第一章
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「ですから私としてはチャンピオンであるダンデさんを陰ながら支えたいと思ってまして、ローズ様にお話を貰った時は天にも昇る心地でしたわ!いつもテレビでうっとりと見つめてましたから…チャンピオン姿も素敵ですけど今日の私服も素敵ですね」
「(……よく動く口だな)」
席についてから数分経つが女性のマシンガントークが止まらずダンデは苦痛な時間を過ごしていた
流石に席についてすぐにSOSコールをしては相手に悪いだろうかと情をかけたのが悪かった
テーブルについ置いてしまったスマホに手を伸ばすきっかけが掴めず口を真っ直ぐ横に結ぶしかできず
離れた席に座っているキバナをちらりと見れば笑いを堪え肩を震わせている、先程までの友情はどこへ行ったのかイライラとした気持ちを心に溜めていると
ダンデが座っていた席に突然誰かが体当たりするように近寄りテーブルに両手を着けた
『すっすみません!遅れちゃいましたっ!って……あれ?』
衝撃によりテーブルに置かれていたコーヒーカップが僅かに揺れ、ダンデだけでなく向かい側に座る女性も驚き顔をあげた
「君は?」
『すすすみません!お話中にお邪魔してしまって!今日会う予定だったナマエと言いますが…』
ダンデが小首を傾げているとナマエは手紙を取り出し彼に見せた
それは秘書を通してダンデがお見合い相手達に送った手紙であり、下には個別に会う約束の時間が書かれていた
「ああ、なるほど…君との約束は一時間後だな」
『えっ!嘘っ!』
手紙を返してもらった彼女は食い入るように手紙を読み直し自分が時間を間違えた事が分かると顔をじわじわと赤くしていき手紙で口元を隠した
『……ぁ…ごめんなさい』
恥ずかしさと申し訳無さに泣きそうになる彼女の顔は瞳が潤み頬が熱を持ち耳まで赤く染まっている
少女のような顔にダンデは胸をドクンっと高く鳴らし一瞬彼女に見惚れてしまった
「全く!時間を間違えるなんて…邪魔だから離れてくれないかしら」
先に座っていた女性は敵を睨むように眉を寄せて威嚇し、ナマエも彼女の迫力に圧され眉を下げた
『ごめんなさいっ、邪魔しちゃって…すぐに帰りますから』
「帰る?何故だ?」
『だって…失礼な事をしてしまったし…』
いつものダンデならば望まないお見合い相手が自分から帰ると言えば喜んで見送った筈だ
だが今回は違う
ナマエという存在に興味を出し初めた彼は何とかして引き留めようと考えた
「お嬢さん、良かったら時間までオレさまと話さない?」
するとダンデ達の席にキバナが近寄りニッと歯を出して爽やかに笑った
「キバナっ…なんのつもりだ」
散々自分をほっといた癖に今更現れた親友を睨むが、キバナは気にせずこの場をスムーズにさせる為だと案を出した
「時間までまだあるんだろ?せっかくここまで来たのに帰るなんて勿体ないし、ダンデの方が終わるまでお茶でもしよーぜ?」
「そうしましょ?私達もまだ話の途中ですし」
相手の女性にも言われてしまいダンデは眉を寄せるが、確かにこのままではナマエが帰ってしまうかもしれない
チラリとナマエを見れば状況に困っているのか耳を下げた子犬のようにコチラをチラチラと見ている
「(……可愛いな)」
ハッと我に帰ったダンデは頭を左右に振ると軽く咳払いをしキバナの案を飲むことにした
****************
「(………………長いな)」
あれからキバナはナマエと
ダンデはお見合い相手と席を別けて座り話を続けたが、ダンデは話し相手ではなく自分の腕時計ばかり気にしていた
「(一時間ってこんなに長かったか?バトルしてれば数分に感じるのに、今じゃ何時間も先に感じるぜ)」
チラリと横目で別の席を見ればキバナとナマエが何やら楽しげに話しており耳がそちらへと向いてしまう
「ハハッ嘘だろ?本当に電車の中で走ってたのかよ」
『だっだって!急ぎたくてじっとしてられなくて…つい、そしたら駅員さんに見つかってすっごく怒られて…』
泣きながら電車の中を走る彼女が駅員に捕まり怒られる姿を想像するとダンデまで吹き出しそうになった
思いっきり笑えるキバナが羨ましいと思いつつダンデはテーブルに頬杖をつき緩む口元を隠した
「ナマエちゃんは普段からそんなにそそっかしいの?」
『う〜ん、どうでしょう?寝起きが悪くて寝坊はよくしますが、今日は特に緊張してたからかもです』
「……相手がダンデだから?」
自分の話題になりダンデの盗み聞きをする耳に神経が集まる
『勿論ダンデさん相手だからというのもありますが…なんで自分みたいな目立たない存在にこんな話が来たのか分からなくて…戸惑ってたんだと思います』
どうやら彼女は自分から立候補したわけではなく国営のマッチングサイトの方がローズに推薦した相手のようだ
見た目の好みや家柄ではなく遺伝子学的に相性のいい相手をすすめてくるサイトだ、きっと彼女はガラルの王が相手になるとは思いもしなかっただろう
「ふ〜ん?でもさオレさまから見るとナマエちゃん結構可愛いぜ?それに……」
話の途中でキバナは突然前屈みになり向かい側に座るナマエへと顔を近づけた
『えっ?』
顔に影がかかり何事かと彼を見上げるとキバナは瞳を細めて笑い耳元へと唇を寄せた
「……すっげぇ〜良い匂いする」
『っっ!』
耳元で囁かれた低音ボイスは色気を含み意図的だ
驚いた彼女は慌てて身を引き自分耳を手で隠し頬を赤めた
『キ、キバナさんってアルファだったんですか?』
「あれ?知らなかったの?結構有名なんだけどな」
これ以上は何もしないと意思表示をするように両手をひらひらさせるキバナはニコニコと笑い背筋を戻し、二人のやり取りを見ていたダンデは鼻の上に深いシワを作り奥歯を噛み締めていた
「(近すぎないか?なんでキバナはあんなに…いや俺が怒ることではっ)」
頭で自分に言い聞かせるも目と耳は自分の相手ではなくキバナの相手に向いてしまう
「今まで恋人に言われなかった?いい匂いだ〜って」
『恋人なんて出来た事ありませんから…言われたのも初めてです』
「そう?ならもしかしたらオレらの相性がいいのかもな」
オメガとアルファの間でしか分からないフェロモンの匂い
相性が良ければ良いほどその匂いは好ましい香りとなり、逆に相性が悪ければ悪臭に感じる
お互いに好む匂いの持ち主と結ばれる可能性が高くキバナは目の前の少女にほんの僅かに期待をした
「ね、オレさまの匂いも嗅いでみなよ?」
『ええっ?いや…それはっ』
「大丈夫、そんな本気フェロモンは出さないからさ」
アルファのフェロモンはオメガの発情を誘発する時がある
ナマエは身構えるがキバナはふにゃりと笑い自分の服の襟元を引っ張り首筋と鎖骨をあらわにさせた
褐色の艶のある肌はどこまでも美しく首筋でさえ整った筋肉ができておりナマエは胸を高鳴らせた
「ほら、早く」
少々可愛こぶりながらお願いする彼に負けナマエは辺りを見回してから恐る恐る彼の首筋へと顔を寄せた
鼻先がキバナの首筋に触れるか触れないかの距離で止まり匂いを嗅ぐ
自分から言った筈なのにキバナはゾクゾクとした興奮を内心感じ彼女の反応を待った
『ん……ぁ…凄い…いい匂いですね』
一度匂いを嗅いだ彼女は先程よりトロリとした瞳になり僅かにオメガのフェロモンが漏れ出た
「っ!」
「っ!」
その匂いを嗅いだ途端キバナだけでなくダンデも同じ様に体に電流が走ったような衝撃を受け目の色を変えた
今まで嗅いだことのない美味そうな匂い
暴走しそうになる自分を抑えるようにキバナはナマエの肩を押し、何事もなかったように嘘の笑顔を向けた
「ハハッ!ほらな?やっぱりオレら相性良いんじゃねぇ?」
押せ押せモードになってきた彼にダンデは気がつくと目の前でまだ喋る女性に顔を向け
「すまないが、この話は無かったことにしてくれ」
突然言われた言葉に女性はすぐには理解出来なかったが、ダンデはすぐに席を立ちキバナ達が座る席へと移動し二人の間にどっかりと腰を落とし腕を組み合わせた
「あれ?もう来たの?」
「来て悪いか?」
「ん〜オレとしてはまだ来てほしくなかったわ」
何やら静かな火花を散らす二人にナマエは困惑し席に座ったまま肩を縮めていた
「(……よく動く口だな)」
席についてから数分経つが女性のマシンガントークが止まらずダンデは苦痛な時間を過ごしていた
流石に席についてすぐにSOSコールをしては相手に悪いだろうかと情をかけたのが悪かった
テーブルについ置いてしまったスマホに手を伸ばすきっかけが掴めず口を真っ直ぐ横に結ぶしかできず
離れた席に座っているキバナをちらりと見れば笑いを堪え肩を震わせている、先程までの友情はどこへ行ったのかイライラとした気持ちを心に溜めていると
ダンデが座っていた席に突然誰かが体当たりするように近寄りテーブルに両手を着けた
『すっすみません!遅れちゃいましたっ!って……あれ?』
衝撃によりテーブルに置かれていたコーヒーカップが僅かに揺れ、ダンデだけでなく向かい側に座る女性も驚き顔をあげた
「君は?」
『すすすみません!お話中にお邪魔してしまって!今日会う予定だったナマエと言いますが…』
ダンデが小首を傾げているとナマエは手紙を取り出し彼に見せた
それは秘書を通してダンデがお見合い相手達に送った手紙であり、下には個別に会う約束の時間が書かれていた
「ああ、なるほど…君との約束は一時間後だな」
『えっ!嘘っ!』
手紙を返してもらった彼女は食い入るように手紙を読み直し自分が時間を間違えた事が分かると顔をじわじわと赤くしていき手紙で口元を隠した
『……ぁ…ごめんなさい』
恥ずかしさと申し訳無さに泣きそうになる彼女の顔は瞳が潤み頬が熱を持ち耳まで赤く染まっている
少女のような顔にダンデは胸をドクンっと高く鳴らし一瞬彼女に見惚れてしまった
「全く!時間を間違えるなんて…邪魔だから離れてくれないかしら」
先に座っていた女性は敵を睨むように眉を寄せて威嚇し、ナマエも彼女の迫力に圧され眉を下げた
『ごめんなさいっ、邪魔しちゃって…すぐに帰りますから』
「帰る?何故だ?」
『だって…失礼な事をしてしまったし…』
いつものダンデならば望まないお見合い相手が自分から帰ると言えば喜んで見送った筈だ
だが今回は違う
ナマエという存在に興味を出し初めた彼は何とかして引き留めようと考えた
「お嬢さん、良かったら時間までオレさまと話さない?」
するとダンデ達の席にキバナが近寄りニッと歯を出して爽やかに笑った
「キバナっ…なんのつもりだ」
散々自分をほっといた癖に今更現れた親友を睨むが、キバナは気にせずこの場をスムーズにさせる為だと案を出した
「時間までまだあるんだろ?せっかくここまで来たのに帰るなんて勿体ないし、ダンデの方が終わるまでお茶でもしよーぜ?」
「そうしましょ?私達もまだ話の途中ですし」
相手の女性にも言われてしまいダンデは眉を寄せるが、確かにこのままではナマエが帰ってしまうかもしれない
チラリとナマエを見れば状況に困っているのか耳を下げた子犬のようにコチラをチラチラと見ている
「(……可愛いな)」
ハッと我に帰ったダンデは頭を左右に振ると軽く咳払いをしキバナの案を飲むことにした
****************
「(………………長いな)」
あれからキバナはナマエと
ダンデはお見合い相手と席を別けて座り話を続けたが、ダンデは話し相手ではなく自分の腕時計ばかり気にしていた
「(一時間ってこんなに長かったか?バトルしてれば数分に感じるのに、今じゃ何時間も先に感じるぜ)」
チラリと横目で別の席を見ればキバナとナマエが何やら楽しげに話しており耳がそちらへと向いてしまう
「ハハッ嘘だろ?本当に電車の中で走ってたのかよ」
『だっだって!急ぎたくてじっとしてられなくて…つい、そしたら駅員さんに見つかってすっごく怒られて…』
泣きながら電車の中を走る彼女が駅員に捕まり怒られる姿を想像するとダンデまで吹き出しそうになった
思いっきり笑えるキバナが羨ましいと思いつつダンデはテーブルに頬杖をつき緩む口元を隠した
「ナマエちゃんは普段からそんなにそそっかしいの?」
『う〜ん、どうでしょう?寝起きが悪くて寝坊はよくしますが、今日は特に緊張してたからかもです』
「……相手がダンデだから?」
自分の話題になりダンデの盗み聞きをする耳に神経が集まる
『勿論ダンデさん相手だからというのもありますが…なんで自分みたいな目立たない存在にこんな話が来たのか分からなくて…戸惑ってたんだと思います』
どうやら彼女は自分から立候補したわけではなく国営のマッチングサイトの方がローズに推薦した相手のようだ
見た目の好みや家柄ではなく遺伝子学的に相性のいい相手をすすめてくるサイトだ、きっと彼女はガラルの王が相手になるとは思いもしなかっただろう
「ふ〜ん?でもさオレさまから見るとナマエちゃん結構可愛いぜ?それに……」
話の途中でキバナは突然前屈みになり向かい側に座るナマエへと顔を近づけた
『えっ?』
顔に影がかかり何事かと彼を見上げるとキバナは瞳を細めて笑い耳元へと唇を寄せた
「……すっげぇ〜良い匂いする」
『っっ!』
耳元で囁かれた低音ボイスは色気を含み意図的だ
驚いた彼女は慌てて身を引き自分耳を手で隠し頬を赤めた
『キ、キバナさんってアルファだったんですか?』
「あれ?知らなかったの?結構有名なんだけどな」
これ以上は何もしないと意思表示をするように両手をひらひらさせるキバナはニコニコと笑い背筋を戻し、二人のやり取りを見ていたダンデは鼻の上に深いシワを作り奥歯を噛み締めていた
「(近すぎないか?なんでキバナはあんなに…いや俺が怒ることではっ)」
頭で自分に言い聞かせるも目と耳は自分の相手ではなくキバナの相手に向いてしまう
「今まで恋人に言われなかった?いい匂いだ〜って」
『恋人なんて出来た事ありませんから…言われたのも初めてです』
「そう?ならもしかしたらオレらの相性がいいのかもな」
オメガとアルファの間でしか分からないフェロモンの匂い
相性が良ければ良いほどその匂いは好ましい香りとなり、逆に相性が悪ければ悪臭に感じる
お互いに好む匂いの持ち主と結ばれる可能性が高くキバナは目の前の少女にほんの僅かに期待をした
「ね、オレさまの匂いも嗅いでみなよ?」
『ええっ?いや…それはっ』
「大丈夫、そんな本気フェロモンは出さないからさ」
アルファのフェロモンはオメガの発情を誘発する時がある
ナマエは身構えるがキバナはふにゃりと笑い自分の服の襟元を引っ張り首筋と鎖骨をあらわにさせた
褐色の艶のある肌はどこまでも美しく首筋でさえ整った筋肉ができておりナマエは胸を高鳴らせた
「ほら、早く」
少々可愛こぶりながらお願いする彼に負けナマエは辺りを見回してから恐る恐る彼の首筋へと顔を寄せた
鼻先がキバナの首筋に触れるか触れないかの距離で止まり匂いを嗅ぐ
自分から言った筈なのにキバナはゾクゾクとした興奮を内心感じ彼女の反応を待った
『ん……ぁ…凄い…いい匂いですね』
一度匂いを嗅いだ彼女は先程よりトロリとした瞳になり僅かにオメガのフェロモンが漏れ出た
「っ!」
「っ!」
その匂いを嗅いだ途端キバナだけでなくダンデも同じ様に体に電流が走ったような衝撃を受け目の色を変えた
今まで嗅いだことのない美味そうな匂い
暴走しそうになる自分を抑えるようにキバナはナマエの肩を押し、何事もなかったように嘘の笑顔を向けた
「ハハッ!ほらな?やっぱりオレら相性良いんじゃねぇ?」
押せ押せモードになってきた彼にダンデは気がつくと目の前でまだ喋る女性に顔を向け
「すまないが、この話は無かったことにしてくれ」
突然言われた言葉に女性はすぐには理解出来なかったが、ダンデはすぐに席を立ちキバナ達が座る席へと移動し二人の間にどっかりと腰を落とし腕を組み合わせた
「あれ?もう来たの?」
「来て悪いか?」
「ん〜オレとしてはまだ来てほしくなかったわ」
何やら静かな火花を散らす二人にナマエは困惑し席に座ったまま肩を縮めていた