第一章
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【よっと…どうだ?見えるかい?】
『うん!バッチリです!』
アカデミーに着いたその夜
寮にある自分の部屋にてチハルはカキツバタへと連絡をとった
最初は通話のみにするつもりだったがカキツバタの提案によりビデオ通話をする事にした
スマホロトムの画面に映ったカキツバタはいつもの上着は脱いでおり学校指定のタンクトップ姿だった
『あれ?着替え中でしたか?』
【ん〜?あぁ風呂にでも入るかと思ってたとこだったんだ】
『え、じゃあ後でかけ直しますよ』
【あ〜いいのいいの、お前はそんな事気にしなくていいんだよ!それよりそっちの話聞かせて貰おうか?】
画面の向こうで見えるのはベッドに楽に腰掛けこちらを見つめる金色の瞳だ
彼の瞳は何かを探るように細められ画面越しだと言うのに緊張してしまいそうだ
【なんかあったんだろぃ?浮かねぇ顔しちまってるぜ?】
組み合わせた足を軽く開き自分の太ももに肘をつけて頬杖をする彼はじっとこちらを見つめる
正直に言えと言っているようでチハルは唇を噛むとポツポツと今日あった事を話しだした
新しい相棒ポケモンを貰えて嬉しかった事
ネモという新しい友達の明るさ
崖から落ちてコライドンと出会ったハプニング
そして…一方的に絡んできたペパーの存在
相槌を打ちながら話を静かに聞いていたカキツバタはペパーの話になると片眉をピクリと揺らし顎を支える手の指先で自分の口元を撫でた
【いけすかねぇ奴でやんすねぇ…勿論ボッコボコにしてやったんだろぃ?】
目元だけで笑って見せる彼にチハルは困ったように笑い返す
『取り敢えず勝ちました、でも余所者って言われたのが一番傷ついちゃって……こんな事を気にしてるなんて情けないですよね』
いっそ彼に呆れて貰えれば吹っ切れるかもしれない、小さな期待をしながら画面の向こうの彼を見つめると
カキツバタは頬杖をやめ、徐ろに手を伸ばし画面を掴んだ
まさかあまりに呆れて通話を切られるのかとドキンと不安に胸を鳴らすが、次に見えたのはカキツバタの顔のアップだった
【なぁ〜〜に言ってんだ水クセェ!生きてんだ!嫌な事、悲しい事があるのは当たり前だろ!んなもん溜め込まないでオイラに全部ぶつけちまいな!】
『……先輩っ』
予想外な彼の反応に感動し目元を潤ませてしまう、鼻をすする彼女にカキツバタは切なげに眉を寄せ少しでもチハルの気持ちを楽にさせようとわざと明るい声を出す
【オイラが全部受け止めてやっから、そんでも満足しねぇなら……そうだなぁ】
少し考え込んだ彼は良い案が浮かぶとニヤリと笑い彼女を見つめる
【ツバっさんがそっちに行って抱きしめてやっから!それなら元気が出るだろ?】
『っ、ぷっ、はは!それじゃ元気になりすぎちゃいますよ!』
ケラケラと笑う彼女にホッとしカキツバタは掴んでいたロトムから手を離す、すぐに宙に浮いたロトムによりアップだったカキツバタは適当な距離感に戻って映る
その後も話は続きブルーベリー学園に残されたゼイユ達の話で盛り上がった
タロやゼイユは勿論だがスグリもチハルが元気か気にしているとの事だ
『スグリくんか〜おばあちゃんが作った餅また食べに行きたいなぁ』
【おチビさんは本当に食い意地はってんなぁ…スグリの奴が不憫だわ】
『何でですか?』
【んーいや?こっちの話よ】
へらりと笑って見せる彼はやはり何処か掴めない男だ、のらりくらりと大事な部分は流されながら話を続けると夜も遅くなりベッドに腰けて話していた彼女はフラフラと体を揺らしだした
【おっと、こんな時間か…もう眠いんだろ?そろそろ切るかい?】
『ん…もうちょっとだけ…』
【……眠いなら素直に寝ちまいなぁ?また明日も話せるだろ?】
昼間居眠りをしているカキツバタとしては夜はまだこれからだ
眠気なんてないが頭をふらつかせるチハルが心配になり眠るように言ってみる
だが嫌だと言う彼女は眠そうな顔をしたままカキツバタに素直な気持ちを告げた
『だって…先輩の声落ち着くんだもん…もっと…ふぁ……っ……聞いて…た…い………よ』
欠伸を混ぜながら答えた彼女の言葉にカキツバタは頬杖をつき直そうとした肘を滑らせガクンとバランスを崩した
【〜っ、おチビさんの癖にっ!不意打ちとはやってくれるねぇ】
口元を隠し俯く彼の顔は良くは見えない
もっと見ていたいが眠気に負けベッドへと寝そべると気を利かせたロトムが彼女の顔を覗き込み、カキツバタは頼んでもいないチハルの貴重な寝顔を見ることになってしまった
シーツに頰を潰して眠る彼女は無防備すぎる
年頃の女の子の寝顔をこのまま見ているのは自分にとっても毒だと判断しカキツバタは大きくため息を吐き捨てた
【……はぁ…ロトム通話切ってくれ】
指示を聞き先に彼女のスマホロトムの画面が真っ暗になり、カキツバタのロトムも通話を終了した事を報告する
充電する為にテーブルへと飛んでいくロトムを見送り、通話を終えたカキツバタはベッドへと寝そべり両腕を枕にして仰向けになる
天井を見上げているのに先程見た彼女の寝顔が色濃く浮かび上がり、なんともむず痒い気持ちになり唇をキュッと結んだ
「アーボックの生殺し…ってか?」
頰をほんのりと赤めた彼は小さく呟きまた口元を強く結ぶが…じわじわと頰をより赤めだしゴロリと壁側へと横向きになり体を小さく丸めた
「はぁぁぁぁっ………つらっ」
次の日からチハルはネモやハルトと共にアカデミーにて学生生活を楽しんだ
ブルーベリー学園とも違う勉強方法や生徒達の考え方、バトルこそ全ての学園と違いアカデミーの雰囲気は優しく温かい
教師も生徒との距離が近く授業以外でも何かと共に過ごす姿がよく見られた
彼女の担任となったジニアもその一人であり生物室には彼を慕って集まる生徒が多く、休み時間や放課後はポケモンについて雑談を楽しんでいるようだ
『(ジニア先生は人気なんだなぁ…あ、でもミモザ先生も人気だったな休み時間によく女の子達とお喋りしてたし)』
放課後
学生食堂を通り過ぎようとすると、ふと頭に教師のサワロが浮かんだ
『(そう言えばサワロ先生が食堂のサンドイッチが美味しいって言ってたな…今までサンドイッチは頼んだ事なかったし買ってみようかな)』
夕飯までまだ時間がある
小腹も空いていた為軽食を買うのも悪くないと考え食堂に入る
食堂には数人の生徒達が食事を楽しんでおりいい匂いが鼻を掠め空腹を刺激する
『(あっちはシアノ先生の好みがメニューに影響してたけど…こっちはクラベル先生の好みが影響されてたりして)』
ワクワクとメニューを見に注文ボードの前に立つと彼女の後ろから誰かが近寄ってきた
コツンッと靴の音が後ろで止まり気配を感じた彼女は自然と振り返ってしまう
『……あ』
「……よお」
そこにいたのはあの怒りん坊さんだった
『うん!バッチリです!』
アカデミーに着いたその夜
寮にある自分の部屋にてチハルはカキツバタへと連絡をとった
最初は通話のみにするつもりだったがカキツバタの提案によりビデオ通話をする事にした
スマホロトムの画面に映ったカキツバタはいつもの上着は脱いでおり学校指定のタンクトップ姿だった
『あれ?着替え中でしたか?』
【ん〜?あぁ風呂にでも入るかと思ってたとこだったんだ】
『え、じゃあ後でかけ直しますよ』
【あ〜いいのいいの、お前はそんな事気にしなくていいんだよ!それよりそっちの話聞かせて貰おうか?】
画面の向こうで見えるのはベッドに楽に腰掛けこちらを見つめる金色の瞳だ
彼の瞳は何かを探るように細められ画面越しだと言うのに緊張してしまいそうだ
【なんかあったんだろぃ?浮かねぇ顔しちまってるぜ?】
組み合わせた足を軽く開き自分の太ももに肘をつけて頬杖をする彼はじっとこちらを見つめる
正直に言えと言っているようでチハルは唇を噛むとポツポツと今日あった事を話しだした
新しい相棒ポケモンを貰えて嬉しかった事
ネモという新しい友達の明るさ
崖から落ちてコライドンと出会ったハプニング
そして…一方的に絡んできたペパーの存在
相槌を打ちながら話を静かに聞いていたカキツバタはペパーの話になると片眉をピクリと揺らし顎を支える手の指先で自分の口元を撫でた
【いけすかねぇ奴でやんすねぇ…勿論ボッコボコにしてやったんだろぃ?】
目元だけで笑って見せる彼にチハルは困ったように笑い返す
『取り敢えず勝ちました、でも余所者って言われたのが一番傷ついちゃって……こんな事を気にしてるなんて情けないですよね』
いっそ彼に呆れて貰えれば吹っ切れるかもしれない、小さな期待をしながら画面の向こうの彼を見つめると
カキツバタは頬杖をやめ、徐ろに手を伸ばし画面を掴んだ
まさかあまりに呆れて通話を切られるのかとドキンと不安に胸を鳴らすが、次に見えたのはカキツバタの顔のアップだった
【なぁ〜〜に言ってんだ水クセェ!生きてんだ!嫌な事、悲しい事があるのは当たり前だろ!んなもん溜め込まないでオイラに全部ぶつけちまいな!】
『……先輩っ』
予想外な彼の反応に感動し目元を潤ませてしまう、鼻をすする彼女にカキツバタは切なげに眉を寄せ少しでもチハルの気持ちを楽にさせようとわざと明るい声を出す
【オイラが全部受け止めてやっから、そんでも満足しねぇなら……そうだなぁ】
少し考え込んだ彼は良い案が浮かぶとニヤリと笑い彼女を見つめる
【ツバっさんがそっちに行って抱きしめてやっから!それなら元気が出るだろ?】
『っ、ぷっ、はは!それじゃ元気になりすぎちゃいますよ!』
ケラケラと笑う彼女にホッとしカキツバタは掴んでいたロトムから手を離す、すぐに宙に浮いたロトムによりアップだったカキツバタは適当な距離感に戻って映る
その後も話は続きブルーベリー学園に残されたゼイユ達の話で盛り上がった
タロやゼイユは勿論だがスグリもチハルが元気か気にしているとの事だ
『スグリくんか〜おばあちゃんが作った餅また食べに行きたいなぁ』
【おチビさんは本当に食い意地はってんなぁ…スグリの奴が不憫だわ】
『何でですか?』
【んーいや?こっちの話よ】
へらりと笑って見せる彼はやはり何処か掴めない男だ、のらりくらりと大事な部分は流されながら話を続けると夜も遅くなりベッドに腰けて話していた彼女はフラフラと体を揺らしだした
【おっと、こんな時間か…もう眠いんだろ?そろそろ切るかい?】
『ん…もうちょっとだけ…』
【……眠いなら素直に寝ちまいなぁ?また明日も話せるだろ?】
昼間居眠りをしているカキツバタとしては夜はまだこれからだ
眠気なんてないが頭をふらつかせるチハルが心配になり眠るように言ってみる
だが嫌だと言う彼女は眠そうな顔をしたままカキツバタに素直な気持ちを告げた
『だって…先輩の声落ち着くんだもん…もっと…ふぁ……っ……聞いて…た…い………よ』
欠伸を混ぜながら答えた彼女の言葉にカキツバタは頬杖をつき直そうとした肘を滑らせガクンとバランスを崩した
【〜っ、おチビさんの癖にっ!不意打ちとはやってくれるねぇ】
口元を隠し俯く彼の顔は良くは見えない
もっと見ていたいが眠気に負けベッドへと寝そべると気を利かせたロトムが彼女の顔を覗き込み、カキツバタは頼んでもいないチハルの貴重な寝顔を見ることになってしまった
シーツに頰を潰して眠る彼女は無防備すぎる
年頃の女の子の寝顔をこのまま見ているのは自分にとっても毒だと判断しカキツバタは大きくため息を吐き捨てた
【……はぁ…ロトム通話切ってくれ】
指示を聞き先に彼女のスマホロトムの画面が真っ暗になり、カキツバタのロトムも通話を終了した事を報告する
充電する為にテーブルへと飛んでいくロトムを見送り、通話を終えたカキツバタはベッドへと寝そべり両腕を枕にして仰向けになる
天井を見上げているのに先程見た彼女の寝顔が色濃く浮かび上がり、なんともむず痒い気持ちになり唇をキュッと結んだ
「アーボックの生殺し…ってか?」
頰をほんのりと赤めた彼は小さく呟きまた口元を強く結ぶが…じわじわと頰をより赤めだしゴロリと壁側へと横向きになり体を小さく丸めた
「はぁぁぁぁっ………つらっ」
次の日からチハルはネモやハルトと共にアカデミーにて学生生活を楽しんだ
ブルーベリー学園とも違う勉強方法や生徒達の考え方、バトルこそ全ての学園と違いアカデミーの雰囲気は優しく温かい
教師も生徒との距離が近く授業以外でも何かと共に過ごす姿がよく見られた
彼女の担任となったジニアもその一人であり生物室には彼を慕って集まる生徒が多く、休み時間や放課後はポケモンについて雑談を楽しんでいるようだ
『(ジニア先生は人気なんだなぁ…あ、でもミモザ先生も人気だったな休み時間によく女の子達とお喋りしてたし)』
放課後
学生食堂を通り過ぎようとすると、ふと頭に教師のサワロが浮かんだ
『(そう言えばサワロ先生が食堂のサンドイッチが美味しいって言ってたな…今までサンドイッチは頼んだ事なかったし買ってみようかな)』
夕飯までまだ時間がある
小腹も空いていた為軽食を買うのも悪くないと考え食堂に入る
食堂には数人の生徒達が食事を楽しんでおりいい匂いが鼻を掠め空腹を刺激する
『(あっちはシアノ先生の好みがメニューに影響してたけど…こっちはクラベル先生の好みが影響されてたりして)』
ワクワクとメニューを見に注文ボードの前に立つと彼女の後ろから誰かが近寄ってきた
コツンッと靴の音が後ろで止まり気配を感じた彼女は自然と振り返ってしまう
『……あ』
「……よお」
そこにいたのはあの怒りん坊さんだった
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