第一巻
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今度夜空の散歩をしよう
怒られて心配させて…何故か突然そんな話しに変わり連絡先まで交換してしまった
『ぐ…うぅっ!』
そして今あたしは彼から届いたメールの返事に困り果てていた
【今夜は晴れるらしい、良ければ約束の散歩をしないか?】
『な、なんて返事を送ればいいの?』
今思えばあの夜はあたしにしてはきっとアドレナリンが出過ぎていたんだ、だから大胆にも一緒に散歩したいなんて言えたんだ!
今更やっぱり無理なんて言えない
でも素直に喜んで返事してコイツ何勘違いしてんだ?ってなるのも怖いっ!
どうにもマイナスな想像しかできず頭の中でダンデさんとの会話を妄想してしまう
勝手なイメージで作ってるとは言え何度返事を送っても嫌そうな顔しか浮かばない
『義理でメールをくれたかもしれないし…あたしから断ればダンデさんもホッとするんじゃ』
返事がなかなか打てず、時間ばかりが過ぎていくと両手で握るスマホがまたメールを着信する音を鳴らした
『……ぐっ!』
【リザードンも楽しみにしてる】
ダンデさん…実は何処かに監視カメラでも設置してあたしの困った顔を楽しんでますか?
なんでそんなにタイミングよく追い打ちしてくるの!
『はあぁ…これ断れないパターンだ』
結局夜になりあたしは時計を見てはそわそわとスマホを眺めていた
今夜の事はユウリにも教えてない
ただの散歩だしすぐに帰って来るんだから言わなくてもいいよね?
そんな事を考えているとスマホにダンデさんから到着したとの連絡が入り、あたしは急いで自室から中庭へと飛びだしこの前の夜彼に出逢った場所へと小走りで向った
「やあ、遅くなってすまない」
リザードンと並んで立つ彼は仕事場からそのまま来たようでユニフォーム姿だった
街灯のない道でもリザードンの尻尾の炎のお陰であたしも彼らの側へ迷いなく合流できる
『い、いえ、あたしは大丈夫です!まさか本当に来てくれるなんて思ってもいませんでしたから』
「俺は嘘の約束なんてしないぜ?」
嘘とは思ってないけど社交辞令かとは思ってましたので…とは言えない
『…そうで…す…か、あ!これっ!リザードンに!』
持ってきた小さな箱をダンデさんに手渡すとリザードンも興味をしめし鼻先を箱に押し付けた
「開けても?」
『はい、今日乗せてくれるお礼にと思って』
中身はポケモンも食べれるクッキーだ、リザードンは嬉しそうにあたしを見て鳴き声をあげてくれたけどダンデさんはじっと箱の中を見つめポソリと呟いた
「これ…リザードンにか?」
『はい!』
「リザードン……だけにか?」
『はい?』
「俺も食べたいんだが」
『ごっごめんなさい!気がきかなくて!ダンデさんの分も作れば良かったですね』
失敗したと顔を青くさせオロオロと意味もなく両手を揺らすあたしにダンデさんは我慢出来ず吹き出した
「ぷ、ハハッ!そんなに慌てなくても怒ってないぜ?後でリザードンから貰うから大丈夫さ」
リザードンから貰うんだ…そんなに彼はクッキーが好きなんだろう?
「さあ、そろそろ行こう!リザードン少し屈んでくれ」
『本当に大丈夫ですか?重いんじゃ』
ポケモンが人間より遥かに力があるのは知っているけど、二人も乗せたらリザードンが疲れてしまうんじゃ?
あたしの前で地面に伏せてくれた彼とダンデさんを見比べた
「俺のリザードンは鍛えてるから平気だ、それに君くらいなら俺だって楽々運べるぜ?」
『いやあたしも結構重っ、ひゃあ!』
「ほら?軽いじゃないか」
突然の浮遊感だった
ダンデさんはあたしの背後に近寄ると素早く背中と膝裏へと腕を回し抱き上げてしまった
見た目通り逞しい腕は震えることもなく寧ろ安定感があり、軽々と運び始める
『〜〜っ!』
キバナさんに手を捕まれた時だって顔から火が出そうだったのに
急に密着した彼の体が、あたしの左側の体に触れたダンデさんの熱が意識させてくる
緊張やら恥ずかしさやらであたしは息をとめて体を固くさせ、そんなあたしを見た彼は小さく笑った気がした
そのままリザードンに乗せられダンデさんも後ろに並んで乗り込むと合図と共に空へと飛び上がる
『うわわっ!』
初めてポケモンで空を飛ぶあたしにとってバランスを取るのは難しい
どこを掴んで良いのか体の重心を何処へ置けばいいのか分からずふらつくと
「俺が支えてるから大丈夫だ、もっと体の力を抜いて…リザードンの肩を掴むといい」
後ろにいたダンデさんの腕があたしのお腹を抱き込み支えてくれた
『う、はいっ』
落ちる恐怖より後ろに感じるダンデさんの存在感に意識が向いてしまい胸が苦しい
お腹に巻かれた腕にこの早い心音が伝わってしまわないか不安だったけど、不意に前を見てあたしは頭が一瞬真っ白になった
『………わぁ』
まっすぐに夜の空を飛ぶリザードン
夜空の星と地上の街の光が星となり挟まれた神秘的な空間にあたしは息を呑み感動した
『………綺麗』
「………ああ」
随分高く飛んでいるのだろう
夜の風は冷たいのに吐く息は熱くて目元がじんわりと熱くなる
『こんな…こんなに綺麗な景色初めてです』
いつも見上げていた小さな星がすぐ側にあるような錯覚を感じてしまう
あたしはその星に触れたくなり手をゆっくりと伸ばした
勿論手が届く事はない
それでも触れようと上を向く手にグローブをつけたダンデさんの手が重なり、あたしの手の甲から指先を撫で指を絡めて握ってきた
後ろにいる彼に振り返れば思ったよりすぐ近くに彼の顔が見えた
「………危ないぜ?」
握られた手ごとあたしの体を抱き寄せた彼の琥珀色の瞳は少し色濃く見えた
満月のように美しく
それでいて少し怖い瞳をあたしは逸らす事が出来ず長い前髪の隙間から見つめてしまう
風があたしの長い髪を揺らし前髪がはらりと横へと流れては戻る
視界から見え隠れする彼の顔をじっと見ているとダンデさんはあたしの手を強く握り
「……ナマエ、君は俺が嫌いか?」
『え?』
突然何を言うのか
ぼやけていた瞳を数回瞬きさせ元に戻しながらダンデさんを見つめ直すと彼は笑うでも怒るでもなく真剣な眼差しを向けた
「君は何処か俺と距離を取ろうとしているように見える、俺は自分でも分かっているがガサツなところがある…もしかして君を傷つけるような事をしたのか?それなら今謝るぜ?」
何故彼はそう思ったんだろう
今までの事を思い出すとあたしは自分の行動に気が付き慌てて口を開いた
『えっ違っ!違います!あたしダンデさんに何もされてません!』
「だが初めて会った時も握手してくれなかったし、家に行った時もすぐドアをしめたじゃないか?」
『それは…その…上手く言えないんですが…』
あたしは自分の気持ちを説明するのが苦手で上手く伝えられない
でも彼にこれ以上誤解されたくなくて男性に慣れていない事を必死に伝えた
引っ越す前から男性とちゃんと話した事もなく触れた事もない
逆に苦手意識が強くなりダンデさんの事も正直怖いと思っていたと…
「俺が……怖い……か」
『……すみません』
あたしの話を聞いた彼は小さくそうかと呟き静かに握っていた手が離れていった
その後は無言のまま散歩を続け、彼が離れた手が急激に冷えていく感覚が………
寂しかった
どれくらい飛んだか分からない
家に帰る頃には頬が冷たくて指先が冷えていた
『今日は…ありがとうございました』
きっともう二度と彼はあたしを誘わないだろう
最初から社交辞令だって自分に言い聞かせていたのにどうしてこんなに心が痛いんだろう
家の前で降ろしてくれた彼にお礼をいい中庭へ入る為の柵に手をかけた時だった
「ナマエ!」
名前を呼ばれ振り返ればダンデさんが大股であたしの元へと近寄りながら被っていた帽子を外した
「その…また君を誘ってもいいだろうか?」
『ど…して?』
あんなに失礼な事を言ったのに、このままなかった事にしていいのに
なのにダンデさんは外した帽子を胸元で強く握りしめ唇を一度噛みしめる
「俺はっ……君ともっと親しくなりたい!君が俺を怖いと思うなら怖くないと分かってもらいたい!だからっ」
眉毛が情けなく下がろうと琥珀色の瞳は美しい
大の大人が真剣に想いを伝え、頬を染めていく
「本当の俺を見て欲しいっ」
真っ直ぐな想いにあたしの胸が痛いほど締めつけられ体中が熱くなる
苦しいっ
苦しいのに…なんだろう
切ないほどに嬉しいと感じる自分がいる
『……はい』
あたしの短い返事を聞くなりダンデさんはじんわりと頬を緩ませ力を抜くように息を吐き、あたしは照れくささに慌てて中庭へと逃げ込んだ
そしてダンデさんもまた自分の顔を持っていた帽子で隠し頬を熱くさせていたようだ
怒られて心配させて…何故か突然そんな話しに変わり連絡先まで交換してしまった
『ぐ…うぅっ!』
そして今あたしは彼から届いたメールの返事に困り果てていた
【今夜は晴れるらしい、良ければ約束の散歩をしないか?】
『な、なんて返事を送ればいいの?』
今思えばあの夜はあたしにしてはきっとアドレナリンが出過ぎていたんだ、だから大胆にも一緒に散歩したいなんて言えたんだ!
今更やっぱり無理なんて言えない
でも素直に喜んで返事してコイツ何勘違いしてんだ?ってなるのも怖いっ!
どうにもマイナスな想像しかできず頭の中でダンデさんとの会話を妄想してしまう
勝手なイメージで作ってるとは言え何度返事を送っても嫌そうな顔しか浮かばない
『義理でメールをくれたかもしれないし…あたしから断ればダンデさんもホッとするんじゃ』
返事がなかなか打てず、時間ばかりが過ぎていくと両手で握るスマホがまたメールを着信する音を鳴らした
『……ぐっ!』
【リザードンも楽しみにしてる】
ダンデさん…実は何処かに監視カメラでも設置してあたしの困った顔を楽しんでますか?
なんでそんなにタイミングよく追い打ちしてくるの!
『はあぁ…これ断れないパターンだ』
結局夜になりあたしは時計を見てはそわそわとスマホを眺めていた
今夜の事はユウリにも教えてない
ただの散歩だしすぐに帰って来るんだから言わなくてもいいよね?
そんな事を考えているとスマホにダンデさんから到着したとの連絡が入り、あたしは急いで自室から中庭へと飛びだしこの前の夜彼に出逢った場所へと小走りで向った
「やあ、遅くなってすまない」
リザードンと並んで立つ彼は仕事場からそのまま来たようでユニフォーム姿だった
街灯のない道でもリザードンの尻尾の炎のお陰であたしも彼らの側へ迷いなく合流できる
『い、いえ、あたしは大丈夫です!まさか本当に来てくれるなんて思ってもいませんでしたから』
「俺は嘘の約束なんてしないぜ?」
嘘とは思ってないけど社交辞令かとは思ってましたので…とは言えない
『…そうで…す…か、あ!これっ!リザードンに!』
持ってきた小さな箱をダンデさんに手渡すとリザードンも興味をしめし鼻先を箱に押し付けた
「開けても?」
『はい、今日乗せてくれるお礼にと思って』
中身はポケモンも食べれるクッキーだ、リザードンは嬉しそうにあたしを見て鳴き声をあげてくれたけどダンデさんはじっと箱の中を見つめポソリと呟いた
「これ…リザードンにか?」
『はい!』
「リザードン……だけにか?」
『はい?』
「俺も食べたいんだが」
『ごっごめんなさい!気がきかなくて!ダンデさんの分も作れば良かったですね』
失敗したと顔を青くさせオロオロと意味もなく両手を揺らすあたしにダンデさんは我慢出来ず吹き出した
「ぷ、ハハッ!そんなに慌てなくても怒ってないぜ?後でリザードンから貰うから大丈夫さ」
リザードンから貰うんだ…そんなに彼はクッキーが好きなんだろう?
「さあ、そろそろ行こう!リザードン少し屈んでくれ」
『本当に大丈夫ですか?重いんじゃ』
ポケモンが人間より遥かに力があるのは知っているけど、二人も乗せたらリザードンが疲れてしまうんじゃ?
あたしの前で地面に伏せてくれた彼とダンデさんを見比べた
「俺のリザードンは鍛えてるから平気だ、それに君くらいなら俺だって楽々運べるぜ?」
『いやあたしも結構重っ、ひゃあ!』
「ほら?軽いじゃないか」
突然の浮遊感だった
ダンデさんはあたしの背後に近寄ると素早く背中と膝裏へと腕を回し抱き上げてしまった
見た目通り逞しい腕は震えることもなく寧ろ安定感があり、軽々と運び始める
『〜〜っ!』
キバナさんに手を捕まれた時だって顔から火が出そうだったのに
急に密着した彼の体が、あたしの左側の体に触れたダンデさんの熱が意識させてくる
緊張やら恥ずかしさやらであたしは息をとめて体を固くさせ、そんなあたしを見た彼は小さく笑った気がした
そのままリザードンに乗せられダンデさんも後ろに並んで乗り込むと合図と共に空へと飛び上がる
『うわわっ!』
初めてポケモンで空を飛ぶあたしにとってバランスを取るのは難しい
どこを掴んで良いのか体の重心を何処へ置けばいいのか分からずふらつくと
「俺が支えてるから大丈夫だ、もっと体の力を抜いて…リザードンの肩を掴むといい」
後ろにいたダンデさんの腕があたしのお腹を抱き込み支えてくれた
『う、はいっ』
落ちる恐怖より後ろに感じるダンデさんの存在感に意識が向いてしまい胸が苦しい
お腹に巻かれた腕にこの早い心音が伝わってしまわないか不安だったけど、不意に前を見てあたしは頭が一瞬真っ白になった
『………わぁ』
まっすぐに夜の空を飛ぶリザードン
夜空の星と地上の街の光が星となり挟まれた神秘的な空間にあたしは息を呑み感動した
『………綺麗』
「………ああ」
随分高く飛んでいるのだろう
夜の風は冷たいのに吐く息は熱くて目元がじんわりと熱くなる
『こんな…こんなに綺麗な景色初めてです』
いつも見上げていた小さな星がすぐ側にあるような錯覚を感じてしまう
あたしはその星に触れたくなり手をゆっくりと伸ばした
勿論手が届く事はない
それでも触れようと上を向く手にグローブをつけたダンデさんの手が重なり、あたしの手の甲から指先を撫で指を絡めて握ってきた
後ろにいる彼に振り返れば思ったよりすぐ近くに彼の顔が見えた
「………危ないぜ?」
握られた手ごとあたしの体を抱き寄せた彼の琥珀色の瞳は少し色濃く見えた
満月のように美しく
それでいて少し怖い瞳をあたしは逸らす事が出来ず長い前髪の隙間から見つめてしまう
風があたしの長い髪を揺らし前髪がはらりと横へと流れては戻る
視界から見え隠れする彼の顔をじっと見ているとダンデさんはあたしの手を強く握り
「……ナマエ、君は俺が嫌いか?」
『え?』
突然何を言うのか
ぼやけていた瞳を数回瞬きさせ元に戻しながらダンデさんを見つめ直すと彼は笑うでも怒るでもなく真剣な眼差しを向けた
「君は何処か俺と距離を取ろうとしているように見える、俺は自分でも分かっているがガサツなところがある…もしかして君を傷つけるような事をしたのか?それなら今謝るぜ?」
何故彼はそう思ったんだろう
今までの事を思い出すとあたしは自分の行動に気が付き慌てて口を開いた
『えっ違っ!違います!あたしダンデさんに何もされてません!』
「だが初めて会った時も握手してくれなかったし、家に行った時もすぐドアをしめたじゃないか?」
『それは…その…上手く言えないんですが…』
あたしは自分の気持ちを説明するのが苦手で上手く伝えられない
でも彼にこれ以上誤解されたくなくて男性に慣れていない事を必死に伝えた
引っ越す前から男性とちゃんと話した事もなく触れた事もない
逆に苦手意識が強くなりダンデさんの事も正直怖いと思っていたと…
「俺が……怖い……か」
『……すみません』
あたしの話を聞いた彼は小さくそうかと呟き静かに握っていた手が離れていった
その後は無言のまま散歩を続け、彼が離れた手が急激に冷えていく感覚が………
寂しかった
どれくらい飛んだか分からない
家に帰る頃には頬が冷たくて指先が冷えていた
『今日は…ありがとうございました』
きっともう二度と彼はあたしを誘わないだろう
最初から社交辞令だって自分に言い聞かせていたのにどうしてこんなに心が痛いんだろう
家の前で降ろしてくれた彼にお礼をいい中庭へ入る為の柵に手をかけた時だった
「ナマエ!」
名前を呼ばれ振り返ればダンデさんが大股であたしの元へと近寄りながら被っていた帽子を外した
「その…また君を誘ってもいいだろうか?」
『ど…して?』
あんなに失礼な事を言ったのに、このままなかった事にしていいのに
なのにダンデさんは外した帽子を胸元で強く握りしめ唇を一度噛みしめる
「俺はっ……君ともっと親しくなりたい!君が俺を怖いと思うなら怖くないと分かってもらいたい!だからっ」
眉毛が情けなく下がろうと琥珀色の瞳は美しい
大の大人が真剣に想いを伝え、頬を染めていく
「本当の俺を見て欲しいっ」
真っ直ぐな想いにあたしの胸が痛いほど締めつけられ体中が熱くなる
苦しいっ
苦しいのに…なんだろう
切ないほどに嬉しいと感じる自分がいる
『……はい』
あたしの短い返事を聞くなりダンデさんはじんわりと頬を緩ませ力を抜くように息を吐き、あたしは照れくささに慌てて中庭へと逃げ込んだ
そしてダンデさんもまた自分の顔を持っていた帽子で隠し頬を熱くさせていたようだ