銀板の上で
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休日
「へぇ、ここが新しくできたスケート場か。中々広いじゃねーか」
「これなら全員で滑っても余裕をもって楽しめそうですね」
「しかし、コーチ達も思い切った事するわ」
「まさかスケート場を貸し切るなんてな。最初に聞いた時は驚いたぜ」
「まぁ、合宿所にいる人数を一度に入れるとなると貸し切りやないと対応は難しいやろうし、そこら辺も踏まえてのコーチの判断っちゅーわけか」
「フッ粋な真似してくれるじゃねーの。なぁ夢姫」
「嬉しくないんだけど」
「なんでぶすくされてんだよ?夢姫はよ」
「この間、先輩の練習を見に行った時に跡部が直談判してたしな」
「そうですね。そしたら先輩にたまには俺達と出かけて来いって言われててよ」
「あー…なるほどな」
「やっぱり今から帰る」
「何言ってんだよ。俺達も早く滑りに行こうぜ。他のメンバーはもう準備始めてるぞ」
「そんなに焦らなくてもいいだろ。スケート場は逃げねーぞ」
「それはそうだけどよー」
そう言ったがっ君はあたしを見ていて
「あー、逃げそうなのが此処に居るわけか」
「うっさい」
「前から思ってたんですけど」
「なんだよ?」
「夢姫さんって宍戸さんたちの前だと口が悪いって言うか」
「しょうがないでしょう?あたしはがっ君や亮君と幼なじみだよ?口が悪いのは2人のせい。まぁそれを直してくれたのはあくと君や育人君だからね」
「あ、そうなんですね」
「育人君に関しては物凄く五月蠅かったよ。口の利き方に関しては。さすがはお坊ちゃまって感じだけど」
「え?そうなんですか」
「うん。本人は聞かれたくないんだって言うけどね」
「「へぇ」」
「どうした?日吉」
「いえ、なんでもありません」
何でもないのならいいけど
「ただ少し、スケートの前に精神を研ぎ澄ませていただけです」
「いや試合やないんやし、そこまでせんでええやろ」
「俺はスケートでも先輩達に下剋上するつもりです」
下剋上か…
「だから、手を抜くつもりはありません」
「何で競うつもりかは知らねーが…いいぜ。その勝負、受けてやるよ」
あ…
「夢姫?」
「なんでもない」
「そうか?」
「うん」
「その言葉、忘れないでくださいよ」
「やけに自信がありそうだな。もしかして経験あんのか?」
「いや、特には…とはいえ、俺には古武術の経験がありますからね。鍛えた体感で、スケートも必ずマスターしてみせますよ」
「そいつは楽しみだな」
今の氷帝を見ていると、お兄ちゃんがいた頃の氷帝のテニス部を思い出すのは、今の氷帝のテニス部の関係がお兄ちゃんがいた頃と似ているからだろう
「では、さっそくリンクに…」
「盛り上がってるとこ悪いんやけどまずは準備運動せなあかんで?下剋上もええけど、怪我したら元も子もないしな」
「怪我をすれば夢姫の仕事も増えるだけだしな」
「言えてるぜ」
「別にあたしは其れならそれで構わないんだけど」
「「よくねぇだろ」」
「それもそうですね。わかりました」
分かんなくてもいいのに
準備運動を終わらせてから早速入ったのはジロ君で
「う、うわ!?足が滑っ…」
「「危ないっ」」
「助かったぁ」
「大丈夫かい?慣れないうちは急に動かない方が良いよ。氷の上は思ってる以上によく滑るからね」
「うん…転んじゃうところだったCー。あんがとね、不二!」
「しかし、よく氷の上で安定して滑れますね。まっすぐ立っているだけでもかなりの集中力が必要だと言うのに」
「柳生、足が震えてるぜよ」
「そういう仁王君も随分と膝に力が入っているようです羽」
「プリっじゃが夢姫はある程度滑れるんじゃな」
「あー…まぁね」
「こればっかりは慣れだからな。最初は安定しなくても仕方ないぜ」
「「おおっ」」
「丸井君もすっげーうめー!」
確かに、丸井君が滑れる方が意外だったかも
「よかったら少しアドバイスしてやろうか?どうせなら滑れた方が楽しいだろ」
「楽しいだろうね」
「え、いいの?うれCー!」
「不二君、宜しければ私たちにもアドバイスを頂けませんか?」
「うん、かまわないよ。コツさえつかめばすぐ滑れるんじゃないかな」
「コツ、ですか」
「フフ」
「じゃが、夢姫はなんで」
「そりゃあ、ねぇ」
「「ん?」」
「そのうちわかるよ」
「なんじゃそれは」
比呂君は不二君にアドバイスを貰いながら滑っていて
「あとは足の側面で蹴りながらスピードを出して、感覚を覚えれば完ぺきだね」
「なるほど。こういう感じですか」
「なんとなくわかってきたかも!」
「さすがだね。皆見違えるくらい滑るのが上手になったよ」
「ああ、バッチリ安定してるな」
「きっと教え方が良かったからでしょうね。お2人とも、ありがとうございます」
「じゃが、秘密にしとる夢姫の答えは気になるのう」
「ヒントは篤君だよ」
「篤君?って遠野先輩だよな」
「じゃな。じゃがその先輩となにが関係があるんじゃ」
「そこが分からないと分からないかもね」
「なに?」
スマホを見ると篤君からで
「よく分かってるなぁ」
「は?」
「なんでもなぁい」
「何だよ?気になるだろぃ」
スマホには
『滑れるのは知ってるからまずは手すりに掴まってからゆっくりと滑ってろ』だなんて篤君じゃなきゃ教えてくれない事だしね
「気にしないって」
「いやいや、余計に気なるじゃろ」
皆揃ってあたしの方を見て来るもんだから
「篤君は青森出身だよ?これだけ言えばなんとなくわかる?」
「そういう事か」
「どういう意味じゃ」
「夢姫ちゃんは遠野先輩に滑り方を教えて貰っているんだよ。きっと4年間の間に」
「な!?」
「そう。そして滑れることを知っているからこそのアドバイスをちゃんとにくれる」
「羨ましい限りだね」
「あたしは教えるほど上手じゃないけどね」
あたしも準備を終わらせると
「随分と入念にしているんだね」
「これも篤君から教えて貰った事だけどね」
リンクに入ると篤君の連絡通りに手すりに掴まってゆっくりと滑っていると
「なかなかやるじゃないですか」
「日吉君こそ」
篤君が今回いてくれたら絶対篤君を先生にしてたのになぁ
