最終章
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「ネックレス…なくしたのか?」
『……なんでネックレスの事知ってるんですか』
「……それも忘れたのかよ」
静かになった治療室
フリードはモリーが腰掛けていた椅子に座り俯きながら自分の両手を持ち合わせた
正面に座っているのは確かに恋人のナマエだというのに…
コチラを見ようとしない様子にフリードは唇を強く噛み締めた
「今どんな感じなんだ?俺との記憶」
『え?…あ…正直に言うとあまりピンと来ない感じです、貴方を見てるとソワソワして…でも…ここが苦しくて』
記憶に残っているのはスピネルとの思い出、だが自分でもこの記憶が偽りなのは分かっている
自分の記憶に浮かぶ男性の顔
二重に重なる相手の顔がハッキリせずナマエも気になって落ち着かない
曖昧な状態だというのにフリードを見ると不思議と胸がドキドキとし、視線が合うと気不味いというのについ彼を見てしまう
自分で自分が分からない不安と思い出しくても思い出せないもどかしさにナマエは瞳を潤め、自分の膝上に置いた手で拳を作った
「そっか…また俺のせいだな」
『……どうして貴方のせいなんですか?』
「俺はお前を守ると約束した…なのに実際は全然守れてねぇ」
フリードは持ち合わせていた手を強く握るとつらそうに眉を寄せた
「パルデアでお前が虐めにあっていた事も知らなかった…旅に出れば金を稼ぐ為とは言え危ない事をさせちまった…まああれは不本意だが」
苦笑いした彼はその後も話しを続け今までの事を思い出すように呟いた
「別行動すりゃ怪我させて嵐に会ったり…全然彼氏らしい事もできなくて悪かったな」
『………』
聞かされた内容は上書きされたスピネルとの思い出に亀裂を作り、違和感が増していく
ヘアピンを探していた時、海辺に現れたのは本当にスピネルだっただろうか?
旅に出てお金を稼ぐ為に暴走した時
怒ってくれたのは金色の瞳だった
嵐の後茂みで再会しキスをしたのは
リザードンに乗って大空を気持ち良さそうに飛んだのは…
ガラスにヒビが入るようにスピネルとの記憶が脆くなっていく
違和感と自分の中に溢れ出す不思議な温かい気持ちに驚き、フリードへと視線を向け直した
「………でもよ」
やっと顔をあげた彼は目の前のナマエへと手を伸ばすと拳を作る手の甲に自分の手を重ねた
触れた瞬間彼女はビクンッと体を震わせたが、フリードは離れず逆に強くその手を握りしめる
「お前が記憶をなくそうが誰か別のヤツを好きになろうが俺はお前を手放せない…誰にも渡したくない」
「愛してる」
胸の奥にストンと落ちてきた愛の言葉はどんな嘘も溶かしていきスピネルとの記憶が消えていく
代わりに溢れ出す愛にナマエはあどけない顔のままぽろぽろと泣き出し、頰から顎へと伝い落ちた涙はフリードの手の甲へと落ちた
金色の瞳は美しく輝き
もっと見ていたいのに涙で視界が歪む
『あ…ぁぁ…っ…フリードさ…あたしっ…』
「ナマエ?」
『あたしもっ…ひっ…あい…あいひて…っ…ひっ…っ、ネックレス…ごめんっ…うわぁぁぁんっ』
無理矢理抑えられていた愛しさ
苦しかった感情が洪水のように溢れ出し嬉しさとネックレスをなくしてしまった悲しみで涙が止まらない
スピネルのかけた催眠は本来ならばまだ続く程強い物だった
だがフリードとの愛が心にかけられた呪いを解き放ち記憶を取り戻せた
「いいんだ…お前が無事ならネックレスはお守りの役目を果たせたさ」
子供のように泣き出した彼女の声は外にも聞こえ仲間達は慌てて治療室に入るが、そこで見たものは泣きじゃくるナマエを強く抱きしめ微笑むフリードの姿だった
「フリード…ナマエは」
モリーが不安気に聞くとフリードは嬉しそうに瞳を細め白い歯を見せて笑った
「ああ!記憶が戻ったぞ!」
「っ!ナマエ!!」
モリーの喜びの声を合図に仲間達はフリードごとナマエに抱き着き喜びを分かち合った
マードックは自分の事のように大泣きしオリオとモリーは早くナマエを寄越せとフリードと喧嘩する
その隙にリコやロイ、そしてドットがナマエに抱き着き嬉しそうに涙を滲ませた
その様子を嬉しそうに眺めるランドウもまた静かに目元を拭い、ポケモン達も集まり喜びに鳴き声をあげ狭い治療室は賑やかになった
色々な事が起こったパルデアでの時間、後日ナマエはフリードと共に自分を探してくれたペパー達の元へ顔を出し感謝を伝えた
全ては怪我をしながらもフリードに連絡したペパーのお陰だ
『ありがとうございます!先輩がいなかったらきっとあたしはこうして皆に会えませんでした!』
「……どうってことねぇよ、俺らダチだろ?」
ニカッと笑うペパーの笑顔は心からの笑顔だろう
ネモとボタンもまた嬉しそうにナマエと抱き合い女達だけで話が盛り上がりだすと、フリードはペパーの隣に移動しこっそりと声をかけた
「サンキューな、お前のお陰で船を特定できた…貸しができたのは嫌だが本当に感謝してるぜ」
「ふん!ナマエの為にやっただけだ!おっさんの為じゃねぇし」
「……ハッ、可愛くねぇガキだな」
お互いにニヤリと笑い合う男達の会話を知らないナマエ達
一通り再会を楽しむとフリードはナマエをリザードンに乗せ空高く飛び上がった
パルデアを見回しキャップと出会った丘へ着く頃には辺りは茜色に染まっており草原がほんのりと光り輝いている
朝日と見間違える程柔らかい太陽の光を浴びながら二人は丘から海を眺める為にリザードンから降りると、暫く茜色の光を浴びた海を見つめた
旅に出るきっかけの場所
それは始まりの場所だ
ここでキャップの見た世界を知って冒険に出る事を決意し、年の離れたナマエへ告白する勇気を貰えた
今回もフリードは勇気を貰う為にこの丘を選んだ
「ナマエ」
突然声をかけられたナマエは風になびく髪を耳にかけながらフリードへと振り向いた
いつもより真剣な顔つき
じっとコチラを見るフリードは頭の上に着けていたゴーグルを取りその場に片膝をつけた
『フリードさん?』
戸惑う彼女の左手をそっと下から支えフリードは一度目を瞑り何かを決意すると、ゆっくりと顔をあげ金色の瞳に力を入れ直した
「お前に会ってから俺は随分変わった…博士なんて周りに言われていい気になって毎日がどこか面倒でつまらなかった」
「でも…ナマエに会って俺は誰かを想う気持ちを知った、いつも新しい発見があってどんどん新しい自分を見つけていった」
「一人の女の事ばかり考えて心配したり嫉妬したり喜んだり、そのうちお前の目に映る自分の事が気になってこのまま腐ってたら駄目だって気がついた」
「俺は…お前を大事にしたいしずっと側にいたいと思ってる」
フリードは彼女の手の甲にキスをするとゆっくりと手を離し、自分の懐から小さな箱を取りだした
『えっ…フリードさんっ?』
まさかと思った
その予想は当たりフリードの手の中で開かれた小箱の中にはお揃いの指輪が入っていた
「永遠なんてナマエは信じられないかもしれない…俺のいい加減なとこが嫌になるかもしれない!それでも俺はお前を愛し続ける自信がある!」
『あ…っ…』
「ナマエ」
茜色の太陽の光のせいだろうか
フリードの頬はほんのりと赤く金色の瞳は色濃くなっていた
「俺と将来の約束をして欲しい」
「俺だけの物になってくれ」
まだ大人になったばかりの彼女にこの約束は重いかもしれない
若い彼女を束縛する事になるがフリードはそれでも引く事はできなかった
今までの不安や恋敵達との事を考えた結果、フリードはフラれようと彼女を愛し抜く決意を知ってもらおうと勇気を出した
じっとこちらを見上げるフリード
今度はナマエが勇気を出す番だ
『…っ、ぁ…っ…』
口が震えてしまう
ドクドクと痛いほど鳴る心音と熱くなる顔、苦しくて息をするのがやっとだったが…ナマエは短い呼吸を繰り返し必死に気持ちを伝える
『ひゃ…っ…ひゃいっ、んっ…はいっ、あたしもっ…フリードさんとずっと一緒にいたいっ』
噛みながらも必死に伝え終わるとフリードは一瞬驚き目を見開くが、次の瞬間勢いよく立ち上がると
「っっ!!しゃぁぁぁ!!!」
丘の上から響き渡る程大きな声をあげガッツポーズをしだした
喜びを体中から溢れさせた彼は小箱から指輪を取り出すとナマエの左手を優しく支え確認を込めて彼女を見つめた
「いいか?」
『ぅ…うん』
了解を得た彼は嬉しそうに指輪を薬指へと通し、茜色の光を浴びた指輪は美しく光を反射させた
「俺にも」
言われるがままにフリードの浅黒い指にも指輪を通していく
緊張気味でぎこちなく指輪を嵌め終わると二人はどちらとなくを手を繋ぎ額を擦り付け合った
「ハハッ…やべぇ…すっげぇ嬉しいし愛してるって気持ちが爆発してる」
『あたしもっ…嬉しいしもっともっとフリードさんと冒険したり笑ったりして…貴方をもっと知りたい』
ゆっくりと離した額
お互いを見つめるとフリードは背中を少し屈め顔を静かに傾けた
「俺も…もっとお前を知りたい…お互いにこれからも知っていこう、ずっと一緒に」
『うん………ずっと、一緒に』
ゆっくりと触れ合った唇
二人の影は一つになり夕日が温かい二人を祝福するように照らした
冒険の始まりの場所は二人にとっても新たな始まりの場所となった
旅はまだまだ途中で、式をあげる事はできないが二人はお守りの意味も込めて指輪を常に薬指につけていた
時折フリードは彼女をからかうように自分の指輪にキスをして見せ、顔を赤くしたナマエと追いかけっこしたりする姿が仲間達に目撃された
将来を誓いあったが普段の彼らは変わらずまだ若い恋人同士だ
これから何が起こるか分からないが
きっとこの指輪がお守りとなり二人の心を繋げてくれるだろう
「そう怒るなって、ほらこれでも食って機嫌直せよ」
『もう!いっつもモモンの実で騙すんだから!』
「でもそれ好きだろ?俺の次に」
『〜〜っ!知りませんっ!』
ケラケラ笑うフリードは頰を膨らませるナマエの頬にキスを贈り、怒っていた彼女も応えるように顔を少しあげ
フリードは嬉しそうにそこへ自分の唇を重ねた
甘い甘いモモンの実
二人で食べる実はいつもより甘く幸せな気持ちにさせてくれた
『……なんでネックレスの事知ってるんですか』
「……それも忘れたのかよ」
静かになった治療室
フリードはモリーが腰掛けていた椅子に座り俯きながら自分の両手を持ち合わせた
正面に座っているのは確かに恋人のナマエだというのに…
コチラを見ようとしない様子にフリードは唇を強く噛み締めた
「今どんな感じなんだ?俺との記憶」
『え?…あ…正直に言うとあまりピンと来ない感じです、貴方を見てるとソワソワして…でも…ここが苦しくて』
記憶に残っているのはスピネルとの思い出、だが自分でもこの記憶が偽りなのは分かっている
自分の記憶に浮かぶ男性の顔
二重に重なる相手の顔がハッキリせずナマエも気になって落ち着かない
曖昧な状態だというのにフリードを見ると不思議と胸がドキドキとし、視線が合うと気不味いというのについ彼を見てしまう
自分で自分が分からない不安と思い出しくても思い出せないもどかしさにナマエは瞳を潤め、自分の膝上に置いた手で拳を作った
「そっか…また俺のせいだな」
『……どうして貴方のせいなんですか?』
「俺はお前を守ると約束した…なのに実際は全然守れてねぇ」
フリードは持ち合わせていた手を強く握るとつらそうに眉を寄せた
「パルデアでお前が虐めにあっていた事も知らなかった…旅に出れば金を稼ぐ為とは言え危ない事をさせちまった…まああれは不本意だが」
苦笑いした彼はその後も話しを続け今までの事を思い出すように呟いた
「別行動すりゃ怪我させて嵐に会ったり…全然彼氏らしい事もできなくて悪かったな」
『………』
聞かされた内容は上書きされたスピネルとの思い出に亀裂を作り、違和感が増していく
ヘアピンを探していた時、海辺に現れたのは本当にスピネルだっただろうか?
旅に出てお金を稼ぐ為に暴走した時
怒ってくれたのは金色の瞳だった
嵐の後茂みで再会しキスをしたのは
リザードンに乗って大空を気持ち良さそうに飛んだのは…
ガラスにヒビが入るようにスピネルとの記憶が脆くなっていく
違和感と自分の中に溢れ出す不思議な温かい気持ちに驚き、フリードへと視線を向け直した
「………でもよ」
やっと顔をあげた彼は目の前のナマエへと手を伸ばすと拳を作る手の甲に自分の手を重ねた
触れた瞬間彼女はビクンッと体を震わせたが、フリードは離れず逆に強くその手を握りしめる
「お前が記憶をなくそうが誰か別のヤツを好きになろうが俺はお前を手放せない…誰にも渡したくない」
「愛してる」
胸の奥にストンと落ちてきた愛の言葉はどんな嘘も溶かしていきスピネルとの記憶が消えていく
代わりに溢れ出す愛にナマエはあどけない顔のままぽろぽろと泣き出し、頰から顎へと伝い落ちた涙はフリードの手の甲へと落ちた
金色の瞳は美しく輝き
もっと見ていたいのに涙で視界が歪む
『あ…ぁぁ…っ…フリードさ…あたしっ…』
「ナマエ?」
『あたしもっ…ひっ…あい…あいひて…っ…ひっ…っ、ネックレス…ごめんっ…うわぁぁぁんっ』
無理矢理抑えられていた愛しさ
苦しかった感情が洪水のように溢れ出し嬉しさとネックレスをなくしてしまった悲しみで涙が止まらない
スピネルのかけた催眠は本来ならばまだ続く程強い物だった
だがフリードとの愛が心にかけられた呪いを解き放ち記憶を取り戻せた
「いいんだ…お前が無事ならネックレスはお守りの役目を果たせたさ」
子供のように泣き出した彼女の声は外にも聞こえ仲間達は慌てて治療室に入るが、そこで見たものは泣きじゃくるナマエを強く抱きしめ微笑むフリードの姿だった
「フリード…ナマエは」
モリーが不安気に聞くとフリードは嬉しそうに瞳を細め白い歯を見せて笑った
「ああ!記憶が戻ったぞ!」
「っ!ナマエ!!」
モリーの喜びの声を合図に仲間達はフリードごとナマエに抱き着き喜びを分かち合った
マードックは自分の事のように大泣きしオリオとモリーは早くナマエを寄越せとフリードと喧嘩する
その隙にリコやロイ、そしてドットがナマエに抱き着き嬉しそうに涙を滲ませた
その様子を嬉しそうに眺めるランドウもまた静かに目元を拭い、ポケモン達も集まり喜びに鳴き声をあげ狭い治療室は賑やかになった
色々な事が起こったパルデアでの時間、後日ナマエはフリードと共に自分を探してくれたペパー達の元へ顔を出し感謝を伝えた
全ては怪我をしながらもフリードに連絡したペパーのお陰だ
『ありがとうございます!先輩がいなかったらきっとあたしはこうして皆に会えませんでした!』
「……どうってことねぇよ、俺らダチだろ?」
ニカッと笑うペパーの笑顔は心からの笑顔だろう
ネモとボタンもまた嬉しそうにナマエと抱き合い女達だけで話が盛り上がりだすと、フリードはペパーの隣に移動しこっそりと声をかけた
「サンキューな、お前のお陰で船を特定できた…貸しができたのは嫌だが本当に感謝してるぜ」
「ふん!ナマエの為にやっただけだ!おっさんの為じゃねぇし」
「……ハッ、可愛くねぇガキだな」
お互いにニヤリと笑い合う男達の会話を知らないナマエ達
一通り再会を楽しむとフリードはナマエをリザードンに乗せ空高く飛び上がった
パルデアを見回しキャップと出会った丘へ着く頃には辺りは茜色に染まっており草原がほんのりと光り輝いている
朝日と見間違える程柔らかい太陽の光を浴びながら二人は丘から海を眺める為にリザードンから降りると、暫く茜色の光を浴びた海を見つめた
旅に出るきっかけの場所
それは始まりの場所だ
ここでキャップの見た世界を知って冒険に出る事を決意し、年の離れたナマエへ告白する勇気を貰えた
今回もフリードは勇気を貰う為にこの丘を選んだ
「ナマエ」
突然声をかけられたナマエは風になびく髪を耳にかけながらフリードへと振り向いた
いつもより真剣な顔つき
じっとコチラを見るフリードは頭の上に着けていたゴーグルを取りその場に片膝をつけた
『フリードさん?』
戸惑う彼女の左手をそっと下から支えフリードは一度目を瞑り何かを決意すると、ゆっくりと顔をあげ金色の瞳に力を入れ直した
「お前に会ってから俺は随分変わった…博士なんて周りに言われていい気になって毎日がどこか面倒でつまらなかった」
「でも…ナマエに会って俺は誰かを想う気持ちを知った、いつも新しい発見があってどんどん新しい自分を見つけていった」
「一人の女の事ばかり考えて心配したり嫉妬したり喜んだり、そのうちお前の目に映る自分の事が気になってこのまま腐ってたら駄目だって気がついた」
「俺は…お前を大事にしたいしずっと側にいたいと思ってる」
フリードは彼女の手の甲にキスをするとゆっくりと手を離し、自分の懐から小さな箱を取りだした
『えっ…フリードさんっ?』
まさかと思った
その予想は当たりフリードの手の中で開かれた小箱の中にはお揃いの指輪が入っていた
「永遠なんてナマエは信じられないかもしれない…俺のいい加減なとこが嫌になるかもしれない!それでも俺はお前を愛し続ける自信がある!」
『あ…っ…』
「ナマエ」
茜色の太陽の光のせいだろうか
フリードの頬はほんのりと赤く金色の瞳は色濃くなっていた
「俺と将来の約束をして欲しい」
「俺だけの物になってくれ」
まだ大人になったばかりの彼女にこの約束は重いかもしれない
若い彼女を束縛する事になるがフリードはそれでも引く事はできなかった
今までの不安や恋敵達との事を考えた結果、フリードはフラれようと彼女を愛し抜く決意を知ってもらおうと勇気を出した
じっとこちらを見上げるフリード
今度はナマエが勇気を出す番だ
『…っ、ぁ…っ…』
口が震えてしまう
ドクドクと痛いほど鳴る心音と熱くなる顔、苦しくて息をするのがやっとだったが…ナマエは短い呼吸を繰り返し必死に気持ちを伝える
『ひゃ…っ…ひゃいっ、んっ…はいっ、あたしもっ…フリードさんとずっと一緒にいたいっ』
噛みながらも必死に伝え終わるとフリードは一瞬驚き目を見開くが、次の瞬間勢いよく立ち上がると
「っっ!!しゃぁぁぁ!!!」
丘の上から響き渡る程大きな声をあげガッツポーズをしだした
喜びを体中から溢れさせた彼は小箱から指輪を取り出すとナマエの左手を優しく支え確認を込めて彼女を見つめた
「いいか?」
『ぅ…うん』
了解を得た彼は嬉しそうに指輪を薬指へと通し、茜色の光を浴びた指輪は美しく光を反射させた
「俺にも」
言われるがままにフリードの浅黒い指にも指輪を通していく
緊張気味でぎこちなく指輪を嵌め終わると二人はどちらとなくを手を繋ぎ額を擦り付け合った
「ハハッ…やべぇ…すっげぇ嬉しいし愛してるって気持ちが爆発してる」
『あたしもっ…嬉しいしもっともっとフリードさんと冒険したり笑ったりして…貴方をもっと知りたい』
ゆっくりと離した額
お互いを見つめるとフリードは背中を少し屈め顔を静かに傾けた
「俺も…もっとお前を知りたい…お互いにこれからも知っていこう、ずっと一緒に」
『うん………ずっと、一緒に』
ゆっくりと触れ合った唇
二人の影は一つになり夕日が温かい二人を祝福するように照らした
冒険の始まりの場所は二人にとっても新たな始まりの場所となった
旅はまだまだ途中で、式をあげる事はできないが二人はお守りの意味も込めて指輪を常に薬指につけていた
時折フリードは彼女をからかうように自分の指輪にキスをして見せ、顔を赤くしたナマエと追いかけっこしたりする姿が仲間達に目撃された
将来を誓いあったが普段の彼らは変わらずまだ若い恋人同士だ
これから何が起こるか分からないが
きっとこの指輪がお守りとなり二人の心を繋げてくれるだろう
「そう怒るなって、ほらこれでも食って機嫌直せよ」
『もう!いっつもモモンの実で騙すんだから!』
「でもそれ好きだろ?俺の次に」
『〜〜っ!知りませんっ!』
ケラケラ笑うフリードは頰を膨らませるナマエの頬にキスを贈り、怒っていた彼女も応えるように顔を少しあげ
フリードは嬉しそうにそこへ自分の唇を重ねた
甘い甘いモモンの実
二人で食べる実はいつもより甘く幸せな気持ちにさせてくれた