第三巻
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三つのバッチを手入れたチャレンジャーは自慢気にナックルシティの門を通ってくる
初のキョダイマックスポケモンとの戦いに勝利した余韻と自身が強いと言う高揚感に顔を明るくさせるのだ
キバナはジムの高台からそんなルーキー達を見下ろし鼻で笑っていた
「お〜お〜今年も結構落ちたなぁ、流石カブさんだぜ」
バッチを手にしエンジンシティを出れたのは開会式で見たルーキーの半分もいない事だろう
勝ち進んだ選手の中にはキバナの想い人も勿論いるのだが、いくら待っても彼女はナックルシティに現れなかった
キバナは高台の出窓に腰掛けると足をぶらつかせながらスマホを操作し片眉を吊り上げた
情報によると彼女は数日前にバッチを手に入れている
なのに何故すぐにここへ来ないのだろうか
「ん〜ワイルドエリアで修行でもしてんのか?それとも何かあったか」
風が彼の顔をなぞり青い瞳が誘われるようにワイルドエリアへと向く
今日のワイルドエリアは穏やかな天候であり前回のような心配はない
それでも気にしてしまうのは相手が特別だからだろうか
「早く来ねぇかな、ナマエちゃん」
そんな彼女はワイルドエリアでひたすらバトルをしていた
旅の仲間を増やし相棒との絆と戦いのセンスを磨くが、ナマエの顔は曇っており何か忘れようとやけになっているようにも見える
『ちょっと休憩しようか、皆出ておいで』
ボールから手持ちポケモンを全て出しキャンプの準備をする為にリュックを地面に置く
すると彼女の後ろから相棒のインテレオンが近寄ってきた
ワイルドエリアで修行した成果だろう、出会った頃は泣き虫だったメッソンは今では頼もしくなりナマエよりも背も高くなった
『ん?どうしたの?インテレオン』
何か用かと彼を見上げるとインテレオンは彼女が持とうとした鍋を掴み手伝う事を態度で示した
『ふふ、ありがとう』
彼女のポケモン達は皆優しいが特にインテレオンはナマエに対して特に優しかった
いや彼だけではなかった
『あ!薪を集めてくれたの?ありがとうねルカリオ!』
新しい仲間のルカリオもまた過保護なくらい彼女を気にかけてくれる
二匹に挟まれながら料理をするのがナマエは好きだった
仲間達に囲まれていると頭を悩ませている二人の男を僅かに忘れる事ができるから
本心がいまいち分からないキバナ
怖いほどに真っ直ぐに想いを伝えてきたダンデ
どちらに対しても告白の答えを伝えていない
恋愛なんて遠い話しだと思っていたのにまさか二人から求められるなんて
『(あれかな…一生に一度のモテ期?でもこれって映画だと主人公が死ぬ前だったり勘違いだったりするんだよね)』
いくら彼らに会いたくなくてもいつまでもワイルドエリアにいるわけにもいかない
旅はまだ途中であり次のバッチを手に入れなくてはならない
出来上がったカレーを一口食べると辛いスパイスが舌をビリビリと刺激させ元気が出てくるようだった
クルル?
ガルル?
黙り込む彼女に左右に座っていたインテレオンとルカリオは大丈夫かと顔を覗き込む
すると曇っていた彼女の瞳が僅かに光を戻していたのに気がついた
『……よし!食べ終わったらナックルに行こう!』
やっと前に進む決心をしたナマエ
インテレオン達は嬉しそうに同意し美味しそうにカレーを急いでたいらげる
後半のワイルドエリアは前半とは比べ物にならない程強いポケモン達がいる
彼らから隠れて進もうにも数が多く下手に遠回りすれば余計な時間がかかり疲労してしまう
ナマエは今までの遅れを取り戻そうと最短距離を選び次々に道を塞ぐ野生ポケモンやトレーナーを倒していった
『ルカリオ!よくがんばったね!』
「っ!」
戦いを挑んできたトレーナーに勝利し喜びを相棒達と分かち合っていただけなのに、負けたトレーナーは忌々しそうにナマエを睨み
「こんなのフェアじゃない!どうせそのポケモンだってチャンピオンから譲ってもらったんだろ!」
『え、何を言ってるんですか?この子はあたしが旅の途中で出会った子で』
「そんなわけない!絶対狡しただろ!じゃなきゃ俺が負けるわけない!」
負けた悔しさから言っている事だろう、素直に相手の勝利を認める者もいれば泣いたり怒ったりするトレーナーもいる
彼は怒るタイプのようだ
『(やだな…きっと何言っても通じないし早く行こう)』
人に怒鳴られるのは苦手だ
ましてや知らない男相手なら特に恐怖が足元に広がる
ルカリオとその場を立ち去ろうとするが負けたトレーナーの男は捨て台詞のように最後に怒鳴った
「ダンデだってそうさ、無敗なんて威張ってるけどな!どうせローズ委員長やらスポンサーが裏で糸を引いてんだろ!」
その言葉は聞き逃さなかった
いくら怖くても逃げ去りたくても
ダンデを馬鹿にする言葉は無視できない
『……違います』
「ああ?」
『ダンデさんは努力してチャンピオンになったんです!ずるい事なんて何もしてない!』
彼の家で見た使い込まれたバトルコート、手のひらに感じた硬いボールダコ
何よりバトルに対してポケモンに対して真っ直ぐな彼が不正なんてするはずが無い
例えガラルに引っ越してきた余所者でもそれぐらいは分かった
ナマエは真っ直ぐに男を睨み唇を噛み締め、男は苛立ちに拳をあげようとするが側にいたルカリオに睨まれギクリと体を揺らした
負けたばかりで戦えるポケモンはいない、ましてやルカリオ相手に人間の自分が勝てるわけもなく男は悔しげにツバを吐き捨てその場を去っていった
『っ…はぁぁ…』
男の姿がなくなるとナマエは糸が切れた人形のようにその場にへたりこみルカリオが慌てて彼女を支えた
『あ…あはは…初めてかも…こんなにムキになったの』
ダンデの為
何より自分がそうしたかった
自分が思っていたよりもダンデを大事に思っていた事に驚きながらナマエはまだ震える足に力を入れて立ち上がる
『…………よし、行こっか』
だがナックルシティにて彼女はどん底へと落とされる事件が待っていた
初のキョダイマックスポケモンとの戦いに勝利した余韻と自身が強いと言う高揚感に顔を明るくさせるのだ
キバナはジムの高台からそんなルーキー達を見下ろし鼻で笑っていた
「お〜お〜今年も結構落ちたなぁ、流石カブさんだぜ」
バッチを手にしエンジンシティを出れたのは開会式で見たルーキーの半分もいない事だろう
勝ち進んだ選手の中にはキバナの想い人も勿論いるのだが、いくら待っても彼女はナックルシティに現れなかった
キバナは高台の出窓に腰掛けると足をぶらつかせながらスマホを操作し片眉を吊り上げた
情報によると彼女は数日前にバッチを手に入れている
なのに何故すぐにここへ来ないのだろうか
「ん〜ワイルドエリアで修行でもしてんのか?それとも何かあったか」
風が彼の顔をなぞり青い瞳が誘われるようにワイルドエリアへと向く
今日のワイルドエリアは穏やかな天候であり前回のような心配はない
それでも気にしてしまうのは相手が特別だからだろうか
「早く来ねぇかな、ナマエちゃん」
そんな彼女はワイルドエリアでひたすらバトルをしていた
旅の仲間を増やし相棒との絆と戦いのセンスを磨くが、ナマエの顔は曇っており何か忘れようとやけになっているようにも見える
『ちょっと休憩しようか、皆出ておいで』
ボールから手持ちポケモンを全て出しキャンプの準備をする為にリュックを地面に置く
すると彼女の後ろから相棒のインテレオンが近寄ってきた
ワイルドエリアで修行した成果だろう、出会った頃は泣き虫だったメッソンは今では頼もしくなりナマエよりも背も高くなった
『ん?どうしたの?インテレオン』
何か用かと彼を見上げるとインテレオンは彼女が持とうとした鍋を掴み手伝う事を態度で示した
『ふふ、ありがとう』
彼女のポケモン達は皆優しいが特にインテレオンはナマエに対して特に優しかった
いや彼だけではなかった
『あ!薪を集めてくれたの?ありがとうねルカリオ!』
新しい仲間のルカリオもまた過保護なくらい彼女を気にかけてくれる
二匹に挟まれながら料理をするのがナマエは好きだった
仲間達に囲まれていると頭を悩ませている二人の男を僅かに忘れる事ができるから
本心がいまいち分からないキバナ
怖いほどに真っ直ぐに想いを伝えてきたダンデ
どちらに対しても告白の答えを伝えていない
恋愛なんて遠い話しだと思っていたのにまさか二人から求められるなんて
『(あれかな…一生に一度のモテ期?でもこれって映画だと主人公が死ぬ前だったり勘違いだったりするんだよね)』
いくら彼らに会いたくなくてもいつまでもワイルドエリアにいるわけにもいかない
旅はまだ途中であり次のバッチを手に入れなくてはならない
出来上がったカレーを一口食べると辛いスパイスが舌をビリビリと刺激させ元気が出てくるようだった
クルル?
ガルル?
黙り込む彼女に左右に座っていたインテレオンとルカリオは大丈夫かと顔を覗き込む
すると曇っていた彼女の瞳が僅かに光を戻していたのに気がついた
『……よし!食べ終わったらナックルに行こう!』
やっと前に進む決心をしたナマエ
インテレオン達は嬉しそうに同意し美味しそうにカレーを急いでたいらげる
後半のワイルドエリアは前半とは比べ物にならない程強いポケモン達がいる
彼らから隠れて進もうにも数が多く下手に遠回りすれば余計な時間がかかり疲労してしまう
ナマエは今までの遅れを取り戻そうと最短距離を選び次々に道を塞ぐ野生ポケモンやトレーナーを倒していった
『ルカリオ!よくがんばったね!』
「っ!」
戦いを挑んできたトレーナーに勝利し喜びを相棒達と分かち合っていただけなのに、負けたトレーナーは忌々しそうにナマエを睨み
「こんなのフェアじゃない!どうせそのポケモンだってチャンピオンから譲ってもらったんだろ!」
『え、何を言ってるんですか?この子はあたしが旅の途中で出会った子で』
「そんなわけない!絶対狡しただろ!じゃなきゃ俺が負けるわけない!」
負けた悔しさから言っている事だろう、素直に相手の勝利を認める者もいれば泣いたり怒ったりするトレーナーもいる
彼は怒るタイプのようだ
『(やだな…きっと何言っても通じないし早く行こう)』
人に怒鳴られるのは苦手だ
ましてや知らない男相手なら特に恐怖が足元に広がる
ルカリオとその場を立ち去ろうとするが負けたトレーナーの男は捨て台詞のように最後に怒鳴った
「ダンデだってそうさ、無敗なんて威張ってるけどな!どうせローズ委員長やらスポンサーが裏で糸を引いてんだろ!」
その言葉は聞き逃さなかった
いくら怖くても逃げ去りたくても
ダンデを馬鹿にする言葉は無視できない
『……違います』
「ああ?」
『ダンデさんは努力してチャンピオンになったんです!ずるい事なんて何もしてない!』
彼の家で見た使い込まれたバトルコート、手のひらに感じた硬いボールダコ
何よりバトルに対してポケモンに対して真っ直ぐな彼が不正なんてするはずが無い
例えガラルに引っ越してきた余所者でもそれぐらいは分かった
ナマエは真っ直ぐに男を睨み唇を噛み締め、男は苛立ちに拳をあげようとするが側にいたルカリオに睨まれギクリと体を揺らした
負けたばかりで戦えるポケモンはいない、ましてやルカリオ相手に人間の自分が勝てるわけもなく男は悔しげにツバを吐き捨てその場を去っていった
『っ…はぁぁ…』
男の姿がなくなるとナマエは糸が切れた人形のようにその場にへたりこみルカリオが慌てて彼女を支えた
『あ…あはは…初めてかも…こんなにムキになったの』
ダンデの為
何より自分がそうしたかった
自分が思っていたよりもダンデを大事に思っていた事に驚きながらナマエはまだ震える足に力を入れて立ち上がる
『…………よし、行こっか』
だがナックルシティにて彼女はどん底へと落とされる事件が待っていた