家庭教師ヒットマンREBORN!
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※仔ディーノ
※学パロ(高校生設定)
※恋人未満
「何やってんだよ名無し」
『あれ、ディーノどうしたの?』
夏の暑さが薄れ、少しずつ秋の訪れを感じられるようになった10月。
秋の訪れを感じさせる心地よい風が時折吹く中、お土産屋さんの前でしゃがみ込んでいた名無しが顔を上げればそこにはディーノが居た。
ダボついた大き目の灰色のカーディガンを羽織り、珍しくワイシャツは第一ボタンまで留められきっちりとネクタイをしている。
普段であれば第一ボタンを外し、ネクタイも緩められているが故に珍しいものを見たなと名無しは思った。
行き交う人や街の喧噪を何処か遠くで感じながらも、名無しはディーノを見上げては口を開く。
『珍しいね、ディーノのグループもここら辺周ってるの?』
「ん、あぁ。修学旅行最終日だしお土産屋さんが多いここら辺周ってんだよ」
ディーノの言うように、現在名無しとディーノが通う高校の2年生は全員修学旅行で他県を訪れていた。
2泊3日と言う長いようで短い修学旅行。
住み慣れた環境とは違う初めて訪れた場所に、生徒達は目を輝かせては各々行きたい場所をピックアップし訪れている。
今日は3日目の最終日。
基本的にグループ行動が推奨されているが、一人での行動も可能なのだ。
いくら土地勘がないと言えど、方向音痴でもなければスマホと言う便利な文明の機器を持っているため、名無しはグループ行動ではなく1人行動をしている。
だがディーノに至っては1人行動をするタイプではなく、どちらかと言えばグループ行動をしているイメージが名無しの中ではあった。
たまに移動教師でディーノのクラスを覗いたときは結構クラスの友達と和気あいあいとしている姿をよく見かけれいる。
勿論それは部活動で同じことを言えるため、名無しは思わずディーノを見ては無意識に言葉を紡いだ。
『ねぇ…もしかしてディーノ……迷子、とか?』
「……ちげぇよ…ちょっと皆とはぐれちまっただけだ…」
『それを迷子って言うんだよ?』
「うっ…」
名無しの言葉に言葉を詰まらせてはディーノは口を噤む。
実際ディーノは一緒に行動していたグループのメンバーとはぐれてしまい一人迷子状態になっていたようだ。
『Lineで連絡取れないの?』
「…スマホの充電切らしてんだよ…」
ぼそりとディーノは呟いては俯く。
流石にディーノだってヤバいと思い真っ先に同じグループの人に連絡を取ろうとした。
見知らぬ土地だ。
土地勘等なくドジっ子でもあり方向音痴故に一人で行動すればさらに迷子になる事もディーノ自身分かっていた。
だがスマホを取り出し電源を入れれば、生憎充電が切れているためスマホは使い物にならない状況。
そんな時にたまたま名無しを見つけたディーノは名無しに声をかけ今に至るのだ。
(…かっこわりいな…俺)
名無しからすれば今更かもしれないが、ディーノからすれば好きな女の子にかっこ悪い姿を見せてしまった事にしょぼくれてしまう。
普段からドジをして傷を作っては名無しに手当てしてもらっているのだ。
今更かもしれないが、やはり自分のかっこ悪さに溜息がこぼれる。
そんなしょぼくれている姿はまるで捨てられた子犬のような可愛さに名無しは思わず可愛いなと思ってしまった。
本来男性に可愛いという言葉を使うべきではないのかもしれないが、可愛いものは可愛いのだと名無しは思ってしまう。
いざと言う時にはかっこいい一面を目にすることもあり、その時と今とのギャップに名無しはよく萌えているがそれはディーノには内緒だ。
部活中でも走り込みの時はしょっちゅう転んだりするため、マネージャーである名無しがその都度手当をしていた。
その兼ね合いもあり、ディーノとは部活メンバーの中では仲が良いのだが…。
しょぼくれているディーノを見ては名無しは『しょうがないな~』とスマホを取り出す。
『田中君や斎藤君と同じグループ?』
同じテニス部でもあり、ディーノと同じクラスのメンバーの名前を上げるが、ディーノは申し訳なさそうに「…残念ながらテニス部員とは別グループだな…」と呟いた。
流石にディーノのクラスにテニス部メンバー以外の知り合いがいないため。名無しはLineを開こうとする手を止めた。
スマホの画面に映る時刻は丁度14時30分。
後30分すれば集合時間になりバスでの行動になる。
『あー…じゃあ集合時間まで私と行動する?集合場所は全クラス一緒だし』
「いいのか?」
『うん、ディーノが嫌じゃなかったら…』
流石に恋人でもない人間同士が修学旅行先で一緒に居たらそういう関係なのかと疑われてしまったり噂にでもなったらと、流石に心配してしまう。
普段はドジで方向音痴ではあるが、ディーノはそれこそ顔がいいのだ。
ひっそりとファンクラブがあることを名無しだって知っている。
名無しの言葉にディーノはしょぼくれて俯いていた顔を上げれば、「全然嫌じゃねえし!サンキューな、名無し!」と言い名無しに抱き着く。
『わわっ!?ちょ、ディーノっ!!?』
突然ディーノにぎゅっと抱き着かれた名無しは慌てて頬を赤く染めた。
『ディーノここ外だし、は、離れて…』
「何でだよ?ただの挨拶だろ?」
きょとんと不思議そうに名無しを見ながらディーノは首を傾げる。
イタリア人であり、親の仕事の都合で日本に住んでいるディーノのスキンシップに名無しはまだ慣れていなかった。
同性同士ならまだ問題はないだろうが、相手は異性だ。
男性と話すことは普通にあるが、ハグと言ったスキンシップに関しては弟や父親くらいしかない程度。
恋人がいない歴=年齢故にそう言った身内以外とのスキンシップの経験などないのだから。
純日本人である名無しにとって、イタリア人の…ディーノのスキンシップに名無しは慣れない故に『毎回言ってるけど、ここはイタリアじゃないの!』と顔を真っ赤にしながら名無しは言葉にする。
「あー…悪い悪い…つい、な。…所で名無しはさっきから何見てたんだよ?」
『あ、うん。これどうしようかなぁって…』
そう言って名無しは自分が先ほど見ていた物に視線を戻した。
ディーノもその視線を追うように視線を移せば、そこにはカラフルな生地や柄で作られている御朱印が並んでいた。
和柄模様や洋風なレトロな物、ポップな柄に可愛らしい動物の柄の物等沢山の種類がディーノの目に映る。
その中で特に目を惹いたのは2種類の御朱印だ。
鶴と桜が舞い、鳥居がいくつか描かれている物と亀と紅葉が舞い鳥居がいくつか描かれている物の2種類のデザインの御朱印帳がディーノの目に移りこむ。
童謡のかごめかごめがモチーフなのか2種類の御朱印帳は対になっており、どちらのデザインも負けず劣らず美しい。
普段こういった物に興味がないディーノですら目を奪われ惹かれる程にだ。
表紙は和紙を使っており、使用すれば使用するほどに霞が出てより幻想的なものへと変わっていく仕様になっていると説明文には書かれている。
「御朱印帳…?」
聞きなれない言葉にディーノは首を傾げる。
『知らない?神社とかお寺で参拝の証である御朱印を記録するためのものだよ』
「…スタンプラリーみたいなもんか?」
『うーん、ちょっと違うけど広い意味ではそうかも?』
日本の文化にあまり馴染みのないディーノに、名無しは分かりやすいようにディーノに説明する。
御朱印帳とは日本の神社やお寺への参拝の証として授与される御朱印を書いてもらったりするものだと。
場所によってはあらかじめ和紙に書かれている物や切り絵のようなものもあり、それを記念として集める。
勿論それが目的としてスタンプラリー感覚で集めるのではなく、あくまで参拝の証として記録するものだと名無しは言葉にした。
「そういや神社に行くのが好きって言ってたもんな名無し」
『うん…よくディーノ覚えてるね』
「へへ、まぁな」
名無しの言葉にディーノは照れくさそうに笑う。
“好きな子”が言っていたのだからと思わず口に出しそうになるが、ディーノはすんでの所で言葉を飲み込んだ。
だが先ほどの説明から神社に行くのが好きなら持っててもおかしくはない代物だなと思いつつ、ディーノは名無しと同じようにその場にしゃがみ込む。
先ほどから熱心に名無しが見ている物を見れば、それはディーノも目を惹いた鶴が描かれている御朱印だった。
『この鶴の絵が描かれてる方、素敵だな~と思って』
「綺麗だもんな。名無し、欲しいなら買えばいいんじゃねえか?」
『それは…そうなんだけど…』
ディーノの言葉に名無しは口を噤む。
そんな名無しにディーノは不思議そうに首を傾げた。
値段を見ても安いものから高いものまでさまざまあるが、決して学生が手を出せない金額ではなかった。
名無しが素敵だなと言っていた鶴が描かれている御朱印帳も、そこまで高いものではなく手ごろな値段と言えるだろう。
実際修学旅行のお小遣いとして学校側から親に提示された金額も3万円程度だ。
修学旅行最終日ではあるものの、名無しはそこまで散財するタイプでもなく家族へのお土産を買っているだろうがそれでも金額的には余裕があるだろう。
何故躊躇しているのだろうと不思議に思うディーノに、名無しは言葉を紡ぐ。
『欲しいけど…今買っても部活動で忙しいし…来年は受験もあるから…使わないんだろうなぁって…』
苦笑を浮かべつつも、名無しの視線はずっと鶴が描かれた御朱印帳に釘付けだった。
確かに部活動に所属しており、マネージャーとして日々名無しは忙しそうにしている。
選手ではないものの練習前後の準備や片付け、水分補給の用意に練習中の記録やデータ収集も幅広くしていた。
怪我人の救護や応急処置等も名無し1人でしているわけではないが、それでも選手以上に忙しいのもディーノだって知っている。
3年生が引退し部活動を率いてるのは実質2年生であり、それに加え来年からは名無し達は受験生だ。
部活だけでなく普段からの勉強に加え受験勉強も追加されるのだからいくら欲しいと思っても実際に使う日は何時になるのか分からない。
故に名無しは欲しいと思いつつも買うかどうか迷っているのだろう。
“欲しい”と思っているのに、何かと理由を付けて諦めようとしている名無し。
そんな名無しに、ディーノも視線を名無しから御朱印帳に向けてはゆっくりと御朱印帳に手を伸ばす。
「じゃあさ、これ俺とお揃いで買わねえか?」
そう言ってディーノが手を伸ばし取ったのは名無しが欲しいと思っている鶴の描かれた御朱印帳と対になっている亀が描かれた御朱印帳。
亀の緑色と紅葉の暖かな色合いがディーノのイメージにぴったりだなと名無しはふと思う。
『え、でもディーノ神社に行ったりするっけ?』
「俺はあんま行った事ねえけど、こういう日本の文化に触れるのも勉強になるしな」
ニカッとまるで太陽のような眩しい笑みを向けては、名無しが欲しいと言っていた鶴の描かれた御朱印帳を取り名無しに差し出す。
差し出された御朱印帳を無意識に手を伸ばし受け取れば、ディーノは嬉しそうに言葉を続ける。
「部活のねえ休日とか、受験勉強の息抜きに神社巡りとかしたらいいんじゃねえか?部活や受験勉強の息抜きにもなるだろうし」
「それに…」
『それに…?』
「名無しと出かける口実にもなるだろ」
無垢なで眩しい笑顔のままディーノが言葉を紡いだ。
ディーノの突拍子のない提案に、名無しは束の間鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべてはその意味を理解したのか頬を赤く染める。
(え?えっ…えぇ~~~~??!!)
ディーノにそんな事を言われると思っていなかった名無しの心臓が高鳴る。
確かに名無しとディーノは仲が良いと言えど一緒に遊びに行ったり出かけたりすることはない。
あくまで同じ部活に所属するメンバーとしてお互い過ごしてきた。
部活終わりにどこかに寄ったり、一緒に帰ったりすることも、連絡先を知ってはいるもののそう言った話をしたことが今までに一度もないのだ。
だからこそディーノの言葉が衝撃的で、名無し自身辺にディーノを意識してしまう。
そんな名無しとは裏腹に言ったディーノ自身もこっぱずかしくなったのか「や、やっぱ今のなし!休みの日でも名無しに会いたいだけだ…!」とさらに自分から墓穴を掘っていく。
「ち、ちがっ…今のも無しで!否違わねぇけど…その…なんだ…ダメ、…か?」
恥ずかしそうに、けれど上手い言葉が思い浮かばないせいかディーノは名無しを見ては問いかける。
捨てられた子犬のように名無しを見ては視線を逸らさず鳶色の瞳には名無しの姿が映り込む。
(そんな風に言われると思ってなかった…。ディーノの言葉が嬉しくて仕方ないんだけど…)
ディーノの言葉に名無しの身体はほんのりと熱を帯びる。
ドクン、ドクンと心臓が何時もよりも早く脈打つのを感じながら、名無しはぎゅっと御朱印帳を持つ指先に力を込めた。
『ダメじゃない…。私もこれ買う…』
「……いいのか?」
『ディーノにそんな風にいわれると…私だって息抜きでディーノと神社行ってみたいなって…思ったもん』
「じゃあ、決まりだな」
恥ずかしそうに頬をかきながら、ディーノは「…名無しと神社巡って参拝するの楽しみだな」と言葉にする。
勿論『私も、楽しみだよ』と、名無しもディーノの言葉に同意しては再びお互い顔を見合わせた。
先ほどの照れもあるのだろう。
お互い頬はほんのりと赤く染まったままだが、笑みを浮かべては会計をしに立ち上がった―――…
修学旅行の片隅で
(なぁなぁ、修学旅行が終わった土曜日にさ、折角だし名無しのよく行く神社に行かねえか?)
(それはいいけど…まさかそんなすぐ言われるなんて思ってもみなかった)
(名無しがよく行く神社に俺も行ってみたくなったんだよ。土曜日の13時に待ち合わせしねえか…?)
(いいよ!ふふ、楽しみだなぁ~)
2025/10/01
※学パロ(高校生設定)
※恋人未満
「何やってんだよ名無し」
『あれ、ディーノどうしたの?』
夏の暑さが薄れ、少しずつ秋の訪れを感じられるようになった10月。
秋の訪れを感じさせる心地よい風が時折吹く中、お土産屋さんの前でしゃがみ込んでいた名無しが顔を上げればそこにはディーノが居た。
ダボついた大き目の灰色のカーディガンを羽織り、珍しくワイシャツは第一ボタンまで留められきっちりとネクタイをしている。
普段であれば第一ボタンを外し、ネクタイも緩められているが故に珍しいものを見たなと名無しは思った。
行き交う人や街の喧噪を何処か遠くで感じながらも、名無しはディーノを見上げては口を開く。
『珍しいね、ディーノのグループもここら辺周ってるの?』
「ん、あぁ。修学旅行最終日だしお土産屋さんが多いここら辺周ってんだよ」
ディーノの言うように、現在名無しとディーノが通う高校の2年生は全員修学旅行で他県を訪れていた。
2泊3日と言う長いようで短い修学旅行。
住み慣れた環境とは違う初めて訪れた場所に、生徒達は目を輝かせては各々行きたい場所をピックアップし訪れている。
今日は3日目の最終日。
基本的にグループ行動が推奨されているが、一人での行動も可能なのだ。
いくら土地勘がないと言えど、方向音痴でもなければスマホと言う便利な文明の機器を持っているため、名無しはグループ行動ではなく1人行動をしている。
だがディーノに至っては1人行動をするタイプではなく、どちらかと言えばグループ行動をしているイメージが名無しの中ではあった。
たまに移動教師でディーノのクラスを覗いたときは結構クラスの友達と和気あいあいとしている姿をよく見かけれいる。
勿論それは部活動で同じことを言えるため、名無しは思わずディーノを見ては無意識に言葉を紡いだ。
『ねぇ…もしかしてディーノ……迷子、とか?』
「……ちげぇよ…ちょっと皆とはぐれちまっただけだ…」
『それを迷子って言うんだよ?』
「うっ…」
名無しの言葉に言葉を詰まらせてはディーノは口を噤む。
実際ディーノは一緒に行動していたグループのメンバーとはぐれてしまい一人迷子状態になっていたようだ。
『Lineで連絡取れないの?』
「…スマホの充電切らしてんだよ…」
ぼそりとディーノは呟いては俯く。
流石にディーノだってヤバいと思い真っ先に同じグループの人に連絡を取ろうとした。
見知らぬ土地だ。
土地勘等なくドジっ子でもあり方向音痴故に一人で行動すればさらに迷子になる事もディーノ自身分かっていた。
だがスマホを取り出し電源を入れれば、生憎充電が切れているためスマホは使い物にならない状況。
そんな時にたまたま名無しを見つけたディーノは名無しに声をかけ今に至るのだ。
(…かっこわりいな…俺)
名無しからすれば今更かもしれないが、ディーノからすれば好きな女の子にかっこ悪い姿を見せてしまった事にしょぼくれてしまう。
普段からドジをして傷を作っては名無しに手当てしてもらっているのだ。
今更かもしれないが、やはり自分のかっこ悪さに溜息がこぼれる。
そんなしょぼくれている姿はまるで捨てられた子犬のような可愛さに名無しは思わず可愛いなと思ってしまった。
本来男性に可愛いという言葉を使うべきではないのかもしれないが、可愛いものは可愛いのだと名無しは思ってしまう。
いざと言う時にはかっこいい一面を目にすることもあり、その時と今とのギャップに名無しはよく萌えているがそれはディーノには内緒だ。
部活中でも走り込みの時はしょっちゅう転んだりするため、マネージャーである名無しがその都度手当をしていた。
その兼ね合いもあり、ディーノとは部活メンバーの中では仲が良いのだが…。
しょぼくれているディーノを見ては名無しは『しょうがないな~』とスマホを取り出す。
『田中君や斎藤君と同じグループ?』
同じテニス部でもあり、ディーノと同じクラスのメンバーの名前を上げるが、ディーノは申し訳なさそうに「…残念ながらテニス部員とは別グループだな…」と呟いた。
流石にディーノのクラスにテニス部メンバー以外の知り合いがいないため。名無しはLineを開こうとする手を止めた。
スマホの画面に映る時刻は丁度14時30分。
後30分すれば集合時間になりバスでの行動になる。
『あー…じゃあ集合時間まで私と行動する?集合場所は全クラス一緒だし』
「いいのか?」
『うん、ディーノが嫌じゃなかったら…』
流石に恋人でもない人間同士が修学旅行先で一緒に居たらそういう関係なのかと疑われてしまったり噂にでもなったらと、流石に心配してしまう。
普段はドジで方向音痴ではあるが、ディーノはそれこそ顔がいいのだ。
ひっそりとファンクラブがあることを名無しだって知っている。
名無しの言葉にディーノはしょぼくれて俯いていた顔を上げれば、「全然嫌じゃねえし!サンキューな、名無し!」と言い名無しに抱き着く。
『わわっ!?ちょ、ディーノっ!!?』
突然ディーノにぎゅっと抱き着かれた名無しは慌てて頬を赤く染めた。
『ディーノここ外だし、は、離れて…』
「何でだよ?ただの挨拶だろ?」
きょとんと不思議そうに名無しを見ながらディーノは首を傾げる。
イタリア人であり、親の仕事の都合で日本に住んでいるディーノのスキンシップに名無しはまだ慣れていなかった。
同性同士ならまだ問題はないだろうが、相手は異性だ。
男性と話すことは普通にあるが、ハグと言ったスキンシップに関しては弟や父親くらいしかない程度。
恋人がいない歴=年齢故にそう言った身内以外とのスキンシップの経験などないのだから。
純日本人である名無しにとって、イタリア人の…ディーノのスキンシップに名無しは慣れない故に『毎回言ってるけど、ここはイタリアじゃないの!』と顔を真っ赤にしながら名無しは言葉にする。
「あー…悪い悪い…つい、な。…所で名無しはさっきから何見てたんだよ?」
『あ、うん。これどうしようかなぁって…』
そう言って名無しは自分が先ほど見ていた物に視線を戻した。
ディーノもその視線を追うように視線を移せば、そこにはカラフルな生地や柄で作られている御朱印が並んでいた。
和柄模様や洋風なレトロな物、ポップな柄に可愛らしい動物の柄の物等沢山の種類がディーノの目に映る。
その中で特に目を惹いたのは2種類の御朱印だ。
鶴と桜が舞い、鳥居がいくつか描かれている物と亀と紅葉が舞い鳥居がいくつか描かれている物の2種類のデザインの御朱印帳がディーノの目に移りこむ。
童謡のかごめかごめがモチーフなのか2種類の御朱印帳は対になっており、どちらのデザインも負けず劣らず美しい。
普段こういった物に興味がないディーノですら目を奪われ惹かれる程にだ。
表紙は和紙を使っており、使用すれば使用するほどに霞が出てより幻想的なものへと変わっていく仕様になっていると説明文には書かれている。
「御朱印帳…?」
聞きなれない言葉にディーノは首を傾げる。
『知らない?神社とかお寺で参拝の証である御朱印を記録するためのものだよ』
「…スタンプラリーみたいなもんか?」
『うーん、ちょっと違うけど広い意味ではそうかも?』
日本の文化にあまり馴染みのないディーノに、名無しは分かりやすいようにディーノに説明する。
御朱印帳とは日本の神社やお寺への参拝の証として授与される御朱印を書いてもらったりするものだと。
場所によってはあらかじめ和紙に書かれている物や切り絵のようなものもあり、それを記念として集める。
勿論それが目的としてスタンプラリー感覚で集めるのではなく、あくまで参拝の証として記録するものだと名無しは言葉にした。
「そういや神社に行くのが好きって言ってたもんな名無し」
『うん…よくディーノ覚えてるね』
「へへ、まぁな」
名無しの言葉にディーノは照れくさそうに笑う。
“好きな子”が言っていたのだからと思わず口に出しそうになるが、ディーノはすんでの所で言葉を飲み込んだ。
だが先ほどの説明から神社に行くのが好きなら持っててもおかしくはない代物だなと思いつつ、ディーノは名無しと同じようにその場にしゃがみ込む。
先ほどから熱心に名無しが見ている物を見れば、それはディーノも目を惹いた鶴が描かれている御朱印だった。
『この鶴の絵が描かれてる方、素敵だな~と思って』
「綺麗だもんな。名無し、欲しいなら買えばいいんじゃねえか?」
『それは…そうなんだけど…』
ディーノの言葉に名無しは口を噤む。
そんな名無しにディーノは不思議そうに首を傾げた。
値段を見ても安いものから高いものまでさまざまあるが、決して学生が手を出せない金額ではなかった。
名無しが素敵だなと言っていた鶴が描かれている御朱印帳も、そこまで高いものではなく手ごろな値段と言えるだろう。
実際修学旅行のお小遣いとして学校側から親に提示された金額も3万円程度だ。
修学旅行最終日ではあるものの、名無しはそこまで散財するタイプでもなく家族へのお土産を買っているだろうがそれでも金額的には余裕があるだろう。
何故躊躇しているのだろうと不思議に思うディーノに、名無しは言葉を紡ぐ。
『欲しいけど…今買っても部活動で忙しいし…来年は受験もあるから…使わないんだろうなぁって…』
苦笑を浮かべつつも、名無しの視線はずっと鶴が描かれた御朱印帳に釘付けだった。
確かに部活動に所属しており、マネージャーとして日々名無しは忙しそうにしている。
選手ではないものの練習前後の準備や片付け、水分補給の用意に練習中の記録やデータ収集も幅広くしていた。
怪我人の救護や応急処置等も名無し1人でしているわけではないが、それでも選手以上に忙しいのもディーノだって知っている。
3年生が引退し部活動を率いてるのは実質2年生であり、それに加え来年からは名無し達は受験生だ。
部活だけでなく普段からの勉強に加え受験勉強も追加されるのだからいくら欲しいと思っても実際に使う日は何時になるのか分からない。
故に名無しは欲しいと思いつつも買うかどうか迷っているのだろう。
“欲しい”と思っているのに、何かと理由を付けて諦めようとしている名無し。
そんな名無しに、ディーノも視線を名無しから御朱印帳に向けてはゆっくりと御朱印帳に手を伸ばす。
「じゃあさ、これ俺とお揃いで買わねえか?」
そう言ってディーノが手を伸ばし取ったのは名無しが欲しいと思っている鶴の描かれた御朱印帳と対になっている亀が描かれた御朱印帳。
亀の緑色と紅葉の暖かな色合いがディーノのイメージにぴったりだなと名無しはふと思う。
『え、でもディーノ神社に行ったりするっけ?』
「俺はあんま行った事ねえけど、こういう日本の文化に触れるのも勉強になるしな」
ニカッとまるで太陽のような眩しい笑みを向けては、名無しが欲しいと言っていた鶴の描かれた御朱印帳を取り名無しに差し出す。
差し出された御朱印帳を無意識に手を伸ばし受け取れば、ディーノは嬉しそうに言葉を続ける。
「部活のねえ休日とか、受験勉強の息抜きに神社巡りとかしたらいいんじゃねえか?部活や受験勉強の息抜きにもなるだろうし」
「それに…」
『それに…?』
「名無しと出かける口実にもなるだろ」
無垢なで眩しい笑顔のままディーノが言葉を紡いだ。
ディーノの突拍子のない提案に、名無しは束の間鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべてはその意味を理解したのか頬を赤く染める。
(え?えっ…えぇ~~~~??!!)
ディーノにそんな事を言われると思っていなかった名無しの心臓が高鳴る。
確かに名無しとディーノは仲が良いと言えど一緒に遊びに行ったり出かけたりすることはない。
あくまで同じ部活に所属するメンバーとしてお互い過ごしてきた。
部活終わりにどこかに寄ったり、一緒に帰ったりすることも、連絡先を知ってはいるもののそう言った話をしたことが今までに一度もないのだ。
だからこそディーノの言葉が衝撃的で、名無し自身辺にディーノを意識してしまう。
そんな名無しとは裏腹に言ったディーノ自身もこっぱずかしくなったのか「や、やっぱ今のなし!休みの日でも名無しに会いたいだけだ…!」とさらに自分から墓穴を掘っていく。
「ち、ちがっ…今のも無しで!否違わねぇけど…その…なんだ…ダメ、…か?」
恥ずかしそうに、けれど上手い言葉が思い浮かばないせいかディーノは名無しを見ては問いかける。
捨てられた子犬のように名無しを見ては視線を逸らさず鳶色の瞳には名無しの姿が映り込む。
(そんな風に言われると思ってなかった…。ディーノの言葉が嬉しくて仕方ないんだけど…)
ディーノの言葉に名無しの身体はほんのりと熱を帯びる。
ドクン、ドクンと心臓が何時もよりも早く脈打つのを感じながら、名無しはぎゅっと御朱印帳を持つ指先に力を込めた。
『ダメじゃない…。私もこれ買う…』
「……いいのか?」
『ディーノにそんな風にいわれると…私だって息抜きでディーノと神社行ってみたいなって…思ったもん』
「じゃあ、決まりだな」
恥ずかしそうに頬をかきながら、ディーノは「…名無しと神社巡って参拝するの楽しみだな」と言葉にする。
勿論『私も、楽しみだよ』と、名無しもディーノの言葉に同意しては再びお互い顔を見合わせた。
先ほどの照れもあるのだろう。
お互い頬はほんのりと赤く染まったままだが、笑みを浮かべては会計をしに立ち上がった―――…
修学旅行の片隅で
(なぁなぁ、修学旅行が終わった土曜日にさ、折角だし名無しのよく行く神社に行かねえか?)
(それはいいけど…まさかそんなすぐ言われるなんて思ってもみなかった)
(名無しがよく行く神社に俺も行ってみたくなったんだよ。土曜日の13時に待ち合わせしねえか…?)
(いいよ!ふふ、楽しみだなぁ~)
2025/10/01
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