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「で?昨日の電話の時に来てたんでしょ?緋色さん」
「うん。こっそりつけて来たって言ってた」
「うっわぁ」
「ロリコン?」
「無いとは言えないよね」
なんて話をしていると
「でもなんで緋色さんはあんたの所に来てたのよ?」
「「そうそう、そこが気になる!」」
「よく分かんない。けど、何かあったら心配だからってママがいない間は一緒に住もうかって」
「なにその半同棲みたいな会話」
「庁がつくほど羨ましい!」
アハハ…
「許可したんでしょ?」
「取り合えず週末だけっていう話で納得してくれた」
「なんで週末だけなのよ?いいじゃない、そのまま同棲でもしちゃえば」
「咲姫ちゃんと一緒にいる時間が減っちゃうもん」
しょんぼりとそう言うと
「あんたのそういう所好きよ私」
「あたしも好きー!」
「でも週末と言えど月曜日はどうすんの?」
「きっと緋色さんの車かな」
「あ、なるほどね」
と言うか緋色さんの家の在処をあたしは知らないしね?
「でもあの緋色さんって人望月の好きなタイプ、ドストライクじゃない?」
「あ、確かに」
「あれで顎鬚さえなければって感じだよね」
「そうそう」
なんて話をしていて
「うぅ…」
あの顎鬚もいいんだよぉ…
「アンタ絶対あの人好きでしょ」
「好きだけど…やっぱり年が離れすぎてるから片思いのままでもいいかなぁ」
「そんな離れてんの?」
「うん。14歳離れてる」
「ってことはあの人30歳!?」
「アラサーなのにあの色気はヤバいって!」
デスヨネー…
「そっかそっか」
「とうとう望月にも春が来たかぁ」
「え?」
あたしにも春が来たってどういう事?
「みっちゃんの言いたいことが分かんない…」
「何言ってんの。咲姫にはおじさんの紹介で知り合っている彼氏がいるし」
「はい!?」
「あたしたちにも彼氏はいるからね?」
「はいい!?」
「知らなかったの望月くらいよ?」
「嘘だと言って…」
「残念だけど、嘘なんかじゃないからね?私に彼氏がいるって言うのも」
本当の事だったの?
「まぁあたしの場合、パパが『自分の部下と見合いをしてみないか』って言われて紹介された感じだしね」
「羨ましい」
「でもさぁ、刑事なんて休みなんてあって無い様な物じゃない?あたしなんてしょっちゅうそんな感じよ?」
「へぇ」
なんかそれはそれで嫌だな
「でもさ、会えない分寂しいけど、その分会えた時の嬉しさは材増するものよ?」
そう、なのかな…
「あたし緋色さんと4年も会って無かったんだよね」
「はぁ!?」
「最初に出会ってるのが4年前。その後1回もあって無いの。とーるさんは受験勉強を見てくれてるから会ったりはしてたんだけど」
「なんだろう、それはそれで複雑ね」
「うん」
複雑は複雑なんだけどね
「緋色さんにはさ、あたしなんかよりももっと綺麗な人が似合うと思ってる」
「クリスママみたいな人?」
「そう」
「ふーん。でも私は望月もお似合いだと思うけどね」
「え?」
学校を終わらせて、家に戻って買い物に行くときにタイミングが良いのか悪いのか、とーるさんに出くわしてしまった
「昨日ぶりだな五十嵐」
「そうですね?とーるさん」
「随分と浮かない顔をしているな」
「え?そんな顔をしていますか?あたし」
「あぁ。何年お前との付き合いがあると思っている」
確かにそれもそうだけど
「お前の表情すら見抜けないほど見てないわけじゃないぞ?俺は組織にいた頃もそうだ」
「流石…ですね」
「少し話をするか」
「え?」
「別にお前の事をどうこう言う訳でもないし、ヴィンヤードの話をするつもりでもない」
「」じゃあ一体なんの…」
「お前のその浮かない表情をしている原因の男について話しをしようか」
「よく原因が男だと」
とーるさんの愛車でもある白のRX-7に乗せられると、連れて来られた先は高そうな料亭で、しかも個室とまで来てしまった
「うぅ…」
「誰にも聞かれず話せる場所となるとそうそうある訳じゃないからな」
まぁそうですね?
コース料理を頼んでくれていたらしいとーるさんは
「まずはお前のその浮かない表情の原因はヒロなんだろ?」
ヒロ?
「ヒロって誰ですか…?」
「お前の片思いの相手だ。というか今朝も会っているのにそう言う話をしていないのか?」
あたしの片思い中の相手?そんな人にヒロなんて名前の人はいない。けど今朝も会っていたって言うのは
「緋色さんの事ですか?」
「そうか、お前はまだアイツから本名を聞いていないんだな?」
「そう、ですね」
「じゃあ俺の本名も知らないわけだ」
「とーるさんの本名?」
「あぁ。俺の本名は降谷零。数字のゼロを漢字で書いているから、よそう言われている。五十嵐、お前も本名じゃないだろ」
「どうしてそう言えるんですか?」
「昨日アイツが帰った後、お前の家の表札を見ているからな。あの表札は『佐久間』になっていたからな」
「ご名答です。あたしの本名は五十嵐じゃありません」
「だがなんで本名を隠す必要がある」
「クリス・ヴィンヤードの隠し子発覚とニュースになった時にあの家に結構な人が来ていたんです」
「は?」
「それもあの時にはまだクリスの娘になる為の手続きをしてもらっている最中の出来事です」
「じゃああの時、隠し子発覚と出た時は」
「まだクリスの娘じゃなかったんです。なのでずっと『佐久間』と名乗っていました。きっととーるさんに初めて会った時はすでにクリスの娘になった後ですしね」
「そうか」
「あたしがアメリカの学校に通っていたのも事実ですよ」
「え?」
「日本とアメリカじゃ済むには遠すぎるからとあたしにアメリカの国籍まで取らせてくれて一緒にアメリカで生活をしていましたから」
「なんともあの人らしい発想だけどな」
「そうですね。4年前初めて緋色さんに会った時に自分のタイプの人だと思ったんです」
「それはまた」
話をしているさなかに運ばれてきた料理を先にテーブルに持ってきて貰った後に
「でもあの時はあたしはまだ小学生で緋色さんは歳の離れたお兄ちゃん的立ち位置だったんです」
「まぁそうなるな?きっとアイツも同じだろう」
「でも、緋色さんがNOCバレしそうになった時、この人には死んでほしくないってそう思ったんです」
「だが」
「あたしは何もできない非力な子供同然です。でもあの時にはすでにチェリーというコードネームを持っていたあたしが別のお酒の名前を使うのはまず不可能です」
「だろうな。コードネームは組織幹部だけ。故に幹部1人にコードネームも1つだ」
「そうです。でもどうしても彼に死んでほしくなくて組織には黙ってチェリーではなく『ネグローニ』というカクテルの名前を使ったんです」
「な!?」
「この事に関して知って居るのはクリスだけ。他の幹部たちは誰も知りません。そしてこの先あたしから彼にこの事を話すつもりもありません」
「いいのか」
「はい。なので、とーるさん…降谷さんも内密にしていただけると助かります」
「いいだろう。まぁその緋色の事だな。話をしてやろう」
え?
「お前と会ったのは確かに4年前だな。でもそれは実際に会ったのが4年前って名だけでアイツ自体はその前からお前の存在には気づいていた」
その前からあたしの事に気づいていた?
「お前が学校に通えなくて俺が勉強を見ていたのもアイツは知って居るから、俺と同じくらいの時には五十嵐の存在には気づいてはいたんだ」
あたしの存在を知ってくれていた?
「だから、お前が知らなかっただけでずっとアイツは五十嵐の事をずっと気にかけていたんだ。それにお前との最初の任務の時に『あの子を任務に連れて行くのは気が引ける』ってそう言っていたのもアイツ。」
「!!」
「お前がある時組織の中から姿を消したと同じくらいの時にヒロのNOCがバレそうになったんだ。その時に出て来たのが恐らくお前の言っていた架空のコードネームの持ち主が『ネグローニ』という事だったんだろう?」
「そうですね」
「アイツの事が好きなんだろう?」
「好きですよ。4年前に初めて会った時から」
「そんな前からだったのか」
「会わなかった4年間でこの想いが消えると思っていたのも事実です」
「それは一体」
「あたしとあの人じゃ釣り合わないとそう思ったんです。まぁそれだけの年が離れているのも事実ですけど」
「そう思っているのか?今も」
「そう思うしかないじゃないですか。きっとあの人にはあたしよりももっときれいな人が似合う。あたしよりも年相応の人が」
「成程な。お前のその浮かない顔の原因がなんとなく分かったが」
「え?」
「だけどな1つ確認しておきたい」
「確認…ですか」
「あぁ。釣り合う、釣り合わない以前の問題だ」
「それは一体」
「今から俺の言う事に素直に答えろよ?」
「え?はい」
「もし光の隣にお前がいたとする」
緋色さんの隣にあたしがいる?
「でも、もし光の隣に名も知らない別の女が来た時お前はどうする」
「黙って身を引きますよ」
「そうするだろうな。だが光はお前の手を取ったとする。お前はどうする」
「振りほどけるものなら振りほどきますよ。だってその隣には別の女の人がいるんでしょう?あたしじゃなくてもいいんだと思うしかないじゃないですか」
「五十嵐の隣に光がいて欲しいと思うか?」
あたしの隣に緋色さんんが?
「分か…んない…」
「なら質問を変えよう。光の隣に自分以外の女がいてもいいのか?」
緋色さんの隣にあたし以外の人…想像しただけで嫌になって下を向くと
「想像ですら嫉妬するのか」
嫉妬?
「光の隣に自分以外の女がいるのはイヤなんだろう?」
「はい」
「自分を置いていて欲しいと思ったんだろ?」
「はい」
「たった4年会わなかっただけじゃないか。光と再会してこんなにもすぐに嫉妬しているお前の姿を見るとは思わなかったが」
そっか、そうだったんだ…
「今朝、アイツがお前の所に行った事を知って居るのは俺の他にヴィンヤードだけだ」
「ママも知ってる…?」
「あぁ。思いの外アイツはアイツで五十嵐の事が心配になるらしい」
「え?」
緋色さんがあたしを心配?
「さっきも言ったがNOCバレしそうになったタイミングでお前が姿を消したこともアイツには相当だったんだ。だから余計にちゃんと生きているのか心配になるんだろう」
そうだったんだ…
「あとはアイツが想像以上に五十嵐の事が好きなんだろう」
「!!」
「自分の事なのに気が付いていなかったのか」
「全く。緋色さんに言われたんです」
「言われた?!」
「今朝、家に来た時にあたしのあの家に緋色さんが来るか、あたしが緋色さんの家に行くか選べって言われたんです」
「そうか」
「でも緋色さんの家に行くのも怖いし、あの家に来られるのも怖くて」
「拒否したんだな?」
「はい。男の人と急に一緒に生活なんて無理だと、そう言ったんです」
「けどアイツ金曜日の夜からは仕事を入れるなって言って来たぞ?」
「多分それはあたしが平日は幼なじみの子と一緒に学校の登下校をしているので金曜日の夕方からなら家にいると言ったからでしょう。金曜日の夜に迎えに来てもらって土日は緋色さんの家に泊まるとそう言ってしまったので」
「そういう事か」
キョトンとして顔をあげると
「本当は光はお前と一緒に生活がしたいんだよ」
「え?」
「自分と一緒に生活をすることで五十嵐がいるって言う実感が欲しいんだろう」
「アイツ言ってただろ?『好きな女』って」
「確かにそう言ってはいましたけど」
「アイツもちゃんとにお前が好きなんだよ。光のその思いだけは分かってやれ」
「はい」
降谷さんとそのまま食事をして帰って来た家の前で
「そうだ」
「はい?」
「お前に名字で呼ばれるのは物凄く違和感があるからな。
「いいんですか?」
「問題ない」
「なら
「そうしてくれ。そう言えばお前の本名を聞いていなかったな」
「佐久間です。佐久間望月」
「そうか。そっちの名前が本名だったか」
「はい」
「ならばアイツが知るまで俺もお前の本名は黙っていよう」
「いいんですか?」
「構わないさ」
「ありがとうございます。零さん」
なんて話をしていると急に助手席側のドアが開いて
「きゃあっ」
グイッと引っ張られた先には緋色さんの姿があって
「緋色…さん?」
「本当に焦るからやめてくれ」
焦る?
「こんな時間まで電気がつかないだなんて心配になる」
「ヒロ」
「ゼロ、なんで」
「まぁちょっとな。五十嵐の相談に乗っていただけだ」
「水柚の相談?」
「あぁ。別にやましい事なんて何もないさ」
「まぁそこはゼロの事だし、心配はしてない」
「そうか」
「あの…?」
「なんかゼロと話して雰囲気が変わったな。何があった」
「何も無かったさ。ただ五十嵐の心のわだかまりを解いただけで」
「心のわだかまり?」
「きっとお前にもすぐに心を開くさ」
「は?」
「俺に話してくれたのはきっと何でも相談できるお兄ちゃん的立ち位置からだろう。お前もそうならないようにしろよ」
「あぁ」
零さんの車の助手席のドアを閉めると緋色さんの車に乗せられたあたし
「え?あの?」
「君のこんな姿をゼロに見られるとは思わなかったな」
へ?
「取り合えず、俺の家に行こうか」
俺の家に行こうか?無理!
「無理無理無理!絶対に無理!」
「無理とイヤは聞かないって言っているだろう?」
うぅ…
「組織にいた頃はこんなに意地悪じゃなかった」
「そんなことはないさ」
そんな事無い?なんて思いながらも
「取り合えず、部屋着と明日の制服持っておいで」
「え?」
「俺の家に行くことは確定だから」
「拒否権は?」
「ない」
あ、無いんだ?
「と言うかゼロと会ってる時点でどういう状態なんだけど」
あ、そっからな感じですか
「でもやっぱり、緋色さんの家に行くのまだ」
「そう?何もないけど。じゃあこのままこの家でもいいけど」
「ならこの家が良いです」
「分かった。じゃあこの家の中では無そうか。まぁゼロと一緒だったって言う事は食事も済ませて来たんだろう?」
「あ、はい」
家の中に入るとお茶を用意したあたしは緋色さんの隣に何故か座らされてしまっている状態だ
「あの…?」
「マジで昨日の今日でゼロと話しただけでこんな雰囲気変わるとか思わないんだけど」
アハハ
「零さんとは本当に偶然あって、話を聞いてもらっただけですよ」
「偶然…ねぇ?」
「本当ですよ?学校から家までは1度咲姫ちゃんと一緒に帰って液てますからね!?」
「分かった分かった」
これ、本当に信じてないかもしれないヤツだ
「じゃあ聞いてもいいか?」
「はい」
「ゼロと何処で出くわした?」
「スーパーですよ。本当は今日の夕飯の買い出しをする予定だったので」
「そうか」
「零さんには嘘が通じないのは組織にいた頃から知って居ましたけど、表情まで見破って来るとは思いませんでした」
「へぇ」
「それで話をしようってなって零さんの車に乗って話をしてきました」
「そうだったのか。と言うかゼロの名前よく知ってるな」
「零さん本人に本名を教えてもらったので」
「ゼロが教えているのなら俺も教えても平気だろう」
零さんが教えてるから緋色さんも教えて平気?どういうこと?
「まず緋色光って言う人間は存在しない」
「え?じゃあ目の前にいる緋色さんはお化け!?」
「違う違う。偽名を使ってたんだ」
「偽名を使っていた…?零さんと同じような事を言ってる…」
「あの組織に潜入するためだからな」
あ、納得
「俺の名前は緋色光じゃなくて諸伏景光って言うんだ」
「もろ…ふしさん?」
「そう。でもゼロを名前で呼んでいるんだから俺の事も名前で呼んでよ」
「ひろ…みつ…さん?」
「そうそう。年齢に関しては嘘は言ってないよ。今年で29なんだ」
そうなんだ
「で?何を話して来たんだ?」
「あたしの本名と教えた名前二通いての違いについてと景光さんとの出会いについてですよ」
「それはまた。別姓を使うだけの意味があるんだろう?」
「そうですね。零さんが知って居た事なので景光さんも知って居るかと思いますが。クリス・ヴィンヤードの隠し子発覚のニュースはご存じでしょう?」
「そう言えばだいぶ前にそんな事を話していたな」
「あの時はまだママとは全くの無関係の人間でした。あたしも五十嵐ではなく、佐久間と名乗っていられるほどに」
「は?」
「初めて零さんを紹介してもらった時にはクリス・ヴィンヤードの娘になったばかりでアメリカの国籍の取得に動いている最中でした」
「そんな前からゼロと知り合っていたのか」
「そうですね」
「そもそもがお前は五十嵐水柚じゃないのか」
「どうでしょうね?」
きっとあたしのその回答に不満だったのだろう緋色さんは隣にいるあたしを逃がすまいと腕を掴んできていて
「え?」
「ゼロは君を妹のような存在だとそう言っていた」
「あたしもそう聞いていますよ?だってあたしも零さんは兄のような存在ですもん」
「なら赤井は」
赤井?赤井って赤井秀一?
「あの人はそもそも対象外です」
「対象外?」
「ライの事ですよね?赤井さんって」
「あぁ」
「組織にいた頃から赤井さんって苦手なんですよ。なので極力関わろうとはしてなかったですよ」
どうしてもの時にだけ仕方なく関わってはいたけれど。その状態を見たママは面白そうにしてたけど
「零さんだけが兄のような存在という訳ではなく、ウォッカもピンガも実際は兄のような存在でしたよ?」
「はぁ!?」
うるさっ
「なんで赤井じゃなくてアイツらが兄のような存在なんだ!」
「んー…意外と面倒見がいいんですよあの2人は」
「は?」
「ママがお仕事で帰りが遅くなる人かはあの2人が面倒を見てくれていたので」
「マジか」
「本当ですよ?ただ、零さんと会わせてくれてからはっ基本的には零さんに面倒を見て貰っていたって言うだけの話です」
「なるほどな。それでゼロが兄貴的立ち位置だっていう訳だ」
「そういう事です。緋色さんに初めて会ったのもその後の事なんです」
「そうか」
「ただ零さんが初めて教えてくれたのは緋色さんは組織であったのがあれが初めてじゃないという事ですけどね?」
「アイツそんな事を話したのか」
「え?違うんですか?」
「いや、違わない。俺が君の存在を組織で知ったのは初めて言葉を交わしたあの日じゃない。それよりももっと前。ゼロが君の勉強を見始めるかどうかって言うタイミングの時なんだ」
そんな早くに気が付いてくれていたの?この人は
「そう言えばゼロは本名を名乗ったんだったな」
「降谷さんだと聞いています。だけど、散々一緒にいたこともあるので名前で呼ぶかゼロって呼ぶように言われて」
「それで名前で呼んでいたんだな」
「そういう事です」
「じゃあ俺も教えておこう」
「へ?」
「そしたらお前は俺の事も名前で呼ぶしかないだろ?」
俺の事も名前で呼ぶしかない…?
緋色さんの事を…?
「無理ぃ!」
「無理は聞かない。ゼロを名前で呼べる時点で俺の事も名前で呼べる」
意味が分からない
「諸伏景光」
「もろふし…さん?」
「あぁ。まぁそれだと名前じゃないな?景光って呼んでみようか」
「ひ…」
「うん?」
「やっぱ無理です!」
「おいおい」
そんな攻防をしていても、次の日も学校があるという事で、諸伏さんからは
「次に会える時までに俺の事名前で呼べるようにしておけよ」
「だから無理だって言っているじゃないですか」
その日はそのまま帰って行った緋色さん…もとい、諸伏さん
==
Side Hiromitsu
水柚の家から出て車に乗り込んだ俺はそのまま残った仕事を片付けるために警視庁に行くと、隣にある警察庁に入るゼロを見かけた俺は
「降谷」
「帰って来たのかヒロ。五十嵐はいいのか」
「俺の名前を教えて来た」
「覚悟は決まったんだな?」
「最初から決まってる。あの組織にいた時に諸伏の名前を教えておけばよかったと思うほどに」
「そうか」
「だから教えて来た」
「なら五十嵐の本当の名前も教えて貰ったんだろう?」
「水柚の?」
「なんだ聞いていないのか」
聞いてないも何もアイツは水柚だろ?
「アイツの本当の名前が五十嵐じゃない事は俺は聞かされている」
「なんで!?」
「言っただろ?アイツの心のわだかまりを解いただけだって」
「そう言ってたけど」
「ヴィンヤードが言っていた名前と俺達が最初に聞かされた名前が違う事には違和感があったけどな」
そう言えば確かに、ヴィンヤードは違う名前を呼んでいた。でもそれはそっちが違う名前だとばかり思っていた
「五十嵐水柚はアイツが使っている偽名だ」
「!!」
「きっと学校も本名で通っているからこそ、『五十嵐なんて子はいない』そう言っていたんだろう」
「そういう事か」
という事は俺はまだアイツの本当の名前を教えて貰える領域に入っていない。という事なんだろう
「お前まさか」
「アイツの本当の名前をまだ知らない」
「嘘だろ?俺には話してくれているぞ」
「なんでゼロには話してくれるんだよ?水柚は」
「明日、時間を作ってやるから聞いてこい」
「そうする」
==
