短編
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※微裏
『スクアーロってさー…ズルいよね』
情事を終え気怠い身体のせいか、名無しは未だベッドの上から抜け出せずだらだらとシーツに包まり身体を休めていた。
そんな名無しとは違いスクアーロはシャワーを浴び今しがたシャワールームから出てきた所だ。
ガシガシとタオルで濡れた銀色髪を拭くが、長いせいか乾くまで相当時間がかかるだろう。
そんなスクアーロを見ながら、名無しは先程までの事を思い出す。
明日…否、日付が変わってしまっているため本日名無しもスクアーロもお互い非番だ。
任務を終えればスクアーロが名無しを食事に誘いそのまま身体を重ねた。
お互い性欲は強い方ではあるものの、名無しはスクアーロほどの体力はない。
ましてや任務を終えてから何度身体を重ねイったのか分からないほどだ。
体力がないはずなのに、それでもスクアーロに求められれば名無しだって同じように求め返してしまう。
体力がなくても、それでも欲しいと望んでしまうのだ。
「ゔお゙ぉい!何がズルいんだ名無し」
相変わらず、スクアーロの声はけたたましい。
髪を拭きながらスクアーロは名無しの居るベッドへと腰掛けた。
下はかろうじて黒色のズボンを履いているものの、上半身は裸のままだ。
『ズルい上に…勘違いしちゃうよ、私?』
「ゔお゙ぉい…だからどういう事だぁ?」
名無しのなんの脈絡もない言葉に不思議そうに首を傾げ、名無しを見るスクアーロを名無しは見上げる。
ベッドに横たわっているせいか名無しがスクアーロを見上げれば必然的に上目遣いになってしまう。
そんな名無しに思わずチュッと音を立てながら、スクアーロは優しく名無しの唇に触れる。
触れるだけの優しいキス。
1度口付ければもう1度と言わんばかりに触れて離れてを繰り返す。
ただ触れているだけなのに、名無しは蕩けてしまいそうな感覚に陥る。
情事以外ではこんなにも優しいキスをする癖に、情事中はそれこそ貪るような口付けをしては名無しを快楽へと溺れさす。
ギャップにもともと弱い名無しだが、それだけでは勿論ないのだ。
(スクアーロは…ズルいよ…)
名無しは別にスクアーロと付き合っているわけではない。
名無しは特殊暗殺部隊ヴァリアーのNo.2兼作戦隊長であるスクアーロの部下だ。
だがそれは仕事中の話であり、プライベートではセフレである。
酔った勢いで一夜の過ちを犯してしまったが身体の相性が良かったのもあり、ずるずると名無しとスクアーロは休みが合えば幾度となく身体を重ねて来た。
だからこそ勘違いしてしまうと名無しは思う。
(こんなにも優しいキスされてたら…スクアーロが私の事好きなんじゃないかって思っちゃうよ…)
自分はただの部下でセフレでしかないのだ。
名無しはスクアーロに憧れており、いつしかそれは恋心へと変化した。
身体だけの関係のはずだったのに、それこそ恋愛感情を持ってしまえばセフレでいる事すら名無しは時たま苦しくなる。
だからこそスクアーロと付き合ってすらいないから、そんな風に優しい口付けをされてしまえば勘違いしそうになるのだ。
まだ引き返せるうちにと、名無しは『だから…それ』と指摘する。
自分のために、自分の立ち位置がただの部下でありセフレである事を忘れないために。
「それって何だ?」
『だからそーゆキスだよ…。そう言うのしてたら勘違いしちゃうでしょ、私が』
「あ゙ぁ゙?どういう事だ?」
察しが悪いのか名無しの発した言葉の意味が分からず、スクアーロは思わず髪を拭く手を止め名無しへと視線を向けた。
きちんと拭けていないせいか、スクアーロの長い銀色の髪からは水滴が滴り落ちる。
『…言葉通りの意味だよ?そんな風に優しいキスされたらさ…勘違いしちゃうじゃん?』
「だからなにを勘違いするって言うんだよ名無し」
『だから〜…スクアーロが私の事好きなんじゃないかって…勘違いしちゃうでしょ!』
スクアーロは目を大きく見開いたまま「は?」と、なんとも間抜けな表情で名無しを見る。
まるで何言ってんだコイツとでも言いたげな視線を向けられているが名無しはそんなにもおかしな事を言ったのかと思わず自分に聞きたくなる。
否、おかしい事は確かに言ったのだ。
セフレの癖に『私の事好きなんじゃないかって…勘違いしちゃうでしょ!』と言葉にしたのだから、スクアーロからすれば確かに何言ってるんだコイツと思われても仕方ないだろう。
「…おい、名無し一つ聞きたいんだが」
『何?』
間抜け面を晒したまま、スクアーロは名無しを見る。
珍しく間抜け面のままだな〜と、呑気に名無しは思いながらスクアーロを見上げていだが、次の瞬間名無しは自分の耳を疑うような発言をスクアーロは発する。
「……俺達付き合ってるよな?」
『……え?』
スクアーロの言葉に、名無しは思わず目を丸くする。
それもそのはずだ。
スクアーロは「俺達付き合ってるよな?」と名無しに問うたのだ。
付き合っている事すら思っていない名無しからすれば初耳だと言わざるおえない。
『ま、待ってスクアーロ…つ、付き合ってるって、誰と誰が…!?』
「俺と名無しがだ」
『ま、ま、待って待って待って…!?いつ私がスクアーロと付き合ったの!?と言うか私OKしたの!?』
思わず前のめりになりながらガバッとスクアーロに顔を近付ける。
『そもそも何時スクアーロは私に告白したのよ!?』
「あ゛ぁ゛!!2週間前に決まってるだろうが!!!」
『……2週、間…前?』
スクアーロの言葉に名無しは2週間前の事を思い出そうと必死に頭をまわした。
1週間前ならまだしも、2週間前となると名無しの記憶だってあやふやになってくる。
だが必死に思い出せばふと、2週間前と言えば丁度スクアーロと食事に行っていた時の事を思い出す。
食事を終え店から出た後。
「なぁ、名無し……付き合え」
と、スクアーロが言っていた。
途中風が強く吹き聞き取れていない言葉があったのもまた事実。
だがスクアーロの事だ、時間も時間だっ為食事を終え飲み足らずに飲みにいこうと言う誘いだと名無しは勝手に解釈をした。
だからこそ名無しは『うん、いいよ』と答えたのを覚えている。
その後急な任務が入りスクアーロの言った“付き合え”と言う飲みに行く事は出来なかったが…。
『“付き合え”って…飲みに行こうって話じゃなかったの…?』
「んなわけねーだろ。ちゃんと俺と付き合えって言っただろ」
『……俺との部分が聞こえなかったんだもん…』
「ゔお゙ぉい名無し…お前まさか今まで俺との関係セフレのまま続けてると思ってたなんて言わねぇーよな?」
じっと名無しを凝視するスクアーロから目を逸らし、名無しは頭を抱え焦った。
そのまさかであるのだ。
スクアーロに言われるまで、ずっと名無しは部下でありセフレだと思っていた。
仕事中は仕方ないにしろ、プライベートではセフレの時と変わらない行動だったし、言い訳をさせてもらえばどう考えても告白する雰囲気ではなかったのだ。
ちょっと次の店に行こうと言う軽いノリだった。
聞き返さなかった名無しも悪かったかもしれないが、それでも告白したと言う空気は微塵もなかったのだ。
『そう言えば、最近スクアーロと休みがやけに被ってるなって思ってたけど…まさか…』
「…名無しとの時間を作る為にいろいろ調整して合わせてるんだが?」
『で、でもスクアーロ他にセフレの子何人か居たよね…?』
「んなもんとっくの昔に清算したに決まってんだろ」
ドスのきいた声でスクアーロは名無しを睨む。
(あぁ…やばい、これは…怒ってる…)
じっと名無しから目を離さずに、ただただスクアーロは名無しを見ていた。
この状況が非常にまずい事だけは、名無しだって分かっている。
恐る恐る頭を抱えるのを止め、スクアーロを見上げれば…スクアーロの目が据わっていた。
ひと目見て名無しはヤバイと、名無しの本能が名無し自身に告げる。
『あ、あの…す、スクアーロさん…目が据わってます…よ…?』
思わず“さん”付けしてしまうほどの気迫に、名無しは冷や汗を流しながら気怠い身体をシーツに包まったまま後ずさりする。
当然だ。
スクアーロからしてみれば付き合っている…ましてや恋人だと思っていたのに名無しはただの部下でセフレだとずっと思っていたのだ。
「あ゛ぁ゛?そりゃあ名無しにんな勘違いされてたら目だって据わっちまうだろ」
『ね、ねぇスクアーロ…さっきシャワー浴びて来たばっかでしょ?もう今日はいいんじゃないかなぁ…』
「シャワーなんざ後でまた浴びればいいだけの話だ」
逃さないと言わんばかりに、ベッドの上で後ずさりする名無しをスクアーロはゆっくりと距離を詰める。
捕まったら最後だと思いながら後退りするものの、ベッドの上だ。
『ぁ…』
大きめサイズのベッドの上と言えど、逃げるのには限度がある。
トンっと、ベッドボードに名無しの背中が当たれば…もう逃げる場所は何処にもない。
血の気が引くような音がするなと名無しは目の前まで距離を詰めたスクアーロを見た。
今までに見たことがないほど、スクアーロはいい笑顔で名無しを見つめている。
「なぁ、名無し」
『な、なぁ…に…す、スクアー…ロ…?』
名前を呼ばれスクアーロの名を呼べば、チュッっと音を立てスクアーロの唇が名無しの唇に触れる。
触れるだけの優しいキスかと思えば、ゆっくりと唇を割り、スクアーロの舌が名無しの口内へと侵入する。
『ん…っ、ぁ……んっ、ふ…ん』
先程された触れるだけの優しいキスで終わるわけもなく、名無しの口内を犯すように執拗にスクアーロの舌が名無しの舌に絡みつく。
『…っ、ぁ、…ん、…っ、ぁ…っつ』
抵抗しようにも抵抗するほどの気力が名無しには残っておらず、スクアーロにされるがままだ。
だが苦しくなってくればトントンとスクアーロの胸板を力無く叩く。
このままでは意識を失いかけてしまう…スクアーロはそれに気付き渋々名無しから唇を離した。
酸欠気味のせいか、離されれば名無しは後ろに倒れそうになる。
だが名無しがベッドボードに頭をぶつけない様に軽くスクアーロの方に抱き寄せられてから、名無しはその場に押し倒された。
ヒュッ、ヒュッっと小刻みに酸素を取り入れようと名無しは何度も呼吸する。
スクアーロに物申したいと思えど、酸欠のせいか酸素を取り入れるので名無しは精一杯だ。
そんな名無しを、スクアーロは見下ろす。
「俺に…愛される覚悟は出来たか名無し?」
まだ怒っているのかドスのきいた声で名無しに問う。
とっくの昔から愛されていた事も露知らず、名無しはセフレだと思っていたのだ。
自業自得ではあるものの、はっきりとスクアーロにそう言われてしまえば名無しの胸はドクンと高鳴った。
青い瞳がじっと名無しを見下ろせば、ゆっくりと名無しの耳元へとスクアーロが顔を近づける。
ポタポタと濡れた銀色の髪から雫が滴り、名無しのシーツから露出している肌を濡らす。
「俺に愛されてるって自覚するまで…朝まで犯して愛してやるよ」
艶のある声でそう名無しに囁けば、貪るように再び名無しの唇に喰らいついた。
愛される覚悟は出来たか
(腰痛い…喉カラカラなんですけど…)
(自業自得だろ)
(…仰る通りです…うぅ…)
(それとも名無しはまだ俺に愛されてるわけないなんて抜かすのか?)
(ひぇ…あ、愛されてるしスクアーロの愛は十分に伝わってきました!だから、襲おうとするの止めてくださいっ!)
(安心しろ、ちゃんと介抱してやるから)
(そう言う問題じゃないんだけどっ!!!)
2024/11/23
お題提供:溺れる覚悟様
『スクアーロってさー…ズルいよね』
情事を終え気怠い身体のせいか、名無しは未だベッドの上から抜け出せずだらだらとシーツに包まり身体を休めていた。
そんな名無しとは違いスクアーロはシャワーを浴び今しがたシャワールームから出てきた所だ。
ガシガシとタオルで濡れた銀色髪を拭くが、長いせいか乾くまで相当時間がかかるだろう。
そんなスクアーロを見ながら、名無しは先程までの事を思い出す。
明日…否、日付が変わってしまっているため本日名無しもスクアーロもお互い非番だ。
任務を終えればスクアーロが名無しを食事に誘いそのまま身体を重ねた。
お互い性欲は強い方ではあるものの、名無しはスクアーロほどの体力はない。
ましてや任務を終えてから何度身体を重ねイったのか分からないほどだ。
体力がないはずなのに、それでもスクアーロに求められれば名無しだって同じように求め返してしまう。
体力がなくても、それでも欲しいと望んでしまうのだ。
「ゔお゙ぉい!何がズルいんだ名無し」
相変わらず、スクアーロの声はけたたましい。
髪を拭きながらスクアーロは名無しの居るベッドへと腰掛けた。
下はかろうじて黒色のズボンを履いているものの、上半身は裸のままだ。
『ズルい上に…勘違いしちゃうよ、私?』
「ゔお゙ぉい…だからどういう事だぁ?」
名無しのなんの脈絡もない言葉に不思議そうに首を傾げ、名無しを見るスクアーロを名無しは見上げる。
ベッドに横たわっているせいか名無しがスクアーロを見上げれば必然的に上目遣いになってしまう。
そんな名無しに思わずチュッと音を立てながら、スクアーロは優しく名無しの唇に触れる。
触れるだけの優しいキス。
1度口付ければもう1度と言わんばかりに触れて離れてを繰り返す。
ただ触れているだけなのに、名無しは蕩けてしまいそうな感覚に陥る。
情事以外ではこんなにも優しいキスをする癖に、情事中はそれこそ貪るような口付けをしては名無しを快楽へと溺れさす。
ギャップにもともと弱い名無しだが、それだけでは勿論ないのだ。
(スクアーロは…ズルいよ…)
名無しは別にスクアーロと付き合っているわけではない。
名無しは特殊暗殺部隊ヴァリアーのNo.2兼作戦隊長であるスクアーロの部下だ。
だがそれは仕事中の話であり、プライベートではセフレである。
酔った勢いで一夜の過ちを犯してしまったが身体の相性が良かったのもあり、ずるずると名無しとスクアーロは休みが合えば幾度となく身体を重ねて来た。
だからこそ勘違いしてしまうと名無しは思う。
(こんなにも優しいキスされてたら…スクアーロが私の事好きなんじゃないかって思っちゃうよ…)
自分はただの部下でセフレでしかないのだ。
名無しはスクアーロに憧れており、いつしかそれは恋心へと変化した。
身体だけの関係のはずだったのに、それこそ恋愛感情を持ってしまえばセフレでいる事すら名無しは時たま苦しくなる。
だからこそスクアーロと付き合ってすらいないから、そんな風に優しい口付けをされてしまえば勘違いしそうになるのだ。
まだ引き返せるうちにと、名無しは『だから…それ』と指摘する。
自分のために、自分の立ち位置がただの部下でありセフレである事を忘れないために。
「それって何だ?」
『だからそーゆキスだよ…。そう言うのしてたら勘違いしちゃうでしょ、私が』
「あ゙ぁ゙?どういう事だ?」
察しが悪いのか名無しの発した言葉の意味が分からず、スクアーロは思わず髪を拭く手を止め名無しへと視線を向けた。
きちんと拭けていないせいか、スクアーロの長い銀色の髪からは水滴が滴り落ちる。
『…言葉通りの意味だよ?そんな風に優しいキスされたらさ…勘違いしちゃうじゃん?』
「だからなにを勘違いするって言うんだよ名無し」
『だから〜…スクアーロが私の事好きなんじゃないかって…勘違いしちゃうでしょ!』
スクアーロは目を大きく見開いたまま「は?」と、なんとも間抜けな表情で名無しを見る。
まるで何言ってんだコイツとでも言いたげな視線を向けられているが名無しはそんなにもおかしな事を言ったのかと思わず自分に聞きたくなる。
否、おかしい事は確かに言ったのだ。
セフレの癖に『私の事好きなんじゃないかって…勘違いしちゃうでしょ!』と言葉にしたのだから、スクアーロからすれば確かに何言ってるんだコイツと思われても仕方ないだろう。
「…おい、名無し一つ聞きたいんだが」
『何?』
間抜け面を晒したまま、スクアーロは名無しを見る。
珍しく間抜け面のままだな〜と、呑気に名無しは思いながらスクアーロを見上げていだが、次の瞬間名無しは自分の耳を疑うような発言をスクアーロは発する。
「……俺達付き合ってるよな?」
『……え?』
スクアーロの言葉に、名無しは思わず目を丸くする。
それもそのはずだ。
スクアーロは「俺達付き合ってるよな?」と名無しに問うたのだ。
付き合っている事すら思っていない名無しからすれば初耳だと言わざるおえない。
『ま、待ってスクアーロ…つ、付き合ってるって、誰と誰が…!?』
「俺と名無しがだ」
『ま、ま、待って待って待って…!?いつ私がスクアーロと付き合ったの!?と言うか私OKしたの!?』
思わず前のめりになりながらガバッとスクアーロに顔を近付ける。
『そもそも何時スクアーロは私に告白したのよ!?』
「あ゛ぁ゛!!2週間前に決まってるだろうが!!!」
『……2週、間…前?』
スクアーロの言葉に名無しは2週間前の事を思い出そうと必死に頭をまわした。
1週間前ならまだしも、2週間前となると名無しの記憶だってあやふやになってくる。
だが必死に思い出せばふと、2週間前と言えば丁度スクアーロと食事に行っていた時の事を思い出す。
食事を終え店から出た後。
「なぁ、名無し……付き合え」
と、スクアーロが言っていた。
途中風が強く吹き聞き取れていない言葉があったのもまた事実。
だがスクアーロの事だ、時間も時間だっ為食事を終え飲み足らずに飲みにいこうと言う誘いだと名無しは勝手に解釈をした。
だからこそ名無しは『うん、いいよ』と答えたのを覚えている。
その後急な任務が入りスクアーロの言った“付き合え”と言う飲みに行く事は出来なかったが…。
『“付き合え”って…飲みに行こうって話じゃなかったの…?』
「んなわけねーだろ。ちゃんと俺と付き合えって言っただろ」
『……俺との部分が聞こえなかったんだもん…』
「ゔお゙ぉい名無し…お前まさか今まで俺との関係セフレのまま続けてると思ってたなんて言わねぇーよな?」
じっと名無しを凝視するスクアーロから目を逸らし、名無しは頭を抱え焦った。
そのまさかであるのだ。
スクアーロに言われるまで、ずっと名無しは部下でありセフレだと思っていた。
仕事中は仕方ないにしろ、プライベートではセフレの時と変わらない行動だったし、言い訳をさせてもらえばどう考えても告白する雰囲気ではなかったのだ。
ちょっと次の店に行こうと言う軽いノリだった。
聞き返さなかった名無しも悪かったかもしれないが、それでも告白したと言う空気は微塵もなかったのだ。
『そう言えば、最近スクアーロと休みがやけに被ってるなって思ってたけど…まさか…』
「…名無しとの時間を作る為にいろいろ調整して合わせてるんだが?」
『で、でもスクアーロ他にセフレの子何人か居たよね…?』
「んなもんとっくの昔に清算したに決まってんだろ」
ドスのきいた声でスクアーロは名無しを睨む。
(あぁ…やばい、これは…怒ってる…)
じっと名無しから目を離さずに、ただただスクアーロは名無しを見ていた。
この状況が非常にまずい事だけは、名無しだって分かっている。
恐る恐る頭を抱えるのを止め、スクアーロを見上げれば…スクアーロの目が据わっていた。
ひと目見て名無しはヤバイと、名無しの本能が名無し自身に告げる。
『あ、あの…す、スクアーロさん…目が据わってます…よ…?』
思わず“さん”付けしてしまうほどの気迫に、名無しは冷や汗を流しながら気怠い身体をシーツに包まったまま後ずさりする。
当然だ。
スクアーロからしてみれば付き合っている…ましてや恋人だと思っていたのに名無しはただの部下でセフレだとずっと思っていたのだ。
「あ゛ぁ゛?そりゃあ名無しにんな勘違いされてたら目だって据わっちまうだろ」
『ね、ねぇスクアーロ…さっきシャワー浴びて来たばっかでしょ?もう今日はいいんじゃないかなぁ…』
「シャワーなんざ後でまた浴びればいいだけの話だ」
逃さないと言わんばかりに、ベッドの上で後ずさりする名無しをスクアーロはゆっくりと距離を詰める。
捕まったら最後だと思いながら後退りするものの、ベッドの上だ。
『ぁ…』
大きめサイズのベッドの上と言えど、逃げるのには限度がある。
トンっと、ベッドボードに名無しの背中が当たれば…もう逃げる場所は何処にもない。
血の気が引くような音がするなと名無しは目の前まで距離を詰めたスクアーロを見た。
今までに見たことがないほど、スクアーロはいい笑顔で名無しを見つめている。
「なぁ、名無し」
『な、なぁ…に…す、スクアー…ロ…?』
名前を呼ばれスクアーロの名を呼べば、チュッっと音を立てスクアーロの唇が名無しの唇に触れる。
触れるだけの優しいキスかと思えば、ゆっくりと唇を割り、スクアーロの舌が名無しの口内へと侵入する。
『ん…っ、ぁ……んっ、ふ…ん』
先程された触れるだけの優しいキスで終わるわけもなく、名無しの口内を犯すように執拗にスクアーロの舌が名無しの舌に絡みつく。
『…っ、ぁ、…ん、…っ、ぁ…っつ』
抵抗しようにも抵抗するほどの気力が名無しには残っておらず、スクアーロにされるがままだ。
だが苦しくなってくればトントンとスクアーロの胸板を力無く叩く。
このままでは意識を失いかけてしまう…スクアーロはそれに気付き渋々名無しから唇を離した。
酸欠気味のせいか、離されれば名無しは後ろに倒れそうになる。
だが名無しがベッドボードに頭をぶつけない様に軽くスクアーロの方に抱き寄せられてから、名無しはその場に押し倒された。
ヒュッ、ヒュッっと小刻みに酸素を取り入れようと名無しは何度も呼吸する。
スクアーロに物申したいと思えど、酸欠のせいか酸素を取り入れるので名無しは精一杯だ。
そんな名無しを、スクアーロは見下ろす。
「俺に…愛される覚悟は出来たか名無し?」
まだ怒っているのかドスのきいた声で名無しに問う。
とっくの昔から愛されていた事も露知らず、名無しはセフレだと思っていたのだ。
自業自得ではあるものの、はっきりとスクアーロにそう言われてしまえば名無しの胸はドクンと高鳴った。
青い瞳がじっと名無しを見下ろせば、ゆっくりと名無しの耳元へとスクアーロが顔を近づける。
ポタポタと濡れた銀色の髪から雫が滴り、名無しのシーツから露出している肌を濡らす。
「俺に愛されてるって自覚するまで…朝まで犯して愛してやるよ」
艶のある声でそう名無しに囁けば、貪るように再び名無しの唇に喰らいついた。
愛される覚悟は出来たか
(腰痛い…喉カラカラなんですけど…)
(自業自得だろ)
(…仰る通りです…うぅ…)
(それとも名無しはまだ俺に愛されてるわけないなんて抜かすのか?)
(ひぇ…あ、愛されてるしスクアーロの愛は十分に伝わってきました!だから、襲おうとするの止めてくださいっ!)
(安心しろ、ちゃんと介抱してやるから)
(そう言う問題じゃないんだけどっ!!!)
2024/11/23
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