第一巻
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ナックルシティの昼下がり
お洒落なカフェや若い世代に人気の店が並ぶ通りは今日も賑やかだ
だが今日の賑わい方は普段とは違っていた、コソコソと話す声や黄色い声
自分ではなく誰かに向けられた熱い視線に嫉妬しオレさまは少々苛立ちながら犯人を探していた
「(おいおい誰だよ、このオレさまの街で目立ってる野郎は!)」
ナックルと言えばキバナ!これが本来のあるべき姿だ
女の子達の視線を頼りに足を進めれば見えてきたのは予想外の人物
「ダンデ!」
「あ…キバナ!助かったぜ、君を探してたんだ!」
ファンに囲まれていた奴はオレを見るなりホッと肩を落し片手をあげた
なんだ…犯人はダンデかよ
なら仕方ねぇか
流石にチャンピオン様が来ちゃオレの愛するナックルの人々もほっとけねぇよな
自分なりに納得し奴をファンの群れから救い出しなるべく人気が少ない道を選び歩き出す
休みの日だってのになんでコイツチャンピオンユニフォーム着てんだ?
そんなにチャンピオン様は忙しいってか?
「んで?どーしたわけ?オレさまになんか用事?」
じっとりと隣に立つダンデを見下ろすと奴は自分の頬を人差し指でかきながら口を開いた
「キバナ、君に教えて欲しい店があってだな…自分でも探したんだが結局辿り着けなくて」
「店?」
ダンデは自分のスマホロトムを呼び出すとオレの目の前に地図を表示させた
スイーツ専門の店であるそこは最近ネットに商品が載った人気店だ
勿論オレさまは一度チェックを兼ねて行った事があるが、コイツが行きたがるなんてどういう事だ?
「オマエって甘いの好きな奴だっけ?」
「いやっ俺用じゃなくて…お礼の品として欲しくてでな」
そわそわと視線を逸らす奴の顔は気持ち悪いくらい目が潤んでいて、何処からどう見ても特別な贈り物をする男の顔だ
長年のライバルのレアな表情にオレさまは誰が相手なのか興味が出てしまい、ニヤリと口角を吊り上げ尖った八重歯を光らせた
「え〜?何?ついにオマエにも女出来たわけ?バトルにしか興味がなかったのにどんだけ良い女だよ!」
「ぶっ!良い女って、違っそんなんじゃ!」
「え?まさか男?ま、まぁ別にそれでもオマエらが良いならオレさま何も反対しないけど?」
わざとらしく両手で自分の体を守るよう抱きしめて見せるとダンデは余計に怒り顔を真っ赤にさせた
「彼女は女性だっ!っ、しまった!」
はいっ!引っかかった〜
楽勝だな
ニヤニヤと歪む口元を隠さずダンデを見れば奴は悔しそうに鼻の上にシワを作りオレを睨んだ
「恋愛に関しちゃ百戦錬磨のオレさまに嘘をつこうとするのが間違いだっつーの」
「くっ!」
長い舌をべぇと出し挑発したオレは普段バトルでは勝てない相手だからか余計に気分が良くなり足取りが軽くなる
「まあまあ、怒りなさんな!ちゃ〜んと店に連れてってやっからよ」
「君……俺で遊んでるだろ」
ムスッと目つきを悪くするダンデをほっとき店へと二人で歩いていくと数分もせずに目的地についた
店の出入り口にはこの店の看板メニューである新作ゼリーのポスターが貼らており店内にも客が何組か見える
「着いたぜ?んでお目当てのもんってどれ?」
ゼリー専門でフルーツや木の実を使った物、見た目に力を入れた物等があり写真的にも映える
せっかくだしオレも何か買ってSNSにあげようかなと思っているとダンデは先に店内を進み急にピタリと止まった
「すまないが、この星空ゼリーを一つプレゼント用に包んでくれ」
色とりどりの宝石のようなゼリーが並ぶ店内で他には目もくれず選ばれたゼリー
それは夜空をイメージした物らしく確かに綺麗だった
いきなりのチャンピオン来店に店員も驚いているだろうが、それ以上にダンデの緊張した雰囲気に驚いた
チャンピオンのオマエがやるプレゼントならなんでも喜びそうだが…
相手はそんなに良い女なんだろうか
最近のダンデを思い出しても会食や撮影現場で奴の側にいた女の子達は皆ダンデに拒否された記憶しかない
あの笑顔で周りに人がいてもハッキリ断るからまず間違いない
てことは…もっと目立たない場所で会った女の子だろうか
オレが考え込んでいるうちにラッピングは終わりダンデは受け取った小さなプレゼントの箱を大事そうに両手で持っている
「なんだか壊してしまいそうで怖いな」
「まあゼリーだから、よっぽど走ったり落とさなければ大丈夫じゃね?」
「という事は……リザードンには乗れないな」
ショックを受けた奴はすぐさまオレをじっと見つめ……って、やめろ!キラキラしたお目々向けるな!
男に見つめられて喜ぶ趣味はねぇ!
「なんだよ?気持ち悪ぃな」
「キバナ頼む!俺を駅まで連れてってくれ!」
「………はぁぁ、しゃーねぇな」
ま、予想はしてたけどよ
その代わりにとダンデとツーショットを店内で撮った
ムカつく事にイイねがいつも以上に貰えた事は奴にナイショだ
*****************
ハロンタウンー
駅についたダンデは迎えてくれた町の人達に挨拶をし辺りを見回していると人々の隙間から手を振るホップを見つけ微笑んだ
「アニキ!」
「迎えに来てくれたのか?サンキューだぜ」
兄弟の再会に気がついた人々は邪魔をするまいと一人、また一人と去っていき道を開けてくれた
するとホップの隣に立つ少女にダンデは目が止まり納得するように頷いた
「その瞳の色…ユウリくん…だったかな?」
「はい!覚えてくれてて嬉しいです!」
ニコッと喜びを溢れさせるユウリに微笑み返したが、ダンデの視線はそわそわと二人の周りを見つめ一番会いたかった人物がいないことに気がついた
「コホンッ!ホップ…確かナマエがポケモンについて教えてほしいと言っていたと言わなかったか?姿が見えないようだが」
咳払いをし後ろ手に隠した箱を軽く握る
マントのお陰で何を持っているかは誰にも分からないだろう
早く渡したいが何と言って渡せばいいのか…バトルとも違う緊張を感じながら眉を下げるとホップはユウリと顔を見比べた
「いや、それがさ」
「お姉ちゃん土壇場になって部屋に閉じ込もちゃって」
「どういう事だ?具合が悪いのか?」
もしそうなら大変だ
詳しく聞こうとするとユウリは苦笑いを浮かべ
「いえいえ、そうじゃなくてお姉ちゃんの場合緊張しすぎて…多分人に会うのが恥ずかしいっていうか照れてるだけです」
人に会うのを照れてるだけ
確かにユウリはそう言ったのだが
ダンデは何を勘違いしたのか自分と会う事に照れているのだと思ってしまったようだ
「ナマエが……照れてる?」
ぼそりと呟いたダンデはぶわりと自分の顔を首まで真っ赤にさせ唇を強く噛み締めた
「ホップすまないがユウリくんと家に先に行っててくれ!俺が彼女を迎えに行く!」
「え?アニキっ?」
ホップにそれだけを言いダンデは走り出してしまい、彼を追うようにリザードンも飛んで追いかけた
彼らの後ろ姿を見送るホップは理由が分からず自分の頭の後ろで両手を組み合わせるが、ユウリは何かに気が付き両手で頬を包んだ
「(ええ〜!もしかして?ダンデさん?お姉ちゃんっ!)」
女の勘というやつかもしれない
お洒落なカフェや若い世代に人気の店が並ぶ通りは今日も賑やかだ
だが今日の賑わい方は普段とは違っていた、コソコソと話す声や黄色い声
自分ではなく誰かに向けられた熱い視線に嫉妬しオレさまは少々苛立ちながら犯人を探していた
「(おいおい誰だよ、このオレさまの街で目立ってる野郎は!)」
ナックルと言えばキバナ!これが本来のあるべき姿だ
女の子達の視線を頼りに足を進めれば見えてきたのは予想外の人物
「ダンデ!」
「あ…キバナ!助かったぜ、君を探してたんだ!」
ファンに囲まれていた奴はオレを見るなりホッと肩を落し片手をあげた
なんだ…犯人はダンデかよ
なら仕方ねぇか
流石にチャンピオン様が来ちゃオレの愛するナックルの人々もほっとけねぇよな
自分なりに納得し奴をファンの群れから救い出しなるべく人気が少ない道を選び歩き出す
休みの日だってのになんでコイツチャンピオンユニフォーム着てんだ?
そんなにチャンピオン様は忙しいってか?
「んで?どーしたわけ?オレさまになんか用事?」
じっとりと隣に立つダンデを見下ろすと奴は自分の頬を人差し指でかきながら口を開いた
「キバナ、君に教えて欲しい店があってだな…自分でも探したんだが結局辿り着けなくて」
「店?」
ダンデは自分のスマホロトムを呼び出すとオレの目の前に地図を表示させた
スイーツ専門の店であるそこは最近ネットに商品が載った人気店だ
勿論オレさまは一度チェックを兼ねて行った事があるが、コイツが行きたがるなんてどういう事だ?
「オマエって甘いの好きな奴だっけ?」
「いやっ俺用じゃなくて…お礼の品として欲しくてでな」
そわそわと視線を逸らす奴の顔は気持ち悪いくらい目が潤んでいて、何処からどう見ても特別な贈り物をする男の顔だ
長年のライバルのレアな表情にオレさまは誰が相手なのか興味が出てしまい、ニヤリと口角を吊り上げ尖った八重歯を光らせた
「え〜?何?ついにオマエにも女出来たわけ?バトルにしか興味がなかったのにどんだけ良い女だよ!」
「ぶっ!良い女って、違っそんなんじゃ!」
「え?まさか男?ま、まぁ別にそれでもオマエらが良いならオレさま何も反対しないけど?」
わざとらしく両手で自分の体を守るよう抱きしめて見せるとダンデは余計に怒り顔を真っ赤にさせた
「彼女は女性だっ!っ、しまった!」
はいっ!引っかかった〜
楽勝だな
ニヤニヤと歪む口元を隠さずダンデを見れば奴は悔しそうに鼻の上にシワを作りオレを睨んだ
「恋愛に関しちゃ百戦錬磨のオレさまに嘘をつこうとするのが間違いだっつーの」
「くっ!」
長い舌をべぇと出し挑発したオレは普段バトルでは勝てない相手だからか余計に気分が良くなり足取りが軽くなる
「まあまあ、怒りなさんな!ちゃ〜んと店に連れてってやっからよ」
「君……俺で遊んでるだろ」
ムスッと目つきを悪くするダンデをほっとき店へと二人で歩いていくと数分もせずに目的地についた
店の出入り口にはこの店の看板メニューである新作ゼリーのポスターが貼らており店内にも客が何組か見える
「着いたぜ?んでお目当てのもんってどれ?」
ゼリー専門でフルーツや木の実を使った物、見た目に力を入れた物等があり写真的にも映える
せっかくだしオレも何か買ってSNSにあげようかなと思っているとダンデは先に店内を進み急にピタリと止まった
「すまないが、この星空ゼリーを一つプレゼント用に包んでくれ」
色とりどりの宝石のようなゼリーが並ぶ店内で他には目もくれず選ばれたゼリー
それは夜空をイメージした物らしく確かに綺麗だった
いきなりのチャンピオン来店に店員も驚いているだろうが、それ以上にダンデの緊張した雰囲気に驚いた
チャンピオンのオマエがやるプレゼントならなんでも喜びそうだが…
相手はそんなに良い女なんだろうか
最近のダンデを思い出しても会食や撮影現場で奴の側にいた女の子達は皆ダンデに拒否された記憶しかない
あの笑顔で周りに人がいてもハッキリ断るからまず間違いない
てことは…もっと目立たない場所で会った女の子だろうか
オレが考え込んでいるうちにラッピングは終わりダンデは受け取った小さなプレゼントの箱を大事そうに両手で持っている
「なんだか壊してしまいそうで怖いな」
「まあゼリーだから、よっぽど走ったり落とさなければ大丈夫じゃね?」
「という事は……リザードンには乗れないな」
ショックを受けた奴はすぐさまオレをじっと見つめ……って、やめろ!キラキラしたお目々向けるな!
男に見つめられて喜ぶ趣味はねぇ!
「なんだよ?気持ち悪ぃな」
「キバナ頼む!俺を駅まで連れてってくれ!」
「………はぁぁ、しゃーねぇな」
ま、予想はしてたけどよ
その代わりにとダンデとツーショットを店内で撮った
ムカつく事にイイねがいつも以上に貰えた事は奴にナイショだ
*****************
ハロンタウンー
駅についたダンデは迎えてくれた町の人達に挨拶をし辺りを見回していると人々の隙間から手を振るホップを見つけ微笑んだ
「アニキ!」
「迎えに来てくれたのか?サンキューだぜ」
兄弟の再会に気がついた人々は邪魔をするまいと一人、また一人と去っていき道を開けてくれた
するとホップの隣に立つ少女にダンデは目が止まり納得するように頷いた
「その瞳の色…ユウリくん…だったかな?」
「はい!覚えてくれてて嬉しいです!」
ニコッと喜びを溢れさせるユウリに微笑み返したが、ダンデの視線はそわそわと二人の周りを見つめ一番会いたかった人物がいないことに気がついた
「コホンッ!ホップ…確かナマエがポケモンについて教えてほしいと言っていたと言わなかったか?姿が見えないようだが」
咳払いをし後ろ手に隠した箱を軽く握る
マントのお陰で何を持っているかは誰にも分からないだろう
早く渡したいが何と言って渡せばいいのか…バトルとも違う緊張を感じながら眉を下げるとホップはユウリと顔を見比べた
「いや、それがさ」
「お姉ちゃん土壇場になって部屋に閉じ込もちゃって」
「どういう事だ?具合が悪いのか?」
もしそうなら大変だ
詳しく聞こうとするとユウリは苦笑いを浮かべ
「いえいえ、そうじゃなくてお姉ちゃんの場合緊張しすぎて…多分人に会うのが恥ずかしいっていうか照れてるだけです」
人に会うのを照れてるだけ
確かにユウリはそう言ったのだが
ダンデは何を勘違いしたのか自分と会う事に照れているのだと思ってしまったようだ
「ナマエが……照れてる?」
ぼそりと呟いたダンデはぶわりと自分の顔を首まで真っ赤にさせ唇を強く噛み締めた
「ホップすまないがユウリくんと家に先に行っててくれ!俺が彼女を迎えに行く!」
「え?アニキっ?」
ホップにそれだけを言いダンデは走り出してしまい、彼を追うようにリザードンも飛んで追いかけた
彼らの後ろ姿を見送るホップは理由が分からず自分の頭の後ろで両手を組み合わせるが、ユウリは何かに気が付き両手で頬を包んだ
「(ええ〜!もしかして?ダンデさん?お姉ちゃんっ!)」
女の勘というやつかもしれない