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KISEKI series fan fiction

たった一分でいい


 クロウはリィンの手の甲に唇を落とした。そのまま掌に、そして髪に、紅潮した頬に口づけをしていく。
 灯りの消えた部屋、ベッドの上で熱い視線が絡み合う。リィンの艶やかな桜色の唇にクロウのそれが触れそうになったその時。
 ──ぱしっ。
「もがっ」
 手で口を塞がれた。突然お預けを喰らったクロウはリィンをじとりと見つめたのだが。
「すまない、あと一分だけ……心の準備をさせてくれ」
 俯いたリィンは耳まで真っ赤になっていて。伏せられた潤む瞳に、肚の奥が疼く。
 幾度も肌を重ねたというのに、そのウブな反応が欲情した狼を煽っていることに気が付かないのだろうか。
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