第一巻
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『……ふぅ』
手首に残る男の人の大きな手の感触
体温があたしより高かったせいか握った力の強さのせいか
キバナさんの触れた場所は家に帰っても熱をじわじわと残しまだ彼が側にいる気分にさせた
彼のお陰で無事に怪我もなく駅につきその後は一人でハロンまで帰れた
沢山取れた木の実でジャムも作れたし満足いく一日だったのに
お風呂に入っている今もあたしの中に彼がまだ居続けている
『(男の人と挨拶以外でこんなに話したの初めてかも…話やすかったし、あんまり怖くなかった………かも)』
男の人が苦手だと思ったのはいつからだっただろう
覚えている限りではまだスクールに通ってた幼い頃、同じクラスの男の子が原因かもしれない
その子はいつもあたしの顔を見ると近寄ってきて馬鹿にしたり勝手に髪を引っ張ったりと手を出してきた
それが嫌で嫌で何度もやめてほしいと言ったり、逃げようとしたけど彼はやめてくれなかった
『(あの時のせいで男の子は皆意地悪なイメージがついたのかも)』
ガラルに来てからはタイプの違う男性と話す機会があり不思議な気分
元気な男の子のホップくんはユウリと仲良しで目が合うと必ず大きな声で挨拶してくれる
キバナさんは見た目は軽い感じのお兄さんって感じだけど話しやすくていい人だった
ダンデさんは……
『(……ダンデさんは…まだよく分からないや)』
口元まで湯に浸かり考え込むけど彼の第一印象は良くない
だけど次に会った時は少し…ほんの少しだけ可愛いと思った
「お姉ちゃん、髪ちゃんと乾かしてから寝ないと風邪ひくよ?」
お風呂から上がり自室へと向かうと後ろからユウリに声をかけられた
先にお風呂をすませたユウリはあたしとは色違いのパジャマを着ていたけど同じデザインなのに特別可愛く見える
ユウリが可愛いからかな?
『大丈夫だよ、ガラルは暖かいしタオルで乾かしたもん』
「だめっドライヤー!ちゃんと使いなよ?……せっかく綺麗な髪なのにお姉ちゃんってなんで気が付かないんだろ」
ブツブツ文句を言いながら彼女も自分の部屋へと消えていき、あたしも自分の部屋へと入った
髪は確かに少し濡れていたけど冬場じゃないし、ここの気候なら自然に乾くから特に気にしない
『あ…今日は星がよく見えるかも』
部屋から中庭に繋がっていた外へと出て夜空を見上げれば雲一つなく無数の小さな星が輝いていた
星座に詳しいわけじゃないけど夜空を見るのは昔から好き
いつも閉じ籠もっている部屋と違い何処までも続く宇宙のような夜空は心を落ち着かせ、星の優しい美しさに癒やされる
『………ん?』
ふと…何処からか何かの鳴き声が聞こえた気がした
視線をそちらへ向けると深い森
夜の暗さもあり黒い大きな塊のように見える深い森だった
『…確か入っちゃだめって母さんが言ってたな』
ポケモンの鳴き声だったんだろうか
中庭を囲む柵の扉を静かに開け薄暗い坂道を下りていく、家の右側に広がった森は人が間違って入らないように柵が設置されていた
サンダルが土の道を踏み鳴らす音を聞きながら立入禁止の看板が下げられた柵に手を付け森の奥を眺めれば茂みの向こうに光る目のような物が見えた気がしたけど……すぐに見えなくなった
『……どうしたの?』
茂みの向こうにいるかもしれない相手に声をかけ、もう一度聞こうと耳を澄ませるも同じ鳴き声は聞こえず
代わりに風を切るような音が空から聞こえた
『え?』
上を見上げると何かが素早く横切りオレンジ色の光だけが残像のように一瞬見えた
火の玉?お化け?
素早く暗い空を飛ぶそれはオレンジの光を揺らしながら夜空の闇の中で一回転し、こちらへと急いで戻って来る
風を切る音が次第に近付き黒く大きな体が段々と離れた家の明かりを浴びると炎と同じくオレンジ色の体が浮かび上がった
「ナマエ?」
正体はリザードンだった
そして彼の背中にはチャンピオンユニフォームを着たダンデさんが乗っており、驚いた顔つきであたしを上から見下ろした
『え…チャンピオっ、うぷっ!』
リザードンの翼が上下に動く度に風が吹きつけてくる
地面の軽い土が舞い上がってしまいそのせいで息が上手くできず言葉を遮った
「っ!リザードンっ」
彼がリザードンに何やら指示を出すと少し離れ、ダンデさんは飛んでいるリザードンの背中からあたしが立つ地面へと飛び降りてきた
「っと!」
軽々と飛んできたが怖くないんだろうか?
普段からリザードンと空を飛んでれば少しくらい高くても恐怖心を感じなくなるのかもしれない
あたしがそんな事を考えている間にダンデさんはマントを片手で後ろへと流し改めてこちらを眺め眉を寄せた
「こんな時間に何をしているんだ」
顔を険しくさせた彼は下げた腕に拳を作り一歩、また一歩と近寄ってくる
『え…あ…あたしは…』
何も悪い事なんてしてないのに彼の迫力に上手く言えず口籠ってしまう
早く言わなきゃと焦れば焦るほど口が震え両手を胸の前で握りしめ肩をすくめた
早く答えないあたしに苛立ったのかダンデさんは眉間により深いシワを作り遂に目の前へと来てしまった
「たった一人でっ!危ないじゃないか!」
怒っている
こちらを見下ろした瞳は鋭くて口元は歯を食い縛っているのか引き攣っていた
『ぁ…ご、ごめんな…さ…』
あぁ…だめだ
怖くて言いたい事が言えない
喉奥が締めつけられ狭くなったと感じると次は目頭がキュッと締めつけられ目の奥から熱い涙がこみ上げる気配がした
手首に残る男の人の大きな手の感触
体温があたしより高かったせいか握った力の強さのせいか
キバナさんの触れた場所は家に帰っても熱をじわじわと残しまだ彼が側にいる気分にさせた
彼のお陰で無事に怪我もなく駅につきその後は一人でハロンまで帰れた
沢山取れた木の実でジャムも作れたし満足いく一日だったのに
お風呂に入っている今もあたしの中に彼がまだ居続けている
『(男の人と挨拶以外でこんなに話したの初めてかも…話やすかったし、あんまり怖くなかった………かも)』
男の人が苦手だと思ったのはいつからだっただろう
覚えている限りではまだスクールに通ってた幼い頃、同じクラスの男の子が原因かもしれない
その子はいつもあたしの顔を見ると近寄ってきて馬鹿にしたり勝手に髪を引っ張ったりと手を出してきた
それが嫌で嫌で何度もやめてほしいと言ったり、逃げようとしたけど彼はやめてくれなかった
『(あの時のせいで男の子は皆意地悪なイメージがついたのかも)』
ガラルに来てからはタイプの違う男性と話す機会があり不思議な気分
元気な男の子のホップくんはユウリと仲良しで目が合うと必ず大きな声で挨拶してくれる
キバナさんは見た目は軽い感じのお兄さんって感じだけど話しやすくていい人だった
ダンデさんは……
『(……ダンデさんは…まだよく分からないや)』
口元まで湯に浸かり考え込むけど彼の第一印象は良くない
だけど次に会った時は少し…ほんの少しだけ可愛いと思った
「お姉ちゃん、髪ちゃんと乾かしてから寝ないと風邪ひくよ?」
お風呂から上がり自室へと向かうと後ろからユウリに声をかけられた
先にお風呂をすませたユウリはあたしとは色違いのパジャマを着ていたけど同じデザインなのに特別可愛く見える
ユウリが可愛いからかな?
『大丈夫だよ、ガラルは暖かいしタオルで乾かしたもん』
「だめっドライヤー!ちゃんと使いなよ?……せっかく綺麗な髪なのにお姉ちゃんってなんで気が付かないんだろ」
ブツブツ文句を言いながら彼女も自分の部屋へと消えていき、あたしも自分の部屋へと入った
髪は確かに少し濡れていたけど冬場じゃないし、ここの気候なら自然に乾くから特に気にしない
『あ…今日は星がよく見えるかも』
部屋から中庭に繋がっていた外へと出て夜空を見上げれば雲一つなく無数の小さな星が輝いていた
星座に詳しいわけじゃないけど夜空を見るのは昔から好き
いつも閉じ籠もっている部屋と違い何処までも続く宇宙のような夜空は心を落ち着かせ、星の優しい美しさに癒やされる
『………ん?』
ふと…何処からか何かの鳴き声が聞こえた気がした
視線をそちらへ向けると深い森
夜の暗さもあり黒い大きな塊のように見える深い森だった
『…確か入っちゃだめって母さんが言ってたな』
ポケモンの鳴き声だったんだろうか
中庭を囲む柵の扉を静かに開け薄暗い坂道を下りていく、家の右側に広がった森は人が間違って入らないように柵が設置されていた
サンダルが土の道を踏み鳴らす音を聞きながら立入禁止の看板が下げられた柵に手を付け森の奥を眺めれば茂みの向こうに光る目のような物が見えた気がしたけど……すぐに見えなくなった
『……どうしたの?』
茂みの向こうにいるかもしれない相手に声をかけ、もう一度聞こうと耳を澄ませるも同じ鳴き声は聞こえず
代わりに風を切るような音が空から聞こえた
『え?』
上を見上げると何かが素早く横切りオレンジ色の光だけが残像のように一瞬見えた
火の玉?お化け?
素早く暗い空を飛ぶそれはオレンジの光を揺らしながら夜空の闇の中で一回転し、こちらへと急いで戻って来る
風を切る音が次第に近付き黒く大きな体が段々と離れた家の明かりを浴びると炎と同じくオレンジ色の体が浮かび上がった
「ナマエ?」
正体はリザードンだった
そして彼の背中にはチャンピオンユニフォームを着たダンデさんが乗っており、驚いた顔つきであたしを上から見下ろした
『え…チャンピオっ、うぷっ!』
リザードンの翼が上下に動く度に風が吹きつけてくる
地面の軽い土が舞い上がってしまいそのせいで息が上手くできず言葉を遮った
「っ!リザードンっ」
彼がリザードンに何やら指示を出すと少し離れ、ダンデさんは飛んでいるリザードンの背中からあたしが立つ地面へと飛び降りてきた
「っと!」
軽々と飛んできたが怖くないんだろうか?
普段からリザードンと空を飛んでれば少しくらい高くても恐怖心を感じなくなるのかもしれない
あたしがそんな事を考えている間にダンデさんはマントを片手で後ろへと流し改めてこちらを眺め眉を寄せた
「こんな時間に何をしているんだ」
顔を険しくさせた彼は下げた腕に拳を作り一歩、また一歩と近寄ってくる
『え…あ…あたしは…』
何も悪い事なんてしてないのに彼の迫力に上手く言えず口籠ってしまう
早く言わなきゃと焦れば焦るほど口が震え両手を胸の前で握りしめ肩をすくめた
早く答えないあたしに苛立ったのかダンデさんは眉間により深いシワを作り遂に目の前へと来てしまった
「たった一人でっ!危ないじゃないか!」
怒っている
こちらを見下ろした瞳は鋭くて口元は歯を食い縛っているのか引き攣っていた
『ぁ…ご、ごめんな…さ…』
あぁ…だめだ
怖くて言いたい事が言えない
喉奥が締めつけられ狭くなったと感じると次は目頭がキュッと締めつけられ目の奥から熱い涙がこみ上げる気配がした