坊ちゃん×ルック
坊ちゃん・2主・王子の名前を変換する
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未成年が主張する感じのお話
昼休み、校舎の屋上でマキノはギオンの長話に付き合っていた。
「……でさ、最近ルックが冷たいんだよ」
ランチバックから弁当箱とスープジャーを取り出しながらギオンが呻く。
「へー。でもそれって、いつものことじゃないですか」
拳大のおにぎりを頬張りつつ、マキノは適当に相槌を打った。あの綺麗な顔をした少年の塩対応なんて毎度のことだろうに、この先輩も懲りないものだ。
「ツンツンしてても避けられたことなんて今までなかったんだよ。今朝なんて、髪切ったの似合ってるねって声掛けようとしただけなのに、近付く前に逃げられるし」
ギオンはしょんぼりと肩を落とす。
ギオンがルックに想いを寄せているのは周知の事実だった。彼は何も包み隠すことなく、開けっ広げに愛情を表現する。
(ところ構わずやられたら、そりゃ逃げたくもなるかもね)
思いながら、マキノはひとつめのおにぎりをペロリと平らげた。具材は甘い卵焼きと唐揚げだった。
それよりも今マキノが気になっているのはギオンのお弁当の中身だ。スープジャーの中に入っているのは今日もシチューなのだろうか。早く開けないだろうかとソワソワする気持ちを宥めつつ、ギオンに顔を向ける。
「本人に直接聞いてみたら?わけもなく避けるなんてことはないと思いますけど」
「うーん……でも近寄る前に逃げられるしなぁ……」
ギオンは唸りながら思案顔になる。
マキノは弁当包みからふたつめのおにぎりを取り出した。齧ろうとしたところで、ふと校舎の外を歩いている人物の姿が目に留まる。
「あ、ルックだ」
その名前を口にすると、弾かれたようにギオンがそちらへ顔を向けた。
(……ホント好きだよなぁ)
呆れていいのか感心すべきところなのか、マキノには判断がつかない。
立ち上がったかと思うと、ギオンは瞬く間にフェンスのところまで移動していた。そして大きく息を吸い始める。
(ああ、これはまたルックを怒らせるやつじゃないかな)
なんとなく嫌な予感をヒシヒシと感じながらも、マキノは口を出さずに傍観することにした。
「ルックー!」
校舎の屋上で発せられる大音量に、いたる所から視線が集まった。
当然、名を呼ばれたルックも屋上を見上げる。声の主がギオンであることに気付いたようで、遠目にもわかるほどに狼狽しはじめた。
そんなルックの様子に気付いているのかいないのか、ギオンは言葉を続ける。
「髪!可愛いねー!短いのも、好ーきー!」
屋上から叫んだ愛の言葉が学校中に響き渡る。
生徒や教師たちの視線を全て集めることになってしまったルックは、顔を真っ赤に染め上げて駆け足で校舎の中に隠れてしまった。
その場からルックの姿がなくなり、たくさんの視線が屋上のギオンへと戻ってくる。しかしそれらには全く構うことなく、ギオンは両手で顔を覆って大仰に嘆き始めた。
「ほらぁ、また逃げたぁ」
「……これ、切り裂かれないだけマシなんじゃないかな」
ガックリとうなだれるギオンを半眼で見ながら、マキノは酢豚おにぎりを食べ切った。
昼休みは半分ほど残っている。
ギオンはまだまだお弁当を食べ始めそうにない。今日の彼のお弁当はシチューなのかシチューじゃないのか。幼馴染と焼きそばパンを賭けているため、確かめないわけにはいかないのである。
マキノはみっつめのおにぎりを食べながら、目の前でうなだれる先輩を励ますことに決めたのだった。