第一章(幼少期)
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初めての花祭り
女性達はお揃いの白いドレスを着て祭りを楽しみつつ男性から花を貰っていく
祭りが始まって数時間もすると多くの花を胸に抱いて歩く女性が何人もでてくる
彼女達の顔は皆誇らしげで何処か照れくさそうだ
ソニアもその一人であり貰った花を嬉しそうに抱いている
それに比べてチハルはというと
「チハル!次はあっちに行こうぜ!」
『う、うん』
ずっと側にいる兄
彼は視線が合う度に微笑んでくれるがどうにも様子がおかしい
先程から何人かの男性がチハルに花を渡そうとしてくれたが、ダンデが彼女を守るように壁を作り威嚇してしまう
そのせいで彼女の手元にある花は兄からの一輪のみで花冠を作るには足りない
『お兄ちゃんそろそろキバナさんと合流しなくていいの?無理に最後まであたしに付き合わなくてもいいんだよ?』
然りげ無く兄と離れようとするが彼は分かってくれず
「無理なんてしてないぜ?祭りが終わるまで変な奴が来ないように守ってやるから安心してくれ!」
『(それじゃあ他の人からお花貰えないんじゃ)』
自分の身の心配をしてくれる兄に強く言えず困っていると会場から黄色い声が聞こえた
彼らが見る方向は同じであり何事かとチハルもそちらを見つめる
見えたのは色とりどりの沢山の花を大事に持ちながらコチラへと歩いてくる褐色の少年だった
彼は目的の少女を発見するとふにゃりと笑いながらチハルの前で立ち止まりほんの少し背中を屈め彼女の顔を覗き込んできた
「オレさまの花…貰ってくれる?」
『え…こんなに沢山?どうしたんですか?』
差し出されつい受け取ってしまうとキバナは背筋を元に戻し微笑んだ
「いや〜買い物してたら店に行く度に花貰ってさ、気がついたらこんなになっちまってたわ」
ハロン出身ではない少年に店の人々が楽しく祭りに参加できるようにと花をくれたようだ
店に行く度に増えてしまう花
数が多くなればなる程女性達からの視線が突き刺さり居心地が悪い
誰かに渡す用の花ならばチハルに全部渡そうとキバナは決め視線を浴びながらここまで来てくれた
「チハルちゃんが受け取ってくれなかったら自分で花冠作らなきゃって思ってたわ」
『……あはっ!それもいいですね!一緒に作りましょう!』
「え、いいの?オレさま器用だし、すっげぇ綺麗なの作って今年の女王さまになっちゃうかもよ?」
あんなに周りに威嚇して守ってきたというのに、ダンデの意表を突きチハルに花を渡したキバナ
ダンデは彼から花を受け取り幸せそうに笑うチハルの顔をじっと見つめると胸焼けのようなドロドロとした不快感を感じだす
「(なんだこれ…目の裏が熱い…喉まで上がってきそうな吐き気と…何故だが酷く…イライラする)」
できる事なら今すぐ彼女が貰った花を引き千切りたい
地面に叩きつけて踏み付けてしまいたい
普段なら考えもしない酷い事が頭に浮かんでは消えまた浮かんでくる
自分らしくない感情に驚きダンデは口元を片手で覆い隠すと顔を青くさせた
『お兄ちゃん?どうしたの?』
彼の異常に気がついたのだろう
声をかけてくる彼女にほんの少し気分が紛れたが、ダンデはすぐまた苦しげに顔を歪めるとチハルから数歩離れた
「すまない、ちょっと…トイレに行ってくるぜ!キバナ!すまないが少しチハルを頼む!」
「あ?おいっダンデ!」
キバナの呼びかけにも答えず走り出すダンデ、彼が目指したのはトイレではなく祭り会場の外だった
はぁ、はぁ、と乱れた息遣いをする彼はフラフラと足の速度を落し小さな川につくと力が抜け落ちたように膝をついた
「ぅ、うえっ…っ、げほっ、っ」
胃液が喉へとこみ上げてくる
上手く吐けず気持ちが悪い
冷たい川の水に手を付け俯く彼は金色の瞳を大きくさせ瞳孔が猫のように細くなっていた
「ぅ…チハルっ…俺はいったい…どうしたっていうんだ!」
妹が幸せならそれでいいはずなのに
彼女を喜ばせるのは何時だって自分であって欲しい
他の男によって幸せそうに笑う姿なんて見たくない
「チハルっ…他の奴に微笑むなっ…気を許すな…君は俺だけの…」
奥歯を噛み鳴らしながら、川の冷たい水の中で砂利に爪をたて強く握り込む
爪の間に硬い砂利が入り込み痛いがそれさえ気にならず嫉妬に頭を熱くさせた
「……くそっ!」
キバナとチハルが花冠を仲良く作っている頃、ダンデは昂る感情についていけず金色の瞳から涙を流し頰を濡らしていた
女性達はお揃いの白いドレスを着て祭りを楽しみつつ男性から花を貰っていく
祭りが始まって数時間もすると多くの花を胸に抱いて歩く女性が何人もでてくる
彼女達の顔は皆誇らしげで何処か照れくさそうだ
ソニアもその一人であり貰った花を嬉しそうに抱いている
それに比べてチハルはというと
「チハル!次はあっちに行こうぜ!」
『う、うん』
ずっと側にいる兄
彼は視線が合う度に微笑んでくれるがどうにも様子がおかしい
先程から何人かの男性がチハルに花を渡そうとしてくれたが、ダンデが彼女を守るように壁を作り威嚇してしまう
そのせいで彼女の手元にある花は兄からの一輪のみで花冠を作るには足りない
『お兄ちゃんそろそろキバナさんと合流しなくていいの?無理に最後まであたしに付き合わなくてもいいんだよ?』
然りげ無く兄と離れようとするが彼は分かってくれず
「無理なんてしてないぜ?祭りが終わるまで変な奴が来ないように守ってやるから安心してくれ!」
『(それじゃあ他の人からお花貰えないんじゃ)』
自分の身の心配をしてくれる兄に強く言えず困っていると会場から黄色い声が聞こえた
彼らが見る方向は同じであり何事かとチハルもそちらを見つめる
見えたのは色とりどりの沢山の花を大事に持ちながらコチラへと歩いてくる褐色の少年だった
彼は目的の少女を発見するとふにゃりと笑いながらチハルの前で立ち止まりほんの少し背中を屈め彼女の顔を覗き込んできた
「オレさまの花…貰ってくれる?」
『え…こんなに沢山?どうしたんですか?』
差し出されつい受け取ってしまうとキバナは背筋を元に戻し微笑んだ
「いや〜買い物してたら店に行く度に花貰ってさ、気がついたらこんなになっちまってたわ」
ハロン出身ではない少年に店の人々が楽しく祭りに参加できるようにと花をくれたようだ
店に行く度に増えてしまう花
数が多くなればなる程女性達からの視線が突き刺さり居心地が悪い
誰かに渡す用の花ならばチハルに全部渡そうとキバナは決め視線を浴びながらここまで来てくれた
「チハルちゃんが受け取ってくれなかったら自分で花冠作らなきゃって思ってたわ」
『……あはっ!それもいいですね!一緒に作りましょう!』
「え、いいの?オレさま器用だし、すっげぇ綺麗なの作って今年の女王さまになっちゃうかもよ?」
あんなに周りに威嚇して守ってきたというのに、ダンデの意表を突きチハルに花を渡したキバナ
ダンデは彼から花を受け取り幸せそうに笑うチハルの顔をじっと見つめると胸焼けのようなドロドロとした不快感を感じだす
「(なんだこれ…目の裏が熱い…喉まで上がってきそうな吐き気と…何故だが酷く…イライラする)」
できる事なら今すぐ彼女が貰った花を引き千切りたい
地面に叩きつけて踏み付けてしまいたい
普段なら考えもしない酷い事が頭に浮かんでは消えまた浮かんでくる
自分らしくない感情に驚きダンデは口元を片手で覆い隠すと顔を青くさせた
『お兄ちゃん?どうしたの?』
彼の異常に気がついたのだろう
声をかけてくる彼女にほんの少し気分が紛れたが、ダンデはすぐまた苦しげに顔を歪めるとチハルから数歩離れた
「すまない、ちょっと…トイレに行ってくるぜ!キバナ!すまないが少しチハルを頼む!」
「あ?おいっダンデ!」
キバナの呼びかけにも答えず走り出すダンデ、彼が目指したのはトイレではなく祭り会場の外だった
はぁ、はぁ、と乱れた息遣いをする彼はフラフラと足の速度を落し小さな川につくと力が抜け落ちたように膝をついた
「ぅ、うえっ…っ、げほっ、っ」
胃液が喉へとこみ上げてくる
上手く吐けず気持ちが悪い
冷たい川の水に手を付け俯く彼は金色の瞳を大きくさせ瞳孔が猫のように細くなっていた
「ぅ…チハルっ…俺はいったい…どうしたっていうんだ!」
妹が幸せならそれでいいはずなのに
彼女を喜ばせるのは何時だって自分であって欲しい
他の男によって幸せそうに笑う姿なんて見たくない
「チハルっ…他の奴に微笑むなっ…気を許すな…君は俺だけの…」
奥歯を噛み鳴らしながら、川の冷たい水の中で砂利に爪をたて強く握り込む
爪の間に硬い砂利が入り込み痛いがそれさえ気にならず嫉妬に頭を熱くさせた
「……くそっ!」
キバナとチハルが花冠を仲良く作っている頃、ダンデは昂る感情についていけず金色の瞳から涙を流し頰を濡らしていた