第一章
夢小説設定
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金の色をした髪の男があたしを見下ろしながら何か怒っている
声は聞こえず顔もよく見えない相手から視線を逸らすと見たこともない景色が拡がっていた
ここは何処だろう?
遺跡?
体も動かず固い石畳の上で仰向けとなり視線を戻せば金色の髪のカーテンに包まれる
上からポタポタと頬に落ちてくる雫、それは怒っている彼の瞳から流れ出る熱い水滴で落ちてはあたしの頬を伝い下へとゆっくり流れ落ちていく
何を言われても喋れずただ瞬きをする事しかできなかった
そんなあたしの頰を震えた手で撫で、肩を強く抱く彼の強い怒りと熱い想いが…胸に流れ込んでくる
歯痒さと悲しみ
苛立ちと愛しさをぶつけてくる彼の姿が次第に薄れていき辺りは暗く静かになっていく
一体何の夢見ているんだろう
貴方は誰?
会ったことないよね?
何かの映画で見た俳優さんだったのかな
ぼんやりと考えていると真っ暗な闇の中、強い光を放つポケモンが突如現れそちらへと体が勝手に引き寄せられていく
眩しい光に包まれたポケモンは自らをアルセウスと名乗りあたしを優しく見つめてくる
名乗ると言っても口を動かして人間の言葉を話すわけでもなく頭の中に直接話しかけられたような感じだった
夢なんて自分でコントロールできないし、きっとこれも夢なんだろうと何処か冷静に考えアルセウスの願いをただ静かに聞いた
全てのポケモンに会え
全てのポケモンに会うなんていったいどれ程の時間が必要になると思う?
それこそ世界を旅しないと叶わないと思う
遠回しにアルセウスは旅をして世界を見ろと言っているのかもしれない
変な夢だなと感じながら意識がぼやけていく
目覚めが近い証拠だ
アルセウスに会った事も金色の髪の男性の言葉も…後に夢ではなく未来の出来事だと気がつく日が来る
ずっと先の事だけど
『……ん』
ゆらゆらと揺れる浮遊感を感じながら深い眠りから目が覚めて最初に見えたのは青と黄色だった
まだぼやける視界を元に戻そうとし数回瞬きをすると誰かの背中におんぶされていた事に気がついた
「………ん?……気がついたかい?」
低く落ち着いた声の主はあたしを背負う男性の物だった、帽子からはみ出た銀髪と微かな煙草の匂いが特徴的な彼は顔だけを少し後ろへと振り向かせコチラを見た
青い瞳からは感情が読めずただ見つめ返すと彼はまた前を向き直し足を動かした
辺りは暗く空気もヒンヤリとした夜だった
空には千切れた黒い雲がうっすらと伸び静かに消えていく途中のようだった
ちらほら見える夜空の輝き
だが不思議な事に地上には人工的な灯りが一つも見えなかった
草を踏み鳴らす音と虫の音しか聞こえず人がいる気配もない
見える範囲には人の手が入っていない大自然が拡がり電柱さえ見つけられなかった
『あのっ、なんで…』
なんでおんぶされてるのか
ここは何処なのか、貴方は誰なのかと聞きたい事がありすぎて上手く喋れない
口籠りつつ必死に頭の中でちゃんとした言葉を探そうとしていると彼は独り言を呟くように喋りだした
「今日の空はご機嫌斜めでね…突然雷が鳴り響いて空が真昼みたいに光ったんだ、こんな天気じゃ商売なんかできないしアジトに帰ろうとしたら地面に倒れた君を見つけた」
もう一度空を見上げると遠くで黒い雲が残る高い山が目に入った
空まで届きそうな山の頂上には妖しく光る白い稲妻とガラスを叩き割ったような裂け目が空に拡がっていた
驚きに目を大きくさせ黙っていると彼はまた独り言のように静かに言葉を続ける
「君が何処から来たのか何者なのか俺には分からないけど…目の前で倒れた女の子がいたら男としてほっとけないだろ」
『………ありがとう…ございます』
「ん、取り敢えずもうすぐアジトに着くから…それまでおじさんの背中で我慢しててよ」
鼻で小さく笑った声を出す彼は一度あたしを背負い直すと先程より少し早く歩き出した
人を一人背負っているのに彼は軽々と凸凹した道なき道を進んでいく
おじさんと言っていたけど…体力はどうもおじさんのそれではなさそうだ
あたしの膝裏に回された彼の腕は長袖でよくは分からないけど太くて固い
背中も肉厚で鍛え上げられている気がした
『……疲れませんか?』
「ん?」
『あ、そのっ、あたし軽くないし、ずっとおんぶしてたら疲れるんじゃないかと思って……あっ!あたし歩きますよ!』
子供じゃないんだから歩かなきゃ
慌てて彼に提案するも膝裏に回された腕は退く気配はなく歩く足も止まらなかった
「いつも重い荷物背負って歩いてるから平気…それに裸足のお嬢ちゃんを歩かせる程俺は鬼畜じゃないつもりだけど?」
『え?……あ』
今更自分が裸足なのに気がついた
よく見ればルームウェア用のTシャツと短いショートパンツだけしか身に着けておらず、どうりでさっきから寒いと思った
一度意識してしまうと足の爪先が寒さで縮こまり丸まってしまう
Tシャツから出た肌が温かさを求めてしまい無意識に彼の背中に身を縮めすり寄る
『あっ!ごめんなさいっ』
初対面の…しかも年上の男性に何をしているんだろう
恥ずかしさに頬が熱くなり上半身を引き離そうとすると彼は軽くあたしの体を上下に揺らし背負い直した
その反動でバランスを崩したあたしはまた彼の背中に寄り添うようにくっついてしまい数分前の元通りになる
「寒いだろ?生憎毛布もなくてな…もうすぐだからそれまでそうしてな」
言い終わると彼はまた何でもなかったように黙々と歩き出してしまい、あたしは結局アジトに着くまで彼の背中の熱にお世話になった
彼が言うアジトは何処かの村や洞窟でもなく
平原にポツンと立ったテントの事だった
側には焚き火しかなく他の人間もいない
その代わりにテントの前には一匹のポケモンが横たわり留守番役をしていた
ライオンのような黒い立髪と鋭い金色の瞳をしたその生き物はレントラーというポケモンだった
『レントラーだ、かっこいい』
素直な感想を口にすると彼はチラリと後ろのあたしを見つめた
「……珍しいね…ポケモンが怖くないの?」
『怖くないですよ?だってかっこいいじゃないですか』
どうしてそんな事を聞くんだろう
彼を見つめ返すも顔を背けられ、テントへと近寄るとレントラーがあたし達に気が付き立ち上がった
四本脚で立っているというのにあたしより大きく強そうだ
まじまじと見ているとレントラーはあたしから彼へと視線を流しそいつは誰だと言いたそうだった
「俺の相棒ポケモンのレントラーだ、こっちは拾ってきた……………何ちゃんだっけ?」
そう言えば名乗ってない
苦笑いしながら彼に地面に降ろして貰うと一番身長の低いあたしを彼らはじっと見下ろした
『ごめんなさい…お世話になったのに名乗ってませんでしたね、名前はチハルです』
ちょっと緊張してしまう
Tシャツの裾を握りしめ彼らを見上げるとレントラーは丸い耳を片方ピクリと動かし、彼へと視線を向けた
「チハルちゃん…ね、俺はギンナン…見ての通りこのヒスイ地方で商いをしているイチョウ商会のつまらないおじさんだ」
『イチョウ商会…てなんですか?それにヒスイ地方って?』
「……………君…本当に何処から来たの?」
どうやらまだあたし達はゆっくり眠る事は出来そうにない
声は聞こえず顔もよく見えない相手から視線を逸らすと見たこともない景色が拡がっていた
ここは何処だろう?
遺跡?
体も動かず固い石畳の上で仰向けとなり視線を戻せば金色の髪のカーテンに包まれる
上からポタポタと頬に落ちてくる雫、それは怒っている彼の瞳から流れ出る熱い水滴で落ちてはあたしの頬を伝い下へとゆっくり流れ落ちていく
何を言われても喋れずただ瞬きをする事しかできなかった
そんなあたしの頰を震えた手で撫で、肩を強く抱く彼の強い怒りと熱い想いが…胸に流れ込んでくる
歯痒さと悲しみ
苛立ちと愛しさをぶつけてくる彼の姿が次第に薄れていき辺りは暗く静かになっていく
一体何の夢見ているんだろう
貴方は誰?
会ったことないよね?
何かの映画で見た俳優さんだったのかな
ぼんやりと考えていると真っ暗な闇の中、強い光を放つポケモンが突如現れそちらへと体が勝手に引き寄せられていく
眩しい光に包まれたポケモンは自らをアルセウスと名乗りあたしを優しく見つめてくる
名乗ると言っても口を動かして人間の言葉を話すわけでもなく頭の中に直接話しかけられたような感じだった
夢なんて自分でコントロールできないし、きっとこれも夢なんだろうと何処か冷静に考えアルセウスの願いをただ静かに聞いた
全てのポケモンに会え
全てのポケモンに会うなんていったいどれ程の時間が必要になると思う?
それこそ世界を旅しないと叶わないと思う
遠回しにアルセウスは旅をして世界を見ろと言っているのかもしれない
変な夢だなと感じながら意識がぼやけていく
目覚めが近い証拠だ
アルセウスに会った事も金色の髪の男性の言葉も…後に夢ではなく未来の出来事だと気がつく日が来る
ずっと先の事だけど
『……ん』
ゆらゆらと揺れる浮遊感を感じながら深い眠りから目が覚めて最初に見えたのは青と黄色だった
まだぼやける視界を元に戻そうとし数回瞬きをすると誰かの背中におんぶされていた事に気がついた
「………ん?……気がついたかい?」
低く落ち着いた声の主はあたしを背負う男性の物だった、帽子からはみ出た銀髪と微かな煙草の匂いが特徴的な彼は顔だけを少し後ろへと振り向かせコチラを見た
青い瞳からは感情が読めずただ見つめ返すと彼はまた前を向き直し足を動かした
辺りは暗く空気もヒンヤリとした夜だった
空には千切れた黒い雲がうっすらと伸び静かに消えていく途中のようだった
ちらほら見える夜空の輝き
だが不思議な事に地上には人工的な灯りが一つも見えなかった
草を踏み鳴らす音と虫の音しか聞こえず人がいる気配もない
見える範囲には人の手が入っていない大自然が拡がり電柱さえ見つけられなかった
『あのっ、なんで…』
なんでおんぶされてるのか
ここは何処なのか、貴方は誰なのかと聞きたい事がありすぎて上手く喋れない
口籠りつつ必死に頭の中でちゃんとした言葉を探そうとしていると彼は独り言を呟くように喋りだした
「今日の空はご機嫌斜めでね…突然雷が鳴り響いて空が真昼みたいに光ったんだ、こんな天気じゃ商売なんかできないしアジトに帰ろうとしたら地面に倒れた君を見つけた」
もう一度空を見上げると遠くで黒い雲が残る高い山が目に入った
空まで届きそうな山の頂上には妖しく光る白い稲妻とガラスを叩き割ったような裂け目が空に拡がっていた
驚きに目を大きくさせ黙っていると彼はまた独り言のように静かに言葉を続ける
「君が何処から来たのか何者なのか俺には分からないけど…目の前で倒れた女の子がいたら男としてほっとけないだろ」
『………ありがとう…ございます』
「ん、取り敢えずもうすぐアジトに着くから…それまでおじさんの背中で我慢しててよ」
鼻で小さく笑った声を出す彼は一度あたしを背負い直すと先程より少し早く歩き出した
人を一人背負っているのに彼は軽々と凸凹した道なき道を進んでいく
おじさんと言っていたけど…体力はどうもおじさんのそれではなさそうだ
あたしの膝裏に回された彼の腕は長袖でよくは分からないけど太くて固い
背中も肉厚で鍛え上げられている気がした
『……疲れませんか?』
「ん?」
『あ、そのっ、あたし軽くないし、ずっとおんぶしてたら疲れるんじゃないかと思って……あっ!あたし歩きますよ!』
子供じゃないんだから歩かなきゃ
慌てて彼に提案するも膝裏に回された腕は退く気配はなく歩く足も止まらなかった
「いつも重い荷物背負って歩いてるから平気…それに裸足のお嬢ちゃんを歩かせる程俺は鬼畜じゃないつもりだけど?」
『え?……あ』
今更自分が裸足なのに気がついた
よく見ればルームウェア用のTシャツと短いショートパンツだけしか身に着けておらず、どうりでさっきから寒いと思った
一度意識してしまうと足の爪先が寒さで縮こまり丸まってしまう
Tシャツから出た肌が温かさを求めてしまい無意識に彼の背中に身を縮めすり寄る
『あっ!ごめんなさいっ』
初対面の…しかも年上の男性に何をしているんだろう
恥ずかしさに頬が熱くなり上半身を引き離そうとすると彼は軽くあたしの体を上下に揺らし背負い直した
その反動でバランスを崩したあたしはまた彼の背中に寄り添うようにくっついてしまい数分前の元通りになる
「寒いだろ?生憎毛布もなくてな…もうすぐだからそれまでそうしてな」
言い終わると彼はまた何でもなかったように黙々と歩き出してしまい、あたしは結局アジトに着くまで彼の背中の熱にお世話になった
彼が言うアジトは何処かの村や洞窟でもなく
平原にポツンと立ったテントの事だった
側には焚き火しかなく他の人間もいない
その代わりにテントの前には一匹のポケモンが横たわり留守番役をしていた
ライオンのような黒い立髪と鋭い金色の瞳をしたその生き物はレントラーというポケモンだった
『レントラーだ、かっこいい』
素直な感想を口にすると彼はチラリと後ろのあたしを見つめた
「……珍しいね…ポケモンが怖くないの?」
『怖くないですよ?だってかっこいいじゃないですか』
どうしてそんな事を聞くんだろう
彼を見つめ返すも顔を背けられ、テントへと近寄るとレントラーがあたし達に気が付き立ち上がった
四本脚で立っているというのにあたしより大きく強そうだ
まじまじと見ているとレントラーはあたしから彼へと視線を流しそいつは誰だと言いたそうだった
「俺の相棒ポケモンのレントラーだ、こっちは拾ってきた……………何ちゃんだっけ?」
そう言えば名乗ってない
苦笑いしながら彼に地面に降ろして貰うと一番身長の低いあたしを彼らはじっと見下ろした
『ごめんなさい…お世話になったのに名乗ってませんでしたね、名前はチハルです』
ちょっと緊張してしまう
Tシャツの裾を握りしめ彼らを見上げるとレントラーは丸い耳を片方ピクリと動かし、彼へと視線を向けた
「チハルちゃん…ね、俺はギンナン…見ての通りこのヒスイ地方で商いをしているイチョウ商会のつまらないおじさんだ」
『イチョウ商会…てなんですか?それにヒスイ地方って?』
「……………君…本当に何処から来たの?」
どうやらまだあたし達はゆっくり眠る事は出来そうにない