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翌日、お兄ちゃんはポアロと警視庁での仕事があるからと早めに出て行ったけど、ヒロ君お手製のお弁当も持って行ったらしい
「じゃあ夢姫も。昨日言ってただし巻きも入れてあるからね」
「ありがとー」
これで今日もがんばれそうだ
「そんじゃ夢姫気ぃつけて行ってこい」
「行ってくるね陣平君」
「おうよ」
それでも氷帝の方までは一緒らしく
「夢姫を1度送り届けてから松田を送ってくるよ」
「その間夢姫は大丈夫なのかよ」
「意外とセキュリティしっかりしてるよ。そこらの私立の学校よりもね」
「そうかよ」
なんて話をしていて氷帝まで一緒に居られる幸せで陣平君に車でもくっついていたけど、そういう時に限って氷帝に着くのもあっという間で
「もう着いちゃった…」
「どうせ昨日の写真画面にしてんだろうが」
「そうだけど…やっぱり画面の陣平君と生の陣平君じゃ違うんだよぉ」
「何がちげーんだよ。同じだ同じ。さっさと行ってこい馬鹿夢姫」
「ぁぃ」
車から降りて直ぐに
「夢姫」
「陣平君?」
「後で連絡してやっから頑張んな」
「頑張ってくる!」
「おうよ」
ルンルンで教室に入ると
「随分と嬉しそうじゃねーの」
「そうだね。昨日いたあの男の人達は居ないみたいだけど」
「残念。2人は仕事」
PIPIと鳴ったスマホには陣平君からの連絡で、ヒロ君も公安の仕事を終わらせてから氷帝に来ると言う話と
「今日のお迎えはケンちゃんか」
「あーん?」
「「ケンちゃん?」」
まぁお兄ちゃんが来れないのはいつもの事としたってヒロ君まで公安の仕事が残っているとは
「肝心な自分の事は送って着てくんないんだからバカ」
「おいおい」
「スマホ見て馬鹿って何だよ」
その直後に陣平君から『明日の夕方に迎えに行くから大人しくしとけ』と来ていて
「今度はすごく嬉しそうだね」
「待ってるね」と返信すると「ちゃんと授業は受けておけよ」そうきていて
「陣君ほどさぼらないんだけどなぁ」
「何を1人でブツブツと言うてんのや」
「ホント、怖い女だよな」
「あたしの何が怖いってのよ」
「そうやって1人でブツブツと言ってるからだろ」
「後はスマホ見てにやけとるからな降谷」
マジか…
「そう言えば」
「なんや不二」
「彼女は一体いつから氷帝にいるんだい?」
「あ?」
「中等部の時には既にいたぜ?」
「あたしは幼稚舎の時から氷帝だよ」
「え?」
「はぁ!?」
あたしが幼稚舎から氷帝にいることは数少ない人間しか知らない事だ
「まぁ幼稚舎にも途中から入ってるしね」
「「途中から?」」
「そう。幼稚舎の4年生の時に氷帝学園に入ったから」
「随分と中途半端だな」
「仕方がないんだよ。お兄ちゃんたちをおびき出すのに年の離れてるあたしを捕まえてしまえば出てくるほかなくなる。私立で小学校からある学校なんて限られているけど、公立よりよっぽどいいと考えて出した結果がこれだもん」
「じゃあそのままここに居るって事だ」
「そういうこと」
何も無ければいいんだけど
「何もない訳がないのがこのご時世だからね」
「あ?」
「どういう事だ」
「あたしを氷帝に入れたもう1つ理由があるって言うのはお兄ちゃんから聞いてるけど、無いよう教えてくれないからなぁ」
これに関してはケンちゃんもヒロ君も皆が教えてくれない所を見ると何かあったからだと思ってるけど
その後普通に午前中の授業を受けてお弁当を食べるときだった
「随分と美味しそうだね」
「そうやな」
なんてのぞき込んでるのは不二君と忍足君だ
「びっくりした…」
「堪忍な」
「でも物凄く手の込んだお弁当だね。自分で作るのかい?」
「ううん。作ってくれてるの。あたしは絶賛教えて貰いながら
「「花嫁修業?」」
「そう」
陣平君のお嫁に行くにはまずは料理を習得しなくちゃいけないしね
お弁当を食べてスマホを確認すると『降谷ちゃん午後からポアロに行くらしいけどどうする』と来ていて「行こうかな」と返事だけ送ると
「花嫁修業してる彼氏に?」
「違う違う。もっと番犬みたいな奴だよ」
ヘビースモーカーで煙草の匂いがスーツにこびりついてるけどね
「ふーん…」
「「誰が花嫁修業だって」」
「降谷さんだよ」
「料理は花嫁修業中らしいで」
「誰かいんのか」
「好きな人いるしね。大分年が離れてるけど」
「マジかよ」
「大分って事は大学生か?」
「あり得そうだよな」
「大学なんてとっくに通り越してるよ。既に社会人。しかも公務員」
「はぁ!?」
「言っておくけどあたしの護衛についているあの人たちだって公務員だからね」
「マジか」
「本当。年下上司であるお兄ちゃんたちにこき使われてる部下の人たちだもん」
「ホンマかいな」
「本当」
ケンちゃんからは「んじゃ迎えに行ったら直行で行く」と来ている当たり着替える時間はくれなさそうだ
「まぁケンちゃんが安全か」
「あ?」
「こっちの話」
午後の授業もそつなくこなすと、部活に行く人たちでガヤガヤとしている中で動くのは面倒極まりないが、窓から外を見るとケンちゃんはニッサンのGTRで来ていて
「ねぇねぇ跡部!今入ってきた車見た!?チョーかっこいいんだけど!」
「あぁ」
車から降りて来たのは間違いなくケンちゃんだ
「誰か降りて来たみたいだね」
「そうみてーだな」
「じゃ、あたしは帰るね」
「あ?」
「変な人が来てるんだよ!?危険だよ!」
ケンちゃんの何をどう見て危険だって思うんだか。まぁ見た目チャラそうだけど
「悪いけどあの人はそういう悪さはしないよ」
「え?」
「あたしの迎えに来てくれた人だもん」
「おま…」
「大分スゲェ人間が身近にいるんだな」
「そうだね」
鞄を持って席を立ってすぐに
「ケンちゃん!」
「迎えに来たぞー」
「荷物降ろすから持ってて」
「おいおい」
窓から荷物を降ろすと普通にキャッチしてくれたケンちゃん
「さっすが」
「夢姫は安全に階段から降りて来いよぉ」
「モチ」
「お前人使い荒いだろ」
「そう?」
「そう?って」
「9年の付き合いがあるから分からないんだよね。そういうの」
「へぇ」
「随分と長い付き合いだな」
「そうだね。ここにいる人たちだって幼稚舎から一緒にいると言ってもそんなに付き合いがある訳じゃないし」
「そうだな」
「確かに俺達お前の事知らねーし」
「でしょう?あたしも名前しか知らない。その程度だよ」
「へぇ」
「寧ろお兄ちゃんたちやケンちゃん達の方が同じくらいの付き合いでも物凄く濃い年数を付き合ってる。クラスにあたしの護衛でって入って来てるあの人はお兄ちゃんの幼なじみだから、あたしが生まれた時からの付き合いなんだよ」
「「マジかよ」」
「ホント」
下に降りるとすでにケンちゃんは荷物を車に積んでくれていて
「ありがと」
「いいや」
ケンちゃんが皆を見た時に
「夢姫のことよろしくな」
「え?」
「よろしくってどういう」
「そのままの意味だろ」
「だがよろしくする前にコイツには護衛がいるだろうが」
「今日は居なかっただろ」
「確かに」
「いつでもいるわけじゃねぇんだよ」
なんて話をしていて
「そんじゃ夢姫も車に乗れ」
「うん」
車に乗り込んですぐに
「そういやお前花嫁修業中やって言っとったな」
その言葉に噴出したケンちゃん
「ケンちゃん…汚い」
「悪い悪い。ケド、お前花嫁修業なんてしてんのかぁ?」
「してますー!」
「どういう」
「コイツは好きな奴がいるからな」
「「はぁ!?」」
「ソイツの為だろ夢姫が花嫁修業してんの」
「当り前。教えてくれる人がほら身近にいるから」
「あぁ成程。そういう事ね」
「そういう事」
運転席側に来たケンちゃんは
「こりゃアイツ以外に好きな奴が出来た時が大変だな」
「居ないし出来ないから大丈夫」
「あ?」
「出会い歴=片思い歴だし」
「へぇ」
「ま、夢姫に何もないことを期待したいけど、何かあった時はそん時はよろしく頼むよ」
「だから」
「すぐに警視庁に連絡してきて構わないから」
「はぁ!?」
車に乗り込んだケンちゃんを見て車の窓を閉めたあたし。静かに走り出した車の中では
「相変わらず松田一筋か」
「当り前。あのタバコの匂いも香水の匂いも好き」
「へぇ」
「というか、香水陣平君と同じのにしようと思ったら『やめとけ』って言われたんだよね」
「そりゃそうだ」
「え?」
「松田と一緒に住んでると思われるからだろ」
陣平君と一緒…
「おいおい、俺の車で想像すんなよ」
「一緒に寝られたらいいなぁ」
「マジかよ」
「だって結局今だって大差ないじゃん。お兄ちゃんがいてヒロ君が一緒に住んでるんだから。それが陣平君に変わるだけだよ」
「そっかそっか。じゃぁ、夢姫も花嫁修業頑張らないとな」
「うん!」
車に乗って暫くすると見えて来たポアロの看板
「いらっしゃ…」
そういたのはお兄ちゃんで
「安室さん?」
「知り合いなの?」
あたしと変わらないくらいの女の子2人と小学生が1人
「え?あぁ」
お兄ちゃんに端のテーブル席に案内されると
「驚いたじゃないか」
「ケンちゃんがね」
「そういう事」
お兄ちゃんはあたしの好きなココアを入れてくれていて
「あれ?注文なんて」
「ありがとうお兄ちゃん」
「どういたしまして。どうせ学校帰りに直帰で来たんだろ」
「うん。着替えてからでも良かったんだけどね」
なんて話をしていると
「そう言えばあの制服…どっかで」
うーん…って悩んでいる人の中に見たことのある顔があって
「見たことはあると思いますよ」
直後にカランカランという音と一緒に入って来た数名の男の人達
「あの制服も見た事はあるけど」
「へぇ氷帝の生徒にこんな所で会うとは驚きだな」
「幸村。彼女だろうあの跡部が調べても何も出てこないと言っていた生徒は」
「あぁ彼女か」
「「氷帝?」」
「だから言ったでしょう?」
鞄から持っている課題を出したあたしは
「見た事はあると。あたしは彼らの言うように氷帝学園の生徒ですよ」
「でも氷帝学園と言えばお金持ち学校よね」
「一部の生徒はそういう生徒もいるようですけど、あたしは普通の生徒ですよ」
「普通の所為との情報が出てこないのは可笑しいと思うがな」
「それはあたしではないのでは?その制服神奈川の立海大附属でしょう?」
「よく分かったな」
「胸ポケットのワッペンにRIKKAIなんて書いてあれば分かりますけどね」
「そうか」
