最終章
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どうして邪魔をするんでしょうね
私はただ貴女とゆっくりと過ごしたいだけだというのに
動き出した船の中に記憶を取り戻しロイ達と合流したリコが乗り込んできた
彼らはトレーナーになったばかりなのだろう、技の構成も戦い方も上手くなくスピネルはモニター越しにバトルをし余裕ぶっていた
「貴重な時間を奪った罰です…せいぜい無様に泣いてください」
ペンダントの入ったケースと共に改造された車の隅っこに寝かされたナマエ
眠る中、彼女は不思議な声を聞いていた
それはペンダントから聞こえた不思議な声だった、何を言っているかまではハッキリとは分からないが自分をここから助けてくれと言っているようだった
『(…助けなきゃ)』
勝手に体が反応し目を覚ます
起きた彼女はすぐ側に置かれてきたケースからペンダントを取り出すとモニターを眺めていたスピネルから逃げようと忍び足で動いた
だが、彼女の気配に気が付かない程スピネルも鈍感ではない
「どちらへ行かれるんです?」
『!』
背中を向けたまま問いかけた彼はゆっくりと立ち上がりナマエに振り返った
彼女の手に握られたペンダントと不安そうにコチラを見る顔にスピネルはわざとらしく肩を揺らして笑う
「イタズラっ子ですね、そんな貴女も悪くないですが…私は素直な子の方が好みです」
『っ、来ないでっ!』
「おや?オーベムの催眠が弱かったですかね?もっと違うやり方にしましょうか?催眠ではなく…ああ、メロメロなんていいかもしれませんね」
彼が何を言っているのか分からない
頭の中もまだぐちゃぐちゃだ
何が正しくて何が間違いか分からないが、胸に抱きしめたペンダントの助けを求める声だけは本物に感じた
『貴方が分からない…何がしたいのか…何が本当の目的なのか』
ジリジリと扉を確認しつつ移動するとスピネルは妖しく微笑み
「私は貴方の恋人です、貴女だって覚えているでしょう?私との時間を」
『違うっ!これは…あたしの本当の記憶じゃ…』
思い出そうとするが彼との事しかを浮かばない
オーベムの力は強くフリードとの日々までスピネルの存在に上書きされていた
ライジングボルテッカーズとして旅をしたのではなく、スピネルと旅をした記憶
恋をし結ばれた記憶まで操作されナマエはまた酷い頭痛に悩まされる
「……何故そうまでして否定するんですか?私の何があの男に劣っていると言うんです」
『(……あの男?誰の…こと…?)』
思い出せない白髪の人
金色の瞳が記憶の中にちらつきながらも思い出せない
咄嗟に自分の首元に触れるがそこにあるべきネックレスはなく、何も掴めなかった手に妙な違和感を覚えた
『(ここに…大切な物が…あったような)』
「さあ、私の手をとって…ペンダントと一緒に共に来なさい」
『っ、いやっ!!』
その瞬間だった
リコのペンダントが強い光を放ち辺りを眩しい光が包んだ
『っっ!!』
「くっ!なんだこれはっ!!」
眩しい光は車の外まで漏れ出し夜空にまで届いた
スピネルが動けない隙を狙い外へと飛び出したナマエはバランスを崩し転んでしまい、その後ろをふらついたスピネルが追いかけてきた
「ナマエっどこへ行くつもりですかっ…貴女は…私とっ」
『あたしは…貴方の物にはなりません!』
迫りくるスピネルの手
恐怖を感じつつナマエは叫ぶように自分の心を解き放つ
『あの人しか愛せません!』
あと少しでスピネルの手が彼女に届く、身構えたナマエは目を強く瞑るが待っていても彼の手が触れる事はなかった
どうしたのかと瞳を開けると
目の前には緑色の葉っぱが…
『お…オリーヴァ!ドラパルト!』
それは巨大なオリーヴァとドラパルトだった
古のモンスターボールに入っていたオリーヴァはペンダントの光に反応しナマエを守るために出てきてくれたようだ
ドラパルトもまた彼女を見つけ出し嬉しそうに額を擦り付けドラメシヤ達も泣きながら擦り寄ってきた
『皆…ありがとうっ』
「ナマエ!大丈夫!」
オリーヴァの側にはリコもおり彼女が近寄るとナマエが握っていたペンダントがより一層輝きを増した
リコに反応するペンダントにスピネルは気が付き、手を伸ばそうとするがオリーヴァに睨まれブラッキーにまで止められる
「(あぁ…知りたいっ…そのペンダントの鍵となるリコを…そして…ナマエをもっと!)」
だがスピネルの手が届く前にオリーヴァはリコ達とナマエを抱き上げ海へと逃げてしまった
一人残されたスピネルはぼんやりと小さくなっていくナマエを見つめ、ふと先程の強い彼女の叫びを思い出す
スピネルの事は愛せない
そう叫んだ彼女を思い出すとスピネルの背筋にゾクゾクといった物が走り、彼はうっとりとそれでいて歪んだ笑みを浮べ自分自身を強く抱きしめた
「あぁ…やはり…貴女が欲しいっ」
あれ程催眠をかけ記憶を上書きしたというのに手に入らなかった彼女の心
もしも自分が彼女に愛されたなら
どれほど満たされるだろう
もしくは…
他の男を想いながら自分に抱かれたらナマエはどんな顔を見せてくれるだろうか
「ふふっ…ナマエっ…貴女を心から愛してます!次こそ…私の物に!」
歪んだ愛を知ってしまったスピネルはまだ彼女を諦めきれないようだ
***************
「……記憶障害だね」
飛行船に戻ったナマエはモリーに診てもらった
リコ同様記憶をいじられており、まだ思い出せない部分がある
スピネルの仕業だ
彼はリコの時よりも強く彼女に暗示をかけていたらしく、まだ偽りの記憶が混ざっている
恋人であるフリードへの恋心を自分に無理矢理向けようとしたのだろう
その爪痕はすぐには消えなかった
壁に背中を押し付け腕を組み合わせながら診断結果を聞いていたフリードは悔しそうに顔を歪め、怒りに自分の腕を強く握りしめた
『戻らないんですか?』
「大丈夫、個人差はあるけど時間が立てば戻るから心配しないで」
モリーは彼女を心配させまいと頭を優しく撫でてくれた
他の仲間達も心配そうに見つめ励ましの言葉をかけてくれるがフリードは黙ったままだ
「フリードも、そんなこれから人を殺すような顔しないで…側にいてやんな」
「…………分かってる」
モリーに言われ漸く壁から背中を離した彼はナマエを見つめるが彼女は気不味そうに視線を彷徨わせた
「皆…悪いが二人にしてくれないか?」
フリードの願いにより一人、また一人と治療室を後にし最後に部屋を出ようとしたモリーは一度振り返り二人を見つめた
「本当に大丈夫?」
最後の確認で問いかけるとナマエは弱々しく微笑み、フリードも黙り込んだまま頷いた
どちらも不安げな暗い顔をしている
だがこればっかりは恋人である二人の問題だ
記憶を戻す為にも今は二人にするべきだと考え直したモリーは静かに治療室の扉を閉め
ナマエは不安にかられ首元に手を伸ばすがそこにあるべきネックレスはもうなかった
私はただ貴女とゆっくりと過ごしたいだけだというのに
動き出した船の中に記憶を取り戻しロイ達と合流したリコが乗り込んできた
彼らはトレーナーになったばかりなのだろう、技の構成も戦い方も上手くなくスピネルはモニター越しにバトルをし余裕ぶっていた
「貴重な時間を奪った罰です…せいぜい無様に泣いてください」
ペンダントの入ったケースと共に改造された車の隅っこに寝かされたナマエ
眠る中、彼女は不思議な声を聞いていた
それはペンダントから聞こえた不思議な声だった、何を言っているかまではハッキリとは分からないが自分をここから助けてくれと言っているようだった
『(…助けなきゃ)』
勝手に体が反応し目を覚ます
起きた彼女はすぐ側に置かれてきたケースからペンダントを取り出すとモニターを眺めていたスピネルから逃げようと忍び足で動いた
だが、彼女の気配に気が付かない程スピネルも鈍感ではない
「どちらへ行かれるんです?」
『!』
背中を向けたまま問いかけた彼はゆっくりと立ち上がりナマエに振り返った
彼女の手に握られたペンダントと不安そうにコチラを見る顔にスピネルはわざとらしく肩を揺らして笑う
「イタズラっ子ですね、そんな貴女も悪くないですが…私は素直な子の方が好みです」
『っ、来ないでっ!』
「おや?オーベムの催眠が弱かったですかね?もっと違うやり方にしましょうか?催眠ではなく…ああ、メロメロなんていいかもしれませんね」
彼が何を言っているのか分からない
頭の中もまだぐちゃぐちゃだ
何が正しくて何が間違いか分からないが、胸に抱きしめたペンダントの助けを求める声だけは本物に感じた
『貴方が分からない…何がしたいのか…何が本当の目的なのか』
ジリジリと扉を確認しつつ移動するとスピネルは妖しく微笑み
「私は貴方の恋人です、貴女だって覚えているでしょう?私との時間を」
『違うっ!これは…あたしの本当の記憶じゃ…』
思い出そうとするが彼との事しかを浮かばない
オーベムの力は強くフリードとの日々までスピネルの存在に上書きされていた
ライジングボルテッカーズとして旅をしたのではなく、スピネルと旅をした記憶
恋をし結ばれた記憶まで操作されナマエはまた酷い頭痛に悩まされる
「……何故そうまでして否定するんですか?私の何があの男に劣っていると言うんです」
『(……あの男?誰の…こと…?)』
思い出せない白髪の人
金色の瞳が記憶の中にちらつきながらも思い出せない
咄嗟に自分の首元に触れるがそこにあるべきネックレスはなく、何も掴めなかった手に妙な違和感を覚えた
『(ここに…大切な物が…あったような)』
「さあ、私の手をとって…ペンダントと一緒に共に来なさい」
『っ、いやっ!!』
その瞬間だった
リコのペンダントが強い光を放ち辺りを眩しい光が包んだ
『っっ!!』
「くっ!なんだこれはっ!!」
眩しい光は車の外まで漏れ出し夜空にまで届いた
スピネルが動けない隙を狙い外へと飛び出したナマエはバランスを崩し転んでしまい、その後ろをふらついたスピネルが追いかけてきた
「ナマエっどこへ行くつもりですかっ…貴女は…私とっ」
『あたしは…貴方の物にはなりません!』
迫りくるスピネルの手
恐怖を感じつつナマエは叫ぶように自分の心を解き放つ
『あの人しか愛せません!』
あと少しでスピネルの手が彼女に届く、身構えたナマエは目を強く瞑るが待っていても彼の手が触れる事はなかった
どうしたのかと瞳を開けると
目の前には緑色の葉っぱが…
『お…オリーヴァ!ドラパルト!』
それは巨大なオリーヴァとドラパルトだった
古のモンスターボールに入っていたオリーヴァはペンダントの光に反応しナマエを守るために出てきてくれたようだ
ドラパルトもまた彼女を見つけ出し嬉しそうに額を擦り付けドラメシヤ達も泣きながら擦り寄ってきた
『皆…ありがとうっ』
「ナマエ!大丈夫!」
オリーヴァの側にはリコもおり彼女が近寄るとナマエが握っていたペンダントがより一層輝きを増した
リコに反応するペンダントにスピネルは気が付き、手を伸ばそうとするがオリーヴァに睨まれブラッキーにまで止められる
「(あぁ…知りたいっ…そのペンダントの鍵となるリコを…そして…ナマエをもっと!)」
だがスピネルの手が届く前にオリーヴァはリコ達とナマエを抱き上げ海へと逃げてしまった
一人残されたスピネルはぼんやりと小さくなっていくナマエを見つめ、ふと先程の強い彼女の叫びを思い出す
スピネルの事は愛せない
そう叫んだ彼女を思い出すとスピネルの背筋にゾクゾクといった物が走り、彼はうっとりとそれでいて歪んだ笑みを浮べ自分自身を強く抱きしめた
「あぁ…やはり…貴女が欲しいっ」
あれ程催眠をかけ記憶を上書きしたというのに手に入らなかった彼女の心
もしも自分が彼女に愛されたなら
どれほど満たされるだろう
もしくは…
他の男を想いながら自分に抱かれたらナマエはどんな顔を見せてくれるだろうか
「ふふっ…ナマエっ…貴女を心から愛してます!次こそ…私の物に!」
歪んだ愛を知ってしまったスピネルはまだ彼女を諦めきれないようだ
***************
「……記憶障害だね」
飛行船に戻ったナマエはモリーに診てもらった
リコ同様記憶をいじられており、まだ思い出せない部分がある
スピネルの仕業だ
彼はリコの時よりも強く彼女に暗示をかけていたらしく、まだ偽りの記憶が混ざっている
恋人であるフリードへの恋心を自分に無理矢理向けようとしたのだろう
その爪痕はすぐには消えなかった
壁に背中を押し付け腕を組み合わせながら診断結果を聞いていたフリードは悔しそうに顔を歪め、怒りに自分の腕を強く握りしめた
『戻らないんですか?』
「大丈夫、個人差はあるけど時間が立てば戻るから心配しないで」
モリーは彼女を心配させまいと頭を優しく撫でてくれた
他の仲間達も心配そうに見つめ励ましの言葉をかけてくれるがフリードは黙ったままだ
「フリードも、そんなこれから人を殺すような顔しないで…側にいてやんな」
「…………分かってる」
モリーに言われ漸く壁から背中を離した彼はナマエを見つめるが彼女は気不味そうに視線を彷徨わせた
「皆…悪いが二人にしてくれないか?」
フリードの願いにより一人、また一人と治療室を後にし最後に部屋を出ようとしたモリーは一度振り返り二人を見つめた
「本当に大丈夫?」
最後の確認で問いかけるとナマエは弱々しく微笑み、フリードも黙り込んだまま頷いた
どちらも不安げな暗い顔をしている
だがこればっかりは恋人である二人の問題だ
記憶を戻す為にも今は二人にするべきだと考え直したモリーは静かに治療室の扉を閉め
ナマエは不安にかられ首元に手を伸ばすがそこにあるべきネックレスはもうなかった