第三巻
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「はい、新しいスマホロトム」
『何から何までありがとうございます』
キルクスタウンにて
ホテルに閉じこもって数日経つ彼女は外に出るのが怖くなってしまったようだ
ロトムが着信を知らせる度に体がビクつき画面を見ることもできない
そんな彼女に気がついたキバナはスマホロトムを新しいのに替えることを提案してくれた
「写真だけならいいけど…もし下手にGPSとか入ってても怖いからな、替えればナマエちゃんも少しは安心するでしょ?」
『……はい』
新しいスマホロトムは藍色とオレンジ色のラインが入った模様をしており、然りげ無くキバナカラーだ
キバナとしては笑って貰おうと意識して選んだが、彼女はそれさえ気が付かない程弱っているようだ
なのにジム戦へ行くという彼女を心配しキバナはホテルからジムまでの短い距離を共に歩いた
「キルクスにいる間はメロンさんが街に変な奴がいないか目を光らせてくれるそうだけど…バッチ取ったらスパイクタウンまでオレが送ろうか?」
『あ、いえ、大丈夫です!…ずっと、このままってわけにもいかないし…そろそろ旅に戻るつもりでしたから』
「そっか、んじゃせめて…」
「えええっ!嘘っ!ダンデさんがっ!」
キバナの声を遮るほど大きな声
何事かと二人でそちらを振り向くと本屋前で学生達が何やら新聞片手に騒いでいる
『……なんでしょう?』
ダンデの事なら気になる
ナマエは自然とそちらへと足を向けると遅れてキバナもついていった
店前に並んだ薄い新聞は特別に急遽出された特ダネのようだ
またバトルについてだろうかと新聞に手を伸ばすとナマエは目を見開き瞬きさえできなくなった
「ナマエちゃん?」
固まった彼女に疑問を感じ後ろから新聞を覗き込むとキバナは目を疑った
そこには真っ赤なドレス姿の女性の手を引っ張り歩くスーツ姿のダンデの写真が載っていた
記事には恋人説が書かれており禁断の関係や結婚までの予想まで書かれていた
『……ぁ……っ』
声が出ない
あまりに驚きすぎたのだろう
写真を撮った日を見ればナマエが襲われそうになった日だった
電話に出れなかったのはこのドレスを着ていた女性と会っていたから?
そう感じるとナマエは心に大きな穴が出来たように冷えていき、新聞を握る手が震えだす
「ナマエちゃんっ見るな!こんなゴシップ記事あてになるかよ!」
新聞を無理矢理取り上げたキバナはナマエの手を引っ張り本屋を出ると本来の目的だったジムへと急いだ
「(あの馬鹿っ!最悪だ!何下手な記事撮らせてんだよっ!)」
キバナからすればよくあるゴシップネタだと分かっている
ダンデに限って浮気なんてできないのも知っている
だが…彼女はそれを知らない
弱っている彼女にこの記事は毒だ
これ以上心を壊させない為にもジムへと急ぐが…ナマエは引きずられるように歩きながらぽろぽろと涙を流しだし、慌ててパーカーのフードを深く被った
彼女が傷ついている頃
同じようにダンデもまたゴシップ記事に怒りを爆発させていた
「っ!くそっ!!やられたっ!」
写真に映った彼女は今回の記事について強く否定はせず濁したコメントを載せている
それが余計に噂を大きくさせたようだ
「ふぅーッ!っ、落ち着けっ、とにかくナマエにっ」
眉間に寄る皺を指先で摘みながら伸ばすとスマホロトムを呼び寄せた
この数日間、連絡をとろうとしたが彼女は電話にでてくれない
それが余計に彼を焦らせ冷静さを失わせた
「頼むっ!出てくれっ!」
祈るようにまた電話をかけると今度は繫がりさえしなかった
彼女がスマホを買い替えたせいだった
「っ!!リザードンっっ!!」
ロトムが繋がらないならば…
ダンデはリザードンを呼び出すと彼の背中に乗り込み、邪魔になるチャンピオンマントを投げ捨てた
「ナマエを探してくれっ!」
全ての真実を正す為に大空へと飛び上がる
リザードンに乗って街から街へチャレンジャーが通りそうな道をくまなく探すとキルクスへと辿り着く
最後のネットニュースから変化がなければジムバトルをまだ終えていない筈だ
ジムリーダーであるメロンから彼女が来ていないか聞こうとするが、ジムの前には何故かキバナがおりダンデは驚きつつもそこへ降り立った
「何故君がここにいるんだ?」
「………開口一番がそれかよ」
コチラをギラリと睨む青い瞳
キバナはジムへの入口を塞ぐように仁王立ちしダンデの前に立った
「オマエこそ何してんだよ…つまらねぇ記事なんか撮られやがって」
「……あれは不本意だ、俺は彼女と何もないぜ」
分かっている…だがキバナは苛立ちが止まらずつい眉間に深いシワが寄った
「……だからオレさまは言ったんだ…オマエじゃナマエちゃんは守れねぇって」
「ナマエがここにいるのか!」
期待に瞳を輝かせるダンデの顔に余計苛立ちキバナは一歩前に立ち彼を冷たく見下ろした
「いてもテメェには会わせねぇぞ」
「嫌だっ俺は彼女に会う必要がある!退いてくれっ!」
無理矢理キバナを退かし横をすり抜けようとするダンデにキバナはついにキレてしまう
「っ!なんでテメェはそう自分勝手なんだよっ!ナマエちゃんがっ、彼女がどれだけ傷ついてるか知らねぇ癖にっ!」
胸ぐらを力任せに掴み上げダンデの首元が苦しくなる
それでもダンデは顔色一つ変えずキバナを睨み声を大きくさせた
「これは俺と彼女の問題だ!君には関係ないだろ!」
「〜〜っ!ダンデェッ!!」
胸ぐらを掴んでいた手とは反対の手が上がり
大きく振りかぶった拳がダンデの頰を力いっぱい直撃し、首が引きちぎれる程横を向いた
「っ!!」
殴られたせいで口内を切ったのかダンデは口の端から血を流すが、彼は怒りに顔を染めると同じように腕を振り上げキバナの頰を重い拳で殴った
そこからは酷いものだった
お互いの胸ぐらを掴み殴り合う大柄な男達に誰も止める事ができず、ジム前が騒がしくなる
騒動に気がついたリーグスタッフもオロオロと二人の周りを彷徨くだけで止められない
『え?何…これ』
そこへジムチャレンジを終えたナマエが現れたが二人はまだ気が付かず殴り合いを続けた
頬や腹に拳がめり込む度に体の重心が傾いたような立ち方をしては怒声と共に襲い掛かりまた拳を振り上げる
お互いに鼻血や口元から血を垂らしながら縄張り争い中の野生のポケモンのように喧嘩が続く
『きっキバナさんっ!ダンデさんっ、やめっ、やめてっ』
弱々しい声は怒りに染まった二人には届かない
どうしたらいいのかと戸惑っていると
「いい加減におしっっっ!!」
途端にバシャンっと大量の水をかけられた二人
ポタポタと冷たい水を頭から垂れ流す二人が見た先にはナマエの隣に立つメロンと彼女の相棒のラプラスがいた
「坊や達…人のジムの前でなんの騒ぎだい?そんなに喧嘩したいなら相手してやるよ!」
真っ白い服に身を包んだメロンは普段はおっとりとした豊満な体を持つ美しい女性だが
今は怒りの炎を背中に浮かべた恐ろしい形相をしており、キバナとダンデは息を飲み込み顔を青ざめさせた
『何から何までありがとうございます』
キルクスタウンにて
ホテルに閉じこもって数日経つ彼女は外に出るのが怖くなってしまったようだ
ロトムが着信を知らせる度に体がビクつき画面を見ることもできない
そんな彼女に気がついたキバナはスマホロトムを新しいのに替えることを提案してくれた
「写真だけならいいけど…もし下手にGPSとか入ってても怖いからな、替えればナマエちゃんも少しは安心するでしょ?」
『……はい』
新しいスマホロトムは藍色とオレンジ色のラインが入った模様をしており、然りげ無くキバナカラーだ
キバナとしては笑って貰おうと意識して選んだが、彼女はそれさえ気が付かない程弱っているようだ
なのにジム戦へ行くという彼女を心配しキバナはホテルからジムまでの短い距離を共に歩いた
「キルクスにいる間はメロンさんが街に変な奴がいないか目を光らせてくれるそうだけど…バッチ取ったらスパイクタウンまでオレが送ろうか?」
『あ、いえ、大丈夫です!…ずっと、このままってわけにもいかないし…そろそろ旅に戻るつもりでしたから』
「そっか、んじゃせめて…」
「えええっ!嘘っ!ダンデさんがっ!」
キバナの声を遮るほど大きな声
何事かと二人でそちらを振り向くと本屋前で学生達が何やら新聞片手に騒いでいる
『……なんでしょう?』
ダンデの事なら気になる
ナマエは自然とそちらへと足を向けると遅れてキバナもついていった
店前に並んだ薄い新聞は特別に急遽出された特ダネのようだ
またバトルについてだろうかと新聞に手を伸ばすとナマエは目を見開き瞬きさえできなくなった
「ナマエちゃん?」
固まった彼女に疑問を感じ後ろから新聞を覗き込むとキバナは目を疑った
そこには真っ赤なドレス姿の女性の手を引っ張り歩くスーツ姿のダンデの写真が載っていた
記事には恋人説が書かれており禁断の関係や結婚までの予想まで書かれていた
『……ぁ……っ』
声が出ない
あまりに驚きすぎたのだろう
写真を撮った日を見ればナマエが襲われそうになった日だった
電話に出れなかったのはこのドレスを着ていた女性と会っていたから?
そう感じるとナマエは心に大きな穴が出来たように冷えていき、新聞を握る手が震えだす
「ナマエちゃんっ見るな!こんなゴシップ記事あてになるかよ!」
新聞を無理矢理取り上げたキバナはナマエの手を引っ張り本屋を出ると本来の目的だったジムへと急いだ
「(あの馬鹿っ!最悪だ!何下手な記事撮らせてんだよっ!)」
キバナからすればよくあるゴシップネタだと分かっている
ダンデに限って浮気なんてできないのも知っている
だが…彼女はそれを知らない
弱っている彼女にこの記事は毒だ
これ以上心を壊させない為にもジムへと急ぐが…ナマエは引きずられるように歩きながらぽろぽろと涙を流しだし、慌ててパーカーのフードを深く被った
彼女が傷ついている頃
同じようにダンデもまたゴシップ記事に怒りを爆発させていた
「っ!くそっ!!やられたっ!」
写真に映った彼女は今回の記事について強く否定はせず濁したコメントを載せている
それが余計に噂を大きくさせたようだ
「ふぅーッ!っ、落ち着けっ、とにかくナマエにっ」
眉間に寄る皺を指先で摘みながら伸ばすとスマホロトムを呼び寄せた
この数日間、連絡をとろうとしたが彼女は電話にでてくれない
それが余計に彼を焦らせ冷静さを失わせた
「頼むっ!出てくれっ!」
祈るようにまた電話をかけると今度は繫がりさえしなかった
彼女がスマホを買い替えたせいだった
「っ!!リザードンっっ!!」
ロトムが繋がらないならば…
ダンデはリザードンを呼び出すと彼の背中に乗り込み、邪魔になるチャンピオンマントを投げ捨てた
「ナマエを探してくれっ!」
全ての真実を正す為に大空へと飛び上がる
リザードンに乗って街から街へチャレンジャーが通りそうな道をくまなく探すとキルクスへと辿り着く
最後のネットニュースから変化がなければジムバトルをまだ終えていない筈だ
ジムリーダーであるメロンから彼女が来ていないか聞こうとするが、ジムの前には何故かキバナがおりダンデは驚きつつもそこへ降り立った
「何故君がここにいるんだ?」
「………開口一番がそれかよ」
コチラをギラリと睨む青い瞳
キバナはジムへの入口を塞ぐように仁王立ちしダンデの前に立った
「オマエこそ何してんだよ…つまらねぇ記事なんか撮られやがって」
「……あれは不本意だ、俺は彼女と何もないぜ」
分かっている…だがキバナは苛立ちが止まらずつい眉間に深いシワが寄った
「……だからオレさまは言ったんだ…オマエじゃナマエちゃんは守れねぇって」
「ナマエがここにいるのか!」
期待に瞳を輝かせるダンデの顔に余計苛立ちキバナは一歩前に立ち彼を冷たく見下ろした
「いてもテメェには会わせねぇぞ」
「嫌だっ俺は彼女に会う必要がある!退いてくれっ!」
無理矢理キバナを退かし横をすり抜けようとするダンデにキバナはついにキレてしまう
「っ!なんでテメェはそう自分勝手なんだよっ!ナマエちゃんがっ、彼女がどれだけ傷ついてるか知らねぇ癖にっ!」
胸ぐらを力任せに掴み上げダンデの首元が苦しくなる
それでもダンデは顔色一つ変えずキバナを睨み声を大きくさせた
「これは俺と彼女の問題だ!君には関係ないだろ!」
「〜〜っ!ダンデェッ!!」
胸ぐらを掴んでいた手とは反対の手が上がり
大きく振りかぶった拳がダンデの頰を力いっぱい直撃し、首が引きちぎれる程横を向いた
「っ!!」
殴られたせいで口内を切ったのかダンデは口の端から血を流すが、彼は怒りに顔を染めると同じように腕を振り上げキバナの頰を重い拳で殴った
そこからは酷いものだった
お互いの胸ぐらを掴み殴り合う大柄な男達に誰も止める事ができず、ジム前が騒がしくなる
騒動に気がついたリーグスタッフもオロオロと二人の周りを彷徨くだけで止められない
『え?何…これ』
そこへジムチャレンジを終えたナマエが現れたが二人はまだ気が付かず殴り合いを続けた
頬や腹に拳がめり込む度に体の重心が傾いたような立ち方をしては怒声と共に襲い掛かりまた拳を振り上げる
お互いに鼻血や口元から血を垂らしながら縄張り争い中の野生のポケモンのように喧嘩が続く
『きっキバナさんっ!ダンデさんっ、やめっ、やめてっ』
弱々しい声は怒りに染まった二人には届かない
どうしたらいいのかと戸惑っていると
「いい加減におしっっっ!!」
途端にバシャンっと大量の水をかけられた二人
ポタポタと冷たい水を頭から垂れ流す二人が見た先にはナマエの隣に立つメロンと彼女の相棒のラプラスがいた
「坊や達…人のジムの前でなんの騒ぎだい?そんなに喧嘩したいなら相手してやるよ!」
真っ白い服に身を包んだメロンは普段はおっとりとした豊満な体を持つ美しい女性だが
今は怒りの炎を背中に浮かべた恐ろしい形相をしており、キバナとダンデは息を飲み込み顔を青ざめさせた