第一章
夢小説設定
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「おい、お前今日変じゃねぇか?」
『ん〜?そうですかねぇ』
「絶対変だろ!朝からぼぉーとしてっし、昨日なんかあったのか?」
『なんか…あったけどあり過ぎてわけが分からなくなってます』
「はぁ?」
久々に学校に行って教室に入れば変わらずの陰口や好奇の目に襲われ、一部の生徒に嫌がらせを受け海で探し物をして
手足が冷たくて限界を感じた頃に現れたフリードに保護され色んな話をしているうちに妙な空気になった
濃厚な一日のせいで頭がぐちゃぐちゃだ
ランチタイムだというのに心は昨日から時間が止まったように鈍い感覚に包まれ、フリードの今年ばかり浮かんでしまう
浜辺に現れた時の彼の怒った顔
小麦色の逞しい胸板
マグカップ片手に優しく笑う顔
そして頬を撫でる大きな熱い手
『(もしドラメシヤが来なかったら…あたし達もしかしてキスしてたのかな?)』
経験がない為想像力が乏しいが重なった二人の影を思い浮かべては顔から湯気を出し、誤魔化すようにペパーの用意してくれたサンドイッチに噛みついた
『(忘れよう!フリードさんだってきっと…)』
ふと別れ際に彼の頬に自分からキスをした事を思い出しナマエはまた一段と顔を真っ赤にさせる
『(あ、ああああたしっなんて事を!いくらお礼の気持ちと言ってもフリードさんからしたら迷惑だったんじゃ?どうしよっ!)』
「おい本当に大丈夫か?タバスコ多かったか?」
今日用意したサンドイッチは少々大人の味で辛い
自分の味付けのせいで顔を真っ赤にしたと勘違いしたペパーは申し訳なさそうに水を持ってきてくれたがナマエの赤い顔は治る事はなかった
それはこちらの男も同じであり彼もまた自宅にて研究報告書を書く為にペンを走らせるが
「…………」
ふとぼんやりと瞳を曇らせると無意識に自分の頬を撫でハッと我に帰っては顔を赤くさせていた
「っ!…あぁーっ!頭から離れねぇっ!!」
両手で頭を掻き乱し癖毛が余計にボサボサになる
体を弓なりに反らし机とは反対方向に体を傾けては天井を見つめるが、彼の瞳は天井ではなく記憶の中のナマエを見ていた
「(昨日は色んな事ありすぎた…だからまだ頭が興奮状態かと思ったが)」
浮かぶのはナマエの事ばかり
泣いたり笑ったりコロコロ変わる表情は可愛らしく少女らしい
かと思えば大人の女性のように突然色気を出し自分のキスを受け入れようと身を委ねたり
別れ際に頬にキスをして笑う小悪魔のようだったりと知れば知るほど彼女の魅力にフリードは悩まされた
「いやいや…アイツまだ未成年だろ?流石に手を出せねぇって!」
彼女はまだ十六歳でパルデアの成人には二年かかる
今自分が手を出せば立派な犯罪だ
何度も言い聞かせるが理性と本能は別なのか時間ができると遂ナマエに会いたくて仕方なくなってしまっていた
「いっそ会ってくるか?いや…今会ったらまた昨日みたいになりそうだしな」
二人っきりになったらまた暴走しそうで本能を抑える自信がない
フリードは席から立ち上がると椅子にかけていた上着を手に取りボールからリザードンを呼び出した
「リザードン!釣りに行くぞ!」
ばぎゅあ?
「こういう時は無心になるんだ!釣りで大物釣って釣りまくろうぜ!」
黒いTシャツに上着を羽織った彼に相棒は小首を傾げるが釣りならば美味い物が貰えるかもしれない
リザードンは了解と一つ鳴き声を上げると彼を乗せベランダから空へと飛び立った
目指すは彼の知人であり古い友人の所有するアサギ号
空と同じく青い海の上を暫く飛べばすぐに目的の船を見つけフリードは降り立った
突然の空からの来客に船が揺れ動くが先に釣りをしていた老人ランドウは驚きもせず釣り糸を垂らしている
「よっ!じっちゃん、少しやらせてくれ」
慣れたように船内に保管された予備の釣竿を手にするフリードを尻目にランドウは小さく頷き、二人は並んで釣り糸を海へと垂らした
波音とキャモメの鳴き声
静かな揺れを体に感じながら海面を浮き沈みするツートンカラーのウキを見つめ無心になる
「……………」
この瞬間がわりと好きだったが
「(全っ然っ集中できねぇっ!!)」
今日は無心にはなれそうにない
海を見ていると落とし物を探していた彼女を思い出してしまうのだ
白い制服を海水で濡らし白い肌にピッタリと貼り付かせ、ポロポロと熱い涙を流した彼女を…
抱きしめたいという気持ちと可哀想と思う気持ちが交じり合い切なく胸を締め付けるあの時の感情はなんだろうか
「………はぁぁ」
今目の前に彼女はいないと言うのに
思い出すだけで胸がドキドキと煩く鳴り出し釣りどころではなかった
「……煩悩に満ちておるのう」
「ぐっ!!」
ドキンっ!とランドウの言葉にフリードの心臓が飛び跳ねる
何も話していないというのに何故分かるのか?
普段無口な彼は時たまこうして意味深な言葉を短く口にするのだ、的確で考えさせられる言葉を
周りから仙人ではないかと噂されているのを知っていたが本当に仙人なのでは?と今はつい思ってしまう
「相手を思いやり時をかけて揺れに身を任すも良いが、獲物が他に目移りしても後悔せぬようにな」
「……目移り」
ランドウの言葉の意味を考え込んでいる頃、ナマエに新たな影が近寄ろうとしていた
「……ここに例の少女が…ふふ、どんな人物か…今から楽しみですね」
港に着いた深緑色の長い髪を揺らす青年は妖しく微笑み、パルデアへと足を踏み入れていく
「(目移りって言ったってせいぜいあのガキくらいだろ?俺が負けるわけがないさ)」
ペパーばかり気にしているフリードは未来の強敵がすぐ側に来ていることも知らず釣糸を下げていた
波に揺れ動く釣糸、他に気を取られている彼は気がついていないのだろう
釣針には既に餌はなくせっかくの獲物が逃げてしまった事に
『ん〜?そうですかねぇ』
「絶対変だろ!朝からぼぉーとしてっし、昨日なんかあったのか?」
『なんか…あったけどあり過ぎてわけが分からなくなってます』
「はぁ?」
久々に学校に行って教室に入れば変わらずの陰口や好奇の目に襲われ、一部の生徒に嫌がらせを受け海で探し物をして
手足が冷たくて限界を感じた頃に現れたフリードに保護され色んな話をしているうちに妙な空気になった
濃厚な一日のせいで頭がぐちゃぐちゃだ
ランチタイムだというのに心は昨日から時間が止まったように鈍い感覚に包まれ、フリードの今年ばかり浮かんでしまう
浜辺に現れた時の彼の怒った顔
小麦色の逞しい胸板
マグカップ片手に優しく笑う顔
そして頬を撫でる大きな熱い手
『(もしドラメシヤが来なかったら…あたし達もしかしてキスしてたのかな?)』
経験がない為想像力が乏しいが重なった二人の影を思い浮かべては顔から湯気を出し、誤魔化すようにペパーの用意してくれたサンドイッチに噛みついた
『(忘れよう!フリードさんだってきっと…)』
ふと別れ際に彼の頬に自分からキスをした事を思い出しナマエはまた一段と顔を真っ赤にさせる
『(あ、ああああたしっなんて事を!いくらお礼の気持ちと言ってもフリードさんからしたら迷惑だったんじゃ?どうしよっ!)』
「おい本当に大丈夫か?タバスコ多かったか?」
今日用意したサンドイッチは少々大人の味で辛い
自分の味付けのせいで顔を真っ赤にしたと勘違いしたペパーは申し訳なさそうに水を持ってきてくれたがナマエの赤い顔は治る事はなかった
それはこちらの男も同じであり彼もまた自宅にて研究報告書を書く為にペンを走らせるが
「…………」
ふとぼんやりと瞳を曇らせると無意識に自分の頬を撫でハッと我に帰っては顔を赤くさせていた
「っ!…あぁーっ!頭から離れねぇっ!!」
両手で頭を掻き乱し癖毛が余計にボサボサになる
体を弓なりに反らし机とは反対方向に体を傾けては天井を見つめるが、彼の瞳は天井ではなく記憶の中のナマエを見ていた
「(昨日は色んな事ありすぎた…だからまだ頭が興奮状態かと思ったが)」
浮かぶのはナマエの事ばかり
泣いたり笑ったりコロコロ変わる表情は可愛らしく少女らしい
かと思えば大人の女性のように突然色気を出し自分のキスを受け入れようと身を委ねたり
別れ際に頬にキスをして笑う小悪魔のようだったりと知れば知るほど彼女の魅力にフリードは悩まされた
「いやいや…アイツまだ未成年だろ?流石に手を出せねぇって!」
彼女はまだ十六歳でパルデアの成人には二年かかる
今自分が手を出せば立派な犯罪だ
何度も言い聞かせるが理性と本能は別なのか時間ができると遂ナマエに会いたくて仕方なくなってしまっていた
「いっそ会ってくるか?いや…今会ったらまた昨日みたいになりそうだしな」
二人っきりになったらまた暴走しそうで本能を抑える自信がない
フリードは席から立ち上がると椅子にかけていた上着を手に取りボールからリザードンを呼び出した
「リザードン!釣りに行くぞ!」
ばぎゅあ?
「こういう時は無心になるんだ!釣りで大物釣って釣りまくろうぜ!」
黒いTシャツに上着を羽織った彼に相棒は小首を傾げるが釣りならば美味い物が貰えるかもしれない
リザードンは了解と一つ鳴き声を上げると彼を乗せベランダから空へと飛び立った
目指すは彼の知人であり古い友人の所有するアサギ号
空と同じく青い海の上を暫く飛べばすぐに目的の船を見つけフリードは降り立った
突然の空からの来客に船が揺れ動くが先に釣りをしていた老人ランドウは驚きもせず釣り糸を垂らしている
「よっ!じっちゃん、少しやらせてくれ」
慣れたように船内に保管された予備の釣竿を手にするフリードを尻目にランドウは小さく頷き、二人は並んで釣り糸を海へと垂らした
波音とキャモメの鳴き声
静かな揺れを体に感じながら海面を浮き沈みするツートンカラーのウキを見つめ無心になる
「……………」
この瞬間がわりと好きだったが
「(全っ然っ集中できねぇっ!!)」
今日は無心にはなれそうにない
海を見ていると落とし物を探していた彼女を思い出してしまうのだ
白い制服を海水で濡らし白い肌にピッタリと貼り付かせ、ポロポロと熱い涙を流した彼女を…
抱きしめたいという気持ちと可哀想と思う気持ちが交じり合い切なく胸を締め付けるあの時の感情はなんだろうか
「………はぁぁ」
今目の前に彼女はいないと言うのに
思い出すだけで胸がドキドキと煩く鳴り出し釣りどころではなかった
「……煩悩に満ちておるのう」
「ぐっ!!」
ドキンっ!とランドウの言葉にフリードの心臓が飛び跳ねる
何も話していないというのに何故分かるのか?
普段無口な彼は時たまこうして意味深な言葉を短く口にするのだ、的確で考えさせられる言葉を
周りから仙人ではないかと噂されているのを知っていたが本当に仙人なのでは?と今はつい思ってしまう
「相手を思いやり時をかけて揺れに身を任すも良いが、獲物が他に目移りしても後悔せぬようにな」
「……目移り」
ランドウの言葉の意味を考え込んでいる頃、ナマエに新たな影が近寄ろうとしていた
「……ここに例の少女が…ふふ、どんな人物か…今から楽しみですね」
港に着いた深緑色の長い髪を揺らす青年は妖しく微笑み、パルデアへと足を踏み入れていく
「(目移りって言ったってせいぜいあのガキくらいだろ?俺が負けるわけがないさ)」
ペパーばかり気にしているフリードは未来の強敵がすぐ側に来ていることも知らず釣糸を下げていた
波に揺れ動く釣糸、他に気を取られている彼は気がついていないのだろう
釣針には既に餌はなくせっかくの獲物が逃げてしまった事に