幻水1
坊ちゃん・2主・王子の名前を変換する
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トランの英雄はバズりたい?
早朝から鬼電の嵐だった。
クレオにパーン、マリー、シーナ、そして最も着信回数が多いのがレパントだ。
昨晩ひとりでグレッグミンスターを出てきてしまったので、こうなるのは目に見えていた。
本当は迷ったのだ。スマホを置いてくるべきか否か。通話に応じないのであれば、持っていても意味がないではないか。
「でも、そう簡単に手放せないんだよね」
ぼやきながら、少年は川べりに寝っ転がった。
釣り針を川に垂らしているが、一向に引く気配はない。SNSでも見ながらのんびり気長に待とう。そう思って、スマホの画面を眺めていると――
「ん?! ルック……?」
一瞬ツインテールにブルーリボンを付けたルックの姿が見えたような気がした。しかし瞬時に画面がヒュンとなって、画像はどこかに飛んで行ってしまった。
「えー、何だよ、今の」
投稿を探し出して「いいね」すべくスクロールしていると、突如端末の画面が切り替わった。
着信だ。
相手は――着信回数トップ賞のレパント。
「わっ、わ……」
あやうく通話ボタンに触れそうだった指をすんでのところで回避させる。その拍子に――
「アッ!?」
バランスを崩して手が滑る。
掴み損ねて転がり落ちたスマホは、スローモーションで川の底へと沈んでいった……
「ぼっちゃんのスマホがぼっちゃーん、なーんて。はは……」
ダジャレを口にしてみたところで、水没したスマホに「いいね」の通知が届くはずもなく。
乾いた笑いを浮かべながら、少年はがっくりとうなだれたのだった。