短編
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※ディーノ先生(英語教師)×生徒
7月も下旬になり、暑さも日に日に増して来た頃。
並盛中2年Aの教室で名無しは窓からぼんやりと校庭を見ていた。
朝早いにもかかわらず校庭からは野球部の元気な掛け声が聞こえる。
(野球部元気だな~)
朝早いと言えど夏の日差しは容赦なく校庭を照らしている。
クーラーもついていない教室はとても暑く、窓から入ってくる風だけが名無しにとって唯一の味方だった。
「ほら、よそ見せずに問題解けよ名無し」
『はーい…ディーノ先生』
くるっと丸められた教科書で軽く頭を叩かれれば、名無しはようやく校庭から視線をずらし正面を見た。
名無しの座っている椅子に向き合うように1つ机を挟んで座っているのは英語教師であるディーノ。
キャバッローネ・ファミリーのボスであり、名無しの恋人でもある。
そんな彼がどうして並盛中の英語教師なんてしているのだろうと事情を知ってはいるものの、やはり見慣れないその姿にはドキッとさせられてしまう。
普段かけない黒縁眼鏡をかけ、刺青が見えないように首から腕にかけて絆創膏や包帯がされている。
クールビズの為ネクタイはしていない、そのせいかほんの少し着崩されたYシャツから見える肌に大人の色香を感じさせる。
他の女子生徒や女子教師が居ればそんなディーノの姿を見て黄色い声を上げていただろう。
だが、現在教室内には名無しとディーノの2人しかいない。
世間はいわば夏休みに入っている、此処並盛中も同様に夏休み期間に入っているのだ。
では何故今名無しが教室内にディーノと向かい合っているのかと言えば…夏休み前に行われた期末テストで、名無しは英語だけ赤点を取ってしまったからだ。
同じクラスであり、普段ダメツナと呼ばれる沢田綱吉ですら赤点を回避していると言うのに…だ。
(何でツナが赤点回避できて私は赤点なんだろう…)
そう思いながら名無しは再び答案用紙視線を戻した。
正直英語が得意かと言われれば名無し自身は得意とは言えない、逆に言えば苦手な部類だ。
英語なんて日本からでなければ使わない、そんな甘い考えの元英語の教科は後回しにしていたし赤点さえ取らなければいいと思っていた。
だがディーノが英語教師として並盛中にやって来た時から名無しも流石にまずいと思い日々勉強したのだ。
好きな人が請け負う科目だ、名無しだって流石に恋人に見せられないような点数を晒したくない。
他の教科は平均点さえ取れていればいいと思うほどテスト期間中英語の勉強に全力を注いだ。
今回の期末テストの英語はこれまでの中で一番いい点数を取れたものと、名無しは思った。
だがしかし良くなる所かまさか悪くなるなんて思っておらず、へこんだのは英語の補習をディーノ本人から伝えられた二日前の出来事。
テスト返却された時にボソリと、名無しだけに聞こえる大きさで告げられたのだから―――…
「ここ」
『へっ?』
そんな事を思い出しているとトントンと、軽く答案用紙をディーノが指さす。
まだ全部解き終わっていない答案用紙。
「分からないところがあれば聞いてくれ」と言ってその後名無しが解けるのを待っていたディーノから声をかけられると思わず、名無しは気の抜けた声で返事をしてしまう。
「解答1問ずつズレてるぞ?」
『あれ…あ、ほんとだ』
そう指摘され問題用紙を見てみると、確かに解答欄が一問ずつズレていた。
よく見ると前の問題を1問飛ばしていたようだ。
慌てて『ありがとうございます…!』とディーノに言いながら、名無しは消しゴムでズレた答えを消し、その下の欄に先ほどの答えを書く。
いつ解答がズレたのかは分からないが、ぼんやりとしていたからだろうと名無しは思いながら再び問題を解いていく。
一問、また一問と悩みながらも確実に解答欄を埋める。
そうしてようやく解き終えた答案用紙をディーノに『出来ました!』と満面の笑みで渡す。
ディーノが名無しから答案用紙を受け取れば早速赤ペンを持ち採点していく。
キュッ、キュッの赤ペンが走る音が名無しに聞こえ、祈るかのように名無しはぎゅっと両手を重ねる。
数分後、ディーノが赤ペンを置けば「よし、合格だな」と笑みを浮かべた。
「あのままズレて書いてたら名無しまた補習になってたからな」
『う…それは…嬉しいような嬉しくないような…』
ディーノの言葉に、名無しは俯き言葉を紡ぐ。
英語教師として在籍しているため公の場で会う事は出来ない。
学校での仕事や、マフィアの仕事を考えたら尚更私生活で会う事は難しくなる。
かと言って補習ばかり受けるのは周りの目を気にしなくて済むが、名無し自身英語が出来ないとディーノに思われるのも複雑だった。
あれだけテスト期間中英語の教科に力を入れたのにまさかのこの様だったのだから。
恋人であるディーノにこれ以上英語が出来ない事がバレるのは恥ずかしい。
「名無し」
目の前に座っているディーノから名前を呼ばれ、名無しは俯いていた顔を上げる。
顔を上げたと同時に名無しの視界にはディーノの整った顔が映り込む。
(鳶色の瞳が今日も綺麗だなぁ)
名無しの大好きなディーノの瞳。
そんな恋人の顔をまじまじ見ていると、ゆっくりとディーノのは名無しに顔を寄せちゅっ、とリップ音が鳴り名無しの唇にキスを一つ落とす。
「ちゃんと出来たご褒美な」
そう言って悪戯が成功したかのように、人差し指を口元に当てディーノは妖艶な笑みを浮かべた。
一瞬何をされたのか頭が追い付かず、瞬きを繰り返す。
だが何をされたのか理解すれば『先生此処学校…?!』って慌てふためく。
いくら夏休みと言えど部活動で学校に来ている生徒や先生が居るのだ。
2年A組の教室内には確かに名無しとディーノの二人しかいないのだが、どこに目があるかなんて分からない。
慌てふためく名無しを見ながら、そんな彼女が可愛いと思う。
「バレなきゃいいだろ?」
『ディーノ先生そう言う問題じゃあ…』
「大丈夫、ちゃんと周りは確認したし誰も居ないって」
そう言われれば名無しは言葉を噤む。
一般人であり目で確認する事しか出来ない名無しより、マフィアのボスとして危ない場面を乗り越えてきたディーノだ。
人の目も気配には確かに敏感である…たまにへなちょこだが。
「それに…大事な彼女が頑張ったんだから、少しくらい甘やかしてもいいだろ?」
そう言いながらまた一つキスを落とす。
名無しが英語が苦手な事は以前から知っていた。
赤点回避さえしているものの、他の教科よりも遥かに点数が低い。
それでもディーノが英語教師として赴任してきてからは英語の勉強も日々頑張っていたのをディーノは知っている。
気軽に会える距離でそうじゃない距離。
教師と生徒だ、頻繁に会うわけにもいかない絡む事も少なくなる。
更にはマフィアのボスでもある彼だ、二足の草鞋を履くのはなかなかに難しい。
だがこうして補習とは言えど名無しとの時間が嬉しく、また頑張っている彼女の姿をまじかで見たのだ。
少し位甘やかした所で罰は当たらないだろう。
『でも…私期末テスト赤点でしたよ?』
「まぁ点数的には赤点なんだがな…そうでもないって言うか…」
『?』
ディーノの歯切れの悪い言葉に名無しは首を傾げる。
そうでもないとはどういう事だろう?とじっとディーノを見る。
言い辛そうにしているが、ディーノは決意したように言葉を紡いだ。
「実質平均点以上って言うか…90点近かったんだよ名無し」
『え?!』
ディーノが放った言葉に、名無しの目は大きく見開かれる。
その言葉が正しければそもそも赤点ですらないしこの補習も受ける事は無かった。
なら何故今現在こうしてディーノと共に補習を受けているのだろうと名無しは不思議でならない。
「名無し…」
『は、はいっ…?』
「お前記号で答えろって問題全部文章で書いたろ?あれ記号で書いてたら90点取れそうだったんだよな」
『…Oh…』
ディーノの放ったその言葉に…名無しは今日一番何とも言えない表情で自分の期末テストの結果を知る事になった―――…
補習の時間
(ちゃんと見直ししろよ?)
(あはは…ですね)
(今回は補習で終わらせてるけど…次同じ事やったら流石の俺も名無しにお仕置位しないとだしな)
(?!ちゃ、ちゃんと見直しします!!!)
2024/07/25
7月も下旬になり、暑さも日に日に増して来た頃。
並盛中2年Aの教室で名無しは窓からぼんやりと校庭を見ていた。
朝早いにもかかわらず校庭からは野球部の元気な掛け声が聞こえる。
(野球部元気だな~)
朝早いと言えど夏の日差しは容赦なく校庭を照らしている。
クーラーもついていない教室はとても暑く、窓から入ってくる風だけが名無しにとって唯一の味方だった。
「ほら、よそ見せずに問題解けよ名無し」
『はーい…ディーノ先生』
くるっと丸められた教科書で軽く頭を叩かれれば、名無しはようやく校庭から視線をずらし正面を見た。
名無しの座っている椅子に向き合うように1つ机を挟んで座っているのは英語教師であるディーノ。
キャバッローネ・ファミリーのボスであり、名無しの恋人でもある。
そんな彼がどうして並盛中の英語教師なんてしているのだろうと事情を知ってはいるものの、やはり見慣れないその姿にはドキッとさせられてしまう。
普段かけない黒縁眼鏡をかけ、刺青が見えないように首から腕にかけて絆創膏や包帯がされている。
クールビズの為ネクタイはしていない、そのせいかほんの少し着崩されたYシャツから見える肌に大人の色香を感じさせる。
他の女子生徒や女子教師が居ればそんなディーノの姿を見て黄色い声を上げていただろう。
だが、現在教室内には名無しとディーノの2人しかいない。
世間はいわば夏休みに入っている、此処並盛中も同様に夏休み期間に入っているのだ。
では何故今名無しが教室内にディーノと向かい合っているのかと言えば…夏休み前に行われた期末テストで、名無しは英語だけ赤点を取ってしまったからだ。
同じクラスであり、普段ダメツナと呼ばれる沢田綱吉ですら赤点を回避していると言うのに…だ。
(何でツナが赤点回避できて私は赤点なんだろう…)
そう思いながら名無しは再び答案用紙視線を戻した。
正直英語が得意かと言われれば名無し自身は得意とは言えない、逆に言えば苦手な部類だ。
英語なんて日本からでなければ使わない、そんな甘い考えの元英語の教科は後回しにしていたし赤点さえ取らなければいいと思っていた。
だがディーノが英語教師として並盛中にやって来た時から名無しも流石にまずいと思い日々勉強したのだ。
好きな人が請け負う科目だ、名無しだって流石に恋人に見せられないような点数を晒したくない。
他の教科は平均点さえ取れていればいいと思うほどテスト期間中英語の勉強に全力を注いだ。
今回の期末テストの英語はこれまでの中で一番いい点数を取れたものと、名無しは思った。
だがしかし良くなる所かまさか悪くなるなんて思っておらず、へこんだのは英語の補習をディーノ本人から伝えられた二日前の出来事。
テスト返却された時にボソリと、名無しだけに聞こえる大きさで告げられたのだから―――…
「ここ」
『へっ?』
そんな事を思い出しているとトントンと、軽く答案用紙をディーノが指さす。
まだ全部解き終わっていない答案用紙。
「分からないところがあれば聞いてくれ」と言ってその後名無しが解けるのを待っていたディーノから声をかけられると思わず、名無しは気の抜けた声で返事をしてしまう。
「解答1問ずつズレてるぞ?」
『あれ…あ、ほんとだ』
そう指摘され問題用紙を見てみると、確かに解答欄が一問ずつズレていた。
よく見ると前の問題を1問飛ばしていたようだ。
慌てて『ありがとうございます…!』とディーノに言いながら、名無しは消しゴムでズレた答えを消し、その下の欄に先ほどの答えを書く。
いつ解答がズレたのかは分からないが、ぼんやりとしていたからだろうと名無しは思いながら再び問題を解いていく。
一問、また一問と悩みながらも確実に解答欄を埋める。
そうしてようやく解き終えた答案用紙をディーノに『出来ました!』と満面の笑みで渡す。
ディーノが名無しから答案用紙を受け取れば早速赤ペンを持ち採点していく。
キュッ、キュッの赤ペンが走る音が名無しに聞こえ、祈るかのように名無しはぎゅっと両手を重ねる。
数分後、ディーノが赤ペンを置けば「よし、合格だな」と笑みを浮かべた。
「あのままズレて書いてたら名無しまた補習になってたからな」
『う…それは…嬉しいような嬉しくないような…』
ディーノの言葉に、名無しは俯き言葉を紡ぐ。
英語教師として在籍しているため公の場で会う事は出来ない。
学校での仕事や、マフィアの仕事を考えたら尚更私生活で会う事は難しくなる。
かと言って補習ばかり受けるのは周りの目を気にしなくて済むが、名無し自身英語が出来ないとディーノに思われるのも複雑だった。
あれだけテスト期間中英語の教科に力を入れたのにまさかのこの様だったのだから。
恋人であるディーノにこれ以上英語が出来ない事がバレるのは恥ずかしい。
「名無し」
目の前に座っているディーノから名前を呼ばれ、名無しは俯いていた顔を上げる。
顔を上げたと同時に名無しの視界にはディーノの整った顔が映り込む。
(鳶色の瞳が今日も綺麗だなぁ)
名無しの大好きなディーノの瞳。
そんな恋人の顔をまじまじ見ていると、ゆっくりとディーノのは名無しに顔を寄せちゅっ、とリップ音が鳴り名無しの唇にキスを一つ落とす。
「ちゃんと出来たご褒美な」
そう言って悪戯が成功したかのように、人差し指を口元に当てディーノは妖艶な笑みを浮かべた。
一瞬何をされたのか頭が追い付かず、瞬きを繰り返す。
だが何をされたのか理解すれば『先生此処学校…?!』って慌てふためく。
いくら夏休みと言えど部活動で学校に来ている生徒や先生が居るのだ。
2年A組の教室内には確かに名無しとディーノの二人しかいないのだが、どこに目があるかなんて分からない。
慌てふためく名無しを見ながら、そんな彼女が可愛いと思う。
「バレなきゃいいだろ?」
『ディーノ先生そう言う問題じゃあ…』
「大丈夫、ちゃんと周りは確認したし誰も居ないって」
そう言われれば名無しは言葉を噤む。
一般人であり目で確認する事しか出来ない名無しより、マフィアのボスとして危ない場面を乗り越えてきたディーノだ。
人の目も気配には確かに敏感である…たまにへなちょこだが。
「それに…大事な彼女が頑張ったんだから、少しくらい甘やかしてもいいだろ?」
そう言いながらまた一つキスを落とす。
名無しが英語が苦手な事は以前から知っていた。
赤点回避さえしているものの、他の教科よりも遥かに点数が低い。
それでもディーノが英語教師として赴任してきてからは英語の勉強も日々頑張っていたのをディーノは知っている。
気軽に会える距離でそうじゃない距離。
教師と生徒だ、頻繁に会うわけにもいかない絡む事も少なくなる。
更にはマフィアのボスでもある彼だ、二足の草鞋を履くのはなかなかに難しい。
だがこうして補習とは言えど名無しとの時間が嬉しく、また頑張っている彼女の姿をまじかで見たのだ。
少し位甘やかした所で罰は当たらないだろう。
『でも…私期末テスト赤点でしたよ?』
「まぁ点数的には赤点なんだがな…そうでもないって言うか…」
『?』
ディーノの歯切れの悪い言葉に名無しは首を傾げる。
そうでもないとはどういう事だろう?とじっとディーノを見る。
言い辛そうにしているが、ディーノは決意したように言葉を紡いだ。
「実質平均点以上って言うか…90点近かったんだよ名無し」
『え?!』
ディーノが放った言葉に、名無しの目は大きく見開かれる。
その言葉が正しければそもそも赤点ですらないしこの補習も受ける事は無かった。
なら何故今現在こうしてディーノと共に補習を受けているのだろうと名無しは不思議でならない。
「名無し…」
『は、はいっ…?』
「お前記号で答えろって問題全部文章で書いたろ?あれ記号で書いてたら90点取れそうだったんだよな」
『…Oh…』
ディーノの放ったその言葉に…名無しは今日一番何とも言えない表情で自分の期末テストの結果を知る事になった―――…
補習の時間
(ちゃんと見直ししろよ?)
(あはは…ですね)
(今回は補習で終わらせてるけど…次同じ事やったら流石の俺も名無しにお仕置位しないとだしな)
(?!ちゃ、ちゃんと見直しします!!!)
2024/07/25
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