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校内に入る前に
「降谷」
そう呼んできたのは跡部君で
「何?」
「昨日立海の奴等に会ったらしいな?」
その言葉に反応したのは彼と一緒にいた人たちで
「会ったね。でもわざわざあたしが会いに行くはずがないでしょ?」
「偶然だって言うのか」
「うん。だって昨日迎えに来てくれた彼と言った喫茶店にお兄ちゃんがいるから連れて行ってもらっただけだもん」
「マジかよ」
「喫茶店の店員であんな高級車が乗れるはずがねぇ」
普通の喫茶店の店員だけならね。お兄ちゃんは警察官。しかも公安の中でも公安を束ねる組織の中の部署の警部でもある。だから警視庁にも出る事がある
「昨日はGTR、今日はRX-7、他にはどんなのに乗ってんだよ」
「内緒」
「はぁ!?」
ヒロ君もスポーツカーだけど、陣平君も意外と社交の低い車に乗っていると来た。航君はナタリーさんと結婚してボックスカーに変えていたけど
教室に入ると、公安から配属された刑事さんから
「翠川さんからの伝言です」
「翠君から?」
「松田さんが来れなくなったからと帰りは俺で我慢しろと」
ちぇ…
「わかりました。ありがとうございます」
「いえ」
朝の部活がないのかなんなのか跡部君や他の人たちも教室に入って来ていて
「アイツ、あんな人達と平気で話せるんだな」
「あぁ」
「でも昨日何かあれば警視庁にって言ってたからそういう関係の人なのかな」
「どうだろうな。真田に聞いても何も答えられないの一点張りだからな」
「マジかよ」
「あぁ」
「あぁ、それと」
なんて思いだしたかのように言って来たのは
「もう1つ、自宅に忘れ物をしていると」
忘れ物?
スマホを見ると、ヒロ君お手製のお弁当を忘れていて
「やばっ」
「この後来るときに持ってくるとの事です」
「さすが翠君。ありがとう、教えてくれて」
「いえ」
あたしが忘れ物をするとは思わなかった。しかもヒロ君のお手製のお弁当をだ
「じゃあ自分は持ち場に戻るので何かあれば近くの人間に」
なんて話をしていると
「降谷」
「はい?」
「なんであの大人たちと平気で話が出来る」
「どういう」
「普通じゃねぇだろ」
「学校の中やで?普通は護衛なんかつかんやろ」
あぁ、そういう事
「色々とあるんだよ。あたしにも」
「あ?」
「どういうことだい?」
「じゃあ毎日護衛が変わっていることには気づいている?」
「あぁ。昨日と人間がちげぇことにはな」
そう
「じゃああたし専属の護衛が誰か。それは分かる?」
「あの男じゃねぇのか」
「違うよ。ましてや昨日は居なかったじゃない」
「「昨日は居なかった?」」
「あの迎えの男じゃ」
「違うね」
んー。と悩んでいるのは宍戸君達で
「今日は来るよ。あたしの専属の護衛が」
「はぁ!?」
「因みにお兄ちゃんと同級生で幼なじみ。あたしからしたらお兄ちゃん同然。なのにあの人達よりも上司でもある」
「マジか」
「だから学校で何かあったらいけないからっていう理由だけで配置されている人材」
「嘘やろ」
「本当。それに」
「「それに?」」
車に乗って来たヒロ君は、なんの躊躇もなく直ぐにあたしの所に来てくれて
「早かったね」
「あぁ。はいこれ」
そう持ってきてくれたのはヒロ君お手製のお弁当だ
「ありがとーっこれが無かったらあたしお昼抜きだったよ」
「それは良かった」
なんて話をしていて
「で?皆はどうして」
「あたしがここにいる大人たちと平然と話してるのが不思議らしいよ」
「あぁ」
「でもほらあたしの場合特殊でしょ」
「そうだね。これ以上透や俺達に心配させないための手段だしね」
「そうだね」
「どういう意味やねん」
「夢姫はねここの幼稚舎に通っている途中で数回誘拐されてるんだよ」
「はぁ!?」
「俺達の職業柄、夢姫を誘拐すれば出てくるしかない。でも表向きには活動できない俺や透は夢姫を誘拐させない為だけにこうやって護衛まで付けてるんだから」
「あたしは別にもう構わないんだけどね」
「透も松田も心配性だからね」
「だね」
午前中に苦手な体育の授業もあったが、何とか終わらせて着替えてからヒロ君のお手製のお弁当を開けると今日も色とりどりだ
ルンルンでヒロ君と一緒にご飯を食べようとしていたのに打
「透からだ」
「お兄ちゃんから?珍しいね」
「あぁ。先に食べてて構わないよ」
「うん」
「いただきます」そう言ってお弁当に手を付け始めた時だ
「なぁ降谷」
「はい?」
「お前幼稚舎に最初からいたか?」
そう言って来たのは宍戸君で
「どういう意味だよ」
「俺だけじゃない。滝や岳人、慈郎はここの幼稚舎の入学で4人一緒だったけどよ」
あぁ、そういう事
「あたしは入学からいたわけじゃないから」
「は?」
「だから宍戸君や滝君の言うように入学からじゃない、途中からだから知らなくても可笑しくはないよ」
「そうなんか」
「うん」
お弁当を食べながらそれを答えると
「お前ってその弁当」
「お弁当?」
「いつも母親が作ってるんか」
母親…ね
「だって翠君」
「は?」
「俺は夢姫の母親なのか」
「らしいよ?」
「何言ってるんだよ?」
「この人は男で、降谷の護衛だろ?」
ヒロ君と顔を見合わせると「そういうことか」と納得してしまったあたし達
「何が違うんだよ?」
「まずあたしが氷帝の幼稚舎を途中から入ったのはお兄ちゃんや翠君の仕事関係」
「は?」
「そして、翠君はお兄ちゃんと幼なじみで親友。あたしは生まれた時から翠君はお兄ちゃんと同じだよ」
「え?」
「あたしは両親の顔を知らないから」
「「知らない?」」
ヒロ君はその理由を知って居るからこそ何も言わないけど
「だから公立の小学校に通って何かあっても困るから私立の小学校のあるここに途中から入れたの」
「じゃあお前の持ってるこの弁当は」
「翠君のお手製だよ?」
「はぁ?」
「一体」
「だって一緒に住んでるもん」
そこに爆弾を投下したのだろう。クラスの人たちも固まっていて
「翠君、これって言っちゃ拙かった奴?」
「いや全く」
「だよね」
「寧ろハギや伊達。松田なんて言ったら俺達がすぐに引きはがしてるだろ」
想像したらあたしが悲しくなるから想像はしないでおこ…
「夢姫の場合松田には引っ付きムシで痛いだろうけどね」
「とーぜん」
はぁ、とため息をついたヒロ君にお弁当を食べ終わったあたし
「美味しかったよ」
「それは良かった。ちなみに今日は透が美味しい店に連れて行ってくれるらしいよ」
「お兄ちゃんは当てにしてない」
「それはそれで透が悲しむぞ」
「だって本当の事じゃん。むしろ翠君が毎日家にいることが不思議なんだって」
「そこそこにちゃんと仕事はしてるよ。ついでに言えば今日の夜から俺はいないからね」
だからお兄ちゃんと夕飯なんだ
「陣平君でも良かったのにぃ」
「諦めな夢姫」
うぅ…
「じゃあ夢姫。俺も今日は」
「知ってるよ。昨日言ってたもんね」
「あぁ」
「暫く翠君のご飯抜きかぁ」
「透と同じことを言うなよ」
「さすがはお兄ちゃん」
「因みに明日から分はしばらく作ってあるから大丈夫だよ」
「ホント?」
「あぁ」
暫く職には困らなそうだなぁ
「そうそう、今日の迎え」そう言ったヒロ君は「透だから」とある意味爆弾を投下してきて
「…!?」
「ちなみに来週からはしばらく俺も透もいないけど、頼んではあるから」
「因みに誰?」
「決まってるだろ」
「松田に」そう平然と言うヒロ君は本当に意地悪だ
「じゃーな夢姫」
それだけ投下しておいてあたしが平気なわけがない
「降谷?」
「なんでもっと早く行ってくれないのー!!」
「おい!?」
「翠君のばかーー!!」
「「年上に」」
「「馬鹿って」」
「言いすぎやないか?」
うぅ…
ヒロ君のいなくなった教室で午後も普通に授業を終わらせると
「おいおい」
「ホンマに朝と同じ」
「RX-7が来てるね」
「中に乗ってるのは金髪の男性」
金髪の男性…ね
外の車の方を見るとお兄ちゃんが乗っていて
「今日は随分と早いなぁ」
「あ?」
「朝と同じで、って事は運転手も同じでしょ?」
「そうかもしれないけど」
「あの車にいる人物はお兄ちゃんだよれっきとしたあたしのね」
「マジかよ」
「本当」
荷物を持って教室の外に出た時だ
「夢姫」
その瞬間「きゃーっ」っていう黄色い声が聞こえて来ていて
「年下にも人気者だねぇ?お兄ちゃん」
「離れすぎだろう」
「あたしだって陣平君と離れてるじゃん」
「それはもう見慣れているからな」
軽くあたしの荷物を持ってくれる当たり優しいんだけど
「翠川から話は聞いてるだろ」
「まぁ、うん」
下に降りて車に乗り込むと
「まだ本庁での仕事が残ってるんだ」
「じゃあ陣平君と一緒に待ってようかな。航君も同じところだったよね」
「そうだが、今日いるとは限らないんじゃないか?」
「いる」
「その手探りでする感あていい加減」
「だっていつだっているじゃん。この感の時に」
お兄ちゃんと一緒に警視庁の方に登庁すると「降谷さん」と直ぐに呼んできたのは風見さんで
「悪いな夢姫」
「仕方がないよ。じゃああたしは一課の方に行って来る」
「気を付けていくんだぞ」
「うん」
陣平君のいるであろう一課の強行犯の方に行くと
「あら、随分と」
「可愛い子が来ていますね」
「しかもまだ高校生じゃない」
なんて話して来たのは知らない刑事さんだ
「え…っと」
「佐藤よ。佐藤美和子」
「僕は高木渉って言います」
高木と言った刑事さんはどことなく陣平君に似ているけど、やっぱり陣平君には敵わないだろうなぁ
「お、夢姫じゃねぇか」
「伊達さんお知り合いなんですか?」
「あぁ俺達の同期の年の離れた妹だ」
「そうなの」
「わ、航君」
「なんだよ?」
「陣平君は…?」
「そろそろ帰ってくんだろ」
そろそろ帰って来る?
「アイツ今外に出てるからよ」
外に出てるんだ…
「んで?お前単独でここに来るはずがねぇだろ」
「え?」
「うん」
「伊達さんよく分かりますね」
「あぁ」
「お兄ちゃんの仕事が終わるの待つだけなんだけど」
「それで夢姫がここにいちゃ元も子もねぇだろ」
!!
「あら」
「お帰りなさい松田さん」
「あぁ」
「陣平君だ!」
後ろに来ていた陣平君に抱き着くと皆に驚かれてしまい
「そら誰でも驚くだろうな」
「いつもの煙草の匂いがする」
「そらするだろ。吸って来たんだから」
「それもそっか」
「アイツ待つだけでここに来るとは思えねぇが」
「ううん。お兄ちゃんの仕事が終わるの待ちなのは本当だよ」
「あ?」
「だけど1人でここに居てもしょうがないから陣平君の所に来ちゃった」
「「来ちゃった…って」」
「相変わらずお前は松田だけか」
「うん」
陣平君の隣の席の人が今日は休みでいないという事で陣平君の隣で氷帝の課題をしているときだった
「氷帝学園に通ってるんっすね」
「え?はい」
「高木何か知ってんのか」
「ここ等辺じゃ結構有名ですよ。お金持ち学園だって。たしか教師の方もそれなりにいろいろとやっている人たちも多いみたいですけど」
「そうなのか」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんのRX-7見て驚いてる人達もちらほらいたみたいだし」
「そうかよ」
