第一巻
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その夜は仕事帰りだった
いつもより早く終わった為軽くパトロールしてから帰ろうとリザードンに提案し夜空へと飛び上がる
パトロールとは言ったがどちらかと言うと俺とリザードンの気分転換でもある
バトルならいくらでも応えるが事務仕事やスポンサーとの話し合いは俺には暇すぎる
相棒も同じであり俺との雑誌の写真撮影やテレビのインタビューが続くとどうしてもストレスが溜まるようだ
「気持ちいいな…そうだ!このままハロンまで行ってみるか?」
問いかければリザードンも嬉しそうに鳴き声をあげ翼を力強く動かした
外れそうになった帽子を片手で抑え冷たい夜風が肌を冷やしていく
それさえも気持ちよくて俺達は暫く夜の散歩を楽しんでいた
だがハロンの上空を飛んでいた時だ
俺は何気なく自分の家から少し離れたお隣さん、ナマエの家を見下ろし目を疑った
夜も遅いというのに森の立入禁止の柵に手をかけている者が見えたからだ
ハロンに住む者なら子供でさえ知っている危険な森だというのに
こんな夜に一人で何をしようというのか
俺は注意しようと下へ高度を下げるようリザードンに指示を出し、その人物の顔を見てやろうとしたが…
「ナマエ?」
まさかの彼女だった
この時の俺は万感の思いに次の言葉がすぐには出てこなかった
会いたかった
会いたくなかった
嬉しい
そして困る
次々浮かんでは消えていく俺の胸の中の感情に翻弄されていたが、リザードンの起こす風に彼女が苦しんでいるのに気が付き我に帰った
地面に降り立ち彼女を上から下まで眺めれば無防備にもパジャマにサンダルだけ
いくらなんでも警戒心がなさすぎないか?
こんな田舎だって馬鹿をする奴らはいるかもしれない
ましてや君のような隙だらけな女の子を見たらきっと……
ぐちゃぐちゃだった俺の感情は苛立ちに染まり思ったままに聞きたい事を口にした
こんな時間に何をしていたのか
たった一人で何を考えているのか
普段の俺ならきっともっと上手く聞けた筈だった
だが怒りに染まった頭では優しい声は出せず
気がつけば目の前で体を縮こませたナマエの長い前髪の隙間から潤んだ瞳が見えた
「(違う…こんな顔をさせたいわけじゃない、俺はただっ)」
気持ちを落ち着かせようと大きくため息を吐き捨て固まった眉間を解すように額ごと手のひらで数回撫でる
くしゃりと乱れた前髪をそのままに手を下ろせばいくらか気分がましになり俺は改めてナマエを見下ろした
「すまない…君を泣かせたいわけじゃないんだ、ただ女の子が一人で歩くには遅すぎるぜ」
誤解を解こうとするがすぐには上手くいかないようだ
こちらを見てくれない彼女は長い前髪のせいで顔色が分からない
その代わり体が震えているのに気がついた俺は自分のマントを急いで取り外しナマエの体を優しく包みこんだ
『っ、え?いいです!チャンピオンのマントですしっ』
驚きでやっとこちらに顔をあげた
どんな顔でもいい
下を向かれるよりましだ
「そんな格好では冷えてしまうだろ?」
首元も寒くないようにとマントで包もうとすると俺の手に少し濡れた彼女の髪が触れた
「っ!君髪の毛が濡れてるじゃないか!そんな頭でいったい何をしてたんだ!」
俺の声はすぐ大きくなってしまう
肩をビクつかせた彼女に俺まで手をビクつかせてしまい、一瞬お互いに無言になる
どうしたものかと視線を彷徨わせると意外にもナマエが先に口を動かしてくれた
『ほ、星が…きれいで』
「星?」
『夜空が綺麗だったから…少し見たくなって…そしたら森からポケモンの鳴き声みたいなのが聞こえたから…つい』
夜空に魅了されて出てきた…という事らしい
森に入ろうとしたわけじゃないと分かり俺の肩から力がどっと抜け落ちる、いつの間にか力んでいたようだ
「……星が好きなのか?」
『はい、故郷でもよく眺めるのが好きで…今日は特に雲もなくて綺麗だなぁと思って』
「……そうか」
ナマエは星が好き
たった一つだけ分かった彼女の事
その事実に俺はじわじわと気分を良くさせ視線を戻した
俺のマントに包まれたナマエ、俺の物に包まれているという事を意識するとなんだか胸と口元がむずむずする
また手持ちポケモンのように可愛がりたいのかと思ったが、少し違う気がする
もっと…こう……
強く抱き寄せたいというか
腕の中に閉じ込めたいような
変な気分だ
「(……顔が見たい)」
邪魔な前髪に俺は手をゆっくりと伸ばした、怖がらせないようにゆっくりと彼女の顔を見つめながら…
冷えた髪の毛に指の背で軽く触れ逃げないのを確認すると俺は長い前髪をカーテンのように横へとずらし、片方だけ無くなった邪魔な前髪に隠されていた瞳をじっと見下ろした
長い睫毛と星の光が入った潤んだ瞳
やっと見えた彼女の瞳に俺は魅了され瞬きさえ忘れた
「……君さえ良ければ、今度夜空の散歩をしないか?」
『え?』
「仕事が終わった後だから時間は遅くなるだろうが…それでも良ければリザードンで夜空を飛べるぜ」
何を言ってるんだ俺は
今さっきまで俺に怯えていた彼女が頷くはずが無いぜ
駄目もとで言ったがナマエは突然顔を明るくさせ
『ぜっ是非!チャンピオンと行きたいです!』
まさかの返事に俺まで顔が緩みそうだった
「チャンピオンじゃないダンデだ、そう教えただろ?」
いや…既に緩んでいたかもしれないな
いつもより早く終わった為軽くパトロールしてから帰ろうとリザードンに提案し夜空へと飛び上がる
パトロールとは言ったがどちらかと言うと俺とリザードンの気分転換でもある
バトルならいくらでも応えるが事務仕事やスポンサーとの話し合いは俺には暇すぎる
相棒も同じであり俺との雑誌の写真撮影やテレビのインタビューが続くとどうしてもストレスが溜まるようだ
「気持ちいいな…そうだ!このままハロンまで行ってみるか?」
問いかければリザードンも嬉しそうに鳴き声をあげ翼を力強く動かした
外れそうになった帽子を片手で抑え冷たい夜風が肌を冷やしていく
それさえも気持ちよくて俺達は暫く夜の散歩を楽しんでいた
だがハロンの上空を飛んでいた時だ
俺は何気なく自分の家から少し離れたお隣さん、ナマエの家を見下ろし目を疑った
夜も遅いというのに森の立入禁止の柵に手をかけている者が見えたからだ
ハロンに住む者なら子供でさえ知っている危険な森だというのに
こんな夜に一人で何をしようというのか
俺は注意しようと下へ高度を下げるようリザードンに指示を出し、その人物の顔を見てやろうとしたが…
「ナマエ?」
まさかの彼女だった
この時の俺は万感の思いに次の言葉がすぐには出てこなかった
会いたかった
会いたくなかった
嬉しい
そして困る
次々浮かんでは消えていく俺の胸の中の感情に翻弄されていたが、リザードンの起こす風に彼女が苦しんでいるのに気が付き我に帰った
地面に降り立ち彼女を上から下まで眺めれば無防備にもパジャマにサンダルだけ
いくらなんでも警戒心がなさすぎないか?
こんな田舎だって馬鹿をする奴らはいるかもしれない
ましてや君のような隙だらけな女の子を見たらきっと……
ぐちゃぐちゃだった俺の感情は苛立ちに染まり思ったままに聞きたい事を口にした
こんな時間に何をしていたのか
たった一人で何を考えているのか
普段の俺ならきっともっと上手く聞けた筈だった
だが怒りに染まった頭では優しい声は出せず
気がつけば目の前で体を縮こませたナマエの長い前髪の隙間から潤んだ瞳が見えた
「(違う…こんな顔をさせたいわけじゃない、俺はただっ)」
気持ちを落ち着かせようと大きくため息を吐き捨て固まった眉間を解すように額ごと手のひらで数回撫でる
くしゃりと乱れた前髪をそのままに手を下ろせばいくらか気分がましになり俺は改めてナマエを見下ろした
「すまない…君を泣かせたいわけじゃないんだ、ただ女の子が一人で歩くには遅すぎるぜ」
誤解を解こうとするがすぐには上手くいかないようだ
こちらを見てくれない彼女は長い前髪のせいで顔色が分からない
その代わり体が震えているのに気がついた俺は自分のマントを急いで取り外しナマエの体を優しく包みこんだ
『っ、え?いいです!チャンピオンのマントですしっ』
驚きでやっとこちらに顔をあげた
どんな顔でもいい
下を向かれるよりましだ
「そんな格好では冷えてしまうだろ?」
首元も寒くないようにとマントで包もうとすると俺の手に少し濡れた彼女の髪が触れた
「っ!君髪の毛が濡れてるじゃないか!そんな頭でいったい何をしてたんだ!」
俺の声はすぐ大きくなってしまう
肩をビクつかせた彼女に俺まで手をビクつかせてしまい、一瞬お互いに無言になる
どうしたものかと視線を彷徨わせると意外にもナマエが先に口を動かしてくれた
『ほ、星が…きれいで』
「星?」
『夜空が綺麗だったから…少し見たくなって…そしたら森からポケモンの鳴き声みたいなのが聞こえたから…つい』
夜空に魅了されて出てきた…という事らしい
森に入ろうとしたわけじゃないと分かり俺の肩から力がどっと抜け落ちる、いつの間にか力んでいたようだ
「……星が好きなのか?」
『はい、故郷でもよく眺めるのが好きで…今日は特に雲もなくて綺麗だなぁと思って』
「……そうか」
ナマエは星が好き
たった一つだけ分かった彼女の事
その事実に俺はじわじわと気分を良くさせ視線を戻した
俺のマントに包まれたナマエ、俺の物に包まれているという事を意識するとなんだか胸と口元がむずむずする
また手持ちポケモンのように可愛がりたいのかと思ったが、少し違う気がする
もっと…こう……
強く抱き寄せたいというか
腕の中に閉じ込めたいような
変な気分だ
「(……顔が見たい)」
邪魔な前髪に俺は手をゆっくりと伸ばした、怖がらせないようにゆっくりと彼女の顔を見つめながら…
冷えた髪の毛に指の背で軽く触れ逃げないのを確認すると俺は長い前髪をカーテンのように横へとずらし、片方だけ無くなった邪魔な前髪に隠されていた瞳をじっと見下ろした
長い睫毛と星の光が入った潤んだ瞳
やっと見えた彼女の瞳に俺は魅了され瞬きさえ忘れた
「……君さえ良ければ、今度夜空の散歩をしないか?」
『え?』
「仕事が終わった後だから時間は遅くなるだろうが…それでも良ければリザードンで夜空を飛べるぜ」
何を言ってるんだ俺は
今さっきまで俺に怯えていた彼女が頷くはずが無いぜ
駄目もとで言ったがナマエは突然顔を明るくさせ
『ぜっ是非!チャンピオンと行きたいです!』
まさかの返事に俺まで顔が緩みそうだった
「チャンピオンじゃないダンデだ、そう教えただろ?」
いや…既に緩んでいたかもしれないな