ルック
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ロッテの猫を探す話 後日譚
マキノの手の中に、小さな小さな生き物の姿があった。
子猫だ。懸命に足をばたつかせて、身動きを取ろうとしている。
「見て、ルック! ロッテさんに一匹譲ってもらったんだ」
数週間前、ロッテの猫が行方不明となり、大捜索が行われた。
たまたまグレッグミンスターの街中にいたルックとシーナ、それからすぐ近くの自宅にいたギオンが協力をしたのだが、その間、宿屋にいるマキノは呼び出されないままだった。
仲間外れにされたマキノは、その後都市同盟領に戻ってからも、事あるごとにグレッグミンスターに通い詰めていた。ギオンの手を借りたいのだと彼は言っていたが、それがただの建前であることをルックは知っていた。マキノはロッテの家の子猫を見たくてたまらなかったのだ。
確かにマキノは動物が好きそうではあるが、まさか子猫を譲り受けようと考えているとは思わなかった。
なにせ、猫はマントを羽織って二足歩行したり、空を飛んで魔物に体当たりしたりなんてしないからだ。
「猫の世話なんてできるの。君、忙しいだろ」
ルックがため息混じりに言うと、マキノは首を横に振った。
「ううん、僕が飼うんじゃなくて。シュウに贈ろうかと思ってるんだ」
「よせ! 取って食われるぞ!」
青ざめたシーナが、食い気味に悲鳴を上げる。
「いくらなんでも、食いはしないんじゃないかな」
「は? ギオンはシュウの何を知ってるっていうんだよ!」
「逆にシーナこそ、いったい何を知ってるっていうの」
ギオンとシーナのくだらない言い合いを遮るように、子猫がか細い鳴き声を上げた。
場の空気が一瞬にして柔らかいものになる。
そこにいる誰もが目尻を下げて、子猫に視線を送らずにはいられなかった。