最終章
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夜空に星が浮かぶ頃
フリードは家の前に着くと手に握りしめた小さな箱を見下ろし笑みを浮かべた
「………よしっ」
気合いを入れ直し、小箱を上着のポケットにしまうと少々緊張気味に家の中へと入り寝室を目指した
「ナマエ、話が……ん?」
だが寝室はもぬけの殻だ
シーツに手をつけてみると温もりはなく彼女が起きて随分時間が経っているようだった
「ナマエ〜どこだ?」
シャワーだろうか?
家中を探すが彼女の気配はない
ならばと窓から隣の家…ナマエの家の二階を眺めるが彼女の部屋の明かりはついていない
「どこいったんだ?」
頭をかきながら片眉を吊り上げるとスマホが煩く鳴り出した
嫌な予感を感じつつ出ればオリオが慌てた様子で映る
【フリード!リコ知らない?】
「リコ?」
【買い物に行ったきり帰ってこないんだよ!ロイが言うにはスパイスを買いに行ったらしいんだけど…連絡がつかないの】
「(リコまで…まさかナマエも?)」
フリードは直ぐ様ベランダに飛び出すと手すりに足をかけ飛び降りる
同時にボールからリザードンを呼び出し相棒の背中に乗るとナマエから預かっていたボールを一つ投げた
出てきたドラパルトは呼び出したのがナマエではない事に気が付き不思議そうにフリードを見つめる
「ナマエとリコが行方不明なんだ!お前も探すのを手伝ってくれ!」
ナマエがいない
目を見開いたドラパルトは耳が痛くなるような、絹を裂くような悲痛な鳴き声をあげると夜空へと飛び上がり勢いよく何処かへと飛んでいってしまった
大切な相棒に何かあってはいけない
ドラパルトに手伝って貰いながらリザードンに乗ったフリードも別行動で辺りを探して周り、街から街へと移動した
ここにいるかもしれない
次の街にはいるかもしれない
望みを込めて探し見つからない度に焦りと不安が彼の胸に溜まり背中に嫌な汗が浮かんでいく
すると、ふとアカデミーを横切った時だ
制服姿の三人組に目が止まりフリードは直ぐ様彼らの元へと降り立った
「お前っ!」
「うおっ!なっ、は?アンタはナマエのっ…突然なんだよ!」
フリードが声をかけたのはペパーだった、彼の側にはネモとボタンもおり険しい顔つきのフリードに驚く
リザードンから降りたフリードはペパーに詰め寄ると
「ナマエを見なかったか!」
「は?」
「アイツに連絡しても繋がらないんだ!もう一人リコって仲間も行方不明になっちまって…何か知らないか!」
「リコが!」
リコの名前に反応を示したのはネモだった、ネモとリコは会ったことがある仲だ
未来が楽しみなトレーナーの一人であるリコの身に何かあれば黙っていられない
そして親友であるナマエの事も勿論心配だ
三人はお互いに顔を見比べると一緒に探す事を約束し、ペパーとフリードは情報を共有する為に連絡先を交換した
恋敵と連絡先を交換なんて…内心複雑な気持ちではあったが今はそれどころではない
ペパー達は下から
フリードは上から必死に探し始める
「(どこにいるんだ!……ナマエ!)」
*****************
数時間後ー
『……ん』
フリード達が探している頃
目を覚ましたナマエは薄暗い室内を見回し混乱していた
『あれ?……ここは…?』
少し離れた場所からカチャカチャと素早くパソコンのキーボードを打つ音がし、自然とそちらを見つめた
キーボードを打つ誰かの背中
彼を中心に大きなテレビ画面がいくつも光を放ち、映っているのは何処かの景色のようだ
ナマエが起きた事に気がついたブラッキーはゆっくりと彼女の元へと近寄ると頭を擦り付けて甘えだし、ナマエも自分に甘えてくれるブラッキーを撫でてやった
『ここは…どこ?』
聞いてみるがブラッキーの声は他のポケモン同様ただの鳴き声にしか聞こえない
つい癖で話しかけた自分を嘲笑い眉を下げるとキーボードを打つ音が止まり椅子に座っていた男が振り返った
「お目覚めですか?本来ならベッドでも用意して差し上げたかったのですが…急いでましたのでお許しください」
『…スピネル…さん?(あれ?なんだろう…なんか…心がざわざわしてる)』
いつもの黒縁眼鏡もなく
髪も結んでないがスピネルで間違いない
彼を見ると胸の奥が騒がしい
それは不安のような怯えのような
だが何故そう感じるのかも分からず、思い出そうとすると耳鳴りがしナマエは頭をふらつかせまた床に横たわった
『ぅ…っ…』
「あぁ…可哀想に…まだ体調が優れないようですね」
『あたし…どうして…』
「お忘れですか?今から私と貴女は二人で旅に出るのですよ」
『旅…?』
何かが頭の中に流れ込んでくる
誰かとの思い出が…写真に火をつけたようにじわじわと姿を消していき新たにスピネルとの思い出が浮き上がってくる
一緒にサンドイッチを食べた事
買い物をして笑った事
アカデミーで悲しい事があった時、海辺で助けてもらった事
誰かとの思い出を上書きされたような不思議な感覚に頭が痛み苦痛で体を丸め込ん
『ううっ…!っ、ぁ!』
「……大丈夫…そのまま身を任せてください、痛みがなくなる頃には…貴女は私の事しか覚えてないでしょうがね」
オーベムの技の仕業だ
記憶をイジられフリードや仲間との思い出が消えていく
忘れる事への恐怖を感じ涙を流す彼女は助けてくれと手を宙に伸ばすが、その手を取ったのは金色の瞳ではなく虹色のような瞳の男だ
「私の可愛いオモチャ…心配せずともたっぷり可愛がってあげます」
手の甲にキスをし微笑む男
絶望と恐ろしさに小さな悲鳴をあげるが頭痛が酷く立ち上がる事もできない
「さて…そろそろ移動しましょうか、全てが落ち着いたらゆっくり遊びましょうね」
ぐったりとする彼女を抱き上げたスピネルは顔を青ざめさせたナマエの頬にキスを贈り、愛しそうに頰を緩ませた
遣り方は褒められたものではないが
これは彼なりの愛情表現だ
力を利用する為に攫っただけでなく一人の女性としてずっと求めていた
離れても想うその気持ちは確かに恋だった
彼自身気がついてないようだが…
スピネルはエクスプローラーズの基地に戻る為にブラッキーと共に船が停まっている港へと移動し、用意していた船に乗り込もうとしていた
すると
「ナマエ!!」
自分の腕に抱いた彼女の名前を呼ぶ男にスピネルは足を止めると、コチラへと駆け寄ってくる男を見て眉間に皺を寄せた
走ってくるのはフリードではなく
ペパーだった
「レアコイル」
スピネルが呼び出したレアコイルはペパーを近寄らせまいと目の前に達塞がった
「っ!おいっ!アンタ!そいつをどうするつもりだ!」
少々鈍感なペパーはアカデミーでスピネルと会った事があるにも関わらず、眼鏡がないだけで彼だと気が付かなかったようだ
「不躾で品のない男に答える義理はありません」
「っ!俺はっ、俺はナマエのダチだ!」
叫びながらレアコイルに突っ込んでくるペパーにスピネルは面倒臭いと言ったように顔を歪ませると技を放つように指示を出した
「くっ!マフィティフ!」
ボールから出した大型の犬のようなマフィティフはレアコイルに噛みつきペパーを先に行かせる
スピネルは腕に抱いていた彼女をゆっくりと地面に下ろすと、こちらに向かってくるペパーに振り返り
「ナマエを返せっっっ!!」
腕を振り上げてコチラへ来る彼をじっと見つめ待ち受ける
ペパーはスピネルの涼しい顔を思いっきり殴ってやろうと力を込めて襲いかかるが
「猿め」
次の瞬間ペパーの鳩尾にブラッキーが頭突きをかまし、防御も出来ず攻撃を食らったペパーは声にならない悲鳴を吐きその場に崩れ落ちてしまう
「〜っ、ぐっ…」
痛み胸元を片手で抑え乱れた息を繰り返しては咳き込む
そんな彼を気にする事なくスピネルはナマエを抱き上げると鼻で笑いその場を後にした
「げほっ…待てっ…ナマエっ、ぅ」
息が上手くできない
ペパーはそれでもナマエを助けようと手を伸ばすが、その手は何も掴む事ができなかった
フリードは家の前に着くと手に握りしめた小さな箱を見下ろし笑みを浮かべた
「………よしっ」
気合いを入れ直し、小箱を上着のポケットにしまうと少々緊張気味に家の中へと入り寝室を目指した
「ナマエ、話が……ん?」
だが寝室はもぬけの殻だ
シーツに手をつけてみると温もりはなく彼女が起きて随分時間が経っているようだった
「ナマエ〜どこだ?」
シャワーだろうか?
家中を探すが彼女の気配はない
ならばと窓から隣の家…ナマエの家の二階を眺めるが彼女の部屋の明かりはついていない
「どこいったんだ?」
頭をかきながら片眉を吊り上げるとスマホが煩く鳴り出した
嫌な予感を感じつつ出ればオリオが慌てた様子で映る
【フリード!リコ知らない?】
「リコ?」
【買い物に行ったきり帰ってこないんだよ!ロイが言うにはスパイスを買いに行ったらしいんだけど…連絡がつかないの】
「(リコまで…まさかナマエも?)」
フリードは直ぐ様ベランダに飛び出すと手すりに足をかけ飛び降りる
同時にボールからリザードンを呼び出し相棒の背中に乗るとナマエから預かっていたボールを一つ投げた
出てきたドラパルトは呼び出したのがナマエではない事に気が付き不思議そうにフリードを見つめる
「ナマエとリコが行方不明なんだ!お前も探すのを手伝ってくれ!」
ナマエがいない
目を見開いたドラパルトは耳が痛くなるような、絹を裂くような悲痛な鳴き声をあげると夜空へと飛び上がり勢いよく何処かへと飛んでいってしまった
大切な相棒に何かあってはいけない
ドラパルトに手伝って貰いながらリザードンに乗ったフリードも別行動で辺りを探して周り、街から街へと移動した
ここにいるかもしれない
次の街にはいるかもしれない
望みを込めて探し見つからない度に焦りと不安が彼の胸に溜まり背中に嫌な汗が浮かんでいく
すると、ふとアカデミーを横切った時だ
制服姿の三人組に目が止まりフリードは直ぐ様彼らの元へと降り立った
「お前っ!」
「うおっ!なっ、は?アンタはナマエのっ…突然なんだよ!」
フリードが声をかけたのはペパーだった、彼の側にはネモとボタンもおり険しい顔つきのフリードに驚く
リザードンから降りたフリードはペパーに詰め寄ると
「ナマエを見なかったか!」
「は?」
「アイツに連絡しても繋がらないんだ!もう一人リコって仲間も行方不明になっちまって…何か知らないか!」
「リコが!」
リコの名前に反応を示したのはネモだった、ネモとリコは会ったことがある仲だ
未来が楽しみなトレーナーの一人であるリコの身に何かあれば黙っていられない
そして親友であるナマエの事も勿論心配だ
三人はお互いに顔を見比べると一緒に探す事を約束し、ペパーとフリードは情報を共有する為に連絡先を交換した
恋敵と連絡先を交換なんて…内心複雑な気持ちではあったが今はそれどころではない
ペパー達は下から
フリードは上から必死に探し始める
「(どこにいるんだ!……ナマエ!)」
*****************
数時間後ー
『……ん』
フリード達が探している頃
目を覚ましたナマエは薄暗い室内を見回し混乱していた
『あれ?……ここは…?』
少し離れた場所からカチャカチャと素早くパソコンのキーボードを打つ音がし、自然とそちらを見つめた
キーボードを打つ誰かの背中
彼を中心に大きなテレビ画面がいくつも光を放ち、映っているのは何処かの景色のようだ
ナマエが起きた事に気がついたブラッキーはゆっくりと彼女の元へと近寄ると頭を擦り付けて甘えだし、ナマエも自分に甘えてくれるブラッキーを撫でてやった
『ここは…どこ?』
聞いてみるがブラッキーの声は他のポケモン同様ただの鳴き声にしか聞こえない
つい癖で話しかけた自分を嘲笑い眉を下げるとキーボードを打つ音が止まり椅子に座っていた男が振り返った
「お目覚めですか?本来ならベッドでも用意して差し上げたかったのですが…急いでましたのでお許しください」
『…スピネル…さん?(あれ?なんだろう…なんか…心がざわざわしてる)』
いつもの黒縁眼鏡もなく
髪も結んでないがスピネルで間違いない
彼を見ると胸の奥が騒がしい
それは不安のような怯えのような
だが何故そう感じるのかも分からず、思い出そうとすると耳鳴りがしナマエは頭をふらつかせまた床に横たわった
『ぅ…っ…』
「あぁ…可哀想に…まだ体調が優れないようですね」
『あたし…どうして…』
「お忘れですか?今から私と貴女は二人で旅に出るのですよ」
『旅…?』
何かが頭の中に流れ込んでくる
誰かとの思い出が…写真に火をつけたようにじわじわと姿を消していき新たにスピネルとの思い出が浮き上がってくる
一緒にサンドイッチを食べた事
買い物をして笑った事
アカデミーで悲しい事があった時、海辺で助けてもらった事
誰かとの思い出を上書きされたような不思議な感覚に頭が痛み苦痛で体を丸め込ん
『ううっ…!っ、ぁ!』
「……大丈夫…そのまま身を任せてください、痛みがなくなる頃には…貴女は私の事しか覚えてないでしょうがね」
オーベムの技の仕業だ
記憶をイジられフリードや仲間との思い出が消えていく
忘れる事への恐怖を感じ涙を流す彼女は助けてくれと手を宙に伸ばすが、その手を取ったのは金色の瞳ではなく虹色のような瞳の男だ
「私の可愛いオモチャ…心配せずともたっぷり可愛がってあげます」
手の甲にキスをし微笑む男
絶望と恐ろしさに小さな悲鳴をあげるが頭痛が酷く立ち上がる事もできない
「さて…そろそろ移動しましょうか、全てが落ち着いたらゆっくり遊びましょうね」
ぐったりとする彼女を抱き上げたスピネルは顔を青ざめさせたナマエの頬にキスを贈り、愛しそうに頰を緩ませた
遣り方は褒められたものではないが
これは彼なりの愛情表現だ
力を利用する為に攫っただけでなく一人の女性としてずっと求めていた
離れても想うその気持ちは確かに恋だった
彼自身気がついてないようだが…
スピネルはエクスプローラーズの基地に戻る為にブラッキーと共に船が停まっている港へと移動し、用意していた船に乗り込もうとしていた
すると
「ナマエ!!」
自分の腕に抱いた彼女の名前を呼ぶ男にスピネルは足を止めると、コチラへと駆け寄ってくる男を見て眉間に皺を寄せた
走ってくるのはフリードではなく
ペパーだった
「レアコイル」
スピネルが呼び出したレアコイルはペパーを近寄らせまいと目の前に達塞がった
「っ!おいっ!アンタ!そいつをどうするつもりだ!」
少々鈍感なペパーはアカデミーでスピネルと会った事があるにも関わらず、眼鏡がないだけで彼だと気が付かなかったようだ
「不躾で品のない男に答える義理はありません」
「っ!俺はっ、俺はナマエのダチだ!」
叫びながらレアコイルに突っ込んでくるペパーにスピネルは面倒臭いと言ったように顔を歪ませると技を放つように指示を出した
「くっ!マフィティフ!」
ボールから出した大型の犬のようなマフィティフはレアコイルに噛みつきペパーを先に行かせる
スピネルは腕に抱いていた彼女をゆっくりと地面に下ろすと、こちらに向かってくるペパーに振り返り
「ナマエを返せっっっ!!」
腕を振り上げてコチラへ来る彼をじっと見つめ待ち受ける
ペパーはスピネルの涼しい顔を思いっきり殴ってやろうと力を込めて襲いかかるが
「猿め」
次の瞬間ペパーの鳩尾にブラッキーが頭突きをかまし、防御も出来ず攻撃を食らったペパーは声にならない悲鳴を吐きその場に崩れ落ちてしまう
「〜っ、ぐっ…」
痛み胸元を片手で抑え乱れた息を繰り返しては咳き込む
そんな彼を気にする事なくスピネルはナマエを抱き上げると鼻で笑いその場を後にした
「げほっ…待てっ…ナマエっ、ぅ」
息が上手くできない
ペパーはそれでもナマエを助けようと手を伸ばすが、その手は何も掴む事ができなかった