短編
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※仔ディーノ
※オリキャラ有り
※【Ti voglio sempre bene sia in passato che oggi】設定の学生時代のお話
「名無し、俺の女になれ」
卒業式を1週間前に控え、後は時間が過ぎるのを待つだけの残り少ない学生生活。
学校の校舎裏に呼び出された名無しは、ここ最近何度目かの告白をされていた。
名無しの目の前に居るのは同じクラスメイトであり、後ろの席に座っていたパオロだ。
ロングパーマのモスグリーン色の髪に、枇榔度色の瞳。
ガタイが良く身長は恐らく190㎝を超えているだろう。
パオロとはそこまで接点があるわけではないのだが、何故か呼び出しに合い来てみれば…愛の告白をされた。
否、愛の告白なんてそんな可愛い物ではない…上手く言葉に出来ないパオロの性格上そう言う言葉しか出てこなかったのだろう。
これがまだ接点があり仲が良い男子生徒に言われていたらときめきの一つや二つ位はしたのだが、如何せん何の接点もない男子生徒に言われた言葉だ。
ときめきも胸の高鳴りも無ければ、戸惑いしか名無しにはなかった。
『えっと…』
「名無し誰とも付き合ってないだろ?」
『それは、そうだけど』
パオロの言う通り、名無しは現在誰とも付き合っていない。
付き合っていないだけで合って、絶賛片思い中ではある。
彼以外を好きになる事もなければ、また彼以外とも付き合いたいとも今の名無しには到底思えない。
「俺の女になれば何不自由なく生活できるし名無しんとこのファミリーに取っても悪い話じゃないだろ?」
『……』
マフィアのボスの娘ともなれば、勿論自分の気持ちだけでどうこう出来るものではないと言う事を名無しだって頭では理解している。
政略結婚もあればファミリーのために自分を差し出す事もマフィアのボスの娘なら致し方ない事なのかもしれないが、その考えを名無しが受け入れるかどうかはまた別問題だ。
『…ごめんなさい、パオロ君。私、何不自由なく生活したいわけじゃないし…それに』
“好きな人が居るの”と言葉を続けようとした瞬間ーーー…
「ちょっと待ったぁぁぁああああ!!!」
と、名無しの言葉を遮るほどの叫び声が校舎裏に響いた。
その声に、名無しは聞き覚えのある声色だったため、辺りを見渡す。
だが見渡した所で誰の姿も確認出来ず、同じようにパオロも辺りを見渡していた。
途端、名無しの居た後ろの木の上からガサガサっと音が鳴り、誰かが木から飛び降りた。
少年は着地すれば、名無しを後ろから優しく抱き締め少年の方へと抱き寄せる。
抱き寄せられれば吃驚するものの、少年が名無しを抱き締める左腕を見ると刺青が入っていた。
刺青はキャバッローネ・ファミリーのボスである証だ。
その少年が誰なのか名無しは直ぐに分かりポツリと呟いた。
『…ディーノ君…?』
ゆっくりと見上げれば、名無しの知る同じクラスメイトであり片思い中の少年…ディーノの姿が名無しの瞳に写る。
学校指定のYシャツを着崩しており、緩くネクタイが結ばれていた。
サラサラの髪は何処かボサついており、木の上から降りてきたせいか所々葉が絡んでいる。
名無しの大好きな鳶色の瞳が、真っ直ぐパオロに向けられていた。
2年前の気弱かった彼の眼差しとは違い、真っ直な眼差しでパオロを射抜く。
「ゲッ…跳ね馬…」
バツが悪そうな表情でパオロは吐き捨てた。
2年前、ズッコ同様にパオロもディーノにちょっかいをかけていたうちの一人だ。
それがディーノが跳ね馬と呼ばれ出してからはディーノにちょっかいをかけることは無くなった。
何故ならパオロは跳ね馬と呼ばれ始めた頃懲りずにちょっかいをかけ、案の定返り討ちにあったからだ。
それ以来お互い言葉を交わすこともパオロからちょっかいをかけることもなければ関わり合う事すらなかった。
「悪いな、コイツは俺のだから…手出しすんのやめてもらっていーか?」
ディーノよりもガタイが良く、身長もそれこそ高いパオロはディーノの言動に怯む。
2年前と同じ光景のはずなのに、2年経った今のディーノは気弱だった彼とは違っていた。
堂々とした立ち振る舞いに、凛と信念を持った自信のある声。
ディーノの言葉に思わず名無しはドキッと胸が高鳴った。
そんな風に言われれば誰だって勘違いしてしまう、期待してしまう。
「彼氏でもねぇーのに割り込むなよ」
「言っただろパオロ?コイツは…名無しは俺のだからって」
再度そう言葉を放ち、ディーノがパオロを射抜く瞳が鋭くなる。
たったそれだけでパオロは怯み、「クソッ」と悔しそうに走り出し去って行った。
パオロの姿が見えなくなれば、ディーノは慌てて名無しから手を離す。
顔を赤くし、先程までの格好良かった彼とは違い、何時もの温厚なディーノが申し訳なさそうな表情で名無しを見た。
「あ、悪い名無し…勝手に俺のだからとか言って…」
『ううん…助かったし嬉しかったから…だからありがとね、ディーノ君』
そうディーノに向かって笑いかければ、照れ臭そうに「お、おうっ」と頷く。
『もう直ぐ卒業なのに、ディーノ君と最近話せてなかったから…何だかこうやって話すの久しぶりだね』
「だな。名無しはここ最近ずっと放課後呼び出されてるしな」
『そう言うディーノ君だって、…放課後問わず結構呼び出されてるでしょ?』
名無しの言葉にディーノは「まぁ…な」っとバツが悪そうに答えた。
ディーノは卒業後、キャバッローネ・ファミリー10代目ボスとしての道が既に決まっている。
財務状況は著しくないが、それでも玉の輿を狙って彼に猛アタックする生徒は少なくはない。
だからこそここ最近ディーノと過ごす時間は無く、彼は女子生徒に追われる日々を過ごしていた。
木の上に居たのもそんな女子生徒から逃げていたのか、はたまた本当にたまたま居たのかは名無しには分からないがそのどちらかだろうと憶測する。
『大変だね、キャバッローネ・ファミリーのボスも』
「うっせー、…名無しだって進路決まってんだろ?」
『…私は、まだ何も決まってないかなぁ』
ディーノの言葉に名無しは苦笑しながら答えた。
取り敢えず学校を卒業する、それが名無しが最優先で成し遂げなければならない事だった。
その後の事はまだ何も決まっていない。
ファミリーのボスになるのかも、はたまた何処かのファミリーに属するのかも…だ。
一人娘であるからこそ、親の意次第でどう転ぶか分からない。
(…出来れば、ディーノ君に好きって…伝えたいなぁ…)
どう転ぶかは分からない、だがこの気持ちだけはディーノに伝えたい。
自分の気持ちを伝えないまま卒業するなんてまっぴらごめんだ…名無しはそう思いながらディーノを真っすぐ見た。
コイツは俺のだから
(なぁ、名無し。卒業式の後って空いてるか?)
(え?あ、うん空いてるけど?)
(俺名無しに言いたい事があってさ…だから聞いてもらえると嬉しいんだけど)
(…わ、私も!私もディーノ君に卒業式の後言いたい事があるの!それを言おうとしたらディーノ君に先超されちゃった)
(ははっ、そうか…じゃあ卒業式の後は俺との約束な?)
(うん、約束だよディーノ君!)
2024/08/21
お題提供:確かに恋だった様
※オリキャラ有り
※【Ti voglio sempre bene sia in passato che oggi】設定の学生時代のお話
「名無し、俺の女になれ」
卒業式を1週間前に控え、後は時間が過ぎるのを待つだけの残り少ない学生生活。
学校の校舎裏に呼び出された名無しは、ここ最近何度目かの告白をされていた。
名無しの目の前に居るのは同じクラスメイトであり、後ろの席に座っていたパオロだ。
ロングパーマのモスグリーン色の髪に、枇榔度色の瞳。
ガタイが良く身長は恐らく190㎝を超えているだろう。
パオロとはそこまで接点があるわけではないのだが、何故か呼び出しに合い来てみれば…愛の告白をされた。
否、愛の告白なんてそんな可愛い物ではない…上手く言葉に出来ないパオロの性格上そう言う言葉しか出てこなかったのだろう。
これがまだ接点があり仲が良い男子生徒に言われていたらときめきの一つや二つ位はしたのだが、如何せん何の接点もない男子生徒に言われた言葉だ。
ときめきも胸の高鳴りも無ければ、戸惑いしか名無しにはなかった。
『えっと…』
「名無し誰とも付き合ってないだろ?」
『それは、そうだけど』
パオロの言う通り、名無しは現在誰とも付き合っていない。
付き合っていないだけで合って、絶賛片思い中ではある。
彼以外を好きになる事もなければ、また彼以外とも付き合いたいとも今の名無しには到底思えない。
「俺の女になれば何不自由なく生活できるし名無しんとこのファミリーに取っても悪い話じゃないだろ?」
『……』
マフィアのボスの娘ともなれば、勿論自分の気持ちだけでどうこう出来るものではないと言う事を名無しだって頭では理解している。
政略結婚もあればファミリーのために自分を差し出す事もマフィアのボスの娘なら致し方ない事なのかもしれないが、その考えを名無しが受け入れるかどうかはまた別問題だ。
『…ごめんなさい、パオロ君。私、何不自由なく生活したいわけじゃないし…それに』
“好きな人が居るの”と言葉を続けようとした瞬間ーーー…
「ちょっと待ったぁぁぁああああ!!!」
と、名無しの言葉を遮るほどの叫び声が校舎裏に響いた。
その声に、名無しは聞き覚えのある声色だったため、辺りを見渡す。
だが見渡した所で誰の姿も確認出来ず、同じようにパオロも辺りを見渡していた。
途端、名無しの居た後ろの木の上からガサガサっと音が鳴り、誰かが木から飛び降りた。
少年は着地すれば、名無しを後ろから優しく抱き締め少年の方へと抱き寄せる。
抱き寄せられれば吃驚するものの、少年が名無しを抱き締める左腕を見ると刺青が入っていた。
刺青はキャバッローネ・ファミリーのボスである証だ。
その少年が誰なのか名無しは直ぐに分かりポツリと呟いた。
『…ディーノ君…?』
ゆっくりと見上げれば、名無しの知る同じクラスメイトであり片思い中の少年…ディーノの姿が名無しの瞳に写る。
学校指定のYシャツを着崩しており、緩くネクタイが結ばれていた。
サラサラの髪は何処かボサついており、木の上から降りてきたせいか所々葉が絡んでいる。
名無しの大好きな鳶色の瞳が、真っ直ぐパオロに向けられていた。
2年前の気弱かった彼の眼差しとは違い、真っ直な眼差しでパオロを射抜く。
「ゲッ…跳ね馬…」
バツが悪そうな表情でパオロは吐き捨てた。
2年前、ズッコ同様にパオロもディーノにちょっかいをかけていたうちの一人だ。
それがディーノが跳ね馬と呼ばれ出してからはディーノにちょっかいをかけることは無くなった。
何故ならパオロは跳ね馬と呼ばれ始めた頃懲りずにちょっかいをかけ、案の定返り討ちにあったからだ。
それ以来お互い言葉を交わすこともパオロからちょっかいをかけることもなければ関わり合う事すらなかった。
「悪いな、コイツは俺のだから…手出しすんのやめてもらっていーか?」
ディーノよりもガタイが良く、身長もそれこそ高いパオロはディーノの言動に怯む。
2年前と同じ光景のはずなのに、2年経った今のディーノは気弱だった彼とは違っていた。
堂々とした立ち振る舞いに、凛と信念を持った自信のある声。
ディーノの言葉に思わず名無しはドキッと胸が高鳴った。
そんな風に言われれば誰だって勘違いしてしまう、期待してしまう。
「彼氏でもねぇーのに割り込むなよ」
「言っただろパオロ?コイツは…名無しは俺のだからって」
再度そう言葉を放ち、ディーノがパオロを射抜く瞳が鋭くなる。
たったそれだけでパオロは怯み、「クソッ」と悔しそうに走り出し去って行った。
パオロの姿が見えなくなれば、ディーノは慌てて名無しから手を離す。
顔を赤くし、先程までの格好良かった彼とは違い、何時もの温厚なディーノが申し訳なさそうな表情で名無しを見た。
「あ、悪い名無し…勝手に俺のだからとか言って…」
『ううん…助かったし嬉しかったから…だからありがとね、ディーノ君』
そうディーノに向かって笑いかければ、照れ臭そうに「お、おうっ」と頷く。
『もう直ぐ卒業なのに、ディーノ君と最近話せてなかったから…何だかこうやって話すの久しぶりだね』
「だな。名無しはここ最近ずっと放課後呼び出されてるしな」
『そう言うディーノ君だって、…放課後問わず結構呼び出されてるでしょ?』
名無しの言葉にディーノは「まぁ…な」っとバツが悪そうに答えた。
ディーノは卒業後、キャバッローネ・ファミリー10代目ボスとしての道が既に決まっている。
財務状況は著しくないが、それでも玉の輿を狙って彼に猛アタックする生徒は少なくはない。
だからこそここ最近ディーノと過ごす時間は無く、彼は女子生徒に追われる日々を過ごしていた。
木の上に居たのもそんな女子生徒から逃げていたのか、はたまた本当にたまたま居たのかは名無しには分からないがそのどちらかだろうと憶測する。
『大変だね、キャバッローネ・ファミリーのボスも』
「うっせー、…名無しだって進路決まってんだろ?」
『…私は、まだ何も決まってないかなぁ』
ディーノの言葉に名無しは苦笑しながら答えた。
取り敢えず学校を卒業する、それが名無しが最優先で成し遂げなければならない事だった。
その後の事はまだ何も決まっていない。
ファミリーのボスになるのかも、はたまた何処かのファミリーに属するのかも…だ。
一人娘であるからこそ、親の意次第でどう転ぶか分からない。
(…出来れば、ディーノ君に好きって…伝えたいなぁ…)
どう転ぶかは分からない、だがこの気持ちだけはディーノに伝えたい。
自分の気持ちを伝えないまま卒業するなんてまっぴらごめんだ…名無しはそう思いながらディーノを真っすぐ見た。
コイツは俺のだから
(なぁ、名無し。卒業式の後って空いてるか?)
(え?あ、うん空いてるけど?)
(俺名無しに言いたい事があってさ…だから聞いてもらえると嬉しいんだけど)
(…わ、私も!私もディーノ君に卒業式の後言いたい事があるの!それを言おうとしたらディーノ君に先超されちゃった)
(ははっ、そうか…じゃあ卒業式の後は俺との約束な?)
(うん、約束だよディーノ君!)
2024/08/21
お題提供:確かに恋だった様
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