第二章(青年期)
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お兄ちゃんにお願いされてあたしは初めて学校をズル休みした
ちょっと気持ちがモヤモヤするけどお兄ちゃんが言うように兄弟でゆっくりできるのは限られた日だけだから
お兄ちゃんはあたしをシュートシティへと連れだしハロンとは比べ物にならない都会を見せてくれた
『あ!あのお店雑誌で見た!あっあっちも!』
「ハハッそんなに慌てなくても大丈夫だ、ゆっくり見て回ろう」
隣に並んだお兄ちゃんはあたしの手を取り歩き出す、彼の手は昔よりゴツゴツしてて少し硬い
手のひらにはきっとボールダコの跡がいくつもあるんだろうな
『お兄ちゃんに案内なんてできるの?いっつも迷子になる癖に』
「その時はリザードンがいるから問題ないさ」
子供のように歯を出して彼は楽しそうに笑う
いつものお兄ちゃんだ
じゃあ…さっきのはなんだったんだろう?
まだ耳元にお兄ちゃんの吐息の感触が残っている、聞いた事がない声やお腹に回させた逞しい腕の感触もあたしから離れてくれない
こんな人が恋人だったら…きっと女の子はすぐメロメロになるんだろうなぁ
なんて…実の兄に何考えてるんだろ
頭を軽く左右に振るとビルの最上階に飾られた大きなモニターにキバナさんが映った
プロテインのCMのようだけど彼もお兄ちゃんに負けないくらい女性人気が高いと聞いた事がある
『そういえばキバナさんは元気?』
「………何故だ?」
『ん〜なんとなく?テレビでは見るけど最近ハロンに来ないなぁと思って』
昔花祭りに来てくれたキバナさん
彼はその後も何度か顔を出してくれたけど、ここ数年間は来てくれない
元々お兄ちゃんの友達だし、あたしに用がないなら来ないのが当たり前だけど少し寂しいとも感じる
「彼も忙しいからな、モデルやテレビにもよく出るし…女性との噂も多いしな」
『あ…うん、そうだね』
そう、キバナさんが出る雑誌には大抵ゴシップも載っている
モデルの誰々と付き合ってるとか女優さんと夜に出かけてたとか…
『キバナさんってモテるんだね』
「彼は誰にでも優しい男だからな、好きだろうが嫌いな相手だろうが平等に扱えるのは尊敬するぜ」
『……そっか』
「俺は好きでもない女性とはこうして二人っきりにもなりたくないな」
『へ?』
突然自分の事を話しだした兄にキョトンと目を見開き彼を見上げるとお兄ちゃんはニッコリと微笑みあたしの手を強く握った
「さあ美味いもん食おう!この先によく俺が行くステーキ屋があるんだ!肉が分厚くてポテトも多くて美味いぞ!」
話を逸らしたお兄ちゃんはそのままあたしの手を引っ張り店へと向かい、言葉の意味を聞き返す事はできなかった
お肉は美味しかったし
その後行ったお店で沢山好きな物を買ってくれて嬉しい筈なのに
あたしの胸には何故かお兄ちゃんの言葉が引っ掛かっていた
『もうこんな時間、そろそろ帰らないと』
シュートシティは見るものが沢山で時間を忘れそうになる
辺りが暗くなり街灯が照らす頃時計を確認して驚いた
「今夜は俺の家に泊まるといい、母さんには俺から話しとくぜ」
『でも、明日も学校が』
「そこも問題ないさ、俺が朝早くハロンに送れば大丈夫だろ?」
少々強引な誘いだけど、正直お兄ちゃんのシュートシティでの家には興味がある
チャンピオンにまでなったのだからきっと凄い家になんじゃないかな?
『いいの?いきなり泊まっても…その…彼女さんとかは?』
「……おかしな事を聞くな、俺にそんなものいないぜ?」
眉間に皺を寄せた彼は馬鹿にしたように冷たく笑みを浮べた
お兄ちゃんなら彼女さんがいてもおかしくないのに…どうしていないんだろう
「下着だけ買えばいいんじゃないか?着替えは俺の服を貸すから問題ない」
『あ、うんじゃあ下着屋さんに…』
「なんなら俺が選ぼうか?」
『なっ、っ、結構です!!』
「ハハッそれは残念だ」
お兄ちゃんはどこまで冗談を言っているのか分からない
昔はもっと分かりやすかったのに大人になってから複雑になった気がする
お兄ちゃんを店の前に待たせ下着を購入し終えると待ち合わせ場所に立つ彼の側に綺麗な女性が寄り添っていた
胸の前で腕組みをしたお兄ちゃんは無表情だけどお姉さんは何かを必死に伝えその顔はうっとりと恋する乙女そのものだった
「チハル、欲しい物は買えたのか?」
あたしに気がついたお兄ちゃんはパッと顔を明るくさせ片手をひらひらと振って見せた
『う、うん、買えたよ?』
合流するとお姉さんの品定めするような鋭い視線がチクチクと刺さり怖い
買ったばかりの下着が入った紙袋を胸に抱きしめ身を小さくするとあたしの反応に気がついたのかお兄ちゃんが動いた
「じゃあ行こう、なんなら何かお菓子も買うか?バケツアイスならウチにもあるが」
まるでお姉さんがいないように話し出すお兄ちゃんは素早くあたしの肩を抱き寄せ歩き出そうとした
「待ってください!まだお話が…」
お姉さんはお兄ちゃんの腕を掴み声をあげた
こんなに綺麗なお姉さんがお兄ちゃんにお話なんて…きっと告白だ!
どうしよ!妹としてここは身を引いて空気にならなきゃ…
然りげ無く離れようとしたのにお兄ちゃんは肩を離すどころか片腕であたしを胸に引き寄せて抱きしめるとお姉さんの手を振り払った
「すまないが今はプライベートだ、大事な人との時間を優先したい…君もファンなら気を使ってくれないか?」
そ、そんな事言わないでよ!
お姉さんの方が大事だよ!
こんな綺麗な人逃したら後悔する!
必死に文句を言おうとしたけどお兄ちゃんのおっぱ…雄っぱいが邪魔で声が出せずあたしがモタモタしているうちにお姉さんは帰ってしまった
『ぷはっ!もう!お兄ちゃん!』
「ん?」
『ん?じゃないよ!いいの?あのお姉さん絶対お兄ちゃんの事好きだったよ!せっかく恋人ができそうなのに勿体ないよ!』
胸に顎をつけたまま文句を言い彼を見上げるとお兄ちゃんはあたしの頰を片手で撫で口元だけで笑ってみせた
「チハルがいるんだ、他は必要ないだろ?」
『……お兄ちゃん?』
目が笑っていない
ギラついた瞳はすぐにいつもの優しい眼差しに戻りお兄ちゃんはあたしの手を繋ぎなおし歩き出す
何かがおかしい
でも何がおかしいのか分からない
不安を感じながらあたしはお兄ちゃんの家へと連れてかれた
ちょっと気持ちがモヤモヤするけどお兄ちゃんが言うように兄弟でゆっくりできるのは限られた日だけだから
お兄ちゃんはあたしをシュートシティへと連れだしハロンとは比べ物にならない都会を見せてくれた
『あ!あのお店雑誌で見た!あっあっちも!』
「ハハッそんなに慌てなくても大丈夫だ、ゆっくり見て回ろう」
隣に並んだお兄ちゃんはあたしの手を取り歩き出す、彼の手は昔よりゴツゴツしてて少し硬い
手のひらにはきっとボールダコの跡がいくつもあるんだろうな
『お兄ちゃんに案内なんてできるの?いっつも迷子になる癖に』
「その時はリザードンがいるから問題ないさ」
子供のように歯を出して彼は楽しそうに笑う
いつものお兄ちゃんだ
じゃあ…さっきのはなんだったんだろう?
まだ耳元にお兄ちゃんの吐息の感触が残っている、聞いた事がない声やお腹に回させた逞しい腕の感触もあたしから離れてくれない
こんな人が恋人だったら…きっと女の子はすぐメロメロになるんだろうなぁ
なんて…実の兄に何考えてるんだろ
頭を軽く左右に振るとビルの最上階に飾られた大きなモニターにキバナさんが映った
プロテインのCMのようだけど彼もお兄ちゃんに負けないくらい女性人気が高いと聞いた事がある
『そういえばキバナさんは元気?』
「………何故だ?」
『ん〜なんとなく?テレビでは見るけど最近ハロンに来ないなぁと思って』
昔花祭りに来てくれたキバナさん
彼はその後も何度か顔を出してくれたけど、ここ数年間は来てくれない
元々お兄ちゃんの友達だし、あたしに用がないなら来ないのが当たり前だけど少し寂しいとも感じる
「彼も忙しいからな、モデルやテレビにもよく出るし…女性との噂も多いしな」
『あ…うん、そうだね』
そう、キバナさんが出る雑誌には大抵ゴシップも載っている
モデルの誰々と付き合ってるとか女優さんと夜に出かけてたとか…
『キバナさんってモテるんだね』
「彼は誰にでも優しい男だからな、好きだろうが嫌いな相手だろうが平等に扱えるのは尊敬するぜ」
『……そっか』
「俺は好きでもない女性とはこうして二人っきりにもなりたくないな」
『へ?』
突然自分の事を話しだした兄にキョトンと目を見開き彼を見上げるとお兄ちゃんはニッコリと微笑みあたしの手を強く握った
「さあ美味いもん食おう!この先によく俺が行くステーキ屋があるんだ!肉が分厚くてポテトも多くて美味いぞ!」
話を逸らしたお兄ちゃんはそのままあたしの手を引っ張り店へと向かい、言葉の意味を聞き返す事はできなかった
お肉は美味しかったし
その後行ったお店で沢山好きな物を買ってくれて嬉しい筈なのに
あたしの胸には何故かお兄ちゃんの言葉が引っ掛かっていた
『もうこんな時間、そろそろ帰らないと』
シュートシティは見るものが沢山で時間を忘れそうになる
辺りが暗くなり街灯が照らす頃時計を確認して驚いた
「今夜は俺の家に泊まるといい、母さんには俺から話しとくぜ」
『でも、明日も学校が』
「そこも問題ないさ、俺が朝早くハロンに送れば大丈夫だろ?」
少々強引な誘いだけど、正直お兄ちゃんのシュートシティでの家には興味がある
チャンピオンにまでなったのだからきっと凄い家になんじゃないかな?
『いいの?いきなり泊まっても…その…彼女さんとかは?』
「……おかしな事を聞くな、俺にそんなものいないぜ?」
眉間に皺を寄せた彼は馬鹿にしたように冷たく笑みを浮べた
お兄ちゃんなら彼女さんがいてもおかしくないのに…どうしていないんだろう
「下着だけ買えばいいんじゃないか?着替えは俺の服を貸すから問題ない」
『あ、うんじゃあ下着屋さんに…』
「なんなら俺が選ぼうか?」
『なっ、っ、結構です!!』
「ハハッそれは残念だ」
お兄ちゃんはどこまで冗談を言っているのか分からない
昔はもっと分かりやすかったのに大人になってから複雑になった気がする
お兄ちゃんを店の前に待たせ下着を購入し終えると待ち合わせ場所に立つ彼の側に綺麗な女性が寄り添っていた
胸の前で腕組みをしたお兄ちゃんは無表情だけどお姉さんは何かを必死に伝えその顔はうっとりと恋する乙女そのものだった
「チハル、欲しい物は買えたのか?」
あたしに気がついたお兄ちゃんはパッと顔を明るくさせ片手をひらひらと振って見せた
『う、うん、買えたよ?』
合流するとお姉さんの品定めするような鋭い視線がチクチクと刺さり怖い
買ったばかりの下着が入った紙袋を胸に抱きしめ身を小さくするとあたしの反応に気がついたのかお兄ちゃんが動いた
「じゃあ行こう、なんなら何かお菓子も買うか?バケツアイスならウチにもあるが」
まるでお姉さんがいないように話し出すお兄ちゃんは素早くあたしの肩を抱き寄せ歩き出そうとした
「待ってください!まだお話が…」
お姉さんはお兄ちゃんの腕を掴み声をあげた
こんなに綺麗なお姉さんがお兄ちゃんにお話なんて…きっと告白だ!
どうしよ!妹としてここは身を引いて空気にならなきゃ…
然りげ無く離れようとしたのにお兄ちゃんは肩を離すどころか片腕であたしを胸に引き寄せて抱きしめるとお姉さんの手を振り払った
「すまないが今はプライベートだ、大事な人との時間を優先したい…君もファンなら気を使ってくれないか?」
そ、そんな事言わないでよ!
お姉さんの方が大事だよ!
こんな綺麗な人逃したら後悔する!
必死に文句を言おうとしたけどお兄ちゃんのおっぱ…雄っぱいが邪魔で声が出せずあたしがモタモタしているうちにお姉さんは帰ってしまった
『ぷはっ!もう!お兄ちゃん!』
「ん?」
『ん?じゃないよ!いいの?あのお姉さん絶対お兄ちゃんの事好きだったよ!せっかく恋人ができそうなのに勿体ないよ!』
胸に顎をつけたまま文句を言い彼を見上げるとお兄ちゃんはあたしの頰を片手で撫で口元だけで笑ってみせた
「チハルがいるんだ、他は必要ないだろ?」
『……お兄ちゃん?』
目が笑っていない
ギラついた瞳はすぐにいつもの優しい眼差しに戻りお兄ちゃんはあたしの手を繋ぎなおし歩き出す
何かがおかしい
でも何がおかしいのか分からない
不安を感じながらあたしはお兄ちゃんの家へと連れてかれた