坊ちゃん×ルック
坊ちゃん・2主・王子の名前を変換する
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
赤い実が弾ける感じのお話
春の温かい風が吹き抜ける陽気の中、シーナはギオンとアップルを引き連れて人混みに紛れていた。
どちらもあまりやる気があるように見えず、しかもこの任務は彼らには全く向いてなさそうだった。自分が何とかしなければと思いつつも、シーナはこっそりと嘆息した。
(ちゃんと新入生勧誘しないと、先輩ら絶対うるさいよな……)
恐ろしい上級生の顔を思い浮かべると、ますます気が滅入ってくる。
(いや、せっかくだ、可愛い子に声かけて勧誘しまくろう)
そんなことを思いながら、シーナはかぶりを振った。
入学式が済んだあと、構内において新入生のサークル勧誘が行われるのがこの大学の恒例行事となっていた。
一年前はシーナたちがまさに勧誘されチヤホヤされる側だったのだが、進級したら今度は勧誘する側に回るハメになってしまった。口うるさい上級生たちに言いつけられているので、収穫は必ず上げなければならない。
ふと、ギオンの方を見ると、何かを凝視して動きを止めている。
(なんだ……?)
ギオンの目線の先。そこには、ショートボブのスレンダー美人の姿があった。
可愛い。清楚な印象の子だ。
シーナはニヤリと笑うと、ギオンの肩を抱き寄せる。
「お前のタイプどストライクじゃん?こっちの方来るぞ、ちゃんと声かけろよ!」
(ついでに我らがサークルに勧誘を!)
などと心の中で本音を付け足しておく。
ギオンはシーナの言葉にコクコク頷いたものの、緊張しているようだった。心なしか顔も赤く見えるような気がする。
目当ての人物が近付いてくる。
と――
ブワッとひときわ強い風が吹き付け、シーナは瞬間目を閉じた。
目を開けると、目当ての人物はもう先へ行ってしまっている。
「ギオン!何してんだ――」
言いながらギオンを見ると、彼は真っ赤な顔で涙目になってアワアワと慌てふためいていた。
「あああ……今……あの子が通ったとき風がフワッてなって……ものすごくいい匂いが……」
中学生かよ。
「あー、こりゃ重症だわ」
「赤い実弾けたわね」
頭を抱えるシーナに、アップルはうんうんと同意してくる。パチンかよ。
「あの子すごく美人よね。あちこちのサークルの男共が勧誘しようと躍起になってるって、話題の子だわ」
アップルの話を聞きながら、わからないでもないとシーナは思った。色白で華奢で清楚で、とても整った顔の子だ。庇護欲をそそられるといでも言うのだろうか。
話の最後にアップルは声のトーンを下げてこっそりと呟く。
「まぁ、あの子男の子なんだけどね」
「エッ!?!?!?」
シーナが弾かれたようにアップルの方を見ると、彼女は何やら楽しそうにウフフと微笑んでいた。
アップルの話が聞こえていないギオンは、春風の中、頬を真っ赤に染め上げてカチコチに固まっている。
(あーあ……)
心の中でご愁傷様ですと呟きながら、シーナは美女探し――もとい、新入生勧誘を再開することにした。
26/26ページ