第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…………ん、……ぁ、ふぁあ…やべっ寝ちまったのか」
デスクに押し付けていた頬を上げると一緒に貼り付いた紙が一枚カサリと音を立てて頬から離れ落ちる
シワができた紙を並べ直し、時計の針を見ればもうすぐ夕飯の時間だった
フリードは椅子から立ち上がり固まった筋肉を伸ばすように背骨を伸ばし大きく深呼吸を一つした
「っ、はぁぁ…どうもデスク仕事は合わないんだよなぁ」
研究報告書の山をうんざりと眺め顔を歪ませた彼は、外の空気でも吸おうとベランダから出る
ほんのりと冷えた風は気持ちよく、空は既に茜色から藍色へと変わる頃だった
フリードは夜が近づく空を眺めた後自然と隣の家に視線を向け、二階のナマエの自室がある窓を見つめ違和感を感じた
「アイツ…まだ帰ってないのか?」
今朝見た彼女の荷物からして寮生活ではなさそうだが、いくらなんでも女の子が一人で帰るには遅い
何処かへ寄り道してるのか
それとも何かあったのか
フリードはじっと暗い彼女の部屋の窓を見つめると無言のまま腰に下げていたボールを空へと投げた
グルル?
呼び出されたリザードンは何の用だと言うように彼を見つめるがフリードは顔を険しくさせ短い言葉だけを口にした
「リザードン、飛ぶぞ」
相棒のこんな切羽詰まった顔をリザードンは見たことがない
何か良くない事でもあったのかもしれないと感じ彼は言われるがままにフリードを背中に乗せ藍色の空へと飛び上がった
低い場所では小さな星が見え始め夜が水に溶かした絵の具のように広がっていく
逃げていく茜色の光りがまだ照らす海岸にフリードは探していた少女の影を見つけギョッと目を見開いた
「ナマエっっ!!」
彼女は制服のまま腰まで海水に浸かり俯いていた
遊んでいるわけでもなく、悲しげに海面を覗き込むような仕草をする彼女
フリードは海面ギリギリまでリザードンに近寄って貰うと自分の服が濡れるのも惜しまず海へと降り立ち同じように下半身を冷たい海水に濡らした
『……フリードさん?』
「何やってんだ!風邪ひくぞっ!」
バシャバシャと海水の中を走りながらナマエの元へと辿り着くが彼女は顔を曇らせ視線を逸らした
『大丈夫ですから…フリードさんは先に帰ってください』
チャプン…と音をさせ背中を向けようとする彼女にフリードは苛立ちナマエの手首を咄嗟に掴んだ
「何馬鹿な事言ってんだ!お前こんなにも手が冷たくなってるじゃないか…一体いつからこんな事してたんだ!」
長く海に浸かっていたのだろう
白い手首は冷たく彼女の唇もいつもより色が悪い
一刻も早く温かい所へ連れていきたいのに彼女は頷いてくれず、変わりにじんわりと顔を悲しみに歪め眉を八の字に下げさせた
『だってっ…あたしのっ…大事なヘアピンが…見つからないのっ』
「ヘアピン?落としたのか?」
そういえば今朝彼女は綺麗な色をしたヘアピンをしていた
だがフリードが改めて見れば確かに髪には何もついてない
『………違うけど…違わない』
遂にポロポロと涙を流しだした彼女は鼻をグズグズと鳴らしフリードも言葉を失った
いくら大切な物とは言え海で小さな物を探すのは無謀だ
波が連れ去ったかもしれない
もしかしたら砂に埋まったかもしれない
それでもきっと彼女は長い時間ここで探していたのだろう
たった一人で
『っ…ん……ひっ…どうしてもっ…諦められなくって…』
片手で涙が溢れる目元を擦り泣き続ける彼女、その間にも海は変わらず揺れ動き海水が二人の腰の上まで上がってきた
「……取り敢えず」
『っ、ひゃあ!』
突然フリードはナマエを抱き上げると肩に彼女を荷物のように担ぎ上げ浜辺へと向かいザブザブと波を踏み鳴らした
「今は早く陸に上がるぞ」
不安定な揺れに落ちないようにナマエは咄嗟にフリードの背中の服を掴み驚く
『フリードさんっ降ろしてください!あたしまだ探さなきゃっ』
「はいはい、分かったから今は落ち着けって」
暴れる足を彼は腕で抱き込むように抑えると聞く耳はもたんと言うように無視し陸を目指した
海水を含んだ服は重くダブダブのズボンは彼の肌に張り付き気持ち悪い
それでも嫌な顔一つせずフリードはリザードンを呼び濡れた彼女を相棒の背中へと乗せた
『……っ…家に行くの?』
家に送り返される
遅くなった事と濡れて帰ってきた姿を見たら母はまた心配するだろう
不安に顔を曇らせると彼女の後ろからリザードンに乗り込むフリードは自分の上着を脱ぎだした
「さっさと連れていきたいが、まずは服の乾燥と冷えた体をなんとかしないとな……ウチに連れてくから風呂入ってけよ」
困ったように笑う彼は脱いだ上着をナマエへと頭から乱暴に被せ着させると、彼女を横向きにさせ自分の胸へと抱き寄せた
『あっ、あのっ!』
「いいから、今は俺をカイロとでも思って我慢してろ…リザードン!頼む」
リザードンに指示を出し空へと飛び上がった途端、ナマエの頬は小麦色の胸元へとぶつかってしまう
すぐに傾いた体を直そうとするがフリードがそれを許さず
肩を強く抱き寄せ自分の腕の中に閉じ込めた
『(……あったかい)』
トク、トク、と少し早めに鳴る心音
そして彼の肌の温もりとほんの少し香る煙草の匂い
たった一枚足されただけだが、冷えていた体にはフリードの服も肌の温もりと同じくとても温かく感じじんわりと気持ちを落ち着かせてくれた
ちらりと盗み見みしフリードを見上げるが彼は前だけを見ていて視線は合わなかった
白く長い前髪を風に揺らし
金色の垂れた目は美しくてナマエは頬が火照っていくのを感じ慌てて視線を下げる
『(優しい人だなぁ…フリードさんて)』
上半身裸になってまで服を貸してくれたフリード
優しさにまた違った涙が出そうになりナマエは大きな彼の服の中へと顔を埋め俯いた
***************
「えぇ、そうなんです…俺の仕事を手伝ってくれて…はい……連絡が遅れてすみませんでした」
ナマエを風呂に押し込んだフリードは軽く着替えすぐにスマホで彼女の家に連絡をいれた
勿論海で落とし物をずっと探していたなんて言えず、自分の仕事の手伝いをしていたら遅くなった事にしたが真実を聞くより大分ましだろう
「さて…何か温かい飲み物でも用意するか」
濡れた制服はリザードンが乾かしてくれている、後は体の奥から温める飲み物があれば大丈夫だろうとフリードはキッチンに立った
「あ〜食いもん何にもねぇ…ミルクがあるだけラッキーか」
ガリガリと頭をかきズボラな自分にため息を一つかく
すると浴室がある部屋の扉がゆっくりと開き小さな足音が聞こえてきた
足音は迷いながらもキッチンへと近寄りフリードは鍋でミルクを温めつつ表情を緩めた
『……あの、お風呂ありがとうございました』
「ああ、ちゃんと温まっ…たか?」
一瞬鍋をかき回す木べらを落としそうになった
彼女はフリードが用意した着替えを着てきたのだが、どうやら大きすぎたようだ
黒いロンTは大きさが合わず襟元から鎖骨と肩が見え隠れし、下はかろうじて太ももが隠れる程度だった
『フリードさん?』
「……おっおおっ!何でも無い!つーか服悪いなっ…デカかったな?」
慌てて我に帰った彼は乱暴に木べらで鍋をかき混ぜ視線をミルクへと落とした
そうしないと目が釘付けになり離れられなくなりそうだったからだ
「(やべっ…なんか見ちゃいけないもん見た気分だわ)」
別に彼は女性経験がないわけじゃない、それなりに付き合い経験もすませたが何故かナマエに対しては初めて女性という物を見たかのように緊張してしまい胸を高鳴らせた
『ホットミルクですか?でもなんか匂いがちょっと違う?』
「あ…ああ…少しアレンジしてシナモン入れたんだ、嫌いか?」
『ううん、好きです』
意識しないようにしたいというのに
フリードの隣に並んで鍋を覗き込む少女、先程より距離が縮まりフリードの鼻にボディーソープのいい香りが掠めた
いい匂いと隣からフリードの肌に感じる彼女の湯上がりの肌の気配
隣に並んだ事により見える白い首筋と髪の隙間から見える白いうなじに彼は喉を上下させてしまい顔を赤くした
『何か手伝いますか?』
「いんや?大丈夫だからソファで待ってな」
「(くっ、これ以上はお兄さんのお兄さんが暴れそうだからっ…頼むから大人しくしててくれ)」
嘘の笑顔を貼り付け彼女をリビングへと誘導し、フリードはまた木べらで鍋をゆっくりとかき回す
「(おいおいどうした俺?流石に未成年には手を出すなよ?欲求不満ならせめて後で抜いてやるから我慢してくれ)」
煩悩に悩まされつつ出来上がったホットミルクをマグカップに入れ彼女の待つソファへと近寄ると、彼女は甘えてくるリザードンの顎を優しく撫でて微笑んでいた
「珍しいな、リザードンから甘えるなんて」
『そうなんですか?』
「ああ、今まで自分から触らせる事はしたことないぜ?元々俺以外に触られるの嫌いでな…そう言えば最初お前をリザードンの背中に乗せる時も嫌がるかと思ったが大丈夫だったしナマエは特別なんだな」
『嫌がるかもしれないのにあたしを乗せてたんですか?』
「ん?まぁまぁ、それは置いといて」
湯気が上がるマグカップを彼女に渡し隣に腰掛け彼も同じ物を喉へと流し込んだ
言いたい事があったがナマエもミルクをゆっくりと一口頂き飲み込むと安堵のため息がふぅと小さく漏れ出た
『………美味しい』
「そりゃ良かった!」
ニカッと歯を出して笑うフリードに吊られナマエも小さく笑う
リザードンはソファから離れ床に寝そべり二人の邪魔をしないように気を使ってくれたようだ
デスクに押し付けていた頬を上げると一緒に貼り付いた紙が一枚カサリと音を立てて頬から離れ落ちる
シワができた紙を並べ直し、時計の針を見ればもうすぐ夕飯の時間だった
フリードは椅子から立ち上がり固まった筋肉を伸ばすように背骨を伸ばし大きく深呼吸を一つした
「っ、はぁぁ…どうもデスク仕事は合わないんだよなぁ」
研究報告書の山をうんざりと眺め顔を歪ませた彼は、外の空気でも吸おうとベランダから出る
ほんのりと冷えた風は気持ちよく、空は既に茜色から藍色へと変わる頃だった
フリードは夜が近づく空を眺めた後自然と隣の家に視線を向け、二階のナマエの自室がある窓を見つめ違和感を感じた
「アイツ…まだ帰ってないのか?」
今朝見た彼女の荷物からして寮生活ではなさそうだが、いくらなんでも女の子が一人で帰るには遅い
何処かへ寄り道してるのか
それとも何かあったのか
フリードはじっと暗い彼女の部屋の窓を見つめると無言のまま腰に下げていたボールを空へと投げた
グルル?
呼び出されたリザードンは何の用だと言うように彼を見つめるがフリードは顔を険しくさせ短い言葉だけを口にした
「リザードン、飛ぶぞ」
相棒のこんな切羽詰まった顔をリザードンは見たことがない
何か良くない事でもあったのかもしれないと感じ彼は言われるがままにフリードを背中に乗せ藍色の空へと飛び上がった
低い場所では小さな星が見え始め夜が水に溶かした絵の具のように広がっていく
逃げていく茜色の光りがまだ照らす海岸にフリードは探していた少女の影を見つけギョッと目を見開いた
「ナマエっっ!!」
彼女は制服のまま腰まで海水に浸かり俯いていた
遊んでいるわけでもなく、悲しげに海面を覗き込むような仕草をする彼女
フリードは海面ギリギリまでリザードンに近寄って貰うと自分の服が濡れるのも惜しまず海へと降り立ち同じように下半身を冷たい海水に濡らした
『……フリードさん?』
「何やってんだ!風邪ひくぞっ!」
バシャバシャと海水の中を走りながらナマエの元へと辿り着くが彼女は顔を曇らせ視線を逸らした
『大丈夫ですから…フリードさんは先に帰ってください』
チャプン…と音をさせ背中を向けようとする彼女にフリードは苛立ちナマエの手首を咄嗟に掴んだ
「何馬鹿な事言ってんだ!お前こんなにも手が冷たくなってるじゃないか…一体いつからこんな事してたんだ!」
長く海に浸かっていたのだろう
白い手首は冷たく彼女の唇もいつもより色が悪い
一刻も早く温かい所へ連れていきたいのに彼女は頷いてくれず、変わりにじんわりと顔を悲しみに歪め眉を八の字に下げさせた
『だってっ…あたしのっ…大事なヘアピンが…見つからないのっ』
「ヘアピン?落としたのか?」
そういえば今朝彼女は綺麗な色をしたヘアピンをしていた
だがフリードが改めて見れば確かに髪には何もついてない
『………違うけど…違わない』
遂にポロポロと涙を流しだした彼女は鼻をグズグズと鳴らしフリードも言葉を失った
いくら大切な物とは言え海で小さな物を探すのは無謀だ
波が連れ去ったかもしれない
もしかしたら砂に埋まったかもしれない
それでもきっと彼女は長い時間ここで探していたのだろう
たった一人で
『っ…ん……ひっ…どうしてもっ…諦められなくって…』
片手で涙が溢れる目元を擦り泣き続ける彼女、その間にも海は変わらず揺れ動き海水が二人の腰の上まで上がってきた
「……取り敢えず」
『っ、ひゃあ!』
突然フリードはナマエを抱き上げると肩に彼女を荷物のように担ぎ上げ浜辺へと向かいザブザブと波を踏み鳴らした
「今は早く陸に上がるぞ」
不安定な揺れに落ちないようにナマエは咄嗟にフリードの背中の服を掴み驚く
『フリードさんっ降ろしてください!あたしまだ探さなきゃっ』
「はいはい、分かったから今は落ち着けって」
暴れる足を彼は腕で抱き込むように抑えると聞く耳はもたんと言うように無視し陸を目指した
海水を含んだ服は重くダブダブのズボンは彼の肌に張り付き気持ち悪い
それでも嫌な顔一つせずフリードはリザードンを呼び濡れた彼女を相棒の背中へと乗せた
『……っ…家に行くの?』
家に送り返される
遅くなった事と濡れて帰ってきた姿を見たら母はまた心配するだろう
不安に顔を曇らせると彼女の後ろからリザードンに乗り込むフリードは自分の上着を脱ぎだした
「さっさと連れていきたいが、まずは服の乾燥と冷えた体をなんとかしないとな……ウチに連れてくから風呂入ってけよ」
困ったように笑う彼は脱いだ上着をナマエへと頭から乱暴に被せ着させると、彼女を横向きにさせ自分の胸へと抱き寄せた
『あっ、あのっ!』
「いいから、今は俺をカイロとでも思って我慢してろ…リザードン!頼む」
リザードンに指示を出し空へと飛び上がった途端、ナマエの頬は小麦色の胸元へとぶつかってしまう
すぐに傾いた体を直そうとするがフリードがそれを許さず
肩を強く抱き寄せ自分の腕の中に閉じ込めた
『(……あったかい)』
トク、トク、と少し早めに鳴る心音
そして彼の肌の温もりとほんの少し香る煙草の匂い
たった一枚足されただけだが、冷えていた体にはフリードの服も肌の温もりと同じくとても温かく感じじんわりと気持ちを落ち着かせてくれた
ちらりと盗み見みしフリードを見上げるが彼は前だけを見ていて視線は合わなかった
白く長い前髪を風に揺らし
金色の垂れた目は美しくてナマエは頬が火照っていくのを感じ慌てて視線を下げる
『(優しい人だなぁ…フリードさんて)』
上半身裸になってまで服を貸してくれたフリード
優しさにまた違った涙が出そうになりナマエは大きな彼の服の中へと顔を埋め俯いた
***************
「えぇ、そうなんです…俺の仕事を手伝ってくれて…はい……連絡が遅れてすみませんでした」
ナマエを風呂に押し込んだフリードは軽く着替えすぐにスマホで彼女の家に連絡をいれた
勿論海で落とし物をずっと探していたなんて言えず、自分の仕事の手伝いをしていたら遅くなった事にしたが真実を聞くより大分ましだろう
「さて…何か温かい飲み物でも用意するか」
濡れた制服はリザードンが乾かしてくれている、後は体の奥から温める飲み物があれば大丈夫だろうとフリードはキッチンに立った
「あ〜食いもん何にもねぇ…ミルクがあるだけラッキーか」
ガリガリと頭をかきズボラな自分にため息を一つかく
すると浴室がある部屋の扉がゆっくりと開き小さな足音が聞こえてきた
足音は迷いながらもキッチンへと近寄りフリードは鍋でミルクを温めつつ表情を緩めた
『……あの、お風呂ありがとうございました』
「ああ、ちゃんと温まっ…たか?」
一瞬鍋をかき回す木べらを落としそうになった
彼女はフリードが用意した着替えを着てきたのだが、どうやら大きすぎたようだ
黒いロンTは大きさが合わず襟元から鎖骨と肩が見え隠れし、下はかろうじて太ももが隠れる程度だった
『フリードさん?』
「……おっおおっ!何でも無い!つーか服悪いなっ…デカかったな?」
慌てて我に帰った彼は乱暴に木べらで鍋をかき混ぜ視線をミルクへと落とした
そうしないと目が釘付けになり離れられなくなりそうだったからだ
「(やべっ…なんか見ちゃいけないもん見た気分だわ)」
別に彼は女性経験がないわけじゃない、それなりに付き合い経験もすませたが何故かナマエに対しては初めて女性という物を見たかのように緊張してしまい胸を高鳴らせた
『ホットミルクですか?でもなんか匂いがちょっと違う?』
「あ…ああ…少しアレンジしてシナモン入れたんだ、嫌いか?」
『ううん、好きです』
意識しないようにしたいというのに
フリードの隣に並んで鍋を覗き込む少女、先程より距離が縮まりフリードの鼻にボディーソープのいい香りが掠めた
いい匂いと隣からフリードの肌に感じる彼女の湯上がりの肌の気配
隣に並んだ事により見える白い首筋と髪の隙間から見える白いうなじに彼は喉を上下させてしまい顔を赤くした
『何か手伝いますか?』
「いんや?大丈夫だからソファで待ってな」
「(くっ、これ以上はお兄さんのお兄さんが暴れそうだからっ…頼むから大人しくしててくれ)」
嘘の笑顔を貼り付け彼女をリビングへと誘導し、フリードはまた木べらで鍋をゆっくりとかき回す
「(おいおいどうした俺?流石に未成年には手を出すなよ?欲求不満ならせめて後で抜いてやるから我慢してくれ)」
煩悩に悩まされつつ出来上がったホットミルクをマグカップに入れ彼女の待つソファへと近寄ると、彼女は甘えてくるリザードンの顎を優しく撫でて微笑んでいた
「珍しいな、リザードンから甘えるなんて」
『そうなんですか?』
「ああ、今まで自分から触らせる事はしたことないぜ?元々俺以外に触られるの嫌いでな…そう言えば最初お前をリザードンの背中に乗せる時も嫌がるかと思ったが大丈夫だったしナマエは特別なんだな」
『嫌がるかもしれないのにあたしを乗せてたんですか?』
「ん?まぁまぁ、それは置いといて」
湯気が上がるマグカップを彼女に渡し隣に腰掛け彼も同じ物を喉へと流し込んだ
言いたい事があったがナマエもミルクをゆっくりと一口頂き飲み込むと安堵のため息がふぅと小さく漏れ出た
『………美味しい』
「そりゃ良かった!」
ニカッと歯を出して笑うフリードに吊られナマエも小さく笑う
リザードンはソファから離れ床に寝そべり二人の邪魔をしないように気を使ってくれたようだ