第一章(幼少期)
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「ダンデ…ほら貴方の妹よ」
ずっと一人っ子だった俺の元に来てくれた可愛い女の子
チハル
真っ白な布に包まれ母さんから渡された小さな小さな存在、初めて抱いた赤ん坊はふにゃふにゃしてて軽すぎる
力を入れただけで壊してしまいそうで少し怖かった
「…温かい」
コチラを見つめる蜂蜜色の瞳は俺の目よりも少し薄くて綺麗だと感じた
俺とは違う柔らかい肌と大きな瞳、ミルクのようないい匂いの弱い存在
俺の……大切な女の子
この世に生まれたばかりの小さな手を握った時…誓ったんだ
「君を守る為なら…俺は何でもするぜ」
それから数年後
ハロンタウンにて、春の風が暖かくポケモン達も気持ち良さそうに日向ぼっこをしている昼過ぎ
チハルは兄のヒトカゲと共にチューリップ畑へと遊びに来ていた
赤に白や黄色、色鮮やかなチューリップ達は風に揺れる度に頭を揺らし虫ポケモン達も嬉しそうに周りを飛んでいる
『きれいだね!ヒトカゲ!』
五歳となった彼女はチューリップを折らないように花畑へと入るがヒトカゲは尻尾の炎を心配し中には入らなかった
それでも呼びかけには反応しチハルと同じく、色とりどりのチューリップの美しさを喜んでくれた
まだ小さな手でチューリップの頭を撫で頰を緩めていると彼女に声をかける少年が現れた
「チハル!」
『あ、お兄ちゃん!』
紫色の髪に金色の瞳
チハルの兄であるダンデだった
彼は肩で息をしながら彼女の側へと駆け寄ると大きく息を吐きながら肩を下げた
「全く…一人で出かけちゃ駄目だって言ったろ?」
『ひとりじゃないよ!ヒトカゲもいるもん』
指差した方向には確かにヒトカゲがいるが、ダンデは納得はせずチハルをじっとりと見下ろした
「駄目だ!何処かに行きたいなら兄ちゃんに言えって言っただろ?」
『う〜だってお兄ちゃん、いそがしそうだし…お母さんもホップのおせわであそんでくれないもん』
「それは…」
二人の母親は最近生まれたばかりのホップの世話で忙しかった
ダンデも学校の卒業が間近に迫っており勉強が忙しい
もうすぐ十歳の彼は卒業すればすぐにポケモントレーナーとして旅立ってしまうだろう
ずっと側にいてくれた兄がいなくなり母親は弟にとられ、祖父母がいても心に穴が空いたように感じられた
そのせいでチハルは家にいても孤独を感じ寂しさを満たす為に花畑へと足を伸ばしていた
『おうち…つまんない』
いじけてしまいチューリップを見つめる彼女にダンデは困ったように笑いチハルに近づく
「なら兄ちゃんが側にいる、それならいいだろ?」
『いいの?べんきょーは?』
「チハルが夜寝てからでもできるさ!さぁ!遊ぼうぜ!」
『〜〜っ!うんっ!』
嬉しくて満面の笑顔を浮べダンデの腹に抱きつく小さな少女、懐いてくれるチハルをダンデは愛しく感じ頭を優しく撫でてやる
『へへっお兄ちゃん…大好き!』
「俺も大好きだぜ!」
くせ毛のダンデと違い母親似のサラサラの髪を持つチハル
同じ紫色の髪だというのに別物のように美しく流れ太陽の光を浴び輝いて見える
二人で抱きついて愛情表現をしていると…ポキンっと小さな音が聞こえた
「あ」
『あぁ〜〜っ!!おれちゃった!』
二人の体にぶつかったのだろう
黄色いチューリップが茎から折れてしまい地面に倒れてしまったのだ
元々折れやすい花だが、チハルは自分のせいで折れてしまったのだと感じ罪悪感に瞳を潤ませた
『ど、どうしよ…あたし…チューリップ…っ、お兄ちゃんっ!』
慌てて折れた花を元に戻そうと茎と茎をくっつけるが勿論治らない
このままではチューリップは枯れてしまう
瞳に溜まっていく涙を溢しそうになると花を持つ彼女の手にダンデの手が重なった
「大丈夫だぜ?この花は持って帰ろう!水をあげればちゃんと生きてくれるから」
『ほんと?』
大きな瞳から溢れる涙を指の背で拭ってやりながら彼は微笑むとチューリップを不安気に見つめる彼女を抱き上げた
「ああ!それにチューリップが折れたのはきっとチハルの家に行きたいからだぜ?だから大事にお世話しような?」
『……うん!』
やっと笑ってくれた可愛い妹
ダンデは小さな少女を抱っこして家へとゆっくりと向かった
『おみずちゃんとあげる!』
「ふふ、良い子だ…チハルはチューリップが好きなのか?」
『うん!』
「そうか……分かったぜ!」
小さな手に握られた黄色いチューリップは小さな兄妹にその後大事に育てられ彼らの家で綺麗な花を咲かせてくれた
数日間は花瓶で元気に咲いてくれたが、一週間を過ぎる頃には枯れてしまいチハルは悲しそうに空の花瓶を眺めていた
元々茎が折れたチューリップは長生きは望めない、だが幼い彼女にとってはずっと咲いてくれると期待していたのだろう
「チハル!こっちに来てくれ!」
『なぁに?』
「花の妖精さんがウチに来てくれたみたいだぜ?」
『ようせいさん?』
ダンデに手を引かれ外へと行くとチハルは驚きに目を大きくさせた
家の花壇にはなかった筈のチューリップが何本も咲いていたのだ
家から離れたチューリップ畑までとはいかなくても花壇いっぱいに咲いたチューリップに喜び
はしゃぐチハルを嬉しそうに眺めるダンデは土で汚れていた手を背中に隠し微笑んでいた
ずっと一人っ子だった俺の元に来てくれた可愛い女の子
チハル
真っ白な布に包まれ母さんから渡された小さな小さな存在、初めて抱いた赤ん坊はふにゃふにゃしてて軽すぎる
力を入れただけで壊してしまいそうで少し怖かった
「…温かい」
コチラを見つめる蜂蜜色の瞳は俺の目よりも少し薄くて綺麗だと感じた
俺とは違う柔らかい肌と大きな瞳、ミルクのようないい匂いの弱い存在
俺の……大切な女の子
この世に生まれたばかりの小さな手を握った時…誓ったんだ
「君を守る為なら…俺は何でもするぜ」
それから数年後
ハロンタウンにて、春の風が暖かくポケモン達も気持ち良さそうに日向ぼっこをしている昼過ぎ
チハルは兄のヒトカゲと共にチューリップ畑へと遊びに来ていた
赤に白や黄色、色鮮やかなチューリップ達は風に揺れる度に頭を揺らし虫ポケモン達も嬉しそうに周りを飛んでいる
『きれいだね!ヒトカゲ!』
五歳となった彼女はチューリップを折らないように花畑へと入るがヒトカゲは尻尾の炎を心配し中には入らなかった
それでも呼びかけには反応しチハルと同じく、色とりどりのチューリップの美しさを喜んでくれた
まだ小さな手でチューリップの頭を撫で頰を緩めていると彼女に声をかける少年が現れた
「チハル!」
『あ、お兄ちゃん!』
紫色の髪に金色の瞳
チハルの兄であるダンデだった
彼は肩で息をしながら彼女の側へと駆け寄ると大きく息を吐きながら肩を下げた
「全く…一人で出かけちゃ駄目だって言ったろ?」
『ひとりじゃないよ!ヒトカゲもいるもん』
指差した方向には確かにヒトカゲがいるが、ダンデは納得はせずチハルをじっとりと見下ろした
「駄目だ!何処かに行きたいなら兄ちゃんに言えって言っただろ?」
『う〜だってお兄ちゃん、いそがしそうだし…お母さんもホップのおせわであそんでくれないもん』
「それは…」
二人の母親は最近生まれたばかりのホップの世話で忙しかった
ダンデも学校の卒業が間近に迫っており勉強が忙しい
もうすぐ十歳の彼は卒業すればすぐにポケモントレーナーとして旅立ってしまうだろう
ずっと側にいてくれた兄がいなくなり母親は弟にとられ、祖父母がいても心に穴が空いたように感じられた
そのせいでチハルは家にいても孤独を感じ寂しさを満たす為に花畑へと足を伸ばしていた
『おうち…つまんない』
いじけてしまいチューリップを見つめる彼女にダンデは困ったように笑いチハルに近づく
「なら兄ちゃんが側にいる、それならいいだろ?」
『いいの?べんきょーは?』
「チハルが夜寝てからでもできるさ!さぁ!遊ぼうぜ!」
『〜〜っ!うんっ!』
嬉しくて満面の笑顔を浮べダンデの腹に抱きつく小さな少女、懐いてくれるチハルをダンデは愛しく感じ頭を優しく撫でてやる
『へへっお兄ちゃん…大好き!』
「俺も大好きだぜ!」
くせ毛のダンデと違い母親似のサラサラの髪を持つチハル
同じ紫色の髪だというのに別物のように美しく流れ太陽の光を浴び輝いて見える
二人で抱きついて愛情表現をしていると…ポキンっと小さな音が聞こえた
「あ」
『あぁ〜〜っ!!おれちゃった!』
二人の体にぶつかったのだろう
黄色いチューリップが茎から折れてしまい地面に倒れてしまったのだ
元々折れやすい花だが、チハルは自分のせいで折れてしまったのだと感じ罪悪感に瞳を潤ませた
『ど、どうしよ…あたし…チューリップ…っ、お兄ちゃんっ!』
慌てて折れた花を元に戻そうと茎と茎をくっつけるが勿論治らない
このままではチューリップは枯れてしまう
瞳に溜まっていく涙を溢しそうになると花を持つ彼女の手にダンデの手が重なった
「大丈夫だぜ?この花は持って帰ろう!水をあげればちゃんと生きてくれるから」
『ほんと?』
大きな瞳から溢れる涙を指の背で拭ってやりながら彼は微笑むとチューリップを不安気に見つめる彼女を抱き上げた
「ああ!それにチューリップが折れたのはきっとチハルの家に行きたいからだぜ?だから大事にお世話しような?」
『……うん!』
やっと笑ってくれた可愛い妹
ダンデは小さな少女を抱っこして家へとゆっくりと向かった
『おみずちゃんとあげる!』
「ふふ、良い子だ…チハルはチューリップが好きなのか?」
『うん!』
「そうか……分かったぜ!」
小さな手に握られた黄色いチューリップは小さな兄妹にその後大事に育てられ彼らの家で綺麗な花を咲かせてくれた
数日間は花瓶で元気に咲いてくれたが、一週間を過ぎる頃には枯れてしまいチハルは悲しそうに空の花瓶を眺めていた
元々茎が折れたチューリップは長生きは望めない、だが幼い彼女にとってはずっと咲いてくれると期待していたのだろう
「チハル!こっちに来てくれ!」
『なぁに?』
「花の妖精さんがウチに来てくれたみたいだぜ?」
『ようせいさん?』
ダンデに手を引かれ外へと行くとチハルは驚きに目を大きくさせた
家の花壇にはなかった筈のチューリップが何本も咲いていたのだ
家から離れたチューリップ畑までとはいかなくても花壇いっぱいに咲いたチューリップに喜び
はしゃぐチハルを嬉しそうに眺めるダンデは土で汚れていた手を背中に隠し微笑んでいた