家庭教師ヒットマンREBORN!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※【ディーノside】
「なぁ名無し」
『………』
「何でそんな膨れっ面してんだよ?」
早朝、ディーノは何故か分からないが、恋人である名無しがディーノとは口をきかずぷくっと頬を膨らませた顔つきでいた。
恋人であるはずなのに目も合わせず、ディーノの事等まるで居ないような扱いをしている。
普段のラフな格好ではなく、ネクタイを緩めたスーツ姿のディーノ。
「名無し」
『……』
「名無し」
『…………』
先程から何度も名無しの名を呼んでいるのに、名無しはピクリとも反応せずただただディーノを無視する。
(何でそんな不機嫌そうなんだよ…)
ディーノに何の反応も示さない名無しに、ディーノは思わず心の中で溜息を付いた。
自分の恋人である名無しは昨日の夜から不機嫌だった。
ディーノを無視し、スタスタと一人歩いては食堂に向かう名無し。
目も合わせてくれずディーノの事等まるで居ないように扱う名無しに対し、ディーノはどうしたものかと途方に暮れていた。
何故自分がこんな扱いを受けているのだろうと考えるものの、全く心当たりがないのだ。
昨日から機嫌が悪いと言えど、それはディーノが帰って来てからの事だ。
昨夜ディーノは同盟ファミリー主催のパーティーに参加していた。
頻繁ではないものの、同盟ファミリーのパーティーに参加する事は珍しくなく、名無しだってディーノがキャバッローネ・ファミリーのボスだと言う事は十分に理解している。
普段であれば『お仕事頑張って来てね』と見送っては、どれだけディーノの帰りが遅くなったとしても帰ってくるまで起きて待っている。
どれだけディーノが「遅くなるから名無しは先に寝てていいぞ?」と言っても、名無しは譲らず『起きて待ってるね』と笑みを浮かべてはディーノの帰りを待ってくれるのだ。
昨夜だって普段と変わらないように遅くなったことを謝り、いつものように名無しに触れようとしたが…伸ばした手は名無しの手によって弾かれた。
パシンッと乾いた音と共に、ディーノの手には痛みが走り一瞬何をされたのかディーノは理解できなかった。
それは後ろに控えていたロマーリオも同じく、名無しがディーノを拒んだ事に驚く。
普段なら「熱いな~、お二人さん」と揶揄う言葉を口にするロマーリオではあるが、二人が付き合ってから名無しがディーノを拒むこと等一度たりとも無かったのだ。
「……名無し?」
手を弾かれた事が未だ理解出来ず鳩が豆鉄砲を食ったよう表情でディーノは名無しを見る。
そんなディーノに対し、名無しはぷくっと膨れっ面を晒してはキッとディーノを睨みつけた。
ぷくっと頬を膨らませる名無しの姿はディーノからすれば愛らしく、そんな表情ですら可愛いと思ってしまう程だ。
だが明らかに様子のおかしい名無しに、ディーノは戸惑いながら声をかける。
「ど、どうしたんだよ名無し…?」
何故名無しが膨れっ面をするのか理解できず、思わず声をかける。
日付は既に変わっており、長い時間名無しを待たせた事には変わりない。
だが普段よりも早く同盟ファミリーのパーティーを切り上げ帰って来たのだ。
それなのに何故名無しはそんな表情をするのかと、何が気に食わなかったのだろうとディーノは全く分からず名無しを見る。
『………ディーノの馬鹿!!!』
たった一言名無しはそう叫び、スタスタと応接室から出て行く。
バタンと勢いよく応接室の扉が締まれば、ディーノは我に返り「え…なっ?!名無し?!ちょっ?!…名無しどうしたんだよ?!」と慌てて名無しの後を追いかけた。
無論、傍に控えていたロマーリオもそんなディーノの後を慌てて追うのだ。
先程と変わらず膨れっ面のまま、名無しは長いキャバッローネ・ファミリーの屋敷をスタスタと歩く。
何度も後ろから「名無し!どうしたんだよ?名無し?」とディーノが声をかけるものの、名無しは何も答える事はなかった。
「名無し」
『ディーノなんか知らない!!!おやすみ!!!』
バタンと、これまた勢いよく名無しは部屋の扉を閉めた。
「そこ俺の部屋…」
ディーノの言葉は名無しには届かず、無慈悲にガチャリと部屋の鍵を閉める音だけがやけにディーノの耳に響いた。
昨夜の事を思い出して見たものの、ディーノは皆目見当もつかなかった。
仕方なくディーノは客室で寝て今朝になっては自分自身の部屋の前で名無しが出てくるのを待った。
そして冒頭のような会話も無ければ無視されたままの状態が続いていたのだ。
「何だ、まだ仲直り出来てねぇーのかボス?」
「………ロマーリオ」
廊下でポツンと1人途方に暮れていると、背後からロマーリオの声が聞こえディーノはゆっくりと振り返った。
「俺、名無しに知らずうちになんかしちまったのか…?」
どれだけ考えても、名無しが不機嫌になった理由をディーノは皆目見当もつかないままだった。
本当に、何故突然名無しの機嫌が悪くなり口もきいてくれない目も合わせてくれない状況になってしまったのかとディーノは落ち込んだ。
何か気に障る事をしてしまったのなら謝りたいとディーノだって思う。
だが全く心当たりがないのだ。
何について謝ればいいのか、何故不機嫌なのかが分からなければディーノだって謝りようがない。
はぁ…と溜息を付き肩を落とすディーノを見ながらロマーリオはつい苦笑する。
だがそんな自分のボスにロマーリオは近づいた瞬間。
「……なぁ、ボス。昨日帰って来てからシャワー浴びたか…?」
と、自身のボスに問う。
「シャワーか?…否、今日も朝から名無しの事が気になって浴びてねぇーな…」
そもそも着替えがあるディーノの部屋に鍵を閉めて名無しは眠ったのだ。
替えの服もない状態でどうしろと言うのだとディーノは思ったと同時に何故そんな事を聞くのだろうかとディーノはロマーリオへと視線を向ける。
視線を向ければ、ロマーリオは珍しく眉間に皺をよせていた。
「ボス、嬢ちゃんが不機嫌な理由…俺分かっちまったわ」
「なっ?!どういう事だよロマーリオ?!」
その言葉に思わず食い気味にディーノはロマーリオに迫った。
5千人の部下を束ねるキャバッローネ・ファミリーのボスと言えど、ディーノだって1人の男に過ぎない。
情けない事に名無しにだけは嫌われたくないのだ。
一体何が原因で名無しが不機嫌なのか、自分の何がいけなかったのかと縋るような思いでロマーリオをじっと見てはロマーリオの言葉を待つ。
「…俺も昨日は気づかなかったが…多分、臭いだ」
「臭い?」
ロマーリオの言葉に、ディーノはつい自分の服の袖を嗅ぐ。
だがいつもと何ら変わらない匂いしかしなかった。
昨夜、自分の部屋に入れなかったディーノは着替える事も出来ず同盟ファミリーのパーティーに出席したスーツ姿のままだ。
冬場だからそれほど汗をかくわけでもなく、パーティー終了後名無しに「ただいま」と言う時だって今までは特に何かを指摘される事も不機嫌になられる事もなかったのだ。
自分の匂いだ。
ディーノ自身だからこそ分からないだけで名無しやロマーリオからしたら相当臭うのかとディーノは思ってしまう。
それならそうと言ってくれればいいのにと思い「汗臭いって事か…?」とロマーリオに問うものの、ロマーリオは首を横に振る。
じゃあ一体何なんだとディーノは訳が分からず首を捻るが、ロマーリオは言い辛そうに口を開いた。
「…香水臭い」
「香水?」
ロマーリオの言葉にディーノはさらに首を傾げる。
確かにディーノは同盟ファミリーのパーティーに行く時は身だしなみの一環として香水を付けるがそれでもきつくない程度、ほんの2、3プッシュを手首に付ける程度だ。
付けすぎても香りが強くなりすぎて逆に不快な思いをさせてしまう。
普段通り2、3プッシュしかしていないし、香りに関しても名無しだってディーノの付けている香水に関しては寧ろいい匂いだと絶賛している。
TPOに合わせて香りは使い分けてはいるが、それでも名無しに不機嫌な表情をされた事は1度もない。
「否、ボス自身の香水の匂いじゃなくてだな」
「俺自身の香水じゃない…?」
「昨日ボスパーティー会場で女性に囲まれてだろ?多分その臭いだ。俺も香水の匂いに鼻が慣れちまったから気づかなかったが…今のボス相当女物の香水臭いぞ」
ロマーリオの言葉に、ディーノは目を見開きようやく名無しが不機嫌な理由を理解した。
昨夜は確かに普段の同盟ファミリーのパーティーよりも女性の出席が多く、ディーノも確かに何人かの女性に囲まれていた。
同盟ファミリーのボスの娘や同じくマフィアの女性等それこそ居たが、普段見慣れている面子ではなかったのを思い出す。
複数の女性から声をかけられる事も合ったが当たり障りのない話しかディーノはしていない。
公言はまだしていないものの、ディーノには名無しと言う恋人が居るのだ。
名無し以外の女性に興味も無ければどうにか関係を持ちたいとも思ったりしない。
だからこそ本当に当たり障りのない話しかしなかったが、ある意味でそれが原因なのだろう。
パーティーに参加していた見慣れない面子の女性達の香水の匂いが強かったのだ。
むせ返る臭いにディーノも、ロマーリオも思わず顔を顰めそうになったが何とか耐え普段通りに振舞った。
同じ匂いを嗅ぎ過ぎたせいか、時間が経つにつれて香水の匂いは不思議と無くなっていた。
だがそれは香水の匂いが残り香程度になったからだと思っていたが実際には違う。
人間の鼻は順応しやすいのだ。
その為同じパーティー会場に居たロマーリオも昨夜は分からなかったが、一夜明けてみれば嗅覚が正常に戻りディーノの身に染みついた香水の匂いに気づいた。
「パーティーに参加していない嬢ちゃんからしたら、ボスがどこの馬の骨とも知らねぇー女物の香水の匂い付けて帰ってきたら…そりゃ不機嫌になっちまうわな」
もし逆の立場だったらディーノだって不機嫌になってしまう。
自分の彼女が…恋人がどこの馬の骨とも知らない男物の香水の匂いを漂わせていたら誤解を招きかねないしそれこそ嫉妬してしまうだろう。
ディーノが名無しを好きな事も、愛しているのも名無し自身理解しているはずだ。
信用されていないわけでもないし、仕事の関係で女性と話す事も名無し自身分かっている。
だがそれでも知らない人間の…ましてや異性の香水の匂いなんて付けてきたら面白いわけがない。
腹が立ちもすれば嫉妬もし、どういう事だと問い詰められたって仕方ないはずだ。
昨夜名無しが言った『ディーノの馬鹿!!!』と言う言葉も、名無しが必死に絞り出した言葉なのだろう。
「ロマーリオ…俺シャワー浴びてくる」
「あぁ、それが正解だぜボス。それまでは俺が嬢ちゃんの機嫌取りしててやっから…さっさとその香水の匂い落として来たほうがいいぜ」
ロマーリオの言葉に「サンキュー、ロマーリオ」と言い残して、ディーノは慌ててシャワールームへと走り出した―――…
Profumo di te
(………ディーノ?)
(悪い名無し嫌な思いさせて…ちゃんとシャワー浴びたしこれでどうだ…?)
(いつものディーノの匂いがする)
(気づかなくてごめんな、名無し)
(……ううん、私の方こそ昨日はごめんね…手、痛かったよね…)
(痛くなんかねぇーよ。俺よりもずっと、名無しの方が嫌な思いしてたしな)
2024/12/21
「なぁ名無し」
『………』
「何でそんな膨れっ面してんだよ?」
早朝、ディーノは何故か分からないが、恋人である名無しがディーノとは口をきかずぷくっと頬を膨らませた顔つきでいた。
恋人であるはずなのに目も合わせず、ディーノの事等まるで居ないような扱いをしている。
普段のラフな格好ではなく、ネクタイを緩めたスーツ姿のディーノ。
「名無し」
『……』
「名無し」
『…………』
先程から何度も名無しの名を呼んでいるのに、名無しはピクリとも反応せずただただディーノを無視する。
(何でそんな不機嫌そうなんだよ…)
ディーノに何の反応も示さない名無しに、ディーノは思わず心の中で溜息を付いた。
自分の恋人である名無しは昨日の夜から不機嫌だった。
ディーノを無視し、スタスタと一人歩いては食堂に向かう名無し。
目も合わせてくれずディーノの事等まるで居ないように扱う名無しに対し、ディーノはどうしたものかと途方に暮れていた。
何故自分がこんな扱いを受けているのだろうと考えるものの、全く心当たりがないのだ。
昨日から機嫌が悪いと言えど、それはディーノが帰って来てからの事だ。
昨夜ディーノは同盟ファミリー主催のパーティーに参加していた。
頻繁ではないものの、同盟ファミリーのパーティーに参加する事は珍しくなく、名無しだってディーノがキャバッローネ・ファミリーのボスだと言う事は十分に理解している。
普段であれば『お仕事頑張って来てね』と見送っては、どれだけディーノの帰りが遅くなったとしても帰ってくるまで起きて待っている。
どれだけディーノが「遅くなるから名無しは先に寝てていいぞ?」と言っても、名無しは譲らず『起きて待ってるね』と笑みを浮かべてはディーノの帰りを待ってくれるのだ。
昨夜だって普段と変わらないように遅くなったことを謝り、いつものように名無しに触れようとしたが…伸ばした手は名無しの手によって弾かれた。
パシンッと乾いた音と共に、ディーノの手には痛みが走り一瞬何をされたのかディーノは理解できなかった。
それは後ろに控えていたロマーリオも同じく、名無しがディーノを拒んだ事に驚く。
普段なら「熱いな~、お二人さん」と揶揄う言葉を口にするロマーリオではあるが、二人が付き合ってから名無しがディーノを拒むこと等一度たりとも無かったのだ。
「……名無し?」
手を弾かれた事が未だ理解出来ず鳩が豆鉄砲を食ったよう表情でディーノは名無しを見る。
そんなディーノに対し、名無しはぷくっと膨れっ面を晒してはキッとディーノを睨みつけた。
ぷくっと頬を膨らませる名無しの姿はディーノからすれば愛らしく、そんな表情ですら可愛いと思ってしまう程だ。
だが明らかに様子のおかしい名無しに、ディーノは戸惑いながら声をかける。
「ど、どうしたんだよ名無し…?」
何故名無しが膨れっ面をするのか理解できず、思わず声をかける。
日付は既に変わっており、長い時間名無しを待たせた事には変わりない。
だが普段よりも早く同盟ファミリーのパーティーを切り上げ帰って来たのだ。
それなのに何故名無しはそんな表情をするのかと、何が気に食わなかったのだろうとディーノは全く分からず名無しを見る。
『………ディーノの馬鹿!!!』
たった一言名無しはそう叫び、スタスタと応接室から出て行く。
バタンと勢いよく応接室の扉が締まれば、ディーノは我に返り「え…なっ?!名無し?!ちょっ?!…名無しどうしたんだよ?!」と慌てて名無しの後を追いかけた。
無論、傍に控えていたロマーリオもそんなディーノの後を慌てて追うのだ。
先程と変わらず膨れっ面のまま、名無しは長いキャバッローネ・ファミリーの屋敷をスタスタと歩く。
何度も後ろから「名無し!どうしたんだよ?名無し?」とディーノが声をかけるものの、名無しは何も答える事はなかった。
「名無し」
『ディーノなんか知らない!!!おやすみ!!!』
バタンと、これまた勢いよく名無しは部屋の扉を閉めた。
「そこ俺の部屋…」
ディーノの言葉は名無しには届かず、無慈悲にガチャリと部屋の鍵を閉める音だけがやけにディーノの耳に響いた。
昨夜の事を思い出して見たものの、ディーノは皆目見当もつかなかった。
仕方なくディーノは客室で寝て今朝になっては自分自身の部屋の前で名無しが出てくるのを待った。
そして冒頭のような会話も無ければ無視されたままの状態が続いていたのだ。
「何だ、まだ仲直り出来てねぇーのかボス?」
「………ロマーリオ」
廊下でポツンと1人途方に暮れていると、背後からロマーリオの声が聞こえディーノはゆっくりと振り返った。
「俺、名無しに知らずうちになんかしちまったのか…?」
どれだけ考えても、名無しが不機嫌になった理由をディーノは皆目見当もつかないままだった。
本当に、何故突然名無しの機嫌が悪くなり口もきいてくれない目も合わせてくれない状況になってしまったのかとディーノは落ち込んだ。
何か気に障る事をしてしまったのなら謝りたいとディーノだって思う。
だが全く心当たりがないのだ。
何について謝ればいいのか、何故不機嫌なのかが分からなければディーノだって謝りようがない。
はぁ…と溜息を付き肩を落とすディーノを見ながらロマーリオはつい苦笑する。
だがそんな自分のボスにロマーリオは近づいた瞬間。
「……なぁ、ボス。昨日帰って来てからシャワー浴びたか…?」
と、自身のボスに問う。
「シャワーか?…否、今日も朝から名無しの事が気になって浴びてねぇーな…」
そもそも着替えがあるディーノの部屋に鍵を閉めて名無しは眠ったのだ。
替えの服もない状態でどうしろと言うのだとディーノは思ったと同時に何故そんな事を聞くのだろうかとディーノはロマーリオへと視線を向ける。
視線を向ければ、ロマーリオは珍しく眉間に皺をよせていた。
「ボス、嬢ちゃんが不機嫌な理由…俺分かっちまったわ」
「なっ?!どういう事だよロマーリオ?!」
その言葉に思わず食い気味にディーノはロマーリオに迫った。
5千人の部下を束ねるキャバッローネ・ファミリーのボスと言えど、ディーノだって1人の男に過ぎない。
情けない事に名無しにだけは嫌われたくないのだ。
一体何が原因で名無しが不機嫌なのか、自分の何がいけなかったのかと縋るような思いでロマーリオをじっと見てはロマーリオの言葉を待つ。
「…俺も昨日は気づかなかったが…多分、臭いだ」
「臭い?」
ロマーリオの言葉に、ディーノはつい自分の服の袖を嗅ぐ。
だがいつもと何ら変わらない匂いしかしなかった。
昨夜、自分の部屋に入れなかったディーノは着替える事も出来ず同盟ファミリーのパーティーに出席したスーツ姿のままだ。
冬場だからそれほど汗をかくわけでもなく、パーティー終了後名無しに「ただいま」と言う時だって今までは特に何かを指摘される事も不機嫌になられる事もなかったのだ。
自分の匂いだ。
ディーノ自身だからこそ分からないだけで名無しやロマーリオからしたら相当臭うのかとディーノは思ってしまう。
それならそうと言ってくれればいいのにと思い「汗臭いって事か…?」とロマーリオに問うものの、ロマーリオは首を横に振る。
じゃあ一体何なんだとディーノは訳が分からず首を捻るが、ロマーリオは言い辛そうに口を開いた。
「…香水臭い」
「香水?」
ロマーリオの言葉にディーノはさらに首を傾げる。
確かにディーノは同盟ファミリーのパーティーに行く時は身だしなみの一環として香水を付けるがそれでもきつくない程度、ほんの2、3プッシュを手首に付ける程度だ。
付けすぎても香りが強くなりすぎて逆に不快な思いをさせてしまう。
普段通り2、3プッシュしかしていないし、香りに関しても名無しだってディーノの付けている香水に関しては寧ろいい匂いだと絶賛している。
TPOに合わせて香りは使い分けてはいるが、それでも名無しに不機嫌な表情をされた事は1度もない。
「否、ボス自身の香水の匂いじゃなくてだな」
「俺自身の香水じゃない…?」
「昨日ボスパーティー会場で女性に囲まれてだろ?多分その臭いだ。俺も香水の匂いに鼻が慣れちまったから気づかなかったが…今のボス相当女物の香水臭いぞ」
ロマーリオの言葉に、ディーノは目を見開きようやく名無しが不機嫌な理由を理解した。
昨夜は確かに普段の同盟ファミリーのパーティーよりも女性の出席が多く、ディーノも確かに何人かの女性に囲まれていた。
同盟ファミリーのボスの娘や同じくマフィアの女性等それこそ居たが、普段見慣れている面子ではなかったのを思い出す。
複数の女性から声をかけられる事も合ったが当たり障りのない話しかディーノはしていない。
公言はまだしていないものの、ディーノには名無しと言う恋人が居るのだ。
名無し以外の女性に興味も無ければどうにか関係を持ちたいとも思ったりしない。
だからこそ本当に当たり障りのない話しかしなかったが、ある意味でそれが原因なのだろう。
パーティーに参加していた見慣れない面子の女性達の香水の匂いが強かったのだ。
むせ返る臭いにディーノも、ロマーリオも思わず顔を顰めそうになったが何とか耐え普段通りに振舞った。
同じ匂いを嗅ぎ過ぎたせいか、時間が経つにつれて香水の匂いは不思議と無くなっていた。
だがそれは香水の匂いが残り香程度になったからだと思っていたが実際には違う。
人間の鼻は順応しやすいのだ。
その為同じパーティー会場に居たロマーリオも昨夜は分からなかったが、一夜明けてみれば嗅覚が正常に戻りディーノの身に染みついた香水の匂いに気づいた。
「パーティーに参加していない嬢ちゃんからしたら、ボスがどこの馬の骨とも知らねぇー女物の香水の匂い付けて帰ってきたら…そりゃ不機嫌になっちまうわな」
もし逆の立場だったらディーノだって不機嫌になってしまう。
自分の彼女が…恋人がどこの馬の骨とも知らない男物の香水の匂いを漂わせていたら誤解を招きかねないしそれこそ嫉妬してしまうだろう。
ディーノが名無しを好きな事も、愛しているのも名無し自身理解しているはずだ。
信用されていないわけでもないし、仕事の関係で女性と話す事も名無し自身分かっている。
だがそれでも知らない人間の…ましてや異性の香水の匂いなんて付けてきたら面白いわけがない。
腹が立ちもすれば嫉妬もし、どういう事だと問い詰められたって仕方ないはずだ。
昨夜名無しが言った『ディーノの馬鹿!!!』と言う言葉も、名無しが必死に絞り出した言葉なのだろう。
「ロマーリオ…俺シャワー浴びてくる」
「あぁ、それが正解だぜボス。それまでは俺が嬢ちゃんの機嫌取りしててやっから…さっさとその香水の匂い落として来たほうがいいぜ」
ロマーリオの言葉に「サンキュー、ロマーリオ」と言い残して、ディーノは慌ててシャワールームへと走り出した―――…
Profumo di te
(………ディーノ?)
(悪い名無し嫌な思いさせて…ちゃんとシャワー浴びたしこれでどうだ…?)
(いつものディーノの匂いがする)
(気づかなくてごめんな、名無し)
(……ううん、私の方こそ昨日はごめんね…手、痛かったよね…)
(痛くなんかねぇーよ。俺よりもずっと、名無しの方が嫌な思いしてたしな)
2024/12/21
27/76ページ