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翌朝
「どう?菊丸様のアクロバティックプレイ!」
「流石にインパクトがありますね。子供たちが目を輝かせそうです」
「へへ。テニスの楽しさを全身で表現しちゃうよん」
「ええなぁ!ワイもドカーンってでっかい技決めて」
「金ちゃん、でっかいのはアカン。ほどほどにしときや」
「えぇー?でっかいほうが派手でええやん」
「せっかくのコートを破壊…いや、子供達がびっくりしてまうやろ」
「やんやん、テニスが怖いと思われたら困るからねぇ。子供にはやっぱり笑顔が1番さ」
皆も其れなりに考えているんだろう
「おや、おはようございます。夢姫さん」
「おはよう、比呂君。遠山君も元気いっぱいなのはいいけど、コートを壊したり、子供達に怖い思いをさせるためにテニスを見せるわけじゃないからね」
「えー!?」
「じゃあ、リストから消すしかないかな」
「えー!?」
「何事も、ほどほどがいいと思いますよ」
「よう、頑張ってるな青少年たち。差し入れにオレンジを持ってきたぜ。そこのベンチに置いたから好きなだけ食いな」
「うわっすごいいっぱい」
「本当だ。でもこのオレンジそのまま食べるのも美味しそうだけど」
やっぱりデトックスウォーターにしたいな
「美味しそうやか。おおきに」
「そう素直に喜ばれちまうと照れちまうな。少し前からだけど、お前らがあれこれ試す姿だけでワクワクしたぜ」
「そう言ってもらえると、安心します」
「せやな。子供たちの目にも同じように映るやろうし」
「そうだね。でも、無理は禁物だからね!あたしもマネージャーとして出るとはいえ」
「そうなんか?」
「うん。他の国にはあまりないけどね。男子テニスのしかも選抜強化選手たちの中に女子マネなんてね」
「へぇ」
お兄ちゃんが高校生の頃、あたしによく言われていた言葉だ
「ワクワクと言えば、此処に来る途中のグラウンドで、ラグビー選手がスクラムを組んでてよー。力と力のぶつかり合いが迫力があって、手ぇに汗握ったさぁ」
「俺も向こうのバスケのコートで派手なダンクシュート決めてるの見て、すっごいワクワクしちった」
「それはなにより」
「でも夢姫ちゃんは何か見たりせぇへんかったん」
「見てる余裕があると思う?マネージャー業務は山ほどあるって言うのに」
「へ?」
「っていうのは冗談。見に行って来たよ」
まぁお兄ちゃんに関してはある程度のスポーツはそつなくこなしちゃうし、バスケにしろ他のスポーツにしろよく声が掛かっていたのも事実だけど
「ワイ、メイン広場でひょいっと持ち上げられたで」
「ウエイトリフティングの選手やろ。金ちゃん、子猫みたいになってたな」
へぇ
「そんなワクワクを今度は皆がテニスで伝えて来てね」
「あぁ」「えぇ」
「所で夢姫ちゃん」
「はい?」
「模擬試合は学校ごとに順番でええんやったな?」
「うん。同じ学校の方が試合もしやすいだろうし、リストも組みやすいだろうと思って。大石君には悪いけど、青学に入って貰ったし」
「そうですか。彼も確かに青学側の選手でしたしね」
「そうなの」
「まずは青学から!」
「監督役には適当に入れてはあるけど、立海に関しては既に修ちゃんが監督でお兄ちゃんがコーチでいる観点からそのまま2人に見てもらう事にしてる」
「そうですか」
「いいねぇ」
「ん?」
「みんな目をキラキラさせて。テニスが楽しいって事、それだけで十分伝わると思うぜ」
「あたしもそう思ってる」
==
前日からコートを使えると言うのもあって各学校選手たちは自由にコートを使用している
「比嘉の皆は好調のようだけど」
「どうしたの、南。難しい顔なんかしちゃって」
「千石か。…今更だけど、俺のテニスでちゃんとアピールできるのかなって不安になったんだ。隣で練習してる比嘉のメンバーに比べて、俺のテニスは、その、なんていうか」
「まぁ地味だよね」
「その通りではあるんだが、はっきり言うなっての」
「でも」
「「でも?」」
「それは、南君のテニスの良さでしょう?」
「え?」
「みんながみんな、見せるような得意技に注目するわけじゃない。言ったでしょう?それは南君のテニスの良さだって。努力に裏付けられた南君の堅実なプレーだって、見る人が見ればきっと気づいてくれるから」
「うん。それに南のサインプレーも十分、魅せるテニスじゃないかな。秘密の暗号って感じで子供たちも好きそうだし」
「そっか」
「俺達は俺達。山吹のやり方でテニスの楽しさを見せようよ」
「そうだな。『楽しく勝てるテニス』をみんなに見せようか」
思っている以上に接戦にもならず早く終わってしまうこともあって
模擬試合を1日で終わらせようと言う話になり
「白石君ちょっといいかな」
「なんです?」
「明日の模擬試合の予定を繰り越して今日することになったけど、大丈夫そう?出来る?」
「それは構へんけどええんか?」
「うん。他の学校の皆も大丈夫だって言ってる。大人組も問題ないみたいだから」
「さよか」
「じゃ、皆にも声かけておいてね」
「分かった」
あたしも他の支度をしていると
「ちょお、コート壊れるか思うたで」
「壊さへんでぇ。それに今のはウォーミングアップや」
「いや、今のがウォーミングアップやったら本番はどないやねん」
「確かに」
「あ、夢姫さん。支度は終わったんすか」
「勿論」
ベンチにはノートも選手が飲むドリンクも全部用意してある
「でもまさかアタシらの監督役に」
「お頭と毛利先輩が付くなんてなぁ」
「その方が良いと判断したのはほー君だよ。2人とも関西出身だし、サブちゃんに関しては立海に入る前に四天宝寺にいたからって」
「それも驚きやったで」
「でも立海だけは最初から決まってたんやろ?」
「変えてないからね。監督もコーチも」
「「え」」
それこそ驚きなのだろう
「でも、本番では本当にその技はやめてね。サブちゃんやほー君にも止められると思うけど」
「本番ではやらんで?でっかい技はアカンって白石に言われたからな」
「分かってればええ」
「やる気と元気は大丈夫みたいだし、遠山君自体が子供っぽいから其処等辺も大丈夫だと思うけど、無理だけはしないようにね」
「まぁ良くも悪くも、気合は十分って感じっすね」
「へへっせやろ。ほな財前、一緒にラリーしようや!」
引っ張られていった財前君もなんやかんや言ってちゃんと遠山君の面倒を見ている所を見ると
「ある意味兄弟のようにもみえるんだね、あの2人」
「そう?」
「うん。クールで面倒見のいいお兄ちゃんが財前君。ぎゃくにやんちゃな弟が遠山君」
あの2人だからバランスが保ててるのかもしれない
「白石。取り込み中やったら悪かばってん、ちょっと俺の練習に付き合ってくれんね?」
「ええけど」
「どぎゃんしたと?」
「いや、千歳は楽しそうやと思ってな。大きい舞台の前やのに全然緊張してへんし」
「そうね?だってテニスを楽しむのが無我への第一歩たい」
「せやな。特別な事をするのも大事やけど、肩肘張らずに思い切り楽しむ。そのやり方でも、楽しさは伝えられるかもしれへんな」
「それで、相手ばしてくれんね?」
「勿論。ほなお互い全力で楽しむで」
