第一章
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ガラルチャンピオン
無敗の男にして無敵のダンデ
ガラルの人々から尊敬の眼差しを受け続ける彼にも実は弱点があった
それは
「お見合いなんて嫌です」
ローズタワーの一室にてダンデが睨む先には長い前髪を指先でいじり眉を下げて笑うローズがいた
上司である彼を前にしてもダンデは口をへの字に結び考えは変えないと態度で示すがローズも引き下がらない
「そんなに身構えなくても、会ってみるだけでいいんですよ?もしかしたら気に入るかもしれないでしょう?」
「ローズさん、何度も言いますが俺はまだ結婚を考えてません!今はバトルに集中していたいんです」
もうすぐガラルの祭事が始まるというのに他で気を使いたくない
ダンデの意見も間違ってはいないがローズは言葉を続けた
「でもねぇ…君、恋人もいないだろ?毎回毎回薬に頼っていてはいつか体が限界を迎えてしまう…それを防ぐ為にも君のオメガを見つけるべきだ」
オメガ
アルファであるダンデの欲を満たせる存在であり本能が求める相手
この世界ではベータが八割をしめておりオメガとアルファはほんの一割だった
ベータ相手でも結婚するアルファはいるが、身も心も安らぎを貰えるのはやはりオメガであり
今では出会いの場を国営で作るほどだ
「欲の発散の為に相手を見つけるなんて俺は嫌だぜ!」
「勿論それだけじゃないさ、君の優秀な遺伝子をガラルに残す為だ」
「っ!話にならないっ!」
恋なんてしたことがない
なのに突然子供を作る為に結婚をしろと言われれば誰もが彼と同じような顔をする事だろう
鼻の上にシワを作り睨んでくる彼にローズは肩をわざとらしく上下に揺らして見せる
「断ってくれて構いませんが、せめて彼女達とお茶だけでもしてくれませんか?それが終われば暫くこの話はしませんから」
彼女達…どうやら候補が数人いるらしい
どうしても折れない上司にダンデはげんなりと肩を落とすと痛む額を片手で抑え忌々しそうに低い声をだした
「分かりました…どんな結果になっても暫くは見合いの話はしないと約束してくださいよ?」
「ああ、ありがとう!流石はガラルチャンピオンだ」
狸のような男だ
ダンデは自分の上司とは言え腹の黒いローズに負けを感じつつ彼から数枚の書類を受け取った
面接用紙のようなそれはこれからお見合いする相手の顔写真と簡単なプロフィールが書かれた物だった
「(仕方ない、さっさと終わらせよう)」
見る気にもなれずくしゃりと手の中で丸めると彼はマントを揺らしながら部屋から出ていき、静かになった室内でローズは小さく笑った
「どんな結果になっても…か、今度こそ君に春が来ることを祈ってるよ」
****************
「はぁぁぁぁ…」
シュートシティの街並みを歩くダンデはいつもの威厳や自信はなく、頭を下げてダルそうに歩いていた
「なんだよ?せっかくのオフなのに、オレさまの運まで無くなりそうだからため息やめてくんない?」
ローズとの話し合いから一週間
長いため息を吐いた理由はお見合い相手のせいだった
「実はローズさんから断れないお見合い話をもらってな…一日おきに代るがわる女性や男性とお茶をしたんだが…」
隣を歩くキバナに今までの事を聞いてもらった、最初こそキバナは笑っていたが話を聞くにつれ段々と顔を青ざめさせ口を引き攣らせた
「うわっ…怖っ!お茶だけなのにフェロモン攻撃してくんの?」
「あぁ…皆目がギラギラして怖いしこの機会を逃がすまいとフェロモンやら酒の席に誘ってくるやらで…うんざりだぜ」
「あ〜…まあ相手がオマエじゃなぁ、そりゃ皆必死になるよな」
日頃からガードの硬いチャンピオンと恋人になれるかもしれない
そんな奇跡を逃すものかと女性達だけでなく男性オメガ達も必死なのだろう
「後二人残ってるんだ、今日これから会うんだがどうせどっちも同じ様なものだろう」
「ドタキャンすれば?」
「……それは駄目だろ、流石に相手に失礼だ」
「律儀〜!まっどうしても嫌ならオレさまも側にいてやろうか?」
「む?」
足を止めた彼に吊られダンデも足を止めるとキバナはスマホを取り出しニッと意地悪く笑った
「合図くれれば邪魔しに行ってお前を連れ出してやるってどうよ?」
「君……天才だな!」
「なはは〜!んじゃさっさと終わらせて飲みに行こうぜ」
キバナにとってもダンデの問題は他人事ではない
同じアルファであり特別な恋人を作らない彼はあの手この手で話を逸らし、チャンピオンであるダンデが結婚しない限り自分も恋人に時間は取られたくないとマスコミにも話していた
「(ダンデが結婚なんかしたら今度はオレさまに目が向いちまうだろ、そんなの御免だね)」
まだまだ遊びたい盛りの彼らしい裏がある親切だがダンデは知らずに感謝した
程なくして着いたカフェでは既に一人の女性が待っており
遠目でも分かる派手な化粧に露出した服を来た女性にダンデは頭痛を覚えキバナも苦笑いを浮かべる
「いいな?スマホ持っとけよ?ワンコールしてくれりゃ助けてやっから」
「寧ろ今すぐ鳴らしたいぜ」
男同士でそんなふざけ合いをしている時、シュートシティの駅では今まさに街についたばかりの少女が息を切らしながら走っていた
『ど、どうしよっ!約束の時間に遅れちゃう!』
ひんひんと情けなく泣く少女
この少女こそダンデとキバナの運命を変える特別な相手となるのだった
無敗の男にして無敵のダンデ
ガラルの人々から尊敬の眼差しを受け続ける彼にも実は弱点があった
それは
「お見合いなんて嫌です」
ローズタワーの一室にてダンデが睨む先には長い前髪を指先でいじり眉を下げて笑うローズがいた
上司である彼を前にしてもダンデは口をへの字に結び考えは変えないと態度で示すがローズも引き下がらない
「そんなに身構えなくても、会ってみるだけでいいんですよ?もしかしたら気に入るかもしれないでしょう?」
「ローズさん、何度も言いますが俺はまだ結婚を考えてません!今はバトルに集中していたいんです」
もうすぐガラルの祭事が始まるというのに他で気を使いたくない
ダンデの意見も間違ってはいないがローズは言葉を続けた
「でもねぇ…君、恋人もいないだろ?毎回毎回薬に頼っていてはいつか体が限界を迎えてしまう…それを防ぐ為にも君のオメガを見つけるべきだ」
オメガ
アルファであるダンデの欲を満たせる存在であり本能が求める相手
この世界ではベータが八割をしめておりオメガとアルファはほんの一割だった
ベータ相手でも結婚するアルファはいるが、身も心も安らぎを貰えるのはやはりオメガであり
今では出会いの場を国営で作るほどだ
「欲の発散の為に相手を見つけるなんて俺は嫌だぜ!」
「勿論それだけじゃないさ、君の優秀な遺伝子をガラルに残す為だ」
「っ!話にならないっ!」
恋なんてしたことがない
なのに突然子供を作る為に結婚をしろと言われれば誰もが彼と同じような顔をする事だろう
鼻の上にシワを作り睨んでくる彼にローズは肩をわざとらしく上下に揺らして見せる
「断ってくれて構いませんが、せめて彼女達とお茶だけでもしてくれませんか?それが終われば暫くこの話はしませんから」
彼女達…どうやら候補が数人いるらしい
どうしても折れない上司にダンデはげんなりと肩を落とすと痛む額を片手で抑え忌々しそうに低い声をだした
「分かりました…どんな結果になっても暫くは見合いの話はしないと約束してくださいよ?」
「ああ、ありがとう!流石はガラルチャンピオンだ」
狸のような男だ
ダンデは自分の上司とは言え腹の黒いローズに負けを感じつつ彼から数枚の書類を受け取った
面接用紙のようなそれはこれからお見合いする相手の顔写真と簡単なプロフィールが書かれた物だった
「(仕方ない、さっさと終わらせよう)」
見る気にもなれずくしゃりと手の中で丸めると彼はマントを揺らしながら部屋から出ていき、静かになった室内でローズは小さく笑った
「どんな結果になっても…か、今度こそ君に春が来ることを祈ってるよ」
****************
「はぁぁぁぁ…」
シュートシティの街並みを歩くダンデはいつもの威厳や自信はなく、頭を下げてダルそうに歩いていた
「なんだよ?せっかくのオフなのに、オレさまの運まで無くなりそうだからため息やめてくんない?」
ローズとの話し合いから一週間
長いため息を吐いた理由はお見合い相手のせいだった
「実はローズさんから断れないお見合い話をもらってな…一日おきに代るがわる女性や男性とお茶をしたんだが…」
隣を歩くキバナに今までの事を聞いてもらった、最初こそキバナは笑っていたが話を聞くにつれ段々と顔を青ざめさせ口を引き攣らせた
「うわっ…怖っ!お茶だけなのにフェロモン攻撃してくんの?」
「あぁ…皆目がギラギラして怖いしこの機会を逃がすまいとフェロモンやら酒の席に誘ってくるやらで…うんざりだぜ」
「あ〜…まあ相手がオマエじゃなぁ、そりゃ皆必死になるよな」
日頃からガードの硬いチャンピオンと恋人になれるかもしれない
そんな奇跡を逃すものかと女性達だけでなく男性オメガ達も必死なのだろう
「後二人残ってるんだ、今日これから会うんだがどうせどっちも同じ様なものだろう」
「ドタキャンすれば?」
「……それは駄目だろ、流石に相手に失礼だ」
「律儀〜!まっどうしても嫌ならオレさまも側にいてやろうか?」
「む?」
足を止めた彼に吊られダンデも足を止めるとキバナはスマホを取り出しニッと意地悪く笑った
「合図くれれば邪魔しに行ってお前を連れ出してやるってどうよ?」
「君……天才だな!」
「なはは〜!んじゃさっさと終わらせて飲みに行こうぜ」
キバナにとってもダンデの問題は他人事ではない
同じアルファであり特別な恋人を作らない彼はあの手この手で話を逸らし、チャンピオンであるダンデが結婚しない限り自分も恋人に時間は取られたくないとマスコミにも話していた
「(ダンデが結婚なんかしたら今度はオレさまに目が向いちまうだろ、そんなの御免だね)」
まだまだ遊びたい盛りの彼らしい裏がある親切だがダンデは知らずに感謝した
程なくして着いたカフェでは既に一人の女性が待っており
遠目でも分かる派手な化粧に露出した服を来た女性にダンデは頭痛を覚えキバナも苦笑いを浮かべる
「いいな?スマホ持っとけよ?ワンコールしてくれりゃ助けてやっから」
「寧ろ今すぐ鳴らしたいぜ」
男同士でそんなふざけ合いをしている時、シュートシティの駅では今まさに街についたばかりの少女が息を切らしながら走っていた
『ど、どうしよっ!約束の時間に遅れちゃう!』
ひんひんと情けなく泣く少女
この少女こそダンデとキバナの運命を変える特別な相手となるのだった