短編
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※旧サイトよりリメイク移転
ガラリとベランダの窓を開けて、名無しは夜空を見上げた。
都心部ではありながら夜空には星がいくつも瞬き、月が闇夜を静かに照らしている。
冷たい風が頬を撫で、星空を見終えると名無しは何時もの様に目を閉じた。
(どうか…どうかディーノが怪我していませんように)
日課となりつつある願い事。
ただただ目を瞑り星空の下で静かに心の中で願うだけの言葉。
ディーノと付き合い始めて、ディーノが一体どんな仕事をしているのかを知ったのは半年前。
ディーノの仕事はマフィアのボス、何時命を落とすか分からないものだ。
時には自分の命を落とすかもしれないし、また怪我をする事だってある。
初めて聞かされた時はからかっているのだろうかと思ったけれど…ディーノの目に偽りは無かった。
だからこそだろうか。
――――「それでも名無しはそれでいいのか?」
会うたびに聞かれる質問。
当然だ、相手はマフィアのボスで名無しはただの一般人であり日本の並盛に住んでるただの中学生。
歳の差もあればそれ以前に生きる世界だって違い過ぎた。
それでも名無しにとっては気にする要因ですらないのだ。
歳の差があろうがマフィアのボスだろうが、ディーノと言う人間に名無しは惹かれ恋をして、好きになったのだから。
『…どうかディーノが今日も無事で元気に過ごしていますように』
無意識のうちに呟いた言葉が、そっと闇夜に溶けていく。
歳の差も相手がマフィアのボスでも気にしない。
年齢も立場も名無しにとってはどうでもいい事ではあるが、彼が怪我をしていないかを気にするのは別の話だ。
ただでさえディーノはドジを踏んだりへなちょこだったりと…部下が居ないと心配な部分もある。
仕事で怪我をしていないに越したことはないが…部下が傍に居ない時の心配も大なり小なり名無しにはあった。
だからこそ日課のように祈ってしまうのだ。
普段は口に出さす心の中で祈るのだが…今日は無意識のうちに声に出てしまう。
『ディーノ…』
ひんやりとした風が吹き、名無しの頬を優しく撫でる。
「名無し、そう言う事は俺にちゃんと言えよな?」
『え?』
ふと、名無ししかいないはずのベランダから聞き慣れた声が聞こえ名無しは声を上げた。
振り返って見るとそこにはディーノの姿があり、何時もの様にラフな格好でそこに居た。
もう何日も何か月も会ってない彼の姿に、名無しは目を丸くする。
『ディーノ!!』
「はは、久しぶりだな名無し」
『何でここに…?』
「日本に来る用事があったから名無しの顔も見たくなって…な」
「驚かせようと思って」と言葉を紡ぐ彼に近づき、名無しは上から下までディーノを見る。
『け、怪我とかしてない?』
「あぁ、俺はいたって元気だぜ」
にかっと、何時もの様に笑うディーノ。
何時もと変わらないディーノにつられて、名無しも自然と頬が緩みへらりと笑った。
「…ごめんな名無し。いつも心配かけて…」
『ううん、ディーノが怪我せず元気で居てくれるなら…それでいいの』
「ははっ、俺も名無しが元気で良かったぜ」
そう言いながらディーノはぎゅっと力いっぱい名無しを抱きしめる。
変わらないディーノの香りに包まれて、安心したかのように名無しもディーノを抱きしめ返した。
服越しでも伝わるお互いの体温、触れれる感触。
あぁ、ちゃんと彼は生きて存在してるんだと実感できる瞬間でもある。
ディーノの胸板に顔を埋め、名無しは嬉しそうに頬を緩ませす。
連絡を取っていないわけでも電話をしていないわけでもない。
ただディーノが傍に居る、名無しにとってそれがとても嬉しくて安心できるのだ。
「名無し」
『なぁに?』
名前を呼ばれ、名無しはそっと胸板から顔を離し彼を見上げる。
見上げれば名無しを抱きしめていたディーノの腕の力が緩み、左手で名無しの顎をくいっと持ち上げる。
視線と視線と自然とぶつかり、ゆっくりとディーノが距離を詰めていく。
ちゅっっと、音を立てながらお互いの唇が重なる。
柔らかく、一度離れてはまた重なり、啄むように名無しの唇に何度も口付ける。
『ん…ディーノ…?』
「俺はちゃんと、名無しの元に返ってくるからな」
まるで子供をあやすようにそう言いながら唇を重ねる。
バレないように、不安な気持ちを押し殺していたはずなのに…どうやらディーノにはバレていた様だ。
驚かせようと黙って来たのもあるだろうが…きっと名無しの本音を聞きたかったのだろう。
じっと真剣な眼差しでディーノは名無しを見る。
その瞳には一切の迷いもなく、ただ真っすぐに名無しを映し出す。
『約束だよ?』
「勿論」
お互いそう言って笑い合い、どちらからともなくまた唇を重ねた。
夜空に瞬く星だけが、ディーノと名無しの約束を見守りながら…二人は再び唇を重ねる。
どちらからともなく、惹き合うように何度も何度も重ね合う――――…
気が付けば ゼロ距離
2024/07/26
ガラリとベランダの窓を開けて、名無しは夜空を見上げた。
都心部ではありながら夜空には星がいくつも瞬き、月が闇夜を静かに照らしている。
冷たい風が頬を撫で、星空を見終えると名無しは何時もの様に目を閉じた。
(どうか…どうかディーノが怪我していませんように)
日課となりつつある願い事。
ただただ目を瞑り星空の下で静かに心の中で願うだけの言葉。
ディーノと付き合い始めて、ディーノが一体どんな仕事をしているのかを知ったのは半年前。
ディーノの仕事はマフィアのボス、何時命を落とすか分からないものだ。
時には自分の命を落とすかもしれないし、また怪我をする事だってある。
初めて聞かされた時はからかっているのだろうかと思ったけれど…ディーノの目に偽りは無かった。
だからこそだろうか。
――――「それでも名無しはそれでいいのか?」
会うたびに聞かれる質問。
当然だ、相手はマフィアのボスで名無しはただの一般人であり日本の並盛に住んでるただの中学生。
歳の差もあればそれ以前に生きる世界だって違い過ぎた。
それでも名無しにとっては気にする要因ですらないのだ。
歳の差があろうがマフィアのボスだろうが、ディーノと言う人間に名無しは惹かれ恋をして、好きになったのだから。
『…どうかディーノが今日も無事で元気に過ごしていますように』
無意識のうちに呟いた言葉が、そっと闇夜に溶けていく。
歳の差も相手がマフィアのボスでも気にしない。
年齢も立場も名無しにとってはどうでもいい事ではあるが、彼が怪我をしていないかを気にするのは別の話だ。
ただでさえディーノはドジを踏んだりへなちょこだったりと…部下が居ないと心配な部分もある。
仕事で怪我をしていないに越したことはないが…部下が傍に居ない時の心配も大なり小なり名無しにはあった。
だからこそ日課のように祈ってしまうのだ。
普段は口に出さす心の中で祈るのだが…今日は無意識のうちに声に出てしまう。
『ディーノ…』
ひんやりとした風が吹き、名無しの頬を優しく撫でる。
「名無し、そう言う事は俺にちゃんと言えよな?」
『え?』
ふと、名無ししかいないはずのベランダから聞き慣れた声が聞こえ名無しは声を上げた。
振り返って見るとそこにはディーノの姿があり、何時もの様にラフな格好でそこに居た。
もう何日も何か月も会ってない彼の姿に、名無しは目を丸くする。
『ディーノ!!』
「はは、久しぶりだな名無し」
『何でここに…?』
「日本に来る用事があったから名無しの顔も見たくなって…な」
「驚かせようと思って」と言葉を紡ぐ彼に近づき、名無しは上から下までディーノを見る。
『け、怪我とかしてない?』
「あぁ、俺はいたって元気だぜ」
にかっと、何時もの様に笑うディーノ。
何時もと変わらないディーノにつられて、名無しも自然と頬が緩みへらりと笑った。
「…ごめんな名無し。いつも心配かけて…」
『ううん、ディーノが怪我せず元気で居てくれるなら…それでいいの』
「ははっ、俺も名無しが元気で良かったぜ」
そう言いながらディーノはぎゅっと力いっぱい名無しを抱きしめる。
変わらないディーノの香りに包まれて、安心したかのように名無しもディーノを抱きしめ返した。
服越しでも伝わるお互いの体温、触れれる感触。
あぁ、ちゃんと彼は生きて存在してるんだと実感できる瞬間でもある。
ディーノの胸板に顔を埋め、名無しは嬉しそうに頬を緩ませす。
連絡を取っていないわけでも電話をしていないわけでもない。
ただディーノが傍に居る、名無しにとってそれがとても嬉しくて安心できるのだ。
「名無し」
『なぁに?』
名前を呼ばれ、名無しはそっと胸板から顔を離し彼を見上げる。
見上げれば名無しを抱きしめていたディーノの腕の力が緩み、左手で名無しの顎をくいっと持ち上げる。
視線と視線と自然とぶつかり、ゆっくりとディーノが距離を詰めていく。
ちゅっっと、音を立てながらお互いの唇が重なる。
柔らかく、一度離れてはまた重なり、啄むように名無しの唇に何度も口付ける。
『ん…ディーノ…?』
「俺はちゃんと、名無しの元に返ってくるからな」
まるで子供をあやすようにそう言いながら唇を重ねる。
バレないように、不安な気持ちを押し殺していたはずなのに…どうやらディーノにはバレていた様だ。
驚かせようと黙って来たのもあるだろうが…きっと名無しの本音を聞きたかったのだろう。
じっと真剣な眼差しでディーノは名無しを見る。
その瞳には一切の迷いもなく、ただ真っすぐに名無しを映し出す。
『約束だよ?』
「勿論」
お互いそう言って笑い合い、どちらからともなくまた唇を重ねた。
夜空に瞬く星だけが、ディーノと名無しの約束を見守りながら…二人は再び唇を重ねる。
どちらからともなく、惹き合うように何度も何度も重ね合う――――…
気が付けば ゼロ距離
2024/07/26
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