第三章
夢小説設定
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「………はぁ」
ランチタイムの食堂はアカデミーの生徒で賑わい食器がぶつかる音と笑い声が溢れている
だがテーブルに座った男は目の前の魅力的なサンドイッチを前にしても暗い顔を浮かべていた
「……………はぁぁ」
「うざっ」
何度目かのため息を吐いたペパーに隣に座っていたボタンは顔をしかめ思った事を素直に口に出した
「まあまあ、ナマエがいないから仕方ないよ」
ボタンの前に座るネモはテーブルに頬杖をつき困ったように笑って見せる
親友が旅に出てからもう数ヶ月が経つのだ
ペパーでなくても友に会いたくなる気持ちは同じでありネモとボタンもまた控えめに笑った
「ナマエいつ帰って来るん?」
「うーん、どうなんだろ?昨日スマホロトムで会話した時はパルデアに寄れそうな時は必ず連絡するって言ってたけど」
「何気に連絡とってるし…抜け駆け狡いし、ウチも後で連絡してみよっかな」
ボタンにとってナマエは恩人でもある
ジムチャレンジ中にパルデアを駆け回っていた彼女はボタンと知り合い長年の悩みと内気な自分自身も救ってくれた
そんな恩人であり親友と少しでも繋がっていたい
「(新作のゲーム教えてあげよっかな、今のスター団の話もしたいし)」
ボタンが連絡をとろうと楽しみにしていると隣から硬い物がテーブルに落ちたような鈍い音が聞こえた
「ペパー!」
「ど、どしたん?」
隣に座っていた彼を見ればペパーはテーブルに額を押し付けて崩れこんだ
然りげ無く自分の皿を避難させる彼女達は俯いたまま小刻みに震える彼に警戒する
「俺っ…明日誕生日なんだよっ!なのにアイツから何にも連絡来ねぇ!」
拳を強く握り震わせたペパーは勢いよく顔を上げると今にも泣き出しそうに瞳を潤め太い眉を八の字に下げた
「旅に出て忙しいのは分かってるけどよ!一言くらいおめでと〜とか!何が欲しい?とか…ますますカッコよくなったね〜とか!あってもいいだろ!」
「いや、最後のおかしいし」
「な〜んだ、そんな事?だったら自分から連絡したらいいじゃん!」
「〜〜っ!それは嫌だ!自分から聞いたらアウトつーか…ダセェだろ?」
唇を尖らせ腕を組み直したペパー
素直じゃない男にボタンは面倒くさそうに顔を詳しくさせた
「つーか、ペパーってまだナマエに恋してるん?」
ボタンの一言にペパーは勢いよく立ち上がり体をテーブルにぶつけてしまう
ガタンッと揺れたテーブルと跳ね上がる食器の甲高い音はすぐに周りの賑やかな声に掻き消され注目されることは免れた
「………なっ、なななな!何言ってんだよっ!」
顔を真っ赤にし怒るがボタンは怖がるわけでも焦るわけでもなく淡々と言葉を続けた
「てかナマエ彼氏いるし、無駄だし?いつまでも好き好きオーラ出すの見てて痛々しいんだけど?」
「うぐっ!」
ダメージを食らったのかペパーは自分の胸元を服の上から強く掴み歯を食いしばるとフラフラと食堂を後にし、見送るボタンをネモはじっと見ていた
「ボタンだってナマエに好き好きオーラ全開だよ?」
「……………ウチはいいの」
照れ隠しにサンドイッチに噛み付く友人に微笑みネモはチラリとテーブルに置いた自分のスマホを眺めた
「(ナマエったら、ちゃんと皆に愛されてるじゃん…私だけの友達にしたかったのにちょっと残念…かな)」
*********************
その夜ペパーの自室では
「彼氏……か」
頭に浮かぶのはフリードの存在
彼女が決めた事だから自分が反対するわけにはいかない
それでも今まで育ててきた恋心をすぐに捨て去る事もできずペパーは変わらず想ってきた
ベッドに横たわりスマホロトムの時計を確認すればもうすぐ今日という日が終わりを迎える頃だった
「さん…にぃ…いち…ハッピーバースデー…俺」
画面を見ながら日にちが変わった
自分自身に誕生を祝う言葉を呟くが気持ちは落ち込むばかりだ
「(去年は確かナマエが朝っぱらから部屋に迎えに来てくれたんだよな…)」
前回の誕生日では早朝まだ寝ていたペパーに彼女が襲い掛かり驚かされた
強さを求めパルデアを駆け回りアカデミーにも偶にしか顔を出さないと言うのに自分の為に突然現れたナマエにペパーがどれほど驚き、また喜びに震えた事か
勿論その後はネモやボタンも混ざり朝から夜まで四人で思いつく限りの楽しい事をした
学生らしい馬鹿な事
二度と味わえないと思っていたケーキを囲んでのパーティ
何度涙腺をやられただろうか
去年と今年の違いはナマエがパルデアにいないだけ
それだけだと言うのにペパーは顔を暗くさせ虚ろな瞳でスマホ画面をぼんやりと見つめていた
すると
「ん?……っ!!」
一通のメールが届き何気なく指で操作しながら送信者を読んでいるとペパーはベッドから飛び起き、後先考えずに相手に電話を始めた
期待と不安に眉を下げつつスマホを握る手に力が入る
「(頼むっ、出てくれ!)」
祈りが届いたのかコール音が一度だけ鳴りすぐに相手が電話に出てくれた
『ペパー先輩?あれ?もしかして起こしちゃいましたか?』
いつもの彼女の声だった
久しぶりに聞いたナマエの声に安堵しペパーは緩んでしまう口元を親指で引っ掻きながら微笑んだ
「最初から起きてたつーの、てか誕生日おめでとうくらいメールじゃなくて電話で寄こせよ!」
『だってこんな時間だったし、でも先輩には一番にお祝いの言葉を贈りたかったし…メールならっと思って』
彼女の吐息さえも聞き逃したくなくてペパーはスマホを耳元へと強く押し付け瞳を閉じた
誰よりも会いたかった女性
既に他の男の物になってしまったと分かっていても特別な存在である事は変わらない
「旅はどうだ?危なくないのか?」
『楽しいです!あ、この前なんか…』
そこから他愛ない話を二人は暫く続けペパーも自分の最近の出来事や感じた事を話し続けた
お互いに知らせたい事がありすぎて時間が足りない
だが時計の針は既に夜中から朝へと変わろうとしている
眠気が限界を迎えたのか電話の向こうから可愛らしいあくびが聞こえペパーは小さく笑った
「お眠ちゃんか?」
『ん〜、ちょっと眠いです…あ…少し寝たらまた電話してもいいですか?』
「ああ、勿論だ…なあ、ナマエ」
『ん?』
「……俺さ」
ドキドキと早鐘をうつ心臓
ただ息をするのも苦しいこの感情を楽にしてやりたい
いっそ正直に想いを伝えようかと口を開くが
「………いや…ありがとうな」
今の関係が壊れる事の方が恐ろしくてペパーは自分の胸元の服を強く握り締め俯いた
『いえいえ、ふぁ…っ、じゃあまたね先輩…ハッピーバースデー』
プツンと消えた通信
だがペパーは耳元からスマホを離さず静かに呟いた
「俺………お前が好きなんだ」
相手に届くことのない愛の言葉を呟きペパーは漸くスマホを耳元から離すと真っ暗になった画面に小さく口づけを落とした
ランチタイムの食堂はアカデミーの生徒で賑わい食器がぶつかる音と笑い声が溢れている
だがテーブルに座った男は目の前の魅力的なサンドイッチを前にしても暗い顔を浮かべていた
「……………はぁぁ」
「うざっ」
何度目かのため息を吐いたペパーに隣に座っていたボタンは顔をしかめ思った事を素直に口に出した
「まあまあ、ナマエがいないから仕方ないよ」
ボタンの前に座るネモはテーブルに頬杖をつき困ったように笑って見せる
親友が旅に出てからもう数ヶ月が経つのだ
ペパーでなくても友に会いたくなる気持ちは同じでありネモとボタンもまた控えめに笑った
「ナマエいつ帰って来るん?」
「うーん、どうなんだろ?昨日スマホロトムで会話した時はパルデアに寄れそうな時は必ず連絡するって言ってたけど」
「何気に連絡とってるし…抜け駆け狡いし、ウチも後で連絡してみよっかな」
ボタンにとってナマエは恩人でもある
ジムチャレンジ中にパルデアを駆け回っていた彼女はボタンと知り合い長年の悩みと内気な自分自身も救ってくれた
そんな恩人であり親友と少しでも繋がっていたい
「(新作のゲーム教えてあげよっかな、今のスター団の話もしたいし)」
ボタンが連絡をとろうと楽しみにしていると隣から硬い物がテーブルに落ちたような鈍い音が聞こえた
「ペパー!」
「ど、どしたん?」
隣に座っていた彼を見ればペパーはテーブルに額を押し付けて崩れこんだ
然りげ無く自分の皿を避難させる彼女達は俯いたまま小刻みに震える彼に警戒する
「俺っ…明日誕生日なんだよっ!なのにアイツから何にも連絡来ねぇ!」
拳を強く握り震わせたペパーは勢いよく顔を上げると今にも泣き出しそうに瞳を潤め太い眉を八の字に下げた
「旅に出て忙しいのは分かってるけどよ!一言くらいおめでと〜とか!何が欲しい?とか…ますますカッコよくなったね〜とか!あってもいいだろ!」
「いや、最後のおかしいし」
「な〜んだ、そんな事?だったら自分から連絡したらいいじゃん!」
「〜〜っ!それは嫌だ!自分から聞いたらアウトつーか…ダセェだろ?」
唇を尖らせ腕を組み直したペパー
素直じゃない男にボタンは面倒くさそうに顔を詳しくさせた
「つーか、ペパーってまだナマエに恋してるん?」
ボタンの一言にペパーは勢いよく立ち上がり体をテーブルにぶつけてしまう
ガタンッと揺れたテーブルと跳ね上がる食器の甲高い音はすぐに周りの賑やかな声に掻き消され注目されることは免れた
「………なっ、なななな!何言ってんだよっ!」
顔を真っ赤にし怒るがボタンは怖がるわけでも焦るわけでもなく淡々と言葉を続けた
「てかナマエ彼氏いるし、無駄だし?いつまでも好き好きオーラ出すの見てて痛々しいんだけど?」
「うぐっ!」
ダメージを食らったのかペパーは自分の胸元を服の上から強く掴み歯を食いしばるとフラフラと食堂を後にし、見送るボタンをネモはじっと見ていた
「ボタンだってナマエに好き好きオーラ全開だよ?」
「……………ウチはいいの」
照れ隠しにサンドイッチに噛み付く友人に微笑みネモはチラリとテーブルに置いた自分のスマホを眺めた
「(ナマエったら、ちゃんと皆に愛されてるじゃん…私だけの友達にしたかったのにちょっと残念…かな)」
*********************
その夜ペパーの自室では
「彼氏……か」
頭に浮かぶのはフリードの存在
彼女が決めた事だから自分が反対するわけにはいかない
それでも今まで育ててきた恋心をすぐに捨て去る事もできずペパーは変わらず想ってきた
ベッドに横たわりスマホロトムの時計を確認すればもうすぐ今日という日が終わりを迎える頃だった
「さん…にぃ…いち…ハッピーバースデー…俺」
画面を見ながら日にちが変わった
自分自身に誕生を祝う言葉を呟くが気持ちは落ち込むばかりだ
「(去年は確かナマエが朝っぱらから部屋に迎えに来てくれたんだよな…)」
前回の誕生日では早朝まだ寝ていたペパーに彼女が襲い掛かり驚かされた
強さを求めパルデアを駆け回りアカデミーにも偶にしか顔を出さないと言うのに自分の為に突然現れたナマエにペパーがどれほど驚き、また喜びに震えた事か
勿論その後はネモやボタンも混ざり朝から夜まで四人で思いつく限りの楽しい事をした
学生らしい馬鹿な事
二度と味わえないと思っていたケーキを囲んでのパーティ
何度涙腺をやられただろうか
去年と今年の違いはナマエがパルデアにいないだけ
それだけだと言うのにペパーは顔を暗くさせ虚ろな瞳でスマホ画面をぼんやりと見つめていた
すると
「ん?……っ!!」
一通のメールが届き何気なく指で操作しながら送信者を読んでいるとペパーはベッドから飛び起き、後先考えずに相手に電話を始めた
期待と不安に眉を下げつつスマホを握る手に力が入る
「(頼むっ、出てくれ!)」
祈りが届いたのかコール音が一度だけ鳴りすぐに相手が電話に出てくれた
『ペパー先輩?あれ?もしかして起こしちゃいましたか?』
いつもの彼女の声だった
久しぶりに聞いたナマエの声に安堵しペパーは緩んでしまう口元を親指で引っ掻きながら微笑んだ
「最初から起きてたつーの、てか誕生日おめでとうくらいメールじゃなくて電話で寄こせよ!」
『だってこんな時間だったし、でも先輩には一番にお祝いの言葉を贈りたかったし…メールならっと思って』
彼女の吐息さえも聞き逃したくなくてペパーはスマホを耳元へと強く押し付け瞳を閉じた
誰よりも会いたかった女性
既に他の男の物になってしまったと分かっていても特別な存在である事は変わらない
「旅はどうだ?危なくないのか?」
『楽しいです!あ、この前なんか…』
そこから他愛ない話を二人は暫く続けペパーも自分の最近の出来事や感じた事を話し続けた
お互いに知らせたい事がありすぎて時間が足りない
だが時計の針は既に夜中から朝へと変わろうとしている
眠気が限界を迎えたのか電話の向こうから可愛らしいあくびが聞こえペパーは小さく笑った
「お眠ちゃんか?」
『ん〜、ちょっと眠いです…あ…少し寝たらまた電話してもいいですか?』
「ああ、勿論だ…なあ、ナマエ」
『ん?』
「……俺さ」
ドキドキと早鐘をうつ心臓
ただ息をするのも苦しいこの感情を楽にしてやりたい
いっそ正直に想いを伝えようかと口を開くが
「………いや…ありがとうな」
今の関係が壊れる事の方が恐ろしくてペパーは自分の胸元の服を強く握り締め俯いた
『いえいえ、ふぁ…っ、じゃあまたね先輩…ハッピーバースデー』
プツンと消えた通信
だがペパーは耳元からスマホを離さず静かに呟いた
「俺………お前が好きなんだ」
相手に届くことのない愛の言葉を呟きペパーは漸くスマホを耳元から離すと真っ暗になった画面に小さく口づけを落とした