第三巻
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キルクスタウン
ガラルの北東部にある雪国でありナックル同様歴史ある古い建物が目立つ
白い息を吐きながら寒さに手を擦り合わせながら街に着いたナマエは旅で疲れた仲間を回復させようとまずはポケモンセンターを訪れた
外の冷たい空気に肌を冷やしすぎたのかセンターに入るとじんわりとした暖かさが頬を刺激する
『お願いします』
「はい、お掛けになってお待ち下さいね」
相棒達の入ったボールをセンターの受付けお姉さんに渡し、暫く休もうかと室内を見渡すとコチラをじっと見る二人組の女の子に目が止まった
『(あ…確か開会式にいた人だ)』
話した事はないが顔は覚えている
旅を続けるうちにチャレンジャーがリタイヤし減っていく中、同じ選手にこうして会えたのは珍しい
挨拶しようと頭を軽く下げると彼女達はそっぽを向いてしまい、なんとも気不味い気分になる
『(馴れ馴れしかったのかな?)』
友達とは言えない自分が挨拶したのが失礼だったんだろうか
気恥ずかしくソワソワとした気分のままナマエはセンター内の隅っこにあるベンチへと腰掛けた
時間潰しと気持ちを落ち着かせる為にスマホを弄ろうとするが、彼女の耳に二人の話し声が届いた
「あの子でしょ?」
「そうだと思う、だって写真と似てるじゃん」
『(あたしの事かな?)』
すぐには動けずスマホを操作するフリをし耳を傾けるが、段々とおかしな内容が耳に届く
「信じらんないっ、いくら旅のお金が欲しいからってやる?」
「ダンデさんは知ってるのかな?知ったらショック受けそうだよね」
ダンデの話まで出てくる頃にはナマエは知らん顔をする事もできず後先考えずに立ち上がってしまった
『あの!今の…どういう事ですか?』
勢いのまま二人組の女の子達に近寄ると彼女達はお互いの顔を見比べ険しい顔つきでナマエを見つめた
「アンタ…売りやってんでしょ?」
『売り…ってなんですか?』
「これよ!」
トボけたつもりではない
本当に知らなくて言い返せば相手は苛立ち自分のスマホ画面を彼女の顔の前に突き出した
そこには目元に薄っすらとモザイクが入っているが間違いなくナマエの写真だった
チャレンジャーの進行具合の記事かと思えば良く見れば妙にピンクやハートが多い
下へと視線を下げれば紹介文が書いており、旅の為に援助を求めているないようだった
「体売ってお金貰ってるチャレンジャーなんて…気持ち悪い」
「私達まで同じだと思われたらどうするのよ!」
『違っ…あたしはこんなサイト知らないです!』
画面の向こうにいるのは確かに自分だが、角度的に盗撮の可能性がある
何より自分がこんなサイトに登録する筈がない
ただでさえ人付き合いが苦手で男性にも不慣れなのに、お金欲しさに援助交際なんてできるはずがないのだ
困惑するナマエの反応に驚いた二人組は動揺し、スマホ画面を見直した
「……と、とにかく気をつけた方がいいよ!このサイトの事結構ネットで広まってるし」
「うん、私も偶々友達から聞いて知った事だったけど…もしこれが誰かの仕業なら…その…」
さっきまで嫌悪を示していた彼女達は真実をやっと知り、ナマエを心配しだした
根は優しい子達のようだ
その後も彼女達は三人でサイトに写真を消すようにアクセスしようとしたが、消すには投稿者のパスワードが必要らしく第三者からは操作できないらしい
ナマエのスマホの履歴を見てもサイトを開いたり登録した後はない
全く知らない誰かが登録したのだろう
悩んでいるうちに預けていた仲間の回復が終わった事を告げられ三人はスマホから顔をあげた
『……教えてくれてありがとうございます、後は自分でなんとかするから…貴女達も気をつけて』
「ええ、こちらこそ…その…酷い事言ってごめんなさい」
誤解が解けただけでもよかった
もしかしたら最近感じていた嫌な視線の原因はこれだったのかもしれない
『(今知れてよかったのかも)』
少しでも前向きに考えようとしナマエは仲間の入ったボールを受け取ると今日泊まるホテルを探しに外へと出た
『(一体誰があんな事を…)』
自分のスマホでサイトを開き中を確認すると眉を寄せたくなる内容に言葉を失った
お金さえくれれば年齢や容姿も関係なく一晩体の関係を許すとの事だ
コメント欄には本人の書いた募集でもないのに熱烈なお誘いが何件も書かれておりゾッとする
『(ダンデさんに相談しよう!)』
彼なら何とか出来るかもしれない
震えてしまう指先でスマホを操作し期待を込めて電話するが…
コール音ばかり鳴り出てくれない
『(忙しいのかな?じゃあせめて後で連絡欲しいってメールを)』
「ねぇ、君」
ふと誰かが話しかけてきた
そちらへと自然と顔を上げると四十代後半くらいの眼鏡をかけた少し太めの男だった
ニヤついた顔をそのままに男は下がりかけた眼鏡を直すと、自分のスマホ画面を彼女に見せ
「このサイトのナマエちゃんだろ?」
『っ!』
どうやらサイトを見た客のようだ
彼は鼻息を荒くさせナマエの体を品定めするように眺めてくる
その視線の気持ち悪さにナマエは肩をすくめ自分のスマホを胸に抱きしめた
『違いますっ!それ、あたしじゃないです!』
「そんな事ないだろ?そっくりじゃないか!大丈夫、ちゃんとお金は払うから…ね?」
『いりません!本当にあたしじゃないんです!誰かが勝手に!』
「……わざわざ君に会う為に時間をかけて金払ってここまで来てやったんだぞ?それなのに知らないとかあんまりだろ!」
まるで話が通じない
男の迫力に怯えてしまい後退り、逃げようとするが男の方が早く動き彼女の手首を掴んだ
『っ、やっ、離して!』
「すぐ終わるから、皆より高いお金払ってあげるから我が儘はやめよ?ほらホテルに連れてってあげるから」
グイグイと引っ張る男の手は強く小娘一人では勝てない
周りに助けを求めようとするがオロオロとする老人やどうしたらいいのか迷っている住人ばかりだ
『(さっきのセンターの子達なら!)』
助けを呼んで貰えるかもしれない
声を上げようと口を開いた瞬間だった
突然自分の手を引っ張る強い手が離れ、ナマエはバランスを崩し尻餅をついてしまった
『痛っ!〜〜っ、………え?』
痛む腰を撫でながら前を向けばあの太めの男の前に大きな男の影が立ち塞がっていた
「あ、あの…何か?」
「………その子嫌がってるじゃん…オマエ何してんの?」
ピリピリとした空気を放つ彼は青い目を吊り上げじっと男を見下ろした
ゆらりと伸びた彼の大きな褐色の手が男の首を掴もうとした瞬間、男は悲鳴を上げて逃げ出してしまう
「……ダサっ」
ため息交じりに言った彼は冷たい瞳をいつもの垂れ目に戻すと直ぐ様ナマエへと近寄り手を差し出した
「大丈夫か!何かされた?どっか痛い?あっ!雪!お尻冷たくない?」
『いえ…でもキバナさんがどうしてここに?』
彼に支えられながら立ち上がるとキバナは自分の首の後ろを擦りながら気不味そうに声を漏らした
「あ〜その…な?ちょっと気になる情報見つけてよ、念の為ナマエちゃんが無事か確認しにきたわけよ」
『それって…これですか?』
先程まで開いていたサイトを開きキバナに見せると彼は片眉を吊り上げ口をへの字にさせた
「……そ、違うって分かってるけどさ…これナマエちゃんが自分でやったわけじゃないよな?」
『あたしこんな事してないです!』
「だよなぁ〜」
安心したようにフニャリと笑う彼は怒った彼女の頭を数回撫でる
「オレさまはちゃんと信じてるから…怒んなって」
青い瞳が久しぶりに優しく細められ笑いかけてくれる
ダンデと付き合う事になってから初めて話したせいだろうか
それとも信じてくれた事だろうか
嬉しさに涙腺が震えナマエはポロポロと泣き出し、目の間で泣き出す彼女にキバナは慌てて両手を意味もなく宙に彷徨わせた
ガラルの北東部にある雪国でありナックル同様歴史ある古い建物が目立つ
白い息を吐きながら寒さに手を擦り合わせながら街に着いたナマエは旅で疲れた仲間を回復させようとまずはポケモンセンターを訪れた
外の冷たい空気に肌を冷やしすぎたのかセンターに入るとじんわりとした暖かさが頬を刺激する
『お願いします』
「はい、お掛けになってお待ち下さいね」
相棒達の入ったボールをセンターの受付けお姉さんに渡し、暫く休もうかと室内を見渡すとコチラをじっと見る二人組の女の子に目が止まった
『(あ…確か開会式にいた人だ)』
話した事はないが顔は覚えている
旅を続けるうちにチャレンジャーがリタイヤし減っていく中、同じ選手にこうして会えたのは珍しい
挨拶しようと頭を軽く下げると彼女達はそっぽを向いてしまい、なんとも気不味い気分になる
『(馴れ馴れしかったのかな?)』
友達とは言えない自分が挨拶したのが失礼だったんだろうか
気恥ずかしくソワソワとした気分のままナマエはセンター内の隅っこにあるベンチへと腰掛けた
時間潰しと気持ちを落ち着かせる為にスマホを弄ろうとするが、彼女の耳に二人の話し声が届いた
「あの子でしょ?」
「そうだと思う、だって写真と似てるじゃん」
『(あたしの事かな?)』
すぐには動けずスマホを操作するフリをし耳を傾けるが、段々とおかしな内容が耳に届く
「信じらんないっ、いくら旅のお金が欲しいからってやる?」
「ダンデさんは知ってるのかな?知ったらショック受けそうだよね」
ダンデの話まで出てくる頃にはナマエは知らん顔をする事もできず後先考えずに立ち上がってしまった
『あの!今の…どういう事ですか?』
勢いのまま二人組の女の子達に近寄ると彼女達はお互いの顔を見比べ険しい顔つきでナマエを見つめた
「アンタ…売りやってんでしょ?」
『売り…ってなんですか?』
「これよ!」
トボけたつもりではない
本当に知らなくて言い返せば相手は苛立ち自分のスマホ画面を彼女の顔の前に突き出した
そこには目元に薄っすらとモザイクが入っているが間違いなくナマエの写真だった
チャレンジャーの進行具合の記事かと思えば良く見れば妙にピンクやハートが多い
下へと視線を下げれば紹介文が書いており、旅の為に援助を求めているないようだった
「体売ってお金貰ってるチャレンジャーなんて…気持ち悪い」
「私達まで同じだと思われたらどうするのよ!」
『違っ…あたしはこんなサイト知らないです!』
画面の向こうにいるのは確かに自分だが、角度的に盗撮の可能性がある
何より自分がこんなサイトに登録する筈がない
ただでさえ人付き合いが苦手で男性にも不慣れなのに、お金欲しさに援助交際なんてできるはずがないのだ
困惑するナマエの反応に驚いた二人組は動揺し、スマホ画面を見直した
「……と、とにかく気をつけた方がいいよ!このサイトの事結構ネットで広まってるし」
「うん、私も偶々友達から聞いて知った事だったけど…もしこれが誰かの仕業なら…その…」
さっきまで嫌悪を示していた彼女達は真実をやっと知り、ナマエを心配しだした
根は優しい子達のようだ
その後も彼女達は三人でサイトに写真を消すようにアクセスしようとしたが、消すには投稿者のパスワードが必要らしく第三者からは操作できないらしい
ナマエのスマホの履歴を見てもサイトを開いたり登録した後はない
全く知らない誰かが登録したのだろう
悩んでいるうちに預けていた仲間の回復が終わった事を告げられ三人はスマホから顔をあげた
『……教えてくれてありがとうございます、後は自分でなんとかするから…貴女達も気をつけて』
「ええ、こちらこそ…その…酷い事言ってごめんなさい」
誤解が解けただけでもよかった
もしかしたら最近感じていた嫌な視線の原因はこれだったのかもしれない
『(今知れてよかったのかも)』
少しでも前向きに考えようとしナマエは仲間の入ったボールを受け取ると今日泊まるホテルを探しに外へと出た
『(一体誰があんな事を…)』
自分のスマホでサイトを開き中を確認すると眉を寄せたくなる内容に言葉を失った
お金さえくれれば年齢や容姿も関係なく一晩体の関係を許すとの事だ
コメント欄には本人の書いた募集でもないのに熱烈なお誘いが何件も書かれておりゾッとする
『(ダンデさんに相談しよう!)』
彼なら何とか出来るかもしれない
震えてしまう指先でスマホを操作し期待を込めて電話するが…
コール音ばかり鳴り出てくれない
『(忙しいのかな?じゃあせめて後で連絡欲しいってメールを)』
「ねぇ、君」
ふと誰かが話しかけてきた
そちらへと自然と顔を上げると四十代後半くらいの眼鏡をかけた少し太めの男だった
ニヤついた顔をそのままに男は下がりかけた眼鏡を直すと、自分のスマホ画面を彼女に見せ
「このサイトのナマエちゃんだろ?」
『っ!』
どうやらサイトを見た客のようだ
彼は鼻息を荒くさせナマエの体を品定めするように眺めてくる
その視線の気持ち悪さにナマエは肩をすくめ自分のスマホを胸に抱きしめた
『違いますっ!それ、あたしじゃないです!』
「そんな事ないだろ?そっくりじゃないか!大丈夫、ちゃんとお金は払うから…ね?」
『いりません!本当にあたしじゃないんです!誰かが勝手に!』
「……わざわざ君に会う為に時間をかけて金払ってここまで来てやったんだぞ?それなのに知らないとかあんまりだろ!」
まるで話が通じない
男の迫力に怯えてしまい後退り、逃げようとするが男の方が早く動き彼女の手首を掴んだ
『っ、やっ、離して!』
「すぐ終わるから、皆より高いお金払ってあげるから我が儘はやめよ?ほらホテルに連れてってあげるから」
グイグイと引っ張る男の手は強く小娘一人では勝てない
周りに助けを求めようとするがオロオロとする老人やどうしたらいいのか迷っている住人ばかりだ
『(さっきのセンターの子達なら!)』
助けを呼んで貰えるかもしれない
声を上げようと口を開いた瞬間だった
突然自分の手を引っ張る強い手が離れ、ナマエはバランスを崩し尻餅をついてしまった
『痛っ!〜〜っ、………え?』
痛む腰を撫でながら前を向けばあの太めの男の前に大きな男の影が立ち塞がっていた
「あ、あの…何か?」
「………その子嫌がってるじゃん…オマエ何してんの?」
ピリピリとした空気を放つ彼は青い目を吊り上げじっと男を見下ろした
ゆらりと伸びた彼の大きな褐色の手が男の首を掴もうとした瞬間、男は悲鳴を上げて逃げ出してしまう
「……ダサっ」
ため息交じりに言った彼は冷たい瞳をいつもの垂れ目に戻すと直ぐ様ナマエへと近寄り手を差し出した
「大丈夫か!何かされた?どっか痛い?あっ!雪!お尻冷たくない?」
『いえ…でもキバナさんがどうしてここに?』
彼に支えられながら立ち上がるとキバナは自分の首の後ろを擦りながら気不味そうに声を漏らした
「あ〜その…な?ちょっと気になる情報見つけてよ、念の為ナマエちゃんが無事か確認しにきたわけよ」
『それって…これですか?』
先程まで開いていたサイトを開きキバナに見せると彼は片眉を吊り上げ口をへの字にさせた
「……そ、違うって分かってるけどさ…これナマエちゃんが自分でやったわけじゃないよな?」
『あたしこんな事してないです!』
「だよなぁ〜」
安心したようにフニャリと笑う彼は怒った彼女の頭を数回撫でる
「オレさまはちゃんと信じてるから…怒んなって」
青い瞳が久しぶりに優しく細められ笑いかけてくれる
ダンデと付き合う事になってから初めて話したせいだろうか
それとも信じてくれた事だろうか
嬉しさに涙腺が震えナマエはポロポロと泣き出し、目の間で泣き出す彼女にキバナは慌てて両手を意味もなく宙に彷徨わせた