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その願いも虚しく、カガリがユウナと結婚するという事を手紙で知ったと言うキラたち
「ほんっとうに馬鹿なの?」
「降谷ちゃん?」
「オーブの代表としてすべきこと…ねぇ」
「うん?」
「あぁごめん。こっちの話。気にしないで」
「いやいや」
「気になるっしょ」
「うちのお馬鹿な事をしでかしてる姉をどう取り返すかを考えているだけだから」
「お馬鹿な姉?」
「そうよ?」
皆が平和に幸福に幸せに暮らせるような国にするために私も頑張るから。最後にそう書かれているのは
「全く…」
最初から乗り気じゃないってことじゃない
「うん?」
その直後に来た連絡にはキラと書かれている
「あの連絡見た?」
「見た」
「カガリの奪還にフリーダムとアークエンジェルを出向させる」
「分かった」
「いいのかい?」
「何が」
「また戦場になる場所にカガリを乗せる事」
「仕方ないじゃない。MSに乗ってるよりはまだ戦艦の方が安心だしね」
「そっか」
「カガリの事、お願いね?」
「うん」
「アークエンジェルの出向シークエンスは」
「こっちでも出来るから大丈夫」
「さすがだね」
「当然。じゃ、カガリの事お願いね」
「うん」
スマホでポチポチと出したのはオーブ領域内にあるアークエンジェルの発進シークエンスの状態だ。そんな中でも思い出すのはお父様の言葉だ
『どうあっても世界を二分したいか?大西洋連邦は。敵か味方かと、そしてオーブはその理念と法を捨て命じられるままに与えられた敵と戦う国となるのか?』
きっとこんな言葉をセイランがあの時聞いていたらこんな事をするはずがなかったんじゃないかと思っている
『そなたたちの父で幸せであったよ』
「お父様が生きていたらこんな風には少なくてもならなかったかな」
「降谷さん?」
「なんでもない」
そう言ったあたしはアークエンジェルと接続するインカムを耳に充てると
「聞こえるわね?」
「えぇ」
「でも」
「悪いけど今は基地の中じゃないし外部だから」
「あ、そうなんだ」
「アークエンジェルはいつでも発進できるようになっているわ」
「流石ね」
「当然でしょう?ずっと乗っていた
ポチポチと接続をするとパッチを開ける支度をして
「いつでも」
「メインゲート解放」
そう言ったマリューさんの言葉にメインゲートを解放し、拘束ワームも解除したあたし
「じゃあ、カガリをお願い」
「任せて」
連絡を切ると
「大丈夫なのか?」
「まぁ何とかなるでしょ」
「え?」
「2年前に乗っていた戦艦のクルーだもの」
「そんな船があるんだ」
「まぁね。ずっと一緒に生活をしていたからこそ、今回の事を頼める船とクルーたちよ」
「そうか」
まぁフリーダムの事だ。そんな時間がかからずとも戻って狂うだろうけど、なんて思っていると
「フリーダム収容完了。カガリさんも無事ですわ」
そう言った絡子の声が聞こえたのと同時に
「無事で何より」
インカムを外すと
「悪いけど今日はもう帰るわね」
「え?だってまだ」
「まぁちょっと色々と話さなくちゃいけない事もあってね」
「あ、そうなんだ」
「そ」
学校を出ると、仕事中で有ろう松田さんと別の男の刑事さんが揃っていて
「随分と早くに出て来たな」
「松田さんのお知り合いですか」
「お前も知ってるだろ。あの例の基地」
「あぁ、オーブの基地でしたっけ」
「そうだ。そのオーブの関係者だ、コイツは」
「そうなんっすね!初めまして、高木渉と言います」
「あ、降谷です。珍しいですね?萩原さんが一緒に居ないのは」
「アイツとは課がちげぇからな」
あ、そうなんだ
「じゃああたしはこれで。ちょっと…いやかなり急ぎますので」
「珍しいじゃねぇか」
「まぁあたしにしては珍しいかも知れないですね」
お辞儀をして基地に戻るとすでにアークエンジェルのブリッジには軍服を着ているカガリの姿がある
「結婚式場から国家元首をさらうなど、国際手配の犯罪者だぞ!正気の沙汰か!?こんな事をしてくれと誰が頼んだ」
「カガリさん…」
「いやまぁね。それは分かっちゃいるんだけど」
「そんなの決まってるでしょ?カガリ」
「ユキ!」
「あたしが頼んだのよキラ達に。あたし達の事を良く知って居るキラ達だから、カガリの事を任せたの」
「な!?」
「だって仕方がないでしょ?キラ達が単独でそうやって動けば、そうなってしまう。でも同じ家の人間でほぼ同じ立場の人間からの頼みなら、国際手配の犯罪者にしなくて済む。こんな情勢下になってしまっているからこそあたしがカガリよりも先に先手を打っただけに過ぎないでしょ」
「ん…」
「そうだね。ユキの言う通り、こんな状況の時にカガリにまで馬鹿な事をされたらもう世界中がもう本当にどうしようもなくなっちゃうから」
「馬鹿な事?」
「まぁキラの言う事の方が正しいかもね」
「ユキ、お前」
「悪いけど、あたしは前もってカガリにも言ったわよね?馬鹿な事をしないでよ。って」
「言ってはいた。いたがこれが馬鹿な事?」
「キラ、ユキさん…」
「大丈夫だよラクス」
きっと何かが癪に障ったんだろう
「な、何が…」
「うん?」
「何が馬鹿な事だと言うんだ!私はオーブの代表だぞ!」
「だから?」
「なに?」
「確かにカガリはオーブの代表かも知れないけど、あたしからしたら同じアスハ家の人間。その人間を助けて欲しいとキラに頼んだのもあたし。キラ達に当たることがそもそもの間違いなのよ」
「私だっていろいろ悩んで考えて、それで…」
「大西洋連邦との勝手な同盟?」
「「勝手な同盟?」」
「そうよ?だってあたしは反対派だもの。大西洋連邦との同盟にあたしが参加すると本気で思ってるの?」
「それは」
「セイランが勝手に出したもの。あたしのサインじゃないと分かればどうなるか知ったこっちゃないけど、でもあたしやカガリ、アスハの人間が反対をしているとなれば動きがまた変わるでしょ」
「おま…お前が提出したと!」
「だからセイランの口車に乗せられたのね。すぐに連絡をして来ればよかったでしょうに。あたしの答えがどんなものか、カガリにだって分かって居たでしょ」
「それが本当にオーブの為になるとカガリは本気で思ってたの?」
「あ…当り前だ!でなきゃ誰が結婚なんかするか!」
そう思いつめられたような顔をしたカガリは
「もうしょうがないんだ!ユウナやウナトや首長たちの言う通り」
「オーブは再び国を焼くわけにはいかない?」
「…っあぁ。その為には今はこれしか道はないじゃないか!」
「でも」そう言ったキラはあたしの方を見てきて
「でもそうして焼かれなければ他の国はいいの?」
「え?」
「もしも、いつかオーブがプラントやユキのいる国や他の国を焼くことになってもそれはいいの?」
「そうね。日本は戦争に参加をしない数少ない国だし、焼かれてしまえばあたしもそこで終わりね」
「ユキ…っ」
「だってそうでしょ?カガリの言っていることは。戦争が出来ない国だから、だからこそ何かあった時の為にとお父様が最善を尽くしてこの国に基地を作って何かあれば防衛するという条件の元の設立。オーブが撃ってきているから、防衛が出来ない。だからただただ焼かれるのを待つしか出来ない。ただただ死を待つことしか出来ない。そういうことでしょう?」
「いや、それは…でも!」
「ウズミさんの言った事は?」
「…っ!でも!」
「そうね。お父様があたし達に教えてくれたことはたくさんある。キラ達がお父様と話をしてくれたこともきっとほんの一部。でもお父様あたし達に言ってくれたあの言葉をカガリは忘れちゃったの?」
『そなた達の父で幸せであった。この先オーブじゃない国にお前たちが行っても私はそなた達の幸せを祈ろう』
「でも!」
「カガリが大変な事は分かってるよ。それはユキだって同じことだ」
「そんなことはないけど」
「今まで何も助けてあげられなくてごめん」
「…っ」
「ユキが言ってくれたのも後押ししてくれたのもあるけど、でも今ならまだ間に合うと思ったから。僕たちにもまだいろいろな事は分からない。でもだからまだ、今なら間に合うと思ったから」
キラはズボンのポケットから何かを出してカガリに渡していたのは指輪で
「皆同じだよ。選ぶ道を間違えたら行きたい所へは行けないよ」
「アァ…」
「それはユキにも同じことがいえるけど」
「へ?」
「ユキがもし仮に変な男と結婚だなんてしそうにでもなったら僕はカガリと同じように掻っ攫いに行くよ」
フッと笑ったあたしは「期待してる」とだけ言っていて
「だからカガリも一緒に行こう」
「キラ…」
カガリが泣いてしまったのはお父様が亡くなった時以来で
「ユキは寂しくないのか」
「寂しいわよ?そりゃ。気心知れた皆はオーブで、今はこうしてアークエンジェルに乗っている。あたしだけがこうやって平和な国で過ごしているのが…ね」
「そうか」
「僕たちは今度こそ正しい答えを見つけなきゃならないんだ」
正しい、答え…か
「逃げないでね」
逃げないでね…か
学校を早退してきた手前今更戻るのも面倒で、散策をしながらポアロに入ると
「今日は随分と早いんだな?」
「まぁ色々と」
「「色々?」」
「色々は色々です」
「そうか」
まだお昼前でお店も開いていないのでそのまま話をすることに
「まずゼロとキミのDNA鑑定が出た」
「あ、そうですか」
苦笑いをした緋色さんに
「お前の事だろう」と言って来たのは安室さんの方で
「降谷夢姫と俺の血縁関係が認められた」
「へ…?」
「つまりお前は俺の妹、ということになる」
「あ、そうなんですね」
「興味なさそうだな」
「興味ないですからね」
「だが結果的に兄妹で有ることが認められてしまっている以上、君にも安室の姓を名乗っていただきたい」
「お断りします」
「何?」
「降谷の姓を捨てろというのなら、あたしは迷わずアスハの姓を名乗ります。オーブでアスハの姓を名乗っていたように」
「な…」
それが事実だ
「だが今は日本にいる」
「そう。日本にいるから、嘗て日本で使われていた名前をそのまま使っているだけですよ。あたしからしたら」
「ほぉ」
「大分ゼロに対しても壁があるな」
「あぁ」
「でもゼロの場合は何が起きても彼女は動揺しなさそうだけど、彼女の場合は違いそうだね。ゼロが止めに入りそう」
「当り前だろ。どこぞの分からん馬の骨の男に渡すわけがない」
なんて言っているが
「その心配は皆無ですね」
「何?」
「あたしにもしもそんな動きがあれば掻っ攫いに来てくれるナイトがいるもので」
「は?」
「それだけの付き合いがあるという事ですよ。ただ国が離れていると言うだけで」
「それはお前の」
「あー…恋人か、という話ですか」
「あぁ」
「残念ながら。彼にはちゃんといますからね恋人。あたしも知って居る人間ですけど」
「そうなのか」
「はい。あたしは好きな人はいないので」
「へぇそれは意外だな。オーブの代表の義理とはいえ娘なら婚約者がいても可笑しくはないだろう」
「まぁそうですね。でもお父様が仮にいたとしても、好きになった人間と一緒に居るべきだとそう言ってくれていたので」
「そうなのか」
「はい。なので今現在フリーですよ」
「そうか」
なんて安心しきった顔をしている安室さん
「という事で、こっちにいる間は降谷の姓を名乗ります」
はぁ、とため息をつかれた安室さんに
「兄妹でも別姓を名乗る理由なんていくらでもつくでしょう?」
「別姓を名乗る理由?」
「そうだな、確かに親が離婚したとか、子供を育てられず祖父母に引き渡したとか。そう言った理由では確かに別姓でも納得はいく」
「でしょう?なので降谷という事を変えるつもりはありません」
「そうか」
「ましてやあたしに銃口を向ければ向けている本人にも同じように銃口を向けられますよ」
「へぇ」「ほぉ」
「それが元国家元首の娘で、妹で。日本基地を任されている代表の立場です」
「そうか」
