第一章
夢小説設定
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「ナマエちゃん、またあのお客さん外で待ってるわよ?」
見た目は逞しいが心は乙女な店長に言われ仕事場の窓からこっそりと外を覗く
外はすっかり暗く店の照明でぼんやり見えた人影はあたしの視線に気がつくと片手をひらつかせ帽子に隠れた口元を緩めた
『(ダンデさん、また待っててくれたんだ)』
バイト先に一度来てからダンデさんはよく私服姿のまま店の外で仕事が終るのを待っててくれる
最初はビックリしてどうしたのかと聞くと彼は口をとがらせて
【心配で仕方ないんだ、毎回は無理だろうが君さえ良ければ家まで送らせて欲しい】
あの時はガラルチャンピオンはこんな庶民にも優しいんだなぁと感動したなぁ
何度か断ってもあの整った顔で眉を下げられてお願いされては断れる女の子はいない気がする
「ナマエちゃんの彼氏?」
『っ!違いますよ!そのっお友達です!あたしなんかにあんな素敵な彼氏なんて…ありえません』
お見合いはしたけど付き合うとかそういう話はした事ないし
ダンデさんがあたしみたいな平凡なオメガを選ぶはずがない
自分で言って少し落ち込むと店長があたしの肩を数回叩いて来たので顔を上げた
「あたしなんか…なんて言っちゃ駄目よ?自分の魅力に気がついてないだけで貴女に惹かれる人もいるんだから!」
『魅力…ですか』
「そうよ!ちゃんと心を開いて素直になりなさい!簡単でいいの!好きなら好きで自分を卑下しないのよ」
キラキラとした目で言われ店長の圧に負けそうになる
伝える事に満足した店長は鼻息荒くしフロアへと消え、あたしは着替える為にスタッフルームに向かいながら自分の口元を指の背でなぞった
***************
『ダンデさん!』
「やあ!お疲れ様っ!」
着替えが終わり外で合流するとダンデさんは帽子を軽く上にずらし顔を見せてくれた
私服とはいえチャンピオンオーラというか、アルファの中でも特上な雰囲気を溢れされる彼は道行く人々が振り返る程注目を浴びる
夜の闇がなかったらファンがすぐに集まる事だろう
『あの…送ってくれるのは嬉しいんですが、ダンデさんも忙しいんじゃ』
「大丈夫だ、それにこれは俺が好きでやってる事だ」
ニッコリと微笑んだ彼は自然とあたしの荷物を持ち駅へと歩き出した
って…あれ?
『ダンデさん!そっち駅じゃないです!こっちですってば!』
「む?」
とてもカッコいい人なのに方向音痴だけは治らないみたい
『(そんなとこが可愛…い……って何考えてんだろ、あたしったら!)』
頭を軽く振り今度こそ二人で駅へと向かい電車に乗り込んだ
道を迷う人だからてっきりリザードンで送ってくれると思ったけどダンデさんはいつも電車を使い駅から自宅までは歩いて送ってくれた
『ダンデさん』
「ん?」
線路の段差を踏む度に鳴る電車の音をバックに声をかけると隣に立つダンデさんが背中を屈め耳を向けてくれた
『どうして電車まで付き合ってくれるんですか?時間がかかってしまうしシュートシティから離れてしまうのに』
あたし達の他にも車内には人が多く席には座れない
出入り口の側の壁側で立ちながらコッソリと会話を続け何故?と聞くと
「リザードンで送ったらすぐに着いてしまうじゃないか、それじゃ勿体無いだろ?俺はギリギリまで君とお喋りしたいんだ」
『そ、そんな理由だったんですか?』
「そんな、じゃないだろ?俺にとっては一日の終わりの楽しみになってるぜ?君と話していると楽しいし疲れが消えていくようだからな」
当たり前のように答える彼は爽やかで言葉に困ってしまう
ドギマギした気持ちを落ち着かせようと冷たい壁に頬を擦り付けもたれる
家がある駅まではまだ距離がある
途中の駅で電車が止まる度に乗客が増え狭くなってきた
「今日は人が多いな」
『そうですね、何か飲み会とかイベントでもあったのかもしれませんね』
乗り込んできた人達は皆若くお酒臭い、他の乗客に構わず大きな声で笑い酔って気分が良くなっているようだ
『(どうしよ…酔っ払いって苦手なんだよね)』
ただでさえ若い人達のグループは苦手で少し怖い
別に彼らに何かされたわけじゃないけど昔から少し目が合うだけで怯えてしまい電車の中ではいつも下を向く癖がついてた
つい足元を見つめ眉を下げているとあたしの靴の側に大きな靴が近寄ってきた
『……え?』
顔を上げればあたしを心配そうに見下ろす金色の瞳と視線がぶつかる
「大丈夫か?顔色が悪いぜ?」
ダンデさんは心から心配しているようで少し困ってもいた
風邪を疑ったのか彼はあたしの額に人差し指の背を撫でつけ熱をみようとしたけど
これがいけなかった
彼の手があたしの額をなぞった瞬間
ゾクリとした何かがあたしの背筋を走った
『っ!!』
「ナマエ?」
少し触れただけなのに
何故こんなに感触を意識してしまうのか分からない
少しゴツゴツした彼の指の背が邪魔な前髪を退かし離れていく
なんでも無い動きが妙に後を惹き
体が燃えるように熱くなる
『あ…あれ?なんだろ?…風邪ひいちゃったのかな?』
じわじわと体の奥から溢れてくる熱
突然熱が出たのか肌が敏感になりあたしは自分の体を抱きしめて震えた
強く腕を掴んで必死に自分を抱きしめるけど熱はどんどん溢れて…
「ナマエ?大丈夫かっ!具合が悪いなら座ったほうがっ」
震えるあたしを助けようとした彼は不意にあたしの肩に触れた
その瞬間自分では抑えられない力のような何かが溢れる
「っっ!!君っ、この匂いっ!」
『ぁ…匂いっ?何…?』
ダンデさんは慌てて自分の鼻を手の平で隠し顔を赤く染めていった
もしかしてあたし臭いのかな?
確かに仕事終わりで汗臭いかもしれないけど
せめてダンデさんから離れた方がいいのかと体を揺らすと少し離れた位置に立っていた二人組の乗客が鼻先を上にし匂いを嗅ぎだした
「あれ?なんか凄ぇいい匂いしね?」
「んー?これってオメガの匂いじゃ…」
彼らの言葉にぎくりと体を揺らしたのはあたしではなく目の前のダンデさんだった
すると突然彼はあたしを隠すように自分の胸の中に抱きしめ壁側へと追いやった
『っ!苦しっ、なにっダンデさん?』
弾力のある胸板と背中に当たる硬い壁が苦しい
ただでさえ体が熱くて苦しいのに何をするのかとダンデさんの胸を押そうとすると彼は耳元に口を寄せた
「駄目だっ、頼むからじっとしててくれ!」
『え?なんで?』
「君の匂いをこれ以上他の奴らに嗅がせたくない!」
どういう事なのか
狭い腕の中で身を捩り顔を上げると見えたのは耳まで頬を真っ赤にしたダンデさんの顔だった
「君……今発情フェロモンが出てるぜ?」
『……え?』
オメガに生まれて初めての発情が来てしまったみたいだ
見た目は逞しいが心は乙女な店長に言われ仕事場の窓からこっそりと外を覗く
外はすっかり暗く店の照明でぼんやり見えた人影はあたしの視線に気がつくと片手をひらつかせ帽子に隠れた口元を緩めた
『(ダンデさん、また待っててくれたんだ)』
バイト先に一度来てからダンデさんはよく私服姿のまま店の外で仕事が終るのを待っててくれる
最初はビックリしてどうしたのかと聞くと彼は口をとがらせて
【心配で仕方ないんだ、毎回は無理だろうが君さえ良ければ家まで送らせて欲しい】
あの時はガラルチャンピオンはこんな庶民にも優しいんだなぁと感動したなぁ
何度か断ってもあの整った顔で眉を下げられてお願いされては断れる女の子はいない気がする
「ナマエちゃんの彼氏?」
『っ!違いますよ!そのっお友達です!あたしなんかにあんな素敵な彼氏なんて…ありえません』
お見合いはしたけど付き合うとかそういう話はした事ないし
ダンデさんがあたしみたいな平凡なオメガを選ぶはずがない
自分で言って少し落ち込むと店長があたしの肩を数回叩いて来たので顔を上げた
「あたしなんか…なんて言っちゃ駄目よ?自分の魅力に気がついてないだけで貴女に惹かれる人もいるんだから!」
『魅力…ですか』
「そうよ!ちゃんと心を開いて素直になりなさい!簡単でいいの!好きなら好きで自分を卑下しないのよ」
キラキラとした目で言われ店長の圧に負けそうになる
伝える事に満足した店長は鼻息荒くしフロアへと消え、あたしは着替える為にスタッフルームに向かいながら自分の口元を指の背でなぞった
***************
『ダンデさん!』
「やあ!お疲れ様っ!」
着替えが終わり外で合流するとダンデさんは帽子を軽く上にずらし顔を見せてくれた
私服とはいえチャンピオンオーラというか、アルファの中でも特上な雰囲気を溢れされる彼は道行く人々が振り返る程注目を浴びる
夜の闇がなかったらファンがすぐに集まる事だろう
『あの…送ってくれるのは嬉しいんですが、ダンデさんも忙しいんじゃ』
「大丈夫だ、それにこれは俺が好きでやってる事だ」
ニッコリと微笑んだ彼は自然とあたしの荷物を持ち駅へと歩き出した
って…あれ?
『ダンデさん!そっち駅じゃないです!こっちですってば!』
「む?」
とてもカッコいい人なのに方向音痴だけは治らないみたい
『(そんなとこが可愛…い……って何考えてんだろ、あたしったら!)』
頭を軽く振り今度こそ二人で駅へと向かい電車に乗り込んだ
道を迷う人だからてっきりリザードンで送ってくれると思ったけどダンデさんはいつも電車を使い駅から自宅までは歩いて送ってくれた
『ダンデさん』
「ん?」
線路の段差を踏む度に鳴る電車の音をバックに声をかけると隣に立つダンデさんが背中を屈め耳を向けてくれた
『どうして電車まで付き合ってくれるんですか?時間がかかってしまうしシュートシティから離れてしまうのに』
あたし達の他にも車内には人が多く席には座れない
出入り口の側の壁側で立ちながらコッソリと会話を続け何故?と聞くと
「リザードンで送ったらすぐに着いてしまうじゃないか、それじゃ勿体無いだろ?俺はギリギリまで君とお喋りしたいんだ」
『そ、そんな理由だったんですか?』
「そんな、じゃないだろ?俺にとっては一日の終わりの楽しみになってるぜ?君と話していると楽しいし疲れが消えていくようだからな」
当たり前のように答える彼は爽やかで言葉に困ってしまう
ドギマギした気持ちを落ち着かせようと冷たい壁に頬を擦り付けもたれる
家がある駅まではまだ距離がある
途中の駅で電車が止まる度に乗客が増え狭くなってきた
「今日は人が多いな」
『そうですね、何か飲み会とかイベントでもあったのかもしれませんね』
乗り込んできた人達は皆若くお酒臭い、他の乗客に構わず大きな声で笑い酔って気分が良くなっているようだ
『(どうしよ…酔っ払いって苦手なんだよね)』
ただでさえ若い人達のグループは苦手で少し怖い
別に彼らに何かされたわけじゃないけど昔から少し目が合うだけで怯えてしまい電車の中ではいつも下を向く癖がついてた
つい足元を見つめ眉を下げているとあたしの靴の側に大きな靴が近寄ってきた
『……え?』
顔を上げればあたしを心配そうに見下ろす金色の瞳と視線がぶつかる
「大丈夫か?顔色が悪いぜ?」
ダンデさんは心から心配しているようで少し困ってもいた
風邪を疑ったのか彼はあたしの額に人差し指の背を撫でつけ熱をみようとしたけど
これがいけなかった
彼の手があたしの額をなぞった瞬間
ゾクリとした何かがあたしの背筋を走った
『っ!!』
「ナマエ?」
少し触れただけなのに
何故こんなに感触を意識してしまうのか分からない
少しゴツゴツした彼の指の背が邪魔な前髪を退かし離れていく
なんでも無い動きが妙に後を惹き
体が燃えるように熱くなる
『あ…あれ?なんだろ?…風邪ひいちゃったのかな?』
じわじわと体の奥から溢れてくる熱
突然熱が出たのか肌が敏感になりあたしは自分の体を抱きしめて震えた
強く腕を掴んで必死に自分を抱きしめるけど熱はどんどん溢れて…
「ナマエ?大丈夫かっ!具合が悪いなら座ったほうがっ」
震えるあたしを助けようとした彼は不意にあたしの肩に触れた
その瞬間自分では抑えられない力のような何かが溢れる
「っっ!!君っ、この匂いっ!」
『ぁ…匂いっ?何…?』
ダンデさんは慌てて自分の鼻を手の平で隠し顔を赤く染めていった
もしかしてあたし臭いのかな?
確かに仕事終わりで汗臭いかもしれないけど
せめてダンデさんから離れた方がいいのかと体を揺らすと少し離れた位置に立っていた二人組の乗客が鼻先を上にし匂いを嗅ぎだした
「あれ?なんか凄ぇいい匂いしね?」
「んー?これってオメガの匂いじゃ…」
彼らの言葉にぎくりと体を揺らしたのはあたしではなく目の前のダンデさんだった
すると突然彼はあたしを隠すように自分の胸の中に抱きしめ壁側へと追いやった
『っ!苦しっ、なにっダンデさん?』
弾力のある胸板と背中に当たる硬い壁が苦しい
ただでさえ体が熱くて苦しいのに何をするのかとダンデさんの胸を押そうとすると彼は耳元に口を寄せた
「駄目だっ、頼むからじっとしててくれ!」
『え?なんで?』
「君の匂いをこれ以上他の奴らに嗅がせたくない!」
どういう事なのか
狭い腕の中で身を捩り顔を上げると見えたのは耳まで頬を真っ赤にしたダンデさんの顔だった
「君……今発情フェロモンが出てるぜ?」
『……え?』
オメガに生まれて初めての発情が来てしまったみたいだ