第二巻
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じっと見つめてくる琥珀色
扉につけた腕は太く目で辿っていけば筋肉で盛り上がった肩が見える
彼が体を揺らすと肩に掛かっていた紫色の髪が一束落ちカーテンのように優しく揺れ自分のではないボディーソープの香りがした
「…………」
『…………』
いったいどのくらい見つめ合っただろうか
室内に置かれた時計が時を刻む音が妙に耳に響き、気不味さにナマエは視線を彷徨わせた
『あの…ダンデさん?ちょっと離れてくれませんか?このまま話すのはちょっと…』
もう一度彼の名を呼び退いてくれないかと態度で示す
すると上から見下ろす彼の瞳が険しくなり、いつもより低い声が響いた
「君は…俺と噂になるのがそんなに嫌なのか?」
『嫌って……そもそも貴方はガラルのトップでチャンピオンですし…あたしみたいなので変な噂になったら申し訳ないです』
噂になればバウタウンで起きた事のような事件がまた起こるかもしれない
自分にだけ被害が向けばいいが、絶対にダンデが無事とも限らない
何より彼の評判を落とすような事だけは避けたかった
旅をしながらテレビや雑誌で知ったダンデはガラルの王でありもっとも皆に愛されている男
そんな男の顔に泥を塗るような事はしたくない
自分はただ推薦されただけの選手であり偶然家同士が近いというだけ
ナマエは自分に言い聞かせるように頭の中で唱え視線を下へと落としていた
だから気が付かなかったのだろう
扉につけた浅黒い手が拳を作りダンデの顔が悔しげに歪んでいたのを
「……どうして君は俺とは距離を置こうとするだ」
『え?そんな事は』
「キバナとはもっと親しげに話してるじゃないか!俺はっ!俺は…君とならどんな噂話になっても構わないのにっ」
扉から手を離した彼は俯き顔に前髪の影がさす
どうしたらいいのかとナマエが言葉を選んでいると、突然ダンデの手が彼女に襲いかかった
『うわぁっ!』
急に左右の二の腕を捕まれたと思えば引き寄せられ、頬に硬い胸板がぶつかった
いや…これは抱きしめられたのだろう
力加減ができず顔をぶつけてしまったがダンデはぎこちなく手をナマエの背中へと回し直し胸の中に閉じ込めた
ドクドクと早鐘をうつ心臓はどちらのか分からない
突然の抱擁にナマエはパニックになり動けず、ダンデもまた胸の中に閉じ込めた愛しい人に緊張し動けずにいた
「(小さい……それに柔らかくて…もっとこうしていたい)」
愛しい気持ちが溢れていく
同時に悔しさが溢れダンデは背中丸めながら縋るようにナマエを強く抱きしめた
『っ、ダンデさんっ』
彼の顔がナマエの肩に埋められ心臓が口から飛び出してしまいそうだった
これ以上は自分が保たないと思い彼の胸を押すが太い腕は離れる事なく余計に力が込められた
「ナマエ…俺は今日君に会えるかもしれないと思った時とても緊張したんだ」
耳元で聞こえる彼の声は普段の自信に満ちた元気な声ではなく、戸惑ったような弱々しいものだった
何を話す気かと彼の胸を押すのを止め耳を済ませるとダンデは一度深呼吸し言葉を続ける
「ドキドキして落ち着かないのに君に会いたくて…会ってしまったらもっとドキドキして苦しいのに離れたくない」
「君は俺にとって特別なんだ」
彼の喉がゴクリと大きく音を鳴らした
ゆっくりと肩から離れる温もりに吊られ視線を彼に向ければダンデはナマエを見つめ直し瞳に熱を孕ませていた
「君の力になりたいし強くなって俺の元に来て欲しい!君と戦いたい!君の頑張る姿が好きだ!君の笑顔をもっと見たい!」
キバナのように甘い言葉で口説く事はダンデにはできない
ネズが言うように器用な駆け引きもできない
ならばせめて思った事を素直にそのまま口にしよう
恋愛経験のない彼は彼なりに必死に自分の好意をナマエへとぶつけた
「君が………好きなんだ」
生まれて初めての愛の告白だった
短い言葉だと言うのにどんなバトルより緊張し息をするのも苦しい
不安を感じながらも彼女の反応を確かめるとダンデはぎくりと肩を鳴らした
「……ナマエ?」
『…え?………ぁ…』
お互いの顔を見つめると二人は似たように耳まで顔を真っ赤に染め上げていた
告白してしまったダンデ
慣れない男性からの抱擁と愛の告白を聞いてしまったナマエ
どちらも恋愛経験なんてなかった
ドラマのような告白シーンを体験してしまい上手く反応できずにいた
ただダンデが分かったのは彼女が自分をそこまで嫌いではないという事だ
告白されて嫌ならばすぐに嫌悪感を顔に浮かべる筈だが、腕の中にまだいる彼女は情けなく眉を下げ頬を可愛らしく染め上げている
「(もしかして……君も俺を?)」
期待に胸が痛い程早鐘をうつ
ダンデは嬉しい可能性を信じ次の言葉を口にしようとするが
『…………帰ってください』
力は強くないが小さな手がダンデの硬い胸板を押した
そのまま腕の中から抜け出した彼女は一歩後ろへと下がり、首をすくめながら唇をぎゅっと閉じていた
消えた温もりに寂しさと戸惑いがダンデに押し寄せてくる
何か間違ったのか?確かに彼女は一度は自分を受け入れようとしてくれたように見えたのに……何故?
頭の中が真っ白になり焦りだけが体温を上昇させた
「ナマエ…?何故だ?」
何故と聞くのは適切ではないだろう
それでも聞くしかなかった
自分が嫌いなら何故期待させるような顔をしたのか
告白を断らないといけない事情があるなら一緒に解決したい
やっと手が届く獲物を逃がすわけには行かないのだ
ダンデは片手を伸ばしナマエに触れようとするが……
『……いきなり…言われても信じられません…だから…ちょっと一人にしてください』
怯えたように体を小さくする彼女に気が付き触れようとした腕から力が抜け落ちる
あと少しで触れれたのに
浅黒い腕はだらりと下に下がり強く強く拳を作り軋んだ音を小さく鳴らした
「分かった……だが、俺は本気だ」
嘘ではない事を知ってほしい
そんな意味を込めて最後に口にするが彼女はコチラを見てはくれなかった
仕方なく部屋を出ていったダンデは後ろ手にドアを閉め
虚ろな瞳でホテルの床を見下ろした
重くなった足を無理矢理動かしエレベーターに乗り込むと、壁に背中を押し付けズルズルとその場に座り込んだ
「………はぁぁ」
彼が顔を手のひらで覆い隠していた頃、ナマエも同じように扉に背中を押し付けて座り込み両手で顔を覆い隠し
『(嘘……こんなの…ありえないよ)』
彼女の耳は真っ赤に染まっており体は小さく震えていた
扉につけた腕は太く目で辿っていけば筋肉で盛り上がった肩が見える
彼が体を揺らすと肩に掛かっていた紫色の髪が一束落ちカーテンのように優しく揺れ自分のではないボディーソープの香りがした
「…………」
『…………』
いったいどのくらい見つめ合っただろうか
室内に置かれた時計が時を刻む音が妙に耳に響き、気不味さにナマエは視線を彷徨わせた
『あの…ダンデさん?ちょっと離れてくれませんか?このまま話すのはちょっと…』
もう一度彼の名を呼び退いてくれないかと態度で示す
すると上から見下ろす彼の瞳が険しくなり、いつもより低い声が響いた
「君は…俺と噂になるのがそんなに嫌なのか?」
『嫌って……そもそも貴方はガラルのトップでチャンピオンですし…あたしみたいなので変な噂になったら申し訳ないです』
噂になればバウタウンで起きた事のような事件がまた起こるかもしれない
自分にだけ被害が向けばいいが、絶対にダンデが無事とも限らない
何より彼の評判を落とすような事だけは避けたかった
旅をしながらテレビや雑誌で知ったダンデはガラルの王でありもっとも皆に愛されている男
そんな男の顔に泥を塗るような事はしたくない
自分はただ推薦されただけの選手であり偶然家同士が近いというだけ
ナマエは自分に言い聞かせるように頭の中で唱え視線を下へと落としていた
だから気が付かなかったのだろう
扉につけた浅黒い手が拳を作りダンデの顔が悔しげに歪んでいたのを
「……どうして君は俺とは距離を置こうとするだ」
『え?そんな事は』
「キバナとはもっと親しげに話してるじゃないか!俺はっ!俺は…君とならどんな噂話になっても構わないのにっ」
扉から手を離した彼は俯き顔に前髪の影がさす
どうしたらいいのかとナマエが言葉を選んでいると、突然ダンデの手が彼女に襲いかかった
『うわぁっ!』
急に左右の二の腕を捕まれたと思えば引き寄せられ、頬に硬い胸板がぶつかった
いや…これは抱きしめられたのだろう
力加減ができず顔をぶつけてしまったがダンデはぎこちなく手をナマエの背中へと回し直し胸の中に閉じ込めた
ドクドクと早鐘をうつ心臓はどちらのか分からない
突然の抱擁にナマエはパニックになり動けず、ダンデもまた胸の中に閉じ込めた愛しい人に緊張し動けずにいた
「(小さい……それに柔らかくて…もっとこうしていたい)」
愛しい気持ちが溢れていく
同時に悔しさが溢れダンデは背中丸めながら縋るようにナマエを強く抱きしめた
『っ、ダンデさんっ』
彼の顔がナマエの肩に埋められ心臓が口から飛び出してしまいそうだった
これ以上は自分が保たないと思い彼の胸を押すが太い腕は離れる事なく余計に力が込められた
「ナマエ…俺は今日君に会えるかもしれないと思った時とても緊張したんだ」
耳元で聞こえる彼の声は普段の自信に満ちた元気な声ではなく、戸惑ったような弱々しいものだった
何を話す気かと彼の胸を押すのを止め耳を済ませるとダンデは一度深呼吸し言葉を続ける
「ドキドキして落ち着かないのに君に会いたくて…会ってしまったらもっとドキドキして苦しいのに離れたくない」
「君は俺にとって特別なんだ」
彼の喉がゴクリと大きく音を鳴らした
ゆっくりと肩から離れる温もりに吊られ視線を彼に向ければダンデはナマエを見つめ直し瞳に熱を孕ませていた
「君の力になりたいし強くなって俺の元に来て欲しい!君と戦いたい!君の頑張る姿が好きだ!君の笑顔をもっと見たい!」
キバナのように甘い言葉で口説く事はダンデにはできない
ネズが言うように器用な駆け引きもできない
ならばせめて思った事を素直にそのまま口にしよう
恋愛経験のない彼は彼なりに必死に自分の好意をナマエへとぶつけた
「君が………好きなんだ」
生まれて初めての愛の告白だった
短い言葉だと言うのにどんなバトルより緊張し息をするのも苦しい
不安を感じながらも彼女の反応を確かめるとダンデはぎくりと肩を鳴らした
「……ナマエ?」
『…え?………ぁ…』
お互いの顔を見つめると二人は似たように耳まで顔を真っ赤に染め上げていた
告白してしまったダンデ
慣れない男性からの抱擁と愛の告白を聞いてしまったナマエ
どちらも恋愛経験なんてなかった
ドラマのような告白シーンを体験してしまい上手く反応できずにいた
ただダンデが分かったのは彼女が自分をそこまで嫌いではないという事だ
告白されて嫌ならばすぐに嫌悪感を顔に浮かべる筈だが、腕の中にまだいる彼女は情けなく眉を下げ頬を可愛らしく染め上げている
「(もしかして……君も俺を?)」
期待に胸が痛い程早鐘をうつ
ダンデは嬉しい可能性を信じ次の言葉を口にしようとするが
『…………帰ってください』
力は強くないが小さな手がダンデの硬い胸板を押した
そのまま腕の中から抜け出した彼女は一歩後ろへと下がり、首をすくめながら唇をぎゅっと閉じていた
消えた温もりに寂しさと戸惑いがダンデに押し寄せてくる
何か間違ったのか?確かに彼女は一度は自分を受け入れようとしてくれたように見えたのに……何故?
頭の中が真っ白になり焦りだけが体温を上昇させた
「ナマエ…?何故だ?」
何故と聞くのは適切ではないだろう
それでも聞くしかなかった
自分が嫌いなら何故期待させるような顔をしたのか
告白を断らないといけない事情があるなら一緒に解決したい
やっと手が届く獲物を逃がすわけには行かないのだ
ダンデは片手を伸ばしナマエに触れようとするが……
『……いきなり…言われても信じられません…だから…ちょっと一人にしてください』
怯えたように体を小さくする彼女に気が付き触れようとした腕から力が抜け落ちる
あと少しで触れれたのに
浅黒い腕はだらりと下に下がり強く強く拳を作り軋んだ音を小さく鳴らした
「分かった……だが、俺は本気だ」
嘘ではない事を知ってほしい
そんな意味を込めて最後に口にするが彼女はコチラを見てはくれなかった
仕方なく部屋を出ていったダンデは後ろ手にドアを閉め
虚ろな瞳でホテルの床を見下ろした
重くなった足を無理矢理動かしエレベーターに乗り込むと、壁に背中を押し付けズルズルとその場に座り込んだ
「………はぁぁ」
彼が顔を手のひらで覆い隠していた頃、ナマエも同じように扉に背中を押し付けて座り込み両手で顔を覆い隠し
『(嘘……こんなの…ありえないよ)』
彼女の耳は真っ赤に染まっており体は小さく震えていた