第二章(青年期)
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廊下を忙しく鳴らすスニーカーの音
その音の主は紫の長い髪と真っ赤なマントを揺らし、大股で長い廊下を進んでいく
「お待ち下さいダンデさん!」
彼の足を止めたのは先程の仕事の撮影で司会をしていた女性だった
彼女は少し乱れた髪の毛を耳にかけながらダンデを見上げると緊張しているのか落ち着きがない
「なんだ?」
時が流れダンデはすっかり大人の男に成長していた
声は低くなり顎髭も生え、体も男らしくガッチリとした筋肉に覆われている
チャンピオンユニフォームの半袖から出た腕は太く女性なら片手で持ち上げられそうだ
男性らしい体つきについ女性は物欲しそうな視線を向け、我に帰ると軽く咳払いをした
「あの…良かったら今夜飲みにいきませんか?仕事では聞けなかったお話も沢山聞きたいですし」
せっかくの女性からのお誘いだが、ダンデは申し訳無さそうに自分の頰を指先でかいた
「すまないが、今夜は無理だ」
「あ…何かお約束がありましたか?」
「ああ!今夜は妹の誕生日なんだ!」
「え?」
女性からの誘いより妹の誕生日を優先させた彼は満足気に言い終わるとまた廊下をいそいそと歩き出し撮影スタジオを後にした
「リザードン!急ぐぞ!」
ボールから出したリザードンに飛び乗り向かうは実家であるハロンタウンの家
**************
「チハル〜!」
『あ、ソニアさん!』
家に帰ろうとした彼女を呼び止めたのはダンデの幼馴染みでありご近所さんのソニアだ
彼女の足元には相棒のワンパチもおり短い足で一生懸命走ってくる姿がなんとも可愛らしい
『ワンパチ〜!クッキー食べる?』
嬉しそうにお尻を揺らすワンパチに癒やされながら顔を蕩けさせているとソニアは彼女の肩から下げた紙袋に目が止まりニヤニヤと笑い出した
「あら〜随分貢がれたわね」
『貢がれたって…ただ皆から貰った誕生日プレゼントですよ?』
「本当?下心ある男の子もいたんじゃない?」
『ふふっまさか?そんなのあたしに来ませんよ』
今日はチハルの十六歳の誕生日
肩から下げた紙袋に入っているのは学校に通う友人達から貰ったプレゼントだが
ソニアの読み通り、中には彼女と親しくなろうと手紙入りのプレゼントを渡した男もいる
チハルがその好意に気がつくかは分からないが、ソニアが見る限り年々増えている気がする
純粋に友人へのプレゼントもあるだろうが、数が急激に増えた理由は二つある
一つはチャンピオンの妹という肩書きだろう、有名人とお近づきになりたい下心と言ったところだ
もう一つは彼女自身の魅力
幼い頃はダンデによく似ていたが最近は女性らしくなり体つきもいい
未成年とは思えない豊満な胸や尻は年頃の男達にとってはほっとけないだろう
「そうだ!はい!これ私から〜」
『ありがとうございます!開けてもいい?』
「勿論!」
『うわぁ〜マニキュアだ!すっごい綺麗な色!』
「んふふ!いいでしょ?ソニアちゃんのオススメのヤツ選んだんだ」
男兄弟に挟まれた彼女にとってソニアは憧れの女性でもある
流行やお洒落に詳しいソニアの話はチハルの楽しみであり昔から懐いていた
ソニアも彼女を年の離れた妹のように可愛がり何かと気にかけてくれる
「そう言えば今夜はダンデくん来るの?」
『ええ、メールもあったから来るはずです!あたしよりホップが楽しみにしてて…』
家に向かって二人で歩いていると地面に大きな影が横切った
自然と上を向けば上空でリザードンから飛び降りるダンデが目に入る
「チハルっっ!」
地面に降り立ちマントを揺らしながら立ち上がった彼は顔を明るくさせ大きな声で名前を呼んだ
『お兄ちゃん!危ないでしょ!』
「ハッピーバースデー!My Dear!」
大きな花束を片手に持って現れた彼はチハルに勢いよく抱き着き熱い抱擁を贈った
『うぁっ、ちょっ、んんっ!』
背中を丸め頬を擦り付けてくる彼の顎髭がチクチクして少し痛いが、中々時間が取れない兄との再会は嬉しいものだ
だが太い腕と厚い胸板に挟まれ続けるのは苦しくて御免だ
チハルは彼の胸を押し距離を取ろうと顔をあげる
『あっありがとうっお兄ちゃん!』
「また一つレディになったな!可愛い顔をよく見せてくれ!」
離れようとするチハルの思いとは裏腹に体を密着させてくるダンデ
彼女の顔を覗き込み、頰を撫でるダンデは金色の瞳を嬉しそうに細めた
『可愛っ…て…お兄ちゃんと同じ顔でしょ?』
「そんな事ないぜ?チハルは世界一可愛い女の子だと思うぞ?」
『〜〜っ…お兄ちゃんは見る目ない気がする』
頰を赤め視線を逸らそうとする彼女が愛しくて堪らない
ダンデは熱い眼差しでチハルの頰を撫でながら親指を彼女の下唇へと滑らせようとした
その時、彼の腰に下げていたボールがカタカタと震え音を鳴らす
「おっと!俺のリザードンも君に会いたがってるぜ」
呼び出したリザードンはチハルを見るなり顔を寄せ頬ずりをし、ダンデそっくりだ
パートナーは性格まで似るものらしい
「相変わらず暑苦しいわねダンデくん、リザードンまでそっくりになって…」
ソニアはじっとりとダンデを見るが彼は気にせず良い事を思い出したとばかりに慌ててズボンのポケットを漁った
「そうだ!愛する妹への最高のプレゼントを持ってきたぜ」
『本当?嬉しいっ!何くれるの?』
「コイツだ!」
ボールを投げ出てきたのは黒いメスのヒトカゲだ
これにはリザードンも驚き目を丸くさせると辺りを見回すヒトカゲに鼻先を寄せ匂いを嗅ぐ
『可愛いっ!色違いってレアなんでしょ?いいの?』
「勿論だぜ!君のファーストポケモンなんだ…特別な子がいいだろ?」
ホップにはすでにウールーという相棒がいたがチハルにはまだ手持ちポケモンがいなかった
初めてのポケモン
初めてのパートナーを迎える日を楽しみにし勉強をし知識を磨いてたが、ついに自分にもパートナーができた
喜びに目尻を下げて微笑む彼女はしゃがみこむと黒いヒトカゲに声をかける
『あたしはチハルっていうの、よろしくねヒトカゲ』
ヒトカゲもパートナーだと分かったのだろ、小さな牙を覗かせ微笑む彼女は可愛らしくリザードンはずっと彼女を見つめており
いつものリザードンらしくない姿にダンデとソニアは何かに気がついたようだ
二人はお互いの顔を見ると小さく笑いリザードンの春を喜んだ
その後は家に帰りソニアも入れてパーティーが行われた
大きなケーキに貰った花束
ホップは何個もクラッカーを鳴らしては部屋をカラフルにさせ母親に叱られた
祖父とダンデは酒を交わしつつ最近の話に花を咲かせ、チハルはソニアと祖母とケーキを楽しむ
少し離れた部屋ではリザードンとヒトカゲ、そしてホップのウールーが食事を楽しんでおり家は幸せに包まれていた
夜も遅くなるとソニアは帰っていき皆寝る為に部屋へ消えていく
リビングに残ったチハルは友人達から貰ったプレゼントと手紙を一人で確認していた
「まだ起きてたのか」
『あ、うん』
ソファに座っている彼女の元に現れたダンデは風呂上がりなのかルームウェアのスウェットズボンにTシャツといったラフな姿だった
タオルを首に下げた彼はチハルの隣に腰掛けると低めのテーブルに置かれたプレゼント達に視線を流し片眉を吊り上げる
「……誰からだ?」
『学校の友達から、後は先輩とか…ってお兄ちゃん!勝手に見ないで!』
彼は許しも貰わず一つの手紙を手に取ると内容を読み出した
運が悪かったのか
それはチハルへの愛を書いた手紙でありラブレターというやつだ
真剣に読む兄に顔を真っ赤にしたチハルはすぐに手紙を奪い取り取られまいと胸に抱きしめた
「その男とは親しいのか?」
『ええっ?いや…他のクラスだから話した事はないけど…学校では人気…かな?』
手紙を貰った時見た男の容姿は整っており身長もある
悪くない相手だったと意識するとチハルは眉を下げたまま頰をほんのりと熱くさせた
年頃なのだ
恋に恋してもおかしくない
だが…この男はそれを許せない
「…………そうか…同じ学校の奴か」
何かを考えながら呟いた彼は自分の顎髭を撫で何処かを見つめていた
兄の普段とは違う様子に疑問を感じチハルがダンデの顔を覗き込むと
『お兄ちゃん?どうかした?』
「いや?なんでもないぜ!」
パッといつもの明るい笑顔を向けてくれた
「それよりもう遅い、風呂に入ってきたらどうだ?」
『あ、そうだね!』
腰をあげた彼女はパタパタと浴室の方向へと消えていき、ソファに座っていたダンデはのっそりと背中を丸めるとテーブルに置いてある手紙達に手を伸ばし
「……鬱陶しい奴らだ」
力任せにぐしゃりと握られた手紙達
忌々しそうに手の中で形を変えたハートが目立つ手紙を細めた目で睨むと、彼は躊躇する事なくゴミ箱の上で手を開いた
重力により下へ落ちる手紙達
チハルに近づこうとする者達の未来の姿のように潰された紙切れは暗いゴミ箱の底へと落ちていった
その音の主は紫の長い髪と真っ赤なマントを揺らし、大股で長い廊下を進んでいく
「お待ち下さいダンデさん!」
彼の足を止めたのは先程の仕事の撮影で司会をしていた女性だった
彼女は少し乱れた髪の毛を耳にかけながらダンデを見上げると緊張しているのか落ち着きがない
「なんだ?」
時が流れダンデはすっかり大人の男に成長していた
声は低くなり顎髭も生え、体も男らしくガッチリとした筋肉に覆われている
チャンピオンユニフォームの半袖から出た腕は太く女性なら片手で持ち上げられそうだ
男性らしい体つきについ女性は物欲しそうな視線を向け、我に帰ると軽く咳払いをした
「あの…良かったら今夜飲みにいきませんか?仕事では聞けなかったお話も沢山聞きたいですし」
せっかくの女性からのお誘いだが、ダンデは申し訳無さそうに自分の頰を指先でかいた
「すまないが、今夜は無理だ」
「あ…何かお約束がありましたか?」
「ああ!今夜は妹の誕生日なんだ!」
「え?」
女性からの誘いより妹の誕生日を優先させた彼は満足気に言い終わるとまた廊下をいそいそと歩き出し撮影スタジオを後にした
「リザードン!急ぐぞ!」
ボールから出したリザードンに飛び乗り向かうは実家であるハロンタウンの家
**************
「チハル〜!」
『あ、ソニアさん!』
家に帰ろうとした彼女を呼び止めたのはダンデの幼馴染みでありご近所さんのソニアだ
彼女の足元には相棒のワンパチもおり短い足で一生懸命走ってくる姿がなんとも可愛らしい
『ワンパチ〜!クッキー食べる?』
嬉しそうにお尻を揺らすワンパチに癒やされながら顔を蕩けさせているとソニアは彼女の肩から下げた紙袋に目が止まりニヤニヤと笑い出した
「あら〜随分貢がれたわね」
『貢がれたって…ただ皆から貰った誕生日プレゼントですよ?』
「本当?下心ある男の子もいたんじゃない?」
『ふふっまさか?そんなのあたしに来ませんよ』
今日はチハルの十六歳の誕生日
肩から下げた紙袋に入っているのは学校に通う友人達から貰ったプレゼントだが
ソニアの読み通り、中には彼女と親しくなろうと手紙入りのプレゼントを渡した男もいる
チハルがその好意に気がつくかは分からないが、ソニアが見る限り年々増えている気がする
純粋に友人へのプレゼントもあるだろうが、数が急激に増えた理由は二つある
一つはチャンピオンの妹という肩書きだろう、有名人とお近づきになりたい下心と言ったところだ
もう一つは彼女自身の魅力
幼い頃はダンデによく似ていたが最近は女性らしくなり体つきもいい
未成年とは思えない豊満な胸や尻は年頃の男達にとってはほっとけないだろう
「そうだ!はい!これ私から〜」
『ありがとうございます!開けてもいい?』
「勿論!」
『うわぁ〜マニキュアだ!すっごい綺麗な色!』
「んふふ!いいでしょ?ソニアちゃんのオススメのヤツ選んだんだ」
男兄弟に挟まれた彼女にとってソニアは憧れの女性でもある
流行やお洒落に詳しいソニアの話はチハルの楽しみであり昔から懐いていた
ソニアも彼女を年の離れた妹のように可愛がり何かと気にかけてくれる
「そう言えば今夜はダンデくん来るの?」
『ええ、メールもあったから来るはずです!あたしよりホップが楽しみにしてて…』
家に向かって二人で歩いていると地面に大きな影が横切った
自然と上を向けば上空でリザードンから飛び降りるダンデが目に入る
「チハルっっ!」
地面に降り立ちマントを揺らしながら立ち上がった彼は顔を明るくさせ大きな声で名前を呼んだ
『お兄ちゃん!危ないでしょ!』
「ハッピーバースデー!My Dear!」
大きな花束を片手に持って現れた彼はチハルに勢いよく抱き着き熱い抱擁を贈った
『うぁっ、ちょっ、んんっ!』
背中を丸め頬を擦り付けてくる彼の顎髭がチクチクして少し痛いが、中々時間が取れない兄との再会は嬉しいものだ
だが太い腕と厚い胸板に挟まれ続けるのは苦しくて御免だ
チハルは彼の胸を押し距離を取ろうと顔をあげる
『あっありがとうっお兄ちゃん!』
「また一つレディになったな!可愛い顔をよく見せてくれ!」
離れようとするチハルの思いとは裏腹に体を密着させてくるダンデ
彼女の顔を覗き込み、頰を撫でるダンデは金色の瞳を嬉しそうに細めた
『可愛っ…て…お兄ちゃんと同じ顔でしょ?』
「そんな事ないぜ?チハルは世界一可愛い女の子だと思うぞ?」
『〜〜っ…お兄ちゃんは見る目ない気がする』
頰を赤め視線を逸らそうとする彼女が愛しくて堪らない
ダンデは熱い眼差しでチハルの頰を撫でながら親指を彼女の下唇へと滑らせようとした
その時、彼の腰に下げていたボールがカタカタと震え音を鳴らす
「おっと!俺のリザードンも君に会いたがってるぜ」
呼び出したリザードンはチハルを見るなり顔を寄せ頬ずりをし、ダンデそっくりだ
パートナーは性格まで似るものらしい
「相変わらず暑苦しいわねダンデくん、リザードンまでそっくりになって…」
ソニアはじっとりとダンデを見るが彼は気にせず良い事を思い出したとばかりに慌ててズボンのポケットを漁った
「そうだ!愛する妹への最高のプレゼントを持ってきたぜ」
『本当?嬉しいっ!何くれるの?』
「コイツだ!」
ボールを投げ出てきたのは黒いメスのヒトカゲだ
これにはリザードンも驚き目を丸くさせると辺りを見回すヒトカゲに鼻先を寄せ匂いを嗅ぐ
『可愛いっ!色違いってレアなんでしょ?いいの?』
「勿論だぜ!君のファーストポケモンなんだ…特別な子がいいだろ?」
ホップにはすでにウールーという相棒がいたがチハルにはまだ手持ちポケモンがいなかった
初めてのポケモン
初めてのパートナーを迎える日を楽しみにし勉強をし知識を磨いてたが、ついに自分にもパートナーができた
喜びに目尻を下げて微笑む彼女はしゃがみこむと黒いヒトカゲに声をかける
『あたしはチハルっていうの、よろしくねヒトカゲ』
ヒトカゲもパートナーだと分かったのだろ、小さな牙を覗かせ微笑む彼女は可愛らしくリザードンはずっと彼女を見つめており
いつものリザードンらしくない姿にダンデとソニアは何かに気がついたようだ
二人はお互いの顔を見ると小さく笑いリザードンの春を喜んだ
その後は家に帰りソニアも入れてパーティーが行われた
大きなケーキに貰った花束
ホップは何個もクラッカーを鳴らしては部屋をカラフルにさせ母親に叱られた
祖父とダンデは酒を交わしつつ最近の話に花を咲かせ、チハルはソニアと祖母とケーキを楽しむ
少し離れた部屋ではリザードンとヒトカゲ、そしてホップのウールーが食事を楽しんでおり家は幸せに包まれていた
夜も遅くなるとソニアは帰っていき皆寝る為に部屋へ消えていく
リビングに残ったチハルは友人達から貰ったプレゼントと手紙を一人で確認していた
「まだ起きてたのか」
『あ、うん』
ソファに座っている彼女の元に現れたダンデは風呂上がりなのかルームウェアのスウェットズボンにTシャツといったラフな姿だった
タオルを首に下げた彼はチハルの隣に腰掛けると低めのテーブルに置かれたプレゼント達に視線を流し片眉を吊り上げる
「……誰からだ?」
『学校の友達から、後は先輩とか…ってお兄ちゃん!勝手に見ないで!』
彼は許しも貰わず一つの手紙を手に取ると内容を読み出した
運が悪かったのか
それはチハルへの愛を書いた手紙でありラブレターというやつだ
真剣に読む兄に顔を真っ赤にしたチハルはすぐに手紙を奪い取り取られまいと胸に抱きしめた
「その男とは親しいのか?」
『ええっ?いや…他のクラスだから話した事はないけど…学校では人気…かな?』
手紙を貰った時見た男の容姿は整っており身長もある
悪くない相手だったと意識するとチハルは眉を下げたまま頰をほんのりと熱くさせた
年頃なのだ
恋に恋してもおかしくない
だが…この男はそれを許せない
「…………そうか…同じ学校の奴か」
何かを考えながら呟いた彼は自分の顎髭を撫で何処かを見つめていた
兄の普段とは違う様子に疑問を感じチハルがダンデの顔を覗き込むと
『お兄ちゃん?どうかした?』
「いや?なんでもないぜ!」
パッといつもの明るい笑顔を向けてくれた
「それよりもう遅い、風呂に入ってきたらどうだ?」
『あ、そうだね!』
腰をあげた彼女はパタパタと浴室の方向へと消えていき、ソファに座っていたダンデはのっそりと背中を丸めるとテーブルに置いてある手紙達に手を伸ばし
「……鬱陶しい奴らだ」
力任せにぐしゃりと握られた手紙達
忌々しそうに手の中で形を変えたハートが目立つ手紙を細めた目で睨むと、彼は躊躇する事なくゴミ箱の上で手を開いた
重力により下へ落ちる手紙達
チハルに近づこうとする者達の未来の姿のように潰された紙切れは暗いゴミ箱の底へと落ちていった