでいた。
握った手から伝わるお互いの温もりだけが、凍える空気を優しく溶かしてくれる。
「にしても、蕎麦買えて良かったな名無し」
『本当ですよ、おかげで今年も無事年が越せそうです』
嬉しそうに微笑みながら、名無しは手に持っているビニール袋へと視線を向けた。
名無しが持っているビニール袋の中には、ディーノが言ったように蕎麦の麺が二人分入っている。
何せ今日は十二月三十一日。
一年の終わりを告げる、最後の日であり大晦日だ。
「今年ももう終わっちまうな」
ぽつりと呟いたディーノの言葉に、名無しも『そうですね』と答えては暗くなった空を見上げた。
思えばこの一年、いろいろな事が合ったのだ。
ひょんなことから名無しとディーノは付き合い、そして現在に至る。
お互い住む場所も、住む世界も全く違うのだ。
『…ディーノさん』
「ん、どうした、名無し?」
ふいにディーノの名前を呼んでは、名無しはその場に立ち止まる。
手を繋いでいるディーノもつられてその場に立ち止まっては、名無しの方へと視線を向けた。
何か買い忘れでも合っただろうか?と、ディーノは不思議そうに名無しを見つめるがどうやらそう言った内容の話では無いことが名無しの顔色から伺える。
繋いでいた手の指先も、僅かに震えているのが肌を伝い分かってしまう程だ。
言うか言わかいかと戸惑いながらも、名無しはぽつりと言葉を零した。
『その…来年も、一緒に居てくれますか…?』
零した言葉と共、にぎゅっと名無しは繋いでいるディーノの手に力を込める。
そんな名無しの言葉に、ディーノは思わず鳶色の瞳を大きく見開いた。
名無しがそう問いかけた理由を、ディーノ自身理解している。
ディーノはキャバッローネ・ファミリーと言うマフィアのボスだ。
ただの一般人であり、それこそ平和な世界で生きている名無しとは生きる世界が違うのだ。
名無しだって分かっている。
分かっていて、ディーノと付き合っているのだ。
分かっていても、それでも心に渦巻く不安までは消せない―――…
口にはしないが、名無し自身不安なのだろう。
来年も一緒に居てくれるのだろうか?と。
名無しの前から居なくならないだろうか…と。
日本人である名無しからしてみれば、ディーノの生きるマフィアの世界は平和でも何でもない。
ディーノだって“絶対”とは言い切れないのだ。
五千人の部下が居たとしても、マフィアである以上安全とは言い切れない。
ぎゅっと再び強く力を入れては、ディーノの手を握り締める。
「名無し」
そんな名無しに、ディーノは何時もと変わらない声色で言葉を紡ぐ。
「……確かに、俺の世界は安全じゃねぇ。何があるかなんて、誰にも分からねえ」
名無しの言葉を否定する気はディーノにはなかった。
マフィアのボスである以上逃れられない現実なのだ。
好きだけで、好きと言う想いだけで…この関係が永遠に続けばいいとすらディーノだって思ってしまう。
けれど現実はそう甘くない事をディーノ自身が一番よく知っている。
知っているからこそ、ディーノは「だけど…」と変わらない声色で言葉を紡いだ。
「それでも…俺は来年も、その次の年も、何十年先もずっと俺はお前の隣に居る。命がある限り、絶対に…な」
何時ものようにニカっと、眩しい位の笑みを浮かべては名無しを抱き寄せた。
名無しが繋いだ手に力を込めたのと同じように。
否、それ以上に力を込めてはまるで“離さない”と言わんばかりに名無しを抱き寄せた腕に力がこもる。
ふんわりと香るディーノの香水の香りが、名無しの鼻孔を擽った。
『約束…ですよ?』
「おう!」
ぎゅっとディーノに抱き寄せられたまま、おずおずと問いかける名無しに、ディーノの約束だといわんばかりに名無しの額に口付ける。
ディーノの唇が触れた額には、じんわりと熱が伝い広がる。
きゅっと繋がれたままの手に力が入り、応えるように名無しも握り返した。
冬の夜気の中、ただ美しくか輝く月だけがそんな二人を温かく見守っていた―――…
来年も、君の隣で
2025/12/31
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