第二巻
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【さあ両選手ラストのポケモンです!会場は炎の熱気と選手達の熱いバトルに燃えており会場外の夜空まで赤く照らしている事でしょう!】
スマホから見るジムバトルの実況
画面の向う側ではベテランジムリーダーであるカブとチャレンジャーであるナマエが戦っている
カブが使うのは炎タイプのポケモンだ、簡単に考えれば水ポケモンを持っていれば楽々と進むバトルだが
それは相手となるカブも承知の上
対策は抜かり無く用意していた
バトルは戦うフィールドを自分に有利な天候に変える事も大事なのだ
炎タイプに有利な日照りとなったバトルコートは蒸し暑く水タイプの技を弱らせる
『メッソン!避けて!』
汗をこめかみから流しながら指示を出すナマエ
画面にアップで映る度にスマホを見ているこの男
ダンデは瞳を熱くさせ瞬きも忘れたように眺めていた
ポケモンの育て方も知らなかった少女は既に自分の戦い方を発見したのだろう
悪天候にも負けず勝利を掴もうと必死に戦う姿はダンデの心に刺さるものがあり好感が浮かんだ
戦いはカブが有利に思えたが…
『メッソン?』
【おおっと!ナマエ選手のメッソン!まさかのバトル中に進化した!】
相棒である彼もまた勝ちたい気持ちが燃え上がったのだろう
メッソンは攻撃を浴びながらも進化し一回り強くなり土壇場での逆転勝ちとなった
勝利したナマエは相棒と抱き合い飛び跳ねて喜び、その笑顔についダンデまで口元を緩ませた
「……おめでとうナマエ」
心からのお祝いを口にしながらもダンデの視線は彼女の顔からずれ、頬から首筋へと流れる汗へと視線が止まった
「…………」
会場の熱気のせいだろう
いつもより蒸気した肌と流れる汗
画面越しに見える彼女の肌や息遣いを想像しては自分の口元を片手で隠し、指先で唇を物欲しそうになぞった
「っ、はぁぁ…何を考えてるんだ」
我に帰った彼は誰が見てる訳でもないというのに自分の顔を手のひらで隠し恥ずかしがった
自室内では手持ちポケモン達が各々リラックスしたように遊んだり床に寝転んだりと自由に過ごしている
ダンデもまた大きなソファに寝転びじっとスマホで彼女のバトルを最初から最後まで観戦していた
カブとのバトルが終われば次は後半のワイルドエリアを抜けナックルに向かう事だろう
チャレンジャーならば当たり前の道なのだが行き先がナックルである事にダンデはムッと口元をへの字にさせた
ナックルにはキバナがいる
恋敵がわざわざ自分から飛び込んでくる獲物を逃すわけがない
きっと何かナマエに手を出そうとするだろう
「キバナの事だ…俺が浮かばない手で彼女に近寄るに決まってる」
既にキバナはダンデより数歩進んでいるのだが、この時の彼は知るわけもなく
ただナックルにこれから向かう彼女を心配するしかなかった
「……どうしたらいいんだろうな」
恋だと自覚したのはいいが
育み方が分からない
子供のように欲しいと言えば手に入るわけでもなく、だからと言ってキバナのように甘い言葉をかけるのも苦手だ
天井を見ながら腕組みをし唸っているとリザードンがダンデの顔を覗き込んだ
グルルル
「なんだ?」
遊んで欲しいのかとリザードンに手を伸ばそうとすると相棒はダンデの手から逃げ、ベランダへと通じる大きな窓を目で訴えた
「なんだ、散歩したいのか?」
夜空の散歩……
すぐに頭に浮かんだのはいつぞやの夜、ナマエと飛んだ夜空だ
彼女は夜空が好きだと言っていた
ダンデがナマエを喜ばせる事
それに気がつきダンデは寝転んでいたソファから飛び起きる
「リザードン!頼みがあるんだが」
全てを言う前にリザードンは分かっているかのように背中を彼に向け乗れと目で伝えてくる
「……ハハっ!流石俺の相棒だ!」
言葉が通じなくても分かりあえる最高のパートナー、リザードンに感謝しながらダンデは夜の空へと出かけていく
目指す先はエンジンシティだ
スマホのバトル終了から見てすぐにワイルドエリアには向かってない筈だ
エンジンシティのホテルはジムチャレンジ期間はチャレンジャーならば誰でも無料で泊まることができる
きっと彼女も今夜はホテルに泊まるだろうと予想し急いでホテル前に着くとダンデは乱れた髪を軽く整え深呼吸を大きく一つした
夜も遅くホテルのフロアには受付係のスタッフしかいない
静かなフロアに響く足音に反応したスタッフはダンデの登場に驚き目を大きくさせた
「ダンデ様!これはこれは嬉しいお客様です、今夜はウチでお泊りですか?」
突然のチャンピオンの登場に喜ぶスタッフにダンデは苦笑いし頬を指先でかいた
「いや俺の推薦した選手が泊まっているんじゃないかと思ってな…もしいるならサプライズで驚かせようかと思ったんだが」
「おや、そうでしたか?お相手のお名前は?」
「………ナマエだ」
スタッフは何やら調べだし数分もする前に彼女が泊まっている事をダンデに教えてくれた
今なら会える
早く会いたいと思いながらも顔になるべく出すまいと努力しスタッフと会話を続ける
然りげ無く部屋の番号を聞きエレベーターに乗り込むとダンデは狭い密室の中で力が抜けたように大きく息を吐き両手で顔を覆った
「(ああ…君に会えると思うと嬉しいのに緊張してしまう!怖気づいて…今すぐ逃げ出したいようなそれでいて抱きついたいような…変な気分だ)」
困惑しているうちにエレベーターは目的の階についてしまいドアが開く
ダンデは教えてもらった部屋の前に立つと震える手に拳を作り、遠慮がちに扉をノックした
『はい?』
中から聞こえるナマエの声
久しぶりに生で聞いた彼女の声にダンデは目を輝かせてしまう
「夜分にすまない、俺だ……ダンデだ」
名乗ると中から何やらバタバタとした物音がし程なくして鍵のロックを外す音が聞こえた
ドアがやっと開き部屋の主が顔を出すとダンデは自分の唇を強く噛み頬を熱くさせた
『ダンデさん?どうしてここに?』
出てきた彼女は風呂上がりなのか肌がピンク色に染まっておりいい匂いが香ってくる
なんとも無防備な片想いの相手にダンデは大きなダメージを受けたように体がフラつき、すぐに理性を保とうと頭を横に振った
「すまない、君がカブさんに勝ったのをスマホで見てお祝いを直接言いたくなったんだ」
思い立ったらすぐというのが彼だ
少々身勝手ではあるが純粋に早くお祝いの言葉を言いたくて来た彼にナマエは驚きながらも喜びにふにゃりと笑ってくれた
『ありがとうございますっ』
素直に喜んでくれる彼女にときめき胸の早鐘をうっていた時
彼女の隣の部屋からドアノブが揺れる音が聞こえた
『っ!こっちへ!』
「え?うわっ!」
咄嗟にナマエはダンデの胸元の服を両手で掴み中へと招き入れると扉を素早く閉め、外へと聞き耳を立てた
『(……ん、特になんの反応もないからダンデさんの顔は見られてない)』
ホッとし扉から耳を離し振り返ると顔を真っ赤にしたダンデと目が合った
『(あ…しまった!)』
夜も遅く
しかも女性から部屋の中に招き入れるという事は……
お互いにその先の意味が頭に浮かび顔を真っ赤に染め上げてしまう
『違っ今のは理由があって!』
誤解だと両手を左右に振るがダンデは喉を上下に揺らすだけで言葉を口にはせず、ゆっくりとナマエへと近寄った
『見られちゃ色々変な噂とか流れてダンデさんの迷惑になるし、あのまま立たせたままお話するのも変かなって今更思った…り…』
早口に言い訳をするがダンデは止まってくれず逃げるように後退った彼女は背中に扉がぶつかり逃げ場を失ってしまう
『っ!(まずいっ!)』
「……ナマエ」
ダンッ!と扉についた浅黒い両手
扉とダンデに挟まれたナマエはただ目の前の琥珀色の瞳を見つめ返し体を強張らせる
『……ダンデさん?』
スマホから見るジムバトルの実況
画面の向う側ではベテランジムリーダーであるカブとチャレンジャーであるナマエが戦っている
カブが使うのは炎タイプのポケモンだ、簡単に考えれば水ポケモンを持っていれば楽々と進むバトルだが
それは相手となるカブも承知の上
対策は抜かり無く用意していた
バトルは戦うフィールドを自分に有利な天候に変える事も大事なのだ
炎タイプに有利な日照りとなったバトルコートは蒸し暑く水タイプの技を弱らせる
『メッソン!避けて!』
汗をこめかみから流しながら指示を出すナマエ
画面にアップで映る度にスマホを見ているこの男
ダンデは瞳を熱くさせ瞬きも忘れたように眺めていた
ポケモンの育て方も知らなかった少女は既に自分の戦い方を発見したのだろう
悪天候にも負けず勝利を掴もうと必死に戦う姿はダンデの心に刺さるものがあり好感が浮かんだ
戦いはカブが有利に思えたが…
『メッソン?』
【おおっと!ナマエ選手のメッソン!まさかのバトル中に進化した!】
相棒である彼もまた勝ちたい気持ちが燃え上がったのだろう
メッソンは攻撃を浴びながらも進化し一回り強くなり土壇場での逆転勝ちとなった
勝利したナマエは相棒と抱き合い飛び跳ねて喜び、その笑顔についダンデまで口元を緩ませた
「……おめでとうナマエ」
心からのお祝いを口にしながらもダンデの視線は彼女の顔からずれ、頬から首筋へと流れる汗へと視線が止まった
「…………」
会場の熱気のせいだろう
いつもより蒸気した肌と流れる汗
画面越しに見える彼女の肌や息遣いを想像しては自分の口元を片手で隠し、指先で唇を物欲しそうになぞった
「っ、はぁぁ…何を考えてるんだ」
我に帰った彼は誰が見てる訳でもないというのに自分の顔を手のひらで隠し恥ずかしがった
自室内では手持ちポケモン達が各々リラックスしたように遊んだり床に寝転んだりと自由に過ごしている
ダンデもまた大きなソファに寝転びじっとスマホで彼女のバトルを最初から最後まで観戦していた
カブとのバトルが終われば次は後半のワイルドエリアを抜けナックルに向かう事だろう
チャレンジャーならば当たり前の道なのだが行き先がナックルである事にダンデはムッと口元をへの字にさせた
ナックルにはキバナがいる
恋敵がわざわざ自分から飛び込んでくる獲物を逃すわけがない
きっと何かナマエに手を出そうとするだろう
「キバナの事だ…俺が浮かばない手で彼女に近寄るに決まってる」
既にキバナはダンデより数歩進んでいるのだが、この時の彼は知るわけもなく
ただナックルにこれから向かう彼女を心配するしかなかった
「……どうしたらいいんだろうな」
恋だと自覚したのはいいが
育み方が分からない
子供のように欲しいと言えば手に入るわけでもなく、だからと言ってキバナのように甘い言葉をかけるのも苦手だ
天井を見ながら腕組みをし唸っているとリザードンがダンデの顔を覗き込んだ
グルルル
「なんだ?」
遊んで欲しいのかとリザードンに手を伸ばそうとすると相棒はダンデの手から逃げ、ベランダへと通じる大きな窓を目で訴えた
「なんだ、散歩したいのか?」
夜空の散歩……
すぐに頭に浮かんだのはいつぞやの夜、ナマエと飛んだ夜空だ
彼女は夜空が好きだと言っていた
ダンデがナマエを喜ばせる事
それに気がつきダンデは寝転んでいたソファから飛び起きる
「リザードン!頼みがあるんだが」
全てを言う前にリザードンは分かっているかのように背中を彼に向け乗れと目で伝えてくる
「……ハハっ!流石俺の相棒だ!」
言葉が通じなくても分かりあえる最高のパートナー、リザードンに感謝しながらダンデは夜の空へと出かけていく
目指す先はエンジンシティだ
スマホのバトル終了から見てすぐにワイルドエリアには向かってない筈だ
エンジンシティのホテルはジムチャレンジ期間はチャレンジャーならば誰でも無料で泊まることができる
きっと彼女も今夜はホテルに泊まるだろうと予想し急いでホテル前に着くとダンデは乱れた髪を軽く整え深呼吸を大きく一つした
夜も遅くホテルのフロアには受付係のスタッフしかいない
静かなフロアに響く足音に反応したスタッフはダンデの登場に驚き目を大きくさせた
「ダンデ様!これはこれは嬉しいお客様です、今夜はウチでお泊りですか?」
突然のチャンピオンの登場に喜ぶスタッフにダンデは苦笑いし頬を指先でかいた
「いや俺の推薦した選手が泊まっているんじゃないかと思ってな…もしいるならサプライズで驚かせようかと思ったんだが」
「おや、そうでしたか?お相手のお名前は?」
「………ナマエだ」
スタッフは何やら調べだし数分もする前に彼女が泊まっている事をダンデに教えてくれた
今なら会える
早く会いたいと思いながらも顔になるべく出すまいと努力しスタッフと会話を続ける
然りげ無く部屋の番号を聞きエレベーターに乗り込むとダンデは狭い密室の中で力が抜けたように大きく息を吐き両手で顔を覆った
「(ああ…君に会えると思うと嬉しいのに緊張してしまう!怖気づいて…今すぐ逃げ出したいようなそれでいて抱きついたいような…変な気分だ)」
困惑しているうちにエレベーターは目的の階についてしまいドアが開く
ダンデは教えてもらった部屋の前に立つと震える手に拳を作り、遠慮がちに扉をノックした
『はい?』
中から聞こえるナマエの声
久しぶりに生で聞いた彼女の声にダンデは目を輝かせてしまう
「夜分にすまない、俺だ……ダンデだ」
名乗ると中から何やらバタバタとした物音がし程なくして鍵のロックを外す音が聞こえた
ドアがやっと開き部屋の主が顔を出すとダンデは自分の唇を強く噛み頬を熱くさせた
『ダンデさん?どうしてここに?』
出てきた彼女は風呂上がりなのか肌がピンク色に染まっておりいい匂いが香ってくる
なんとも無防備な片想いの相手にダンデは大きなダメージを受けたように体がフラつき、すぐに理性を保とうと頭を横に振った
「すまない、君がカブさんに勝ったのをスマホで見てお祝いを直接言いたくなったんだ」
思い立ったらすぐというのが彼だ
少々身勝手ではあるが純粋に早くお祝いの言葉を言いたくて来た彼にナマエは驚きながらも喜びにふにゃりと笑ってくれた
『ありがとうございますっ』
素直に喜んでくれる彼女にときめき胸の早鐘をうっていた時
彼女の隣の部屋からドアノブが揺れる音が聞こえた
『っ!こっちへ!』
「え?うわっ!」
咄嗟にナマエはダンデの胸元の服を両手で掴み中へと招き入れると扉を素早く閉め、外へと聞き耳を立てた
『(……ん、特になんの反応もないからダンデさんの顔は見られてない)』
ホッとし扉から耳を離し振り返ると顔を真っ赤にしたダンデと目が合った
『(あ…しまった!)』
夜も遅く
しかも女性から部屋の中に招き入れるという事は……
お互いにその先の意味が頭に浮かび顔を真っ赤に染め上げてしまう
『違っ今のは理由があって!』
誤解だと両手を左右に振るがダンデは喉を上下に揺らすだけで言葉を口にはせず、ゆっくりとナマエへと近寄った
『見られちゃ色々変な噂とか流れてダンデさんの迷惑になるし、あのまま立たせたままお話するのも変かなって今更思った…り…』
早口に言い訳をするがダンデは止まってくれず逃げるように後退った彼女は背中に扉がぶつかり逃げ場を失ってしまう
『っ!(まずいっ!)』
「……ナマエ」
ダンッ!と扉についた浅黒い両手
扉とダンデに挟まれたナマエはただ目の前の琥珀色の瞳を見つめ返し体を強張らせる
『……ダンデさん?』